サンセイランディックの業績修正、マークラインズの第2四半期決算、
ティアの業績修正、グリーンズの決算、PAPM:人気資産価格モデル、
9月のバリュー投資塾、マザーズ上位銘柄、バフェット指標、
ハイエナのように寄ってくる連中、トラスコ中山の株主優待廃止、
ハイテク株への投資、バフェット氏が総合商社株に投資
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ショートコラム(2020年8月)
■バフェット氏が総合商社株に投資(2020年8月31日) |
朝からビッグニュースが飛び込んできました。 ロイターの記事によれば、ウォーレン・バフェット氏の率いるバークシャー・ハザウェイが、伊藤忠商事(8001)、丸紅(8002)、三井物産(8031)、住友商事(8053)、三菱商事(8058)をそれぞれ5%超取得したそうです。 たしかに株価も割安でしたし、言われてみれば「なるほど」という気がしました。もっとも総合商社は事業内容が多岐にわたるうえ、今日では投資会社と言っても過言ではありません。それゆえ全容を把握することが難しく、私たち個人投資家には手に負えない存在と言えます。 バフェット氏が買ったからと言って、むやみに追随するのは考えものでしょうか。私自身としては、むしろ事業内容のシンプルな専門商社のほうに投資妙味を感じています。 |
■ハイテク株への投資(2020年8月28日) |
『ティリングハストの株式投資の原則』より引用します。 公開市場のハイテク投資家はしばし価値を無視し、競争や陳腐化について十分に考えもせず、また夢中になってトレードを行うが、そのすべてが失望へとつながることが多い。 彼らが利益を出し、キャッシュフローを生んでいる企業に集中し、株価とその価値を比較すれば、一時的なものかもしれないが、彼らの成績は改善するだろう。 成長の期待できる産業ほど、頭の切れる起業家の新規参入が盛んで、競争も厳しくなりがちです。技術の進化が早い分野ほど、最新のテクノロジーも、あっという間に陳腐化してしまいます。 そういったリスクを考慮すれば、赤字のまま上場したり、利益を上げていたとしても3桁(100倍)以上のPERを付けているハイテク株への投資は、割が合わないように思えてなりません。なぜ皆が熱中しているのか、不思議です。 |
■トラスコ中山の株主優待廃止(2020年8月26日) |
先日、トラスコ中山(9830)が株主優待廃止を発表しました。その理由として、多額の費用がかかる点をあげています。 2020年12月期において、優待商品費用のみで約2億3千万円に達する見込みです。個人的には、極めてまっとうな経営判断に思えました。 今後、同社に追随する企業が出てくるのかどうか、注目したいです。 |
■ハイエナのように寄ってくる連中(2020年8月23日) |
かつて私は、資本家の所有している企業で働いていました。オーナーの莫大な金融資産を目当てに、日系外資系を問わず、あらゆる金融機関の訪問を受けるのが日常茶飯事の職場です。 彼らは、その一部を自社に託してもらい、多額のフィーを得ることで、若くして1千万円プレーヤーとなるべく、足しげく通い詰めました。 最終的な決断はオーナー本人が下すとは言え、窓口となっているのは経理畑の長かった総務部長でした。一日の大半を金融機関との面談に追われていた部長がある日、私にふともらしたことがあります。 まるでハイエナのように寄ってくる連中に、とにかく騙されないようにして、会社(=オーナー)の大事な資金を守らなければならない。本当に神経をすり減らす仕事だ。 資金量に雲泥の差があるとは言え、私たち個人投資家も同じ立場です。個別のアプローチを受けることはないかもしれませんけど、ネット上には頻繁に売買させたり、コスト高の投信をすすめたりして、手数料を獲得することが目的の情報があふれています。 件のオーナーと違い、私たちには総務部長のようなサポート役はいません。自分の身を、自分自身で守らなければならないのです。 |
■バフェット指標(2020年8月22日) |
8月21日現在のウォーレン・バフェット指標は179%。この指標で見る限り、米国株の株価水準は既に1999年から2000年にかけてのITバブルを超えており、私たちは歴史的な瞬間に立ち会っているという見方もできます。 足元の状況が後日の金融史でどのように語られるか、個人的にたいへん興味を持っています。それはともかく、世界の金融市場が連動している以上、今は虎の子の自己資金を運用している長期投資家が本腰を入れて株を買う局面とは言い難いです。 もうしばらく調査・分析に専念する我慢の日々が続くかもしれませんけど、いつまでも「休むも相場」を実践できる個人投資家の強みを活かさない手はありません。資本主義が自由競争を捨てて統制経済に移行するようなことがなければ、市場の自律調整機能が働き、どこかで辻褄が合うと見ています。 |
■マザーズ上位銘柄(2020年8月20日) |
昨日、東証マザーズ指数が年初来高値を更新しました。 そこでマザーズ指数に対する寄与度の高い時価総額上位銘柄の顔ぶれとPERを調べてみたのですが、凄いことになっています。 トップテンのうち、赤字予想でPERを表示できない銘柄が4銘柄、黒字予想の6銘柄はすべて3桁以上(100倍以上)のPERでした。 この異様とも言える状況がいつまで続くのかにも注目したいです。 |
■9月のバリュー投資塾(2020年8月16日) |
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9月に開催するバリュー投資塾のテーマは「高収益企業」です。 売上高営業利益率をベースに業種毎のスクリーニングを行い、上位に抽出された企業を丹念に調べ、「高収益の源泉は何か」を導き出してみました。 ファンダメンタル分析をメインに投資を組み立てられている方には、銘柄選択に役立つ部分も多いのではないかと自負しています。 ご参加を希望される方はメールにて、氏名と電話番号(列車が遅れた際など、非常時の連絡に使用します)を記入してお申込みくださいませ。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。
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■PAPM:人気資産価格モデル(2020年8月12日) |
今月号の資産運用レポートでは「人気資産価格モデル(PAPM:Popularity Asset Pricing Model)」を取り上げました。 このモデルにおけるハイライトは「世間に競争優位(Wide Moat:経済的な広い堀)が認められ、投資家に人気を博し、その分、株価にプレミアムが付いている(株価の割高な)企業の株を今さら買っても儲からない」という事実を表しているグラフです。 バリュー投資の世界では、はるか昔から「人気株には手を出すな」と口を酸っぱくして言われてきました。 今、最もホットな投資理論である人気資産価格モデルが、バリュー投資家の間で伝えられてきた経験則をデータで証明している点が興味深いです。 |
■グリーンズの決算(2020年8月9日) |
先日、グリーンズ(6547)が決算を発表しています。同社に関しては、5月8日付のショートコラムで試算を行いました。 営業利益▲35億円 = 売上高250億円 − 売上原価230億円 − 販管費55億円 実際の数字は次のとおりです。 営業利益▲34億円 = 売上高229億円 − 売上原価214億円 − 販管費49億円 営業利益こそ当方の想定にほぼ収まったものの、前提となる売上高、売上減価、販管費の数字が異なっているため、あまり褒められたものではありません。 ただこのようなケースでは、自分なりに手を動かして、計算してみることが重要だと思っています。個人的にも、色々と勉強になりました。 |
■ティアの業績修正(2020年8月7日) |
昨日、ティア(2485)が業績下方修正を発表しました。修正の理由を抜粋します。 ●葬儀件数が想定を下回って推移 ●新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、参列者減少による葬祭規模の縮小及び法要料理の販売減により、葬儀単価が前年同期比14.5%減 ●直近の葬儀単価は緩やかに改善、法要料理の販売数も戻りつつある 葬儀に関しては、個人的に以前の状況に戻らない気がしています。質素な葬儀に慣れてくれば「お金もかからないし、もう、これでいいな」と思ってしまうからです。 競争激化により葬儀件数も伸びてないようですし、内需関連では数少ない成長産業だった葬儀業界も厳しくなってきました。 |
■マークラインズの第2四半期決算(2020年8月4日) |
昨日、マークラインズ(3901)が売上、営業利益とも未達の第2四半期決算を発表しました。同社の主力事業は「自動車産業ポータル」であり、いわば自動車業界専門誌のウェブ版です。 ビジネスモデル的にはストック型ビジネスに当てはまるものの、業績がシクリカルセクターである自動車業界の動向に左右されやすい一面を備えています。荒っぽく例えますと、株が下がれば会社四季報が売れなくなるのと同じ理屈です。 この点に関しては、決算短信でも述べられていました。 4月以降については自動車関連企業の業績が大幅に悪化したことにより新規受注に遅れが生じ始め、既存契約のキャンセル要望も増加しました。 なお「自動車産業ポータル」は、基本的に年間契約となっているようです。業績悪化を理由として、契約が切れる段階で更新せず、解約に至る顧客企業が続出することも十分に想定されます。 そうであれば、今後1〜2年は同社の収益が伸び悩む可能性を否定できません。投資に当たっては、そういった特性を十分に理解しておく必要性がありそうです。 |
■サンセイランディックの業績修正(2020年8月3日) |
先日、ユニークな底地ビジネスを展開している、サンセイランディック(3277)が業績下方修正を発表しています。 個人的には業績予想の数字より、次の文面が気になりました。 4.来期以降を見据えた取り組み 現時点で、弊社のキャッシュポジションに懸念はありませんが、今後の新型コロナウイルスの状況急変への備え及び新規事業への投資等を見据え、弊社はキャッシュポジションの向上に注力しております。 具体的には、販売用不動産の中で、一部資産の資金化を推進することといたしました。期初より当該取り組みを進めておりましたが、コロナ禍を受けて、より一層取り組みを加速させ、キャッシュポジション強化を目指すことといたしました。 この取り組みにより、今期の業績において利益率が低下することが予想され、前述の通りに下方修正をいたしますが、得られた資金は今後、新規事業への投資や株主還元の維持拡大等に活用してまいります。 おそらく同社の経営陣は、来年以降にキャッシュ・イズ・キング(現金は王様)の局面が訪れると想定しているのではないでしょうか。短期的な数字を犠牲にしてでも、そういった事態に備える、前向きな対応として評価したいです。 足元の状況を鑑みると、秋以降、不動産業界にはこういった流れが加速する恐れがあります。各社がこぞって現金化に走れば、最後には投売りになりかねません。 もし不動産が崩れれば、高値を保っている株価にも影響が及びます。私たち個人投資家も同社を見習い、来期以降に向けた取り組みをしておきたいものです。 |
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by 角山智