規制業種への投資浮上のタイミング高齢者の医療費自己負担率
辛い時期光通信の投資四季報新春号で気になった記事経営、会計、IT
小売業の未来四季報2018年春号じっとしていられるか
タイセイの現状と今後蚊帳の外

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ショートコラム(2019年12月)

■蚊帳の外(2019年12月31日)

年末という実感が全然わかない中で、2019年が終わろうとしています。今年は色々な意味で、蚊帳の外だった1年でした。

大半の個人投資家が相場で最終的に損をしてしまうのは、人として、そんな状況に耐えられないからではないでしょうか。でも私は、割と平気なんですよ。

もっとも、みんなと一緒になってバブルに踊るのが、とっても楽しいことも知っていますけど。あくまで、その時点では・・・。

「まあ、こんな年もあるさ」と割り切るしかないと思っています。


■4つの投資戦略(2019年12月30日)

今年9月に33業種投資戦略セミナーの講師を務めました。いつもお世話になっているファイナンシャルアカデミーのスタッフさんが企画され、私がテキストを作成するという二人三脚で実現したセミナーです。

当日は33業種の特徴と傾向を中心に解説し、アンケートでも高い評価をいただきました。ただ、ある方より「セミナーのタイトルに『投資戦略』と付いている割に、その部分が弱い」といった意味合いのコメントが寄せられました。

セミナー終了後、アンケート全てに目を通している私に、刺さった文言でした。セミナー後半で業種別投資法に関して触れたものの、どちらかと言えば戦術的レベルだったからです。

また来年1月に2回目を開催するに当たり、スタッフさんからも「投資戦略の部分を強化して、前面に打つ出すことはできませんか」という要望をいただきました。

そこで投資戦略と業種の関連性について、考え直してみました。一連のプロセスを通じて、改めて気づいたのは「四季報を通読しているような投資家でも、全ての業種を均等に見ているわけではない」ということでした。

おそらく自分の流儀(=投資戦略)に合った業種を重点的に見て、それ以外は軽く読み流しているはずです。

だったら、セミナーの最初に投資戦略の解説をして、参加された方に「自分はどの投資戦略を採用したいのか、どの業種に力点を置いて見ていけばいいのか」判断していただければ、33業種の説明を漫然と聞かれるより、効果があるのではないでしょうか。

私なりに考える、個人投資家に有効と思われる投資戦略は次の4つです。

1.国際優良株型
2.規制業種型
3.革命児型
4.ニッチ特化型

国際優良株は、グローバル競争に打ち勝つ企業に投資を行う、王道的な投資戦略です。我が国では、「擦り合わせ型」の輸送用機器、精密機器や、製造設備などの生産財を提供する企業など、一部の製造業に偏在しています。

規制産業型は、国のインフラを担う企業に投資を行う、クラシックな投資戦略です。規制により新規参入が制限されたり、実質的な地域独占を確立できたりする公益性の高い業種は、事業基盤が安定しやすい傾向にあります。

革命児型は、「○○業界の革命児」とうたわれる企業に投資を行う、大化けを狙える投資戦略です。この手の企業は、意外にも、停滞している内需関連の成熟産業で生まれています。ニトリやユニクロが典型例です。

ニッチ特化型は、小さな市場で大きく儲ける企業に投資を行う、妙味のある投資戦略です。好業績を維持している小型株の大半はニッチ企業です。また小型株は機関投資家が手を出しづらいため、個人投資家にも十分に勝機があります。

それぞれに投資戦略毎に、注目すべき業種は異なります。私自身は、革命児型とニッチ特化型をミックスした投資戦略を採用しているため、内需関連の小売業、サービス業に属している小型株をメインに分析しているわけです。

セミナーテキストに関しては、前回の内容にこれら4つの投資戦略を加味したブラッシュアップを、今から半月ほど掛けて行っていく予定です。今回は、相当に面白いテキストができるのではないかという予感がします。

なお下記のリンク先では、短時間の動画も掲載されており、しかめっ面で話をしている私も映っています(苦笑)。興味のある方は、ご覧くださいませ。

33業種投資戦略セミナー
日時・場所

教室受講:2020年1月26日(日) 10:00〜17:30 東京・新宿

今回は郵送で届く教科書と、スマートフォンやPCを使って学べるWEB受講もご用意しています

テーマなど

個別銘柄を選ぶ際、その銘柄の属している業種(セクター)に関して十分に理解しておく必要があります。本セミナーでは、東証33業種の特徴や投資を行う上での注意点を述べる予定です。

また個人投資家に有効な4つの投資戦略を示し、投資戦略毎にどの業種に注目すべきかについてもお話しします。

お申込み

ファイナンシャルアカデミーの33業種投資戦略セミナーページよりお願いします。


■タイセイの現状と今後(2019年12月27日)

「タイセイ(3359)について、どう思うか」問い合わせをいただきました。本来、この手のご質問にはお答えしないのですが、その方なりの分析結果を添えてくださいましたので、当方も私見を披露したいと思います。

なお個人的には同社株を保有していませんし、売買を推奨するわけではありません。

まず同社の現状について、下記のとおりに認識しました。中小企業診断士の二次試験(残念ながら、私は合格できなかったのですが)に出題されてもおかしくない、中小企業に共通する経営課題を抱えています。

もともと「お菓子作りで生計を立てている」プロ向けを対象にしていたが、コンビニスイーツの台頭などにより、プロ向け市場が縮小しかねない状況に陥った

そこでアマチュア向けに進出した。当初は「お菓子作りを生きがいにしている」セミプロ級のユーザーに受け入れられ、一定の成功を納めた

しかしボリュームゾーンである「趣味の一環として、お菓子作りを楽しんでいる」一般的な客層の獲得には苦心しているように感じられる

現に2018年9月期、2019年9月期は、微増収にとどまった

そんな中で、社名を主力ブランドの「cotta(コッタ)」に変更し、同時に35歳の女性を社長に抜擢すると発表した

次に現段階で同社が公表している施策は、下記の4つです(ソースは2019年9月期決算短信)。

1.テレビCMによるcottaの認知拡大
2.4年ぶりの法人向け総合カタログの発刊
3.トップパティシエとコラボした資格サービスのリリース
4.中国最大級の料理プラットフォーム「下厨房」でのテストマーケティングの継続

投資家としては、以上を元に「同社が再び成長路線に回帰できるのかどうか」投資判断を行い、一定の確信を得られれば投資先として検討することになります。で「私はどう思うか」ですが「現時点では判断できない」というのが正直なところです。

理想の展開は、新社長の打つ手がことごとく当たり、同社が再び成長企業として評価されるケースです。一方、新社長になっても業績が伸び悩んだままで、しびれを切らした創業者が数年後に社長として復帰するというケースも考えられます。

時流として、実店舗からネット通販という流れは止まらないでしょう。そうはいっても、全てのネット通販企業が成功できるほど甘い世界ではありません。私が注目していたニッチ分野でも、ティーライフ(3172)や白鳩(3192)は期待外れでした。

どちらに転ぶか、まだ分かりかねます。ただ時価総額30億円のオーナー企業が、社名を変え、経営者も代わって、大きな転換点に差し掛かっているのは事実です。

同社の施策を見る限り、費用が先行して、一時的に減益となる可能性も想定されます。社名を変更すれば、封筒や名刺の類は作り直しとなり、その経費はバカにならないものです。テレビCMや総合カタログも金食い虫です。

しかし施策が功を奏せば、その後、売上高が伸びて、利益率も改善し、V字回復も夢ではありません。もし同社株に興味をお持ちであれば、四半期毎の決算を追い続け、何らかの手応えを感じた時点で投資を行うのが現実的でしょうか。


■じっとしていられるか(2019年12月24日)

過去の売買履歴を振り返り、株式投資を始めてから今まで24年間の投資行動を自己分析した結果、次のとおりに実行できれば、自分のほぼ満足できるリターンを達成できるという結論に至りました。

●いつ訪れるか事前には分からない、次の不況をひたすら待つ
●不況の真っ只中で、事前に分析を終えている会社のみを買う
●それらの銘柄群を、景気が回復するまで我慢強く保有する

問題は、このプランを実行できるかどうかでしょう。というのも、とくかく人間は行動したがる生き物だからです。

毎日のように相場を見ていると、様々な邪念が湧いてきます。もう一人の自分が話しかけてくるのです。

●日経ダブルインバースでも買ったらどうか
●JT株で配当生活も悪くないぞ
●いっそのこと米国株で勝負してみないか

しかし売買履歴を見る限り、この手の投資は大半が失敗に終わっています。その典型例が大型株やJ−REIT、米国株にまで手を広げ、リーマンショックの直撃を食らった2008年でした。

過去の過ちを繰り返すのか、それとも、今度こそじっとしていられるのか・・・。日米の株価指数が高値を更新している足元の局面は、私にとっても正念場と言えそうです。


■四季報2018年春号(2019年12月21日)

会社四季報は投資家にとって貴重な資料でもあります。もし可能であれば、全ての号を永久保存したいものです。

しかし私の場合、保管スペースの関係もあり、夏号以外は処分することにしています。今回も年末の資源ゴミに出すため、2018年春号の付箋をはがしていました(付箋だらけの四季報を、そのまま出すのは気が引けます)。

付箋をはがすためには、当然、貼ってあるページをめくることになります。当時は小型株が天井を打った直後であり、株価の大幅に上昇した銘柄が多く、記事欄にも【続伸】【最高益】といった強気の見出しが並んでいました。

このような局面にて、長期保有目的で株を買ってしまうと、まさに高値つかみとなり、長きにわたって含み損に苦しめられる展開となりがちです。思わず、処分をためらいました。

ちょっと待った。会社四季報2018年春号は、アベノミクス相場において小型株が高値を付けた記念号として永久保存すべきではないか。きっと将来、役に立つときがくるだろう。

私は今でも、リーマンショック直後の株という株が大安売りだった、会社四季報2009年夏号をときおり読み返しています。そのたびに、気が引き締まる思いです。

大不況や金融危機により、流動性が枯渇して、投資家心理が落ち込めば、小型株はここまで理不尽な売られ方をするのか。たしかに修羅場だったが、裏を返せば絶好の投資チャンスでもあり、もうちょっと頑張れなかったものか。

もし2013年以降に株式投資を始めた方がいらっしゃれば、古本を入手するなり、大きな図書館に行くなりして、2009〜2012年の会社四季報をざっと読んでみてください。

今後、皆さんの投資家人生において、ほぼ間違いなく似たような状況がまるで映画のワンシーンのように再現されるからです。今まで何が起こったのか知っておいても、損はありません。


■小売業の未来(2019年12月19日)

会社四季報新春号では、ケネディクス(4321)の記事も印象に残りました。

【商業REIT】小売業の縮小にらみ、千葉県のGMSを放出。今後も新規取得には慎重姿勢。

2020年以降の我が国は、少子高齢化に拍車がかかります。誰しもがスマートフォンを持っており、ネット通販でモノを買う習慣も定着しました。

ゆえに実店舗での販売がメインで、他店と差別化できていない小売業の未来は、厳しい状況が続くと想定されます。

食品スーパーのような、一見ネット通販による代替が難しいと思われる業態も、何らかの影響を避けられないのではないでしょうか。

実家の近所では、昼食をデイサービスで済ませ、夕食は宅配弁当を頼んでいる一人暮らしのお年寄りが増えているからです。

小売業はビジネスモデルがシンプルで、店舗の視察もでき、理解しやすい投資対象として個人投資家に人気があります。株主優待も魅力的です。

しかし今後に関しては、投資対象の選別をしっかり行わなければと感じました。なおケネディクスもリーマンショックの生き残り組です。


■経営、会計、IT(2019年12月18日)

日米の株価指数が高値を更新する中で、今の私は「次の不況でどういったタイプの会社を買うべきか」思考を巡らせています。その際、ふと思い浮かんだのは「自分の強みは何か」ということでした。

私がかつてサラリーマンとして勤めていたのは、建築資材メーカーの情報システム部門です。新人として配属された当初は「総務部電算課」という古めかしい名称でした。

部署は本社にあり、席は総務部経理課の隣でした。月次決算を電算化するために、経理課から分離される形で発足したと聞いています。

主な業務は、ホストコンピューターを用いた基幹システムの開発・運用でした。発足の経緯もあり、売上集計から原価計算に至るまで、全てのデータは会計システムにつながっていました。上場企業につき決算発表も行いますし、会計システムは企業経営とも密接なかかわりがあります。

そんな情報システム部門での仕事を通じ、本社から全体を俯瞰する形で、経営、会計、ITの現場を知っているのが自分の強みと言えます。であれば、この強みを株式投資にも活かすべきではないかと考えているところです。


■四季報新春号で気になった記事(2019年12月16日)

会社四季報新春号の通読にて、まず目に留まったのがフージャースホールディングス(3284)の記事でした。

【圧縮】不動産市況変調懸念し、マンション・戸建て在庫を120億円程度に調整へ(19年9月末165億円)。

前回の不況で地獄を見ただけに、その経験が活きているのでしょうか。なおフージャースコーポレーション(8907)時代の2009年四季報夏号には、次のように書かれていました。

【疑義注記】銀行、建設会社への返済日延期が続き継続前提の疑義注記。時価総額6億円の東証上場廃止基準は5月にクリア。

リーマンショック後、上場している独立系不動産会社の約1/3が経営破たんした中で、同社は生き残った一社です。


■光通信の投資(2019年12月15日)

光通信(9435)の投資を調べていて、いちばん「凄いな」と感じたのが、フルキャストホールディングス(4848)への投資です。

同社が苦境に立たされている中で、2009年4月、第三者割当増資に応じました。 600万株を46円で取得し(株式分割修正済)、2019年6月末の時点で485万株を保有しています。

その後、株価は大幅に値上がりして、50倍以上になりました。しかも2019年12月期の配当予想は38円。年間の受取配当金が取得単価の46円を超えるのも、時間の問題と思われます。

まさに理想の投資と言えるでしょう。次の不況で「少しでも光通信の境地に近づきたいものだ」と思いつつ、四季報新春号を読み込んでいるところです。

フルキャストホールディングス 株価チャート(月足)


■辛い時期(2019年12月10日)

株価は上にも下にも、オーバーシュートする傾向にあります。しかるにバリュー投資家ほど、辛い時期を経験するものです。

●「もはや割安でない」と売った株がさらに上がる続ける
●「これは割安だ」と買った株が全然下げ止まらない

初めて株を買ってから24年余りになりますけど、自分の思い通りになる楽しい時期はほんの一瞬で、圧倒的に辛い時期のほうが長いです。株式投資とはそういうものなのでしょう。

もっとも世間では高値つかみをした挙句、その後の安値で投げさせられ、退場を余儀なくされる投資家が少なくないと聞いています。

「つらいなあ」とボヤキながらも、どうにかマーケットに留まれている私は、まだ幸せ者なのかもしれません。


■高齢者の医療費自己負担率(2019年12月6日)

日経ビジネスの記事で、高齢者の医療費自己負担率がかつて5割だったことを知りました。1973年、田中角栄内閣のとき、いきなり無料にしたそうです。

そうであれば、このタイミングで武田薬品工業など医薬品メーカーに長期投資を行えば、相当に儲かったと推測されます。

現に藤沢薬品工業(現、アステラス製薬)に勤めていた方から「古参社員はみんな持株会で億万長者になった」と聞きました。

ただ今後に関しては、医療業界全体に逆風が吹き荒れるのではないでしょうか。税金を収益源としている企業の業績が、国策に左右されてしまう点には注意が必要です。

高齢者の医療費自己負担率


■浮上のタイミング(2019年12月5日)

今の相場に歩調が合わない私は、小休止を決め込む時期かなと思っています。

そんなわけで『小休止のすすめ』を読み返していました。ITバブル崩壊という苦境を乗り越えた、サイバーエージェント藤田晋社長の言葉には説得力があります。

浮上のタイミングは自分たちの準備と周囲の状況の変化によって訪れるのです。

風向きが変わり、環境が整う。そんな外的要因について変な自分の願望が入っていると時期を見誤ることになります。

着実に準備を進めながら自然体でいること。すると、向こうからやってくる浮上のタイミングに気づくことができます。

風向きはいずれ変わります。ただし、せっかく追い風が吹いても、準備不足であれば、それを活かすことができません。

マクロ経済や企業業績のパッとしない中で「日経平均が高値を更新するのはおかしい」なんて嘆かず、せっせと銘柄分析に励むことにしましょう。


■規制業種への投資(2019年12月1日)

今までの私は、いわゆる規制業種に対する投資には、正直なところ乗り気でありませんでした。既得権にあぐらをかいているとしか思えなかったからです。しかし規制が参入障壁になるのであれば、長期投資の対象にしてもいいかなと思い始めています。

もっとも規制業種ならでは注意点もあります。それは診療報酬や介護報酬にように、価格まで規制されていないことです。この場合、高級官僚のさじ加減ひとつで、関連する業界の収益が決まってしまいます。

さらに経営陣が規制に安住せず、ある程度のハングリーさを兼ね備えていることも必要です。代々、社長が天下りに近い形で入れ替わっている現状維持路線の会社は、少子高齢化の進展に伴い縮小する内需と歩調を合わせていくだけの存在になりかねません。

常日頃から、参入障壁の低さゆえTTP(徹底的にパクる)という悪慣習のはびこる、飲食チェーンのような過当競争を見せつけられるにつけて、たとえ規制によるものでも参入障壁を備えている業種は魅力的です。規制業種だからと毛嫌いせず、継続的に調べてみたいと思っています。



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