バリュー投資の父は語る「2021年上期のIPO銘柄」音声CDフル・インベストメントの条件
銀行株の好決算日米とも高まる景気後退確率株式ファンドへの資金流入

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ショートコラム(2021年11月)

■株式ファンドへの資金流入(2021年11月27日)

ブルームバーグに記録破りの1年、株式ファンドへの資金流入が過去19年間の総額上回るという記事が掲載されていました。

株式に対する今年の飽くなき投資意欲を表す統計を一つ挙げるとすれば、それは株式ファンドに流入した資金総額だろう。

株式上場投資信託(ETF)およびロングオンリー・ファンドへの資金流入額は、2021年これまでに約9000億ドル(約104兆円)と、過去19年間の合計額を上回っている。

記事に掲載されているグラフ(下図)を見る限り、株式ファンドから資金の流出している局面が中長期的な投資チャンスとなっています。

さて長期投資家は、現時点で何をすべきでしょうか。

株式ファンドへの資金流入額


■西川計測の業績修正(2021年11月22日)

本日、光通信の投資先でもある西川計測(7500)が「特別損失(固定資産除却損)の計上及び通期業績予想の修正に関するお知らせ」を発表しました。

特別損失の計上により、2022年6月期の当期純利益を下方修正するもので、理由は次のとおりです。

当社は、基幹システム開発計画の方針変更に伴い、過去に計上した資産の一部であるソフトウェアおよびソフトウェア仮勘定残高412百万円について、当第2四半期累計期間において特別損失と してソフトウェアの除却損412百万円を計上する見込みとなりました。

直近のバランスシートを確認してみたところ、2021年9月末の時点で無形固定資産のソフトウェアに443百万円が計上されており、その大部分を除却する計算になります。

想定でコメントして恐縮ですが、開発中の基幹システムが使い物にならないと判断して、破棄せざるを得ない状況に追い込まれたのではないでしょうか。そうでなければ、むざむざ412百万円をドブに捨てたりしないはずです。

足元ではDXの掛け声とともに、基幹システムの更新を進めている会社が少なくないと思われます。基幹システムの開発失敗は珍しくないだけに、今後は西川計測のようなケースが増えてくる恐れもあります。そういう意味で、バランスシートの無形固定資産にソフトウェアが積み上がっている会社には注意が必要かもしれません。


■日米とも高まる景気後退確率(2021年11月18日)

日米とも景気後退の可能性が高まってきました。

米国ではNY連銀(ニューヨーク連邦銀行)の公表している景気後退確率が8月の32.86%から9月の44.4%と上昇しました。長短金利差を基に景気後退を予測するモデルで、30%を超えてから景気後退した確率は80%以上です。

我が国でも日本経済研究センターがまとめている景気後退確率が8月の35.7%から9月の71.0%と急上昇しました。景気の先行指数を計算の基礎としており、67%が景気後退の目安となります。

特定のマクロ経済指標のみを参考に投資判断を下すことはおすすめしかねますけど、頭の片隅には入れておきたいです。

【NY連銀 景気後退確率】

NY連銀 景気後退確率

【日経センター 景気後退確率】

日経センター 景気後退確率


■銀行株の好決算(2021年11月15日)

今回の中間決算において、銀行株の好決算が目立ちました。資金運用収益の増加、役務取引等収益の増加、与信関連費用の減少により、業績上方修正を行う銀行が相次いでいます。

銀行株は割安なまま放置されていたこともあり、企業業績を素直に評価するのであれば「ここは買い」とも言えそうです。

しかし銀行株は典型的な景気敏感株であり、資金運用収益の増加や与信関連費用の減少は景気のピーク近くで起こります。そう考えれば「好材料出尽くしで売り」という見方もできそうです。

皆さんはどう思われたでしょうか。ちなみに「株で本当に儲けるヤツは、「業種別投資法」を知っている」では次のように書かれています。

銀行株の買い時は「金利が低く、資金需要も弱くて不良債権が大量に発生し、保有株式の価値も低い景気低迷時」ということになる。


■フル・インベストメントの条件(2021年11月11日)

先月、旧知の投資家さんと久しぶりにお会いし、楽しい時間を過ごしました。その際、聞かれたのが「なぜ、投資を打診買い程度に留めているのか」ということです。

一介の投資家である以上、本当はもっと株を買いたいです。しかしながら、ここ数年は異様とも言える状況が続いており、本腰を入れた投資ができていません。

私の考える、フル・インベストメントの条件は次の2つです。

(1)中央銀行の金融政策が正常化する
(2)株式市場全体のバリュエーションがフェアバリューである

株高を演出している中央銀行の金融政策については、FRBが正常化に向けての一歩を踏み出しました。量的緩和を終了し、数回の利上げが行われると、ほぼ正常化した言えます。

株式市場に関しても、金利が然るべき水準まで上昇すれば、低金利を理由に割高な水準まで買われているグロース株の下落により、全体としてもフェアバリューに回帰すると見ています。

かつてのように、株に目一杯投資できる日を夢見て、日々の銘柄分析に励んでいます。バブルとその崩壊を繰り返してきたマーケットの歴史を鑑みれば、足元の株価水準が長続きすることは考えづらいです。


■「2021年上期のIPO銘柄」音声CD(2021年11月9日)

11月6日に開催したバリュー投資塾「2021年上期のIPO銘柄」音声CDが完成しました。

セミナーテキストを作成して感じたのは、IPO銘柄に関しても株式市場全体の二極化を受ける形で、投資家の評価が分かれている点です。

現時点でフェアバリュー以下の会社も散見され、そういった歪みに注目できれば、投資チャンスをつかめるのではないかという印象を受けました。

なお今回はセミナーが早めに終わったこともあり、私自身が四季報秋号より手動で選んだ41銘柄の中から16銘柄の質疑応答を受け付けました。この部分も収録していますので、合わせて聞いていただけば、銘柄選びの参考になると思います。

ご購入を希望される方はメールにて、氏名、郵便番号、住所、電話番号を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。

なお既にお申込み・ご入金をいただいた分に関しては、明日中に最寄りの郵便局から発送予定です。

「オーナー企業」音声CD
セット
内容

CD1枚組(mp3形式の音声データ208分、pdf形式のテキスト96ページ、資料付き)

2021年11月6日に開催した大阪セミナーの音声を収録・編集しました。映像は含まれておりません。

CD代金

銀行振込 26,400円

ご着金を確認後、最寄りの郵便局より郵送いたします。郵送の他、Googleドライブ経由によるデータでの受け渡しも承ります。

概要

2021年上期(1月〜6月)に上場した52社の中から、投資対象として検討したい14社の分析を行います。

テキスト
目次

第1部 2021年上期のIPO総括
1−1 IPO件数の推移
1−2 業種別の件数
1−3 業種別一覧表(情報・通信業)
1−4 業種別一覧表(サービス業)
1−5 業種別一覧表(その他の業種)

第2部 情報・通信業
2−1 coly(4175)
2−2 i−plug(4177)
2−3 ビジョナル(4194)
2−4 ペイロール(4489)
2−5 ベイシス(4068)

第3部 サービス業
3−1 T.S.I(7362)
3−2 表示灯(7368)
3−3 Enjin(7370)
3−4 デコルテ・ホールディングス(7372)

第4部 その他の業種
4−1 ブロードマインド(7343)
4−2 イー・ロジット(9327)
4−3 アイスコ(7698)
4−4 アイ・パートナーズフィナンシャル(7345)
4−5 Waqoo(4937)


■バリュー投資の父は語る(2021年11月4日)

少し長くなりますけど、バリュー投資の父と称されるベンジャミン・グレアムの名著『賢明なる投資家』の最終章、第20章より引用します。

長年の経験から分かっていることは、投資家が最大の損失を被るのは、好景気下で優良とはいえない証券を購入したときだ。

このような買い方をする人々は、直近の好収益がその企業の「収益力」であるととらえ、また、業績が好調であることが安全性であると考えている。

過去2〜3年に素晴らしい収益を上げたというだけの理由から、訳の分からない会社の株式を有形資産よりはるかに高い価格で売り出すことが可能となるのも、このようなときである。

晴天の景気状況のときに高い価格を払って買ったものの多くは、地平線上に暗雲の兆しが見えたら、時すでに遅く、大きな価値の下落を被る運命をたどる

発表の始まった中間決算でも上方修正が続出しており、コロナの影響を多大に受けている一部の業種を除き、企業業績は絶好調です。今はまさに「晴天の景気状況」と言えるのではないでしょうか。

ここは著者のアドバイスに従い、優良とはいえない証券(グレアム曰く、収益力の減少するリスクが平均より大きい二流の銘柄)を購入しないよう注意したいと思います。



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