逆説的ミスター・マーケット論東大卒医師が教える 科学的「株」投資術情報の価値
続・東大卒医師が教える 科学的「株」投資術ROEに対する見解とROIC日経新聞不要論
リスキー・シフトと株式ブログの弊害続々・清算価値8月の大阪セミナー時間の使い方
そして誰もいなくなった開放感と充実感と利益率と回転率執筆活動安全域を欠く行動
カラオケの話収入源

パーシャル・オーナー


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ショートコラム(2006年8月)

■収入源(2006年8月30日)

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www9945さんのサラリーマン→ホームレスの軌跡が興味深かったです。週刊ダイヤモンドの特集「リストラ父さん フリーター息子 悲惨世代」を立ち読みに行き「今日、ホームレスになった 13のサラリーマン転落人生」も注文しました。

この手の記事を読んで痛感するのは、収入源の多様化が図られていないリスクです。「サラリーマンと預貯金は安全でない」ということを、もっと認識すべきでしょう。

確定申告書の所得欄には
■(事業)営業等
■(事業)農業
■不動産
■利子
■配当
■給与
■雑
■総合譲渡・一時
の8項目が並んでいます。税務署は「給与は、数ある所得の内の一つ」と言いたげです。

給与所得以外の収入源を考えるときにも、週刊ダイヤモンドの特集が役立ちます。フリーターを現場で働かせ(売上原価を下げ)、中高年をリストラ(販管費を圧縮)した後に、売上が回復すればどうなるかは明らかです。

お金の流れている先に、収入源はあります。そこをわかっていない人は「失われた10年」の方が幸せだったのかもしれません。


■カラオケの話(2006年8月28日)

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たまには気軽な話題ということで、カラオケの話をしましょう。

小学校の高学年で音楽の先生が担任のときがありました。珍しく2年連続だったと思います。その先生はクラスを県の合唱コンクールに出させるのが好きで、コンクール前は毎日残って歌の練習をさせられました。当時は遊びたい盛りですから、あまり楽しくなかったのを憶えてします。

その後、歌う機会はほとんどなかったのですが、社会人になってからカラオケブームが起きます。子供の頃にみっちり練習させられたものは身についているのですね。職場旅行では役員さんから200点もらいました(満点は100点です、笑)。

一度、バリュー投資家カラオケ大会でもやりたいですね。ちなみに、18番は松山千春の「長い夜」です。「こ〜いにゆれ〜る♪ こころ〜 ふたつ♪」っと(笑)。


■安全域を欠く行動(2006年8月27日)

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昨日は東京でセミナー講師を務めました。終了後は、楽しいオフ会です。この日は、いつも利用している20時50分の「のぞみ」以外に、21時3分の臨時があったのです。1分でも多く現地に居たい私は臨時で帰ることにしました。京都での接続は5分ですが、新幹線ホームの下が近鉄京都駅なので、歩いて間に合うはずでした。

ところが、名古屋をなかなか出発しません。ようやく動き出すと「急病人が発生したので、5分遅れています」との社内アナウンスが流れました。「これはまずい」と思っても、お手上げ状態です。結局、京都には4分遅れで到着。エスカレーターを駆け下りたものの、近鉄ホームに着いたのは、列車が出た後でした。

次の列車は、最寄り駅の3駅手前が終点です。そこから自宅まで歩くと1時間10分かかります。「仕方ない、歩くか」と覚悟を決めたのですが、どうやらエスカレーターを駆け下りたときに足を痛めたようです。すぐにタクシー乗り場まで引き返すことになりました。夜中なので、あっという間に着きましたが、3千円弱の手痛い出費です。

「これなら、東京でゆっくりして泊まった方が良かった」と思っても、後の祭りです。幸い、足の痛みは一晩で回復したので、今日はテニスを楽しむことができました。テニスができなければ、踏んだり蹴ったりでした。

安全域を欠く行動で、余分な出費を強いられたものです。投資も日常生活も「マージン・オブ・セーフティ」が一番ですね(苦笑)。


■執筆活動(2006年8月24日)

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早川さんの「早川圭の株「バリュー投資」常勝セオリー 」がまもなく発売になるようです。日記にはゴレンジャーネタもありますが、根はきまじめな方なので、中身は期待できると思います。発売を心待ちにしています。

日記の著作活動を読みました。私は4冊目を書いているところですが、最初からそのつもりではなくて、書いているうちに4冊目になりました。本は、売れそうなテーマがあって、テーマに沿ったストーリーを書きます。自分の言いたいことを並べるのとは、ちょっと違うのです。

確かに、1冊書き上げた後はけっこう消耗します。でも、書店に平積みされている自分の本を見ると疲れも吹き飛びます。ブログで話題になり、読者からのメールが来れば「書いて良かった」と実感します。そして「ここはもうちょっと丁寧に書けばよかった。別の見方も取り上げるべきだった」なんて読み返しているうちに、また書きたくなるものです。

ただし、本だけで生計を立てるのは、難しいですね。他のビジネスとどう結びつけるかがポイントです。

第一、ずっと机に座っているのはきついです。外出しなくなるし、人に会わなくなります。私なんか、人付き合いは苦手な方ですけど、それでも人間は社交的な動物です(結局、社交性が投資の邪魔をするわけですが)。

4冊目を書き終えたら、他の仕事も掛け持ちしようかなと思い始めています。サラリーマン時代の「二足のわらじ」も今から振り返れば悪くなかったです。本は、書きたいときに書くのが一番かもしれません。


■利益率と回転率(2006年8月22日)

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大阪セミナーで「皆さん、利益率は気にするけど、回転率は忘れがちです」という話をしましたので、その補足です。

ROA(総資産利益率)を分解しますと(デュポン式)
■ROA=売上高利益率×総資産回転率
■ROA=(当期純利益÷売上高)×(売上高÷総資産)
売上高を相殺して
■ROA=当期純利益÷総資産
になります。

利益率と回転率

効率性の説明用に極端な例を出してみます。A社は売上高利益率が5%、B社は売上高利益率が10%とします。収益性(利益率)だけで判断するとB社を選んでしまいそうですが、ROAではA社が上回っています。なぜかといえば、効率性(回転率)で4倍の差がついているからです。

総資産回転率の適正値は業種によって異なります。売上高利益率の高い業種は低くてもOKですが、スーパーのような薄利多売モデルでは高くないと困ります。あくまでトータルのROAで判断すべきです。

一例をあげれば
■製造業:ROA7%=売上高利益率7%×総資産回転率1回
■流通業:ROA7%=売上高利益率2%×総資産回転率3.5回
といったところでしょうか。

在庫回転率

回転率という概念がわかりにくい場合は、在庫(棚卸資産)回転率で考えてみるといいです。C社は12億円の売上に対して在庫を2億円持っているので2か月分です。年間では6回転することになります。D社は12億円の売上に対して在庫を6億円持っているので6か月分です。1年で2回転することになります。


■開放感と充実感と(2006年8月21日)

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昨日で夏の大阪セミナーが終わりました。参加していただいた皆さん、ありがとうございました。

一仕事終えた後の、開放感と充実感は何とも言えないです。ビールも旨いですし(笑)。これで今年の目標の一つであった「大阪でセミナーを自主開催する」が達成できました。

東京では、8月26日(土)「バリュー投資セミナー「黄金の3ステップ」で鍛える銘柄選択力」セミナーが初級者向け、10月29日(日)開催予定のものが中級者向けになります。内容は大阪セミナーをさらにパワーアップしてお届けしたいと思います。DVDも撮影します。

今年のセミナーは、これで終了予定です。来年の話をするには早すぎますが、定期的・体系的に行うことや教材の直販を検討しています。「自分のビジネスをどう展開するのか」考えるのは楽しいですね。


■そして誰もいなくなった(2006年8月17日)

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投資家の考え方はサラリーマン的な発想と合わないものです。むしろ、逆かもしれません。

そういうこともあり、職場にはあまりなじめない個人投資家の方もいらっしゃるでしょう。つきあい残業で周りと歩調を合わせ、上司からの酒席の誘いに喜んで応じる同僚とは歩調が合わないはずです。

一足早く会社を出て、書店の株本コーナーで数少ない良書を探し、一人で黙々と投資について考えるのが個人投資家の日課でした。

ところが、インターネットが世の中を変えます。掲示板の中には、バリュー投資家が集まる株式投資のものもありました。あなたは常連になり、ひょんなことからオフ会の話が出ます。はじめてのオフ会では「他人とできるとは思っていなかった」銘柄の話で盛り上がります。投資をはじめて「こんなに嬉しいことはなかった」ほとんどの参加者がそう思いました。

そして、ブログの登場に株式ブームが重なり、仲間が増えていきます。株価が上昇して、みんなホクホク顔です。そのことから、メンバーの持株に変化が出始めます。新興市場のある業種へ集中するようになったのです。オフ会で顔を合わせるたびに、その銘柄群の話題になりました。

まだ持っていなかったあなたは、メンバーからその銘柄群の素晴らしさを繰り返し聞かされます。自分が興味を持った東証1部企業は誰からも相手にされませんでした。結局、メンバーが持っている銘柄群を買うことになります。

買い付け後も、株価は上がり続けます。「ほら、言ったとおりだ」オフ会は盛り上がり、メンバーは買い増しに走ります。誰ともなく「会社を辞めて投資で生活しようか」と言い出しました。

そんな矢先のこと、株価は暴落します。値下がりが止まりません。急遽集まったメンバーでの話し合いでは「この下げは一時的なもので、買い増しのチャンスだ」という結論になりました。

「ちょっと、違うのではないか」あなたはその言葉を言い出すことができませんでした。やっと巡り合えた投資家仲間を失うのが恐かったのです。それでもメンバーが持っている銘柄群を処分して、自分が興味を持っていた東証1部企業と入れ替えます。

そのうち、誰も「オフ会をやろう」とは言い出さなくなりました。ブログも更新が止まったままです。メンバーの持株を知っているあなたは、連絡を入れる気になれません。

「自分は少しの損で済んだが、みんなどうしているのだろうか?」そして、また一人に戻るのです。


■時間の使い方(2006年8月16日)

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残りのセミナーテキストもほぼ書き終わり、何とかヤマ場を越えた感じです。

私の場合、本の原稿やセミナーテキストなど、集中力が必要な仕事は午前中いっぱいが限度です。昼から机に向かうこともあるのですが、なかなか進まないです。

最近、この仕事はフルタイムすべきものか疑問に思うことがあります。集中できれば、3時間で十分ですからね。何か別のことをしてもいいかなと考えたりしています。本を書いている人も、別の仕事を持っている場合が多いですし。

10月には4冊目の本を書き終わります。ここでちょっとリフレッシュしたい気分です。生活のために働くなくてもいいわけで、贅沢な悩みかもしれませんが、何か物足らなくなっているのも事実です。

思えば、会社に勤めながら1冊目の本を書いていたときは、大変でしたがすごく充実していました。朝5時前に起きて「さあ、7時までは自分の時間だ」と執筆をはじめ、調子が出てきた頃がちょうど7時で、無念に思いながら会社に出かけたものでした。

時間が足らないから、むしろ充実していましたし、集中できました。今は時間がありすぎて、ありがたみがわからなくなっているのかもしれません。


■8月の大阪セミナー(2006年8月13日)

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早いもので、8月20日(日)の大阪セミナーが来週に迫りました。テキストも完成していますので、目次をアップしておきます。

第1部:決算書分析
1−1.損益計算書と収益構造
1−2.バランスシートとキャッシュフロー
1−3.ROE、ROA、ROIC
1−4.同業他社との比較

第2部:投資指標の問題点
2−1.PERの問題点
2−2.PBRの問題点
2−3.EV/EBITDA倍率の問題点

第3部:企業価値評価
3−1.企業価値とは
3−2.FCFを算出する
3−3.資本コストを算出する
3−4.企業価値を算出する
3−5.実習
3−6.DCF法(ビジネスモデル・競争優位性の分析を含む)
3−7.最後に

付録:保有銘柄一覧

となっています。

今回はテキストのページ数を30ページ程度におさえ、説明に時間が取れるようにしたいと思います。前回は欲張りすぎ、駆け足になってしまったのが反省点でした。企業価値評価では簡単な実習を取り入れ、実際に理論株価を計算していきます。参加される方は電卓をお忘れなく。

申込みの方は、現在20名となっています。若干名であれば、追加をお受けしますので、8月17日(木)までにメールで申込みください(氏名、連絡先の明記をお願いします)。実習以外でも、皆さんを当てるようにしますので、そのつもりでお越しください(笑)。

さて、今から8月26日(土)東京開催の「バリュー投資セミナー「黄金の3ステップ」で鍛える銘柄選択力」セミナーのテキストを仕上げにかかります(汗)。今年もお盆休みは仕事です。


■続々・清算価値(2006年8月11日)

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超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」を読まれた方から質問をいただきました。この本は、株本では珍しくロングセラーとなっており、筆者としても嬉しい限りです。

質問の内容は「時価会計・減損会計が導入されているので、固定資産・有価証券などは貸借対照表上の簿価を使用できるのではないか」というものです。

私のやり方は、清算価値続・清算価値にも書きましたとおり、流動資産の有価証券は100%評価、土地は70%評価、土地以外の有形固定資産は0%評価、投資有価証券は100%評価です。土地については「70%で売れるだろう」と考えたのですが、甘かったようで、それ以上の減損損失を計上した企業が続出しました。

土地以外の有形固定資産を0%評価にしたのは、土地の評価額が70%を下回ったときのクッションにしたかったのと、専門用途の製造設備などは売れない場合があるからです。

投資有価証券の評価については、逆に厳しくしようかと思っています。今までは株価があがっていたこともあり100%評価でよかったのですが、80%程度に落とすことが必要かもしれません。

そもそも、清算価値分析は、企業が破綻したとき「どれだけ換金できるのか」を計算するものです。換金性に難のある資産は「もってけ、ドロボー」的な値付けになります。

基準は厳しい方がいいと思いますし、そうした方が安全域をしっかり取ることができます。時価会計・減損会計が導入されても、私自身の判断基準を変えるつもりはありません。

そのあたりは、必要に応じてアレンジしてもらえばいいと思っています。


■リスキー・シフトと株式ブログの弊害(2006年8月10日)

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ある日、AさんのブログでN社が取り上げられていました。「面白そうだ」興味を持ち、四季報で調べてみるとけっこう良さそうです。「いい銘柄ですね」と掲示板に書き込むと「業績も好調だし、N社は間違いないですよ」とレスがつきました。今度は、Bさんのブログにも「N社の経営者は素晴らしい」と書いてあります。

「優秀なAさんと絶好調のBさん、2人揃って取り上げているN社は間違いない」そう思って投資したN社は予想外の減益決算を発表します。ブログの「業績不振は一時的なものだ」という言葉を信じてホールドしたところ、株価は下げ続け、売るに売れなくなりました。

上記はたとえ話ですが、昨年の後半から投資をはじめて、こういう状態の方も少なくないと思われます。逆ブログ相場にも書きましたように、個人投資家がブログで取り上げた銘柄ほど下がっているからです。

類似した態度・考えを持った個人が集まると、意見が極端な方向へ振れてしまいます。この例では「面白そうだ」から「間違いない」までに変化したのです。KAPPAさんの「東大卒医師が教える 科学的「株」投資術」によると、このような現象を「リスキー・シフト」と呼ぶそうです。

昨年末のような過熱相場は群集心理により引き起こされます。悲しいことに、ブログは群集心理を形成する温床になってしまいました。個々人は決して悪くないのですが、群集化すること自体が株式投資においては弊害をもたらしたのです。株式ブログの弊害は、群集化に一役買ってしまったことです。


■日経新聞不要論(2006年8月8日)

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KENさんにご指摘をいただいた「日経新聞不要論」について書きます。5日連続更新なのはたまたまです。

ジョインベスト証券の調査によると、株売買の際に参考にしている情報ソースのトップは「一般新聞の記事」となっています。私には日経新聞を指しているように思えます。また、セミナーでも「日経新聞を読んだ方がいいでしょうか」という質問をいただきます。

私が言いたいのは「株式投資のために日経新聞を読むのはどうか」ということです。特に、初心者の方は「知識を早く身に付けたい」とか「情報を多く得たい」という焦りを持っているはずです。あまり知識のない状態で日経新聞を読み始めると、バイアス(偏向)が掛かってしまわないでしょうか。

銘柄にしても、日経新聞の好みがあります。記者のお気に入りなのか、(広告出稿などで)上得意なのかわかりませんが、何回も登場する会社があります。たいがい、そのような会社は株価が割高です。私も初心者時代、日経新聞が繰り返し取り上げるロームとアリアケを「優良企業だから、株価が少々割高でも・・・」と買ってしまい、損をしました。そういうこともあり「株式投資のために」日経新聞を読むことはおすすめしません。

日経新聞が必読かどうかは、各人の仕事内容によると思います。私のサラリーマン時代は、ネットでIT関連中心にニュースをチェックして、「日経コンピュータ」などの専門誌で詳細情報を補っていました。

日経新聞で思い出したのですが、「究極の新聞の読み方」というセミナーがあります。日本ファイナンシャルアカデミーでお世話になっていたとき、受付を手伝ったことがあるのですが、ツボを押さえた人気セミナーでした。次回は大阪開催ですので、「日経新聞の読み方のコツ」を知りたい方は聞かれてもいいでしょう。


■ROEに対する見解とROIC(2006年8月7日)

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黄金の3ステップでもうかる はじめてのバリュー株」を読まれた方から、よくいただく指摘があります。

■「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」では高ROEに否定的である
■ところが「黄金の3ステップでもうかる はじめてのバリュー株」では「ROEは高い方がいい」とある
■これは見解の変化なのか
というものです。

私のROEに対する見解は変わっていないです。2冊の本で見解が異なるのは、投資手法の違いによるものです。ROEとPBRの素敵な関係にも書きましたように、PBRとROEは相反する関係にあります。低PBR銘柄は低ROEなので、低PBRを重視する資産バリュー株投資では、結果的に低ROE銘柄を選択することになります。一方で、収益バリュー投資では高ROE銘柄が選ばれることが多く、PBRは高くなりがちです。

超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」は資産バリュー株投資について書きましたので、低PBR(低ROE)重視です。「黄金の3ステップでもうかる はじめてのバリュー株」は王道株的な投資の本で、考え方は収益バリューに近いです。よって「ROEは高い方がいい」と書きました。

ただ、ROEには負債の多い企業ほど高くなるという問題点があります。ROAはその問題を解決しますが、非事業用資産(余裕資産など)の多いキャッシュリッチ企業は低くなります。そういうこともあり、私はROICを重視しています(ROICの説明はバフェットの利益率とROICにあります)。ROIC は、事業用資産に対する利益率であり、実質的な利益率に近いです。

よって、優先順位は「ROIC > ROA > ROE」となります。「東大卒医師が教える 科学的「株」投資術」のKAPPAさんも同意見のようです。

ROE,ROA,ROIC

ROICは重要な指標となりつつあります。8月20日(日)の「大阪セミナー」、8月26日(土)の「バリュー投資セミナー「黄金の3ステップ」で鍛える銘柄選択力」でも取り上げます。


■続・東大卒医師が教える 科学的「株」投資術(2006年8月6日)

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KAPPAさんの本「東大卒医師が教える 科学的「株」投資術」を一通り読み終えたところです。出版社に無理をいい、早めに送ってもらいました。

正直な感想は「本当に個人投資家が書いたのか」という驚嘆と感動の入り交じったものです。海外のものを含めて、統計データも豊富で、KAPPAさんの主張に説得力を持たせています。

内容はやや高度ですが、基本的なことを理解していれば、読み終えることができます。

私はSE(システム・エンジニア)を本職にしていた割に、投資の方はシステマチックでない部分があるのですが、この本をヒントにして、科学的要素を強化しようと感じた次第です。

最後に「投資のコツ」が書いてありました。
1.マネー雑誌は読まない
2.自分の得意な分野に投資しない
3.実際に足を運んで「観察」しない
4.個人投資家のコミュニティと距離を置く
5.他の個人投資家と決して競争しない
6.本業に専念する(本業に誇りを持て)

基本的に、今は私も同じ考えです。IT銘柄への投資はやめましたし(富士ソフトやオラクルでは損をしています)、8年間保有したニトリの店舗には一度も行っていません。

「今は」と書いたのは、方針を変更した箇所があるからです。昔は、個人投資家のコミュニティへの参加をすすめていました。「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」にはそう書いています。2003年〜2004年頃までは、参加者が少なく、質も高かったのです。ところが、参加者が増えるに従い、レベルが下がり、優秀な投資家が逃げ出してしまいました。弊害も目立つようになります。

ついに「黄金の3ステップでもうかる はじめてのバリュー株」では「個人投資家のブログは「お楽しみ」として見よう」と方針を変更しました。新規投資では、楽天日記などで取り上げられているような銘柄はなるべく避けるようにしています。

話を「投資のコツ」に戻しますと、行動ファイナンスの観点から、心のバイアス(偏向)を増長する行為を避けるようにというアドバイスなのですが、うまく実践と結びつけられています。

このサイトを定期的にチェックされている方は、もう予約済か購入予定だと思いますが(笑)、個人投資家ほ読んでおくべき一冊です。


■情報の価値(2006年8月5日)

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「情報の価値は受け手の能力に依存する by 平九郎」

(注:平九郎さんは著者とは別人で、ベテランの個人投資家です。この方も凄腕です)

ホントは教えたくない資産運用のカラクリ (3) 「錬金術入門」篇」に書いてある言葉です。

私が以前、帰ってきた敏腕投資家で取り上げた情報投資ドットコムについて問合せをいただいたのですが、このサイトはある意味で利用者を選ぶかもしれないです。書いてあることは本質的なことばかりで、短い言葉で核心を突いています。いわゆる「耳より情報」的なものは一切ありません。

無料コラムが何本かありますので、それを読んで「この人の言っていることは次元が違う」と感じたのであれば、有料コラム「投資の本質」を検討してもいいでしょう。対価をどう考えるかは、受け手次第です。

「「情報の価値の重要性」を説き、また、その情報を有料で売りつけようとしている所は腰が引けてしまう」という指摘もありました。そうかもしれませんが、本当に成功している投資家はなかなか表に出てこないので、彼の書かれたものを読めるだけでもありがたいと思います。

株の本で、このような本質的なことに触れているものはごく少数です。冒頭でも取り上げた「ホントは教えたくない資産運用のカラクリ (3) 「錬金術入門」篇」(著者の安間氏は「資産運用の基礎」というDVDも出されています)か「マネーの公理」ぐらいです。

ただ、本人が成功しているといった意味で「投資の本質」の右に出るものはないでしょうね。


■東大卒医師が教える 科学的「株」投資術(2006年8月4日)

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昨年、東京に出向いたとき、どうしてもお会いしたい方がいました。KAPPAさんです。

KAPPAさんのサイト「EBIのすすめ」を拝見しなければ「パーシャル・オーナー」はなかったかもしれません。

サラリーマン時代、私は職場サイトのウェブマスターを兼任しており、初期は実務もこなしていました。Photoshop で写真を加工して、Illustratorで地図を作り、Dreamweaverで更新を行います。楽しい仕事でしたが、SE(システム・エンジニア)としての付加価値を考えると不満な部分もありました。

そのうち会社もウェブサイトの重要性を認め、業者を入れて本格的にリニューアルすることになります。私の仕事はディレクター的なものになり、実務からは解放されました。

すると不思議なもので、実作業を行いたくなります。自分のサイトを作ってみようかと思ったものの、当時は(今もそうかもしれませんが)「株式投資は後ろめたいもの」という雰囲気がありました。ふんぎりがつかず、迷っていたときにKAPPAさんのサイト「EBIのすすめ」にたどりつきます。

そこでは、医師という誇り高き職業であるKAPPAさんが堂々と「株式投資は科学である」という持論を展開されていました。「自分もこのようなサイトを目指そう」そう決意して立ち上げたのが「パーシャル・オーナー」です。そういう経緯があり、KAPPAさんは私にとって特別な存在です。

そのKAPPAさんの本「東大卒医師が教える 科学的「株」投資術」がまもなく発売になります。執筆に1年近くかけられた力作です。多くの個人投資家が本を出版するようになりましたが、ついに真打ち登場といってもいいでしょう。

手元に届くのを心待ちにしています。


■逆説的ミスター・マーケット論(2006年8月1日)

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個人投資家のブログをまわっていると、損切りの話題が多いようです。損切りについて、それぞれの考え方や価値観が出ているようで、たいへん興味深く見ています。

持株が値下がりしても我慢強くホールドする根拠として「新賢明なる投資家 (上)」に書かれているミスター・マーケットのたとえがあります。グレアムは、ミスター・マーケットが弱気になり、あなたの持株にとんでもない安値をつけた場合は無視してよいと述べています。

しかし、この話には「もしあなたが慎重な投資家あるいは思慮深い実業家ならば」という前提条件があります。仮に、ミスター・マーケットがあなたより賢明であれば、ミスター・マーケット(株式市場)の言い値が正しいのではないでしょうか。

特に、昨年のような上げ相場では、投資家は自信過剰に陥ります。「絶対間違わない」と言い切れる投資家であれば、損切りの必要はありません。私(角山)はしょっちゅう間違いますから、ミスター・マーケットの意見に耳を傾けることも大切だと思うのです。



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