性格に合った投資「逆張り」音声CDグリーンズの第3四半期決算
東計電算の業績修正逆張りのポイントシノプスの業績修正
「逆張り」音声CDの出だし不動産投資の本企業の業績推移
物件見学キャッシュ・イズ・キング苦瓜達郎氏のコメント
投資におけるIF

パーシャル・オーナー


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ショートコラム(2020年5月)

■投資におけるIF(2020年5月29日)

この5月に外部講師を務めたセミナー(ネット配信)にて「もし富士山が噴火したら、どう対応すべきか、事前に想定しておくべき」という話をしたところ、受講者の方に反響があったとスタッフの方より聞きました。

投資におけるIF(もしも)は極めて重要です。というのは、自分自身もIFが不足していたため痛い目に合ったり、投資チャンスを逃してきたからです。

●東日本大震災(2011年3月)
●欧州金融危機再燃(2011年9月)
●衆議院解散(2012年11月)

2011年の東日本大震災と欧州金融危機再燃では、持株を売らされています。その中には、アベノミクス相場で10倍株になった銘柄が少なくありませんでした。

予め想定しておけば、例えば金融危機では「金融株のA社を売り切って、その資金で金融危機の影響をほとんど受けないB社に追加投資」といった対応もできたはずです。

2012年の衆議院解散もまさに寝耳に水でした。株は上がると直感したものの、銘柄を絞り込めておらず、とりあえず証券株を買ってお茶を濁した記憶があります。

今後に関しても、首都圏近辺で未だに大きな地震の起こっていないことが気がかりですし、新型コロナウイルスの第2派に自然災害が重なるケースもあり得るでしょう。

考えられる限りのIFを想定しておき、万が一の事態が発生した際も、落ち着いた投資行動を取れるようにしたいものです。


■苦瓜達郎氏のコメント(2020年5月25日)

ファンドマネージャーの苦瓜達郎氏が、自ら運用しているファンドの月報で、4月の株式市場に対するコメントを発表しています。

こういった動きをもたらしているのは、じっくり腰の据わった投資家の不在だと思われます。新型肺炎による不確実性の高まり等を背景に、多くの長期投資家が積極的な活動を控えていると推測されます。

そういった状況下で、外出自粛などによって逆に活性化した短期視点の投資家が多く流入したため、中小型株市場の一部が荒れ模様になっているのでしょう。

私も「おかしな値動きをする小型株が多いな。在宅ワークや自宅待機を要請されたビギナー層が、普段はできないデイトレやスイングに手を出しているのだろうか」と思いつつ、相場を見ていただけでした。

5月に入っても、相変わらずマネーゲームが続いているようです。バリュー投資家としては、待機を余儀なくされる状況が続いています。


■キャッシュ・イズ・キング(2020年5月24日)

日本電産の永守重信会長はM&Aの名手です。1カ月ほど前、マスコミのインタビュー記事にて、次のように答えていました。

今はキャッシュ・イズ・キング(現金は王様)。

企業の買収価格が去年より3割下がっているとしても、現金の価値は5倍や10倍に高まっている。同じ一億円でも去年と今では価値は全く違う。

先が見えるまで、安易な投資はしない方が良い。

不況期においては、現金の価値が相対的に高まります。手持ちの資産を投げ売りしても、キャッシュを手に入れたい人が増えるからです。

それゆえ景気の良い時に現金を貯え、再び景気が悪くなった時に有効活用できれば、けっこうなリターンを得られることが多いです。さらに不況では円高になるため、日本円の投資効率が高くなります。

このことを理解しているベテランの投資家は、資産の大半をキャッシュで持ち、一人静かに投資チャンスをうかがっているはずです。黙っているので、周囲は気づかないかもしれませんが。


■物件見学(2020年5月21日)

今しがた散歩を兼ねて、物件見学に行ってきました。実家の近所で、築古戸建の売り物が出ていたからです。

売却条件に契約不適合責任不負とあり、訳あり物件のようでしたが、外観を見た限りはそんなに悪くありません。

そのまま月5万円で賃貸に回すことができれば、20%近い利回りを得られそうです。しかし、いくら何でも話が上手すぎます。

また私自身も不動産に関する知識がほとんどなく、本当に買っていい物件なのか、リフォームなどにどの程度の費用がかかるのか、全く見当が付きませんでした。

不動産投資という言葉を用いれば、一見、敷居が低そうに思えます。しかし実体は、賃貸経営ビジネスへの新規参入を意味します。

もし始めるのであれば、相応の覚悟と猛勉強が必要になりそうです。


■企業の業績推移(2020年5月19日)

長期投資の場合、企業の業績推移に関して、いつまで遡るべきでしょうか。

私は今まで、過去10年間を見ていました。しかし銘柄によっては、過去20年間が必要かなと思い始めています。

下表はビル空調計装工事の大手、日本電技(1723)の業績推移を表しています。業種柄、景気にやや遅行する形で業績に反映されるタイプの会社です。

過去20年間では、2005年3月期から2006年3月期にかけて、2010年3月期から2012年3月期にかけて、利益が直近のピーク時に対してほぼ半減する時期があり、配当も減らされていることが分かります。

ROE(1株益÷1株純資産)の推移を見れば、5%を切ればほぼ下限(2006年3月期は異常値とみなします)、9%前後に達すればほぼ上限を繰り返してきました。

もっとも2016年3月期以上はROE10%以上を達成しています。同社の経営努力もあるでしょうけど、東京オリンピックに関連する特需の恩恵も大きいと思われます。

今後に関しては、特需の反動により、ROEが以前のレンジに戻ることも十分に想定されます。

長期投資にて、直近の収益を前提にバリュエーションを計算すると、高値をつかんでしまう可能性を否定できない点には注意が必要でしょうか。

慎重を期するのであれば、理論株価は次のとおりでも不思議ではありません。こういった可能性も視野に入れつつ、投資を組み立てたいものです。

●EPS150円=1株純資産3000円×ROE5%(過去20年間の下限レンジ)

●理論株価1500円=EPS150円×PER10倍(不人気業種の小型株)

日本電技の業績推移


■不動産投資の本(2020年5月17日)

久々に不動産投資の本を読みました。『手取り「年収1000万円」を目指すサラリーマン不動産投資術』です。

不動産はどうしても長期投資になるため、バリュー投資家(=長期投資家)にとって、時間軸の取り方など不動産投資家のやり方が参考になります。

投資対象こそ異なるものの、貴重な長期投資のヒントをいくつか得られました。今後の投資戦略を組み立てていく上で、活用したいと思います。


■「逆張り」音声CDの出だし(2020年5月15日)

「逆張り」音声CD、第1部の出だしをちょっとだけ公開しました。

データ容量の関係で、期間限定の掲載です。まあ、こんな感じで話しています。

●「逆張り」音声データ(約7分)


■シノプスの業績修正(2020年5月14日)

昨日、シノプス(4428)が2020年12月期の業績を未定に修正しました。同社は小売業向けに、在庫を最適化するパッケージソフトを展開している会社です。修正の理由を抜粋します。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う各都道府県知事による外出自粛要請の発表や日本政府の緊急事態宣言の発令等により、小売業様が新規の大型投資を控える傾向が出てくると予想されます。

当社のパッケージ販売に対して影響が及ぶため、クラウド型サービスへの切り替えを大幅に加速するなどの対応を行っておりますが、見通しは不透明であります。

昨今の状況では、IT投資を含む設備投資が手控えられて当然です。つい最近まで繁忙を極めていたIT業界も、急激な需要の冷え込みに直面するのではないでしょうか。

もっとも、そういった時期こそ、優良企業を安値で仕込める投資チャンスになりえます。前もって、銘柄の選別をしっかりと行っておきたいものです。


■逆張りのポイント(2020年5月13日)

逆張りは順張りに比べて、見返りが大きい分だけ難易度も高くなる、ハイリスク・ハイリターンの投資と言えます。とりわけ、いつ買うか、何を買うかが肝要です。

「逆張り」音声CDのテキストより、逆張りのポイントを解説している箇所を抜き出しました。今後に関しては、足元の状況が金融危機につながるかどうかを注視する必要がありそうです。

逆張りに適している局面

逆張りを行う際のポイント


■東計電算の業績修正(2020年5月10日)

5月7日、独立系SIの東計電算(4746)が業績下方修正を行いました。修正の理由を抜粋します。

令和2年12月期通期の連結業績につきまして、売上面では新型コロナウィルスによる客先の休業等によるソフトウェア開発の検収遅延及びシステム運用売上の減少が見込まれることから、5億80百万円下方修正いたしました。

私見を申し上げれば、新型コロナウイルスの影響によりIT関連企業の業績悪化が表面化するのは、もう少し先になるだろうと想定していました。

企業業績の落ち込みを受ける形で経費削減が行われ、その一環として新規のIT投資が先送りされたり、いったん凍結されるのがいつものパターンだからです。

株式投資は連想ゲームの一面を持っています。同業他社に関しても、既に影響が出始めているのではないかと考えたほうが良さそうです。


■グリーンズの第3四半期決算(2020年5月8日)

昨日、グリーンズ(6547)の第3四半期決算が発表されました。第3四半期の急激な稼働率低下を受けて、売上高が8.9%減少し、営業赤字に転落しています。

しかも第3四半期だけ見れば、かなり悪いです。売上高は前年同期の69億円から51億円に減少、営業損失は1億円弱から17億円に拡大しました。第4四半期(4〜6月)は、さらに悪化すると想定されます。

そこで第4四半期の売上高が半減、売上原価と販管費は前期とほぼ同じという、割と楽観的な前提で通期の営業利益を試算してみました。ホテルのような箱物ビジネスは、固定費の割合が高く、売上が減っても営業を続ける限り、費用はほとんど変わりません。

売上高250億円 = 210億円(第3四半期まで) + 40億円(前第4四半期の半分)

営業利益▲35億円 = 売上高250億円 − 売上原価230億円 − 販管費55億円

万が一、第4四半期の売上高が前年同期25%の20億円に落ち込めば、営業利益は▲55億円にまで膨らみます。第3四半期の貸借対照表によれば、同社の純資産は98億円につき、その場合は半分以上が吹き飛ぶ計算です。さらに固定資産の減損損失が発生すると、一気に財務は悪化します。

一見、株価は割安に思えるとはいえ、この状況下で投資に踏み切るのなら、あらゆる可能性を視野に入れておいたほうがベターでしょう。

個人的には、2020年6月期の決算発表後に、改めて投資を検討したいです。「そんなことを言っていると、儲け損ねるぞ」いう声が聞こえてきそうですけど、他にも投資対象はいっぱいあるわけですから、焦る必要はないと見ています。

以上、「逆張り」音声CDに収録しているグリーンズに関して、最新の状況をフォローしておきました。

グリーンズ 損益計算書(第3四半期)

グリーンズ 損益計算書(第2四半期)

グリーンズ 損益計算書

グリーンズ 客室稼働率


■「逆張り」音声CD(2020年5月7日)

5月開催のバリュー投資塾に関しては、4月初旬の段階で中止を想定しており、そうなった場合に音声CDのみを発売することも予め決めていました。

採算を考慮すれば、次回以降に延期したほうが賢明かもしれません。しかし、どうしても、この時期にまとめておきたい理由があったのです。

バリュー投資塾のテキストは、個人用の資料を兼ねています。私自身が次の投資チャンスに備えるため、先行して業績の悪化している(あるいは業績の悪化が想定される)ホテル、スポーツクラブ、居酒屋、製造小売りなどにおける有力企業の分析を済ませておきたかったのでした。

おそらく、この流れはタイムラグを経て、全ての業種に波及するでしょう。一度にあれもこれもできない性分に付き、次回は別のテーマをやりたいと思っています。

幸いにも、FRBと日銀のご厚意(?)により、株価が実体経済を反映するまで、少しばかりの時間的猶予を与えられています。その間に、バリュー投資の候補になりえる企業の調査・分析を進めていきたいものです。

ご購入を希望される方はメールにて、氏名、郵便番号、住所、電話番号を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。

なお既にお申込み・ご入金をいただいた分は、明日8日中に最寄りの郵便局から発送予定です。

「逆張り」音声CD
セット
内容

CD1枚組(mp3形式の音声データ234分、pdf形式のテキスト90ページ、資料付き)、2020年5月3日から5日にかけて自宅で収録

バリュー投資塾の音声を収録しています。映像は含まれておりません。今月のバリュー投資塾開催を中止したため、受講者のいない状況にて講義を録音しました。

CD代金

銀行振込 26,400円

ご着金を確認後、最寄りの郵便局より郵送いたします。

内容

新型コロナウイルスによる業績悪化が懸念され、短期的に売り込まれている業種の中から、ユニークさを持ち合わせている企業を選定し、長期投資の視点で「逆張りの投資対象になり得るかどうか」を検討します。

テキスト
目次

第1部 逆張りとは
1−1 バリュー投資における逆張り
1−2 逆張りに適している局面
1−3 逆張りの特に有効なケース
1−4 逆張りを行う際のチェックポイント
1−5 壊れたIPO&グリッチ:MonotaRO(3064)
1−6 アジア通貨危機時のニトリHD(9843)
1−7 ITバブル崩壊局面のラウンドワン(4680)
1−8 リーマンショック後の三栄建築設計(3228)

第2部 ホテル
2−1 アメイズ(6076)
2−2 グリーンズ(6547)
2−3 ABホテル(6565)

第3部 スポーツクラブ
3−1 ジェイエスエス(6074)
3−2 東祥(8920)

第4部 居酒屋
4−1 物語コーポレーション(3097)
4−2 ヨシックス(3221)

第5部 製造小売
5−1 寿スピリッツ(2222)
5−2 ワークマン(7564)


■性格に合った投資(2020年5月3日)

かつて金融機関でディーラーを務め、今は個人投資家として長期投資を行っている竹中正治教授の著書『稼ぐ経済学』より引用します。

人間には自分の性格に合った行動特性というものがあって、それは遺伝子的なレベルにすら根差しているのではないかと思う。それは投資行動にも表れる。

(中略)この際、投資家自身の性格に合わせた投資手段を選ぶことが、成功の重要な要素になると、私は考えている。

同感です。試行錯誤の時期を経ながら「そもそも、自分は個別銘柄のアクティブ運用に適しているのか。そうであれば、順張りの短期売買と、逆張りの長期投資のどちらが合っているのか」なるべく早く気づくことが肝要です。

ヒントになるものとして、子供時代の経験があげられます。「三つ子の魂百まで」と言われている通り、持って生まれた性格は、一生変わりません。

私のように、小学生の頃、いじめられたり仲間外れにされた人は、逆張りの長期投資に向いている気がします。皆に同調しないことを、周囲に快く思われないからです(本人は至って平気)。

逆に、ガキ大将に気に入られて、クラスの中で上手く立ち回っていた人は、順張りの短期売買が向いていそうです。先天的に、素早く機転を利かせ、世間に同調する資質を備えているからです(ああ、うやらましい)。

なお性格的に個別銘柄のアクティブ運用自体が向いていない人も、少なからず存在します。そういう場合は、株式投資をインデックスファンドの積み立てにとどめ、自分に向いている分野で人生を楽しめばいいと思います。



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