新安値銘柄数ITバブルよりクレイジー倒産リスクはリーマン並み
12月の日銀短観続・天井圏の株価と200日移動平均線景気敏感株のPER
四季報新春号の印象がんばらない投資山あり谷あり

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ショートコラム(2021年12月)

■山あり谷あり(2021年12月31日)

昨年末、三重苦の中でというショートコラムを書きました。今年になっても状況は一向に改善せず、むしろ悪化している始末で、何かと我慢を強いられています。

そんな中でも、マイペースを維持できたことがせめてもの救いでしょうか。人生、山あり谷ありですけど、いずれは平均回帰するものだと自分に言い聞かせつつ、新年を迎えたいです。


■がんばらない投資(2021年12月27日)

ケーズHD(8282)の経営方針『がんばらない経営』が琴線に触れました。

無理をして自分の力以上の力を出すことは短期的には可能であっても、終わりのない会社経営には適切ではありません。無理をすれば必ずその反動があります。

お客様にご満足いただけるためにあるべき姿に向かって、正しいことを無理をせず、確実に実行していく経営方針を『がんばらない経営』と表現しております。

経営を投資に置き換えれば、そのまま使えます。一生、投資家であり続けるためにも『がんばらない投資』を心がけたいです。


■四季報新春号の印象(2021年12月25日)

昨日、会社四季報新春号の通読を終えました。これだけ時間を要したのは初めてのような気がします。と言うのも、次の基準でチェックしていったところ、300以上の銘柄が該当したからです。

●鉄鋼や海運、半導体のような景気敏感株は除外する
●四季報予想を信用し、PERの低い銘柄、配当利回りの高い銘柄を選ぶ
●株価のミスプライシングが起こりにくい大型株は基本的にスルーする
●長期投資を前提とするため、チャートによる足切りを行わない

四季報に貼られた付せんの数だけ見れば、まさにバリュー株天国であり、絶好の投資チャンスに思えます。しかしながら、余りにも割安な小型株のゴロゴロしている状況が逆に引っ掛かりました。ふと脳裏をよぎったのが次の仮説です。

●景気のピーク時には需要に対して供給が不足するため、業界内の立場が弱い企業(小型株に多い)でも、おこぼれ頂戴で儲かる(かつて自分の勤めていた会社がそうでした)
●コロナの影響を受けている業界、既に需要のピークを過ぎた業種を除き、旺盛な需要によって企業業績は絶好調であり、本来の実力以上にEPSがかさ上げされている
●にもかかわらず株価は下がり続け、今年の底値圏にある企業も散見される。増産により需給バランスが正常化するか(業界内の立場が弱い企業は儲からなくなる)、あるいは作り過ぎて供給過多となり、企業業績が悪化する可能性をチャートが予見している

もし、この仮説が多少なりとも当たっていれば、2022年3月期のEPSは泡沫であり、後から振り返れば「随分と株価の高いところで買わされた。チャートをしっかり見ておけば良かった」ということになりかねません。とりわけ内需関連については、少子高齢化・人口減により、全体の需要が低下していく点に注意が必要です。

実際の投資に当たっては、少なくとも次の2点がポイントとなります。私自身も、付せんを貼った300以上の銘柄から投資先候補を厳選する作業に追われそうです。

●たとえ景気が悪化しても、2022年3月期のEPSを維持できそうな企業を選ぶ
●チャートが下降トレンドの場合は、少なくとも株価が下げ止まるまで待ってから投資する


■景気敏感株のPER(2021年12月20日)

会社四季報新春号における、鉄鋼大手3社の予想PERは次のとおりです。

●日本製鉄 PER3.2倍
●神戸製鋼所 PER4.4倍
●JFEHD PER3.3倍

一見、割安に感じられます。しかし過去10年間の平均EPSに基づき、PERを再計算してみると、どうでしょうか。

●日本製鉄 PER25.1倍
●神戸製鋼所 PER16.8倍
●JFEHD PER19.1倍

別に割安でも何でもありません。鉄鋼業に限らず、景気敏感株ではこのようなケースが散見されます。また企業業績は大なり小なり景気の影響を受けるものです。

PER1桁の銘柄も珍しくない四季報新春号ですけど、予想PERをそのまま使っていいのかどうか、再考を求められる局面と言えそうです。


■続・天井圏の株価と200日移動平均線(2021年12月16日)

8月1日に書いた天井圏の株価と200日移動平均線の続編です。

足元の日経平均に『ミネルヴィニの成長株投資法』に書かれている、天井圏の株価と200日移動平均線の特徴が表れてきました。

一番当てはまっているのが次の文言です。

第3ステージ(天井圏)にある多くの銘柄は、天井を付ける間に200日移動平均線を数回、上下するので、200日移動平均線の近くでボラティリティが高まるのはよくあることだ。

「ひょっとすれば、今が天井かもしれない」という警戒心を抱きつつ、投資の組み立てを考えたほうが賢明かもしれません。

【日経平均 日足チャート】

日経平均 日足チャート


■12月の日銀短観(2021年12月13日)

本日、12月の日銀短観が発表されました。ポイントは2つです。

1番目は9月の日銀短観に比べて、景気の先行指標となる製造業の大企業(上場企業に相当)でグラフが明らかに下を向いていることです。

日銀短観 業容判断の推移

2番目は製造業の大企業における売上高経常利益率が9.18%に達し、1974年以降で最も高いレベルにあることです。

裏を返せば、PERを計算する際のEPSをかなり割り引く必要があります。この利益水準が永続するとは、とうてい思えないからです。

日銀短観 売上高経常利益率の推移

以上をまとめれば、2009年から短期的な踊り場を乗り越えて改善してきた景気と企業業績は、てっぺん近くまで上り詰めた感があります。

来年以降に関しては、慎重に見ておいたほうがいいように思えました。


■倒産リスクはリーマン並み(2021年12月8日)

帝国データバンクの記事、コロナ禍で倒産が大幅減、「歴史的低水準」の背景は 倒産リスクはリーマン並み、 「破たん懸念企業」全国30万社の可能性もを読みました。

要点は次のとおりです。

●コロナ禍での手厚い金融支援もあり、年間倒産件数が1966年以来55年ぶりの歴史的低水準にある(道理で銀行の決算も良いはずです)。

●一方で企業財務は不健全化しており、2020年度にリーマン・ショック後並みに急増した「経営破たん懸念企業」の割合が高止まりしている。

●このままでは、中長期的に過剰債務を抱えた企業の倒産が増加する可能性が高い。

要するに「本来であれば一定割合で起こりえる、企業の淘汰が進んでいないため、将来的に平均回帰する」ということだと思います。

トリガーとなるのは次の株安でしょうか。銀行は「株が上がれば傘を差し出し、株が下がれば傘を取り上げる」からです。

【破たん懸念企業 割合推移】

破たん懸念企業 割合推移


■ITバブルよりクレイジー(2021年12月5日)

あくまで私見ながら、バフェット氏よりマンガ―氏のほうが実直な印象があります。ブルームバーグの記事によれば、そのマンガ―氏が今のマーケットに対して辛辣なコメントを発しました。

米バークシャー・ハサウェイのチャールズ・マンガー副会長は3日の会議で、市場が一部で極めて過大評価されており、現状は最後に崩壊に至った1990年代後半のITバブルより「ずっとクレイジー」だと指摘した。

マンガー氏(97)がシドニーで開催された会議で、「今の時代はドットコム(バブル)時代よりずっとクレージーだと思う」と発言したと豪経済紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー(AFR)が報じた。

よくぞ言ってくれました。口に出さないだけで、市場間権者の中にも、そう思っている人が少なくないはずです。


■新安値銘柄数(2021年12月3日)

日々のルーチンワークとして、新安値を付けた銘柄をチェックするようにしています。その中にお買い得品が含まれているかもしれないからです。

最近、気になっているのは、新安値銘柄数がうんざりするほど増えていることです。日経平均やTOPIXはまだ値を保っているとはいえ、相場の地合いは相当に悪化しているような気がします。

新高値銘柄数 新安値銘柄数 日経平均比較チャート



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