「ニッチ企業」音声CD、株式投資家としてのゴール、暇な長期投資、
33業種投資戦略セミナー、淘汰のプロセス、本能で売買する、会社四季報秋号、
KeePer技研、景気と株価
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ショートコラム(2019年9月)
■景気と株価(2019年9月26日) |
会社四季報秋号を通読して、改めて思ったのは「個別銘柄の業績からして、やっぱり日経平均2万円に違和感がある」ということです。 しかし世間の人々は、日経平均を見ています。「株価が2万円を超えているのだから、まだまだ景気は大丈夫だ」と楽観視している企業経営者も少なくないでしょう。 このような状況が続き、不況への備えが遅れる点を個人的に懸念しています。「ある日突然、景気が想定以上に悪化していると気づいても、もはや打つ手が限られる」という事態が想定されるからです。 政府日銀の買い支えにより、株価指数だけが高止まりしている現状が、思わぬ副作用をもたらす可能性についても留意しておきたいと感じました。 |
■KeePer技研(2019年9月23日) |
KeePer技研(6036)は、個人的にも注目していた会社です。 コーティング材料を消費者に直接発売せず、技術者の施工という付加価値を付けることにより、価格競争に巻き込まれない点を評価しました。しかし、ひとつだけ疑問点がありました。 KeePer技研のリピータになるような車を大切にするユーザーは、新車に買い替える際、ディーラーオプションでコーティングを付けるのではないか? 同社としては、やっと獲得した顧客が、一定のスパンで離れてしまうことになります。そんなことの繰り返しでは、成長を持続できません。 この現実を一番分かっていたのは、創業者である谷会長だと思います。今回、自動車ディーラーのVTホールディングス(7593)と資本提携を行い、持分法適用関連会社となる“苦渋の決断”を下したのは、止むを得なかったのかもしれません。 同社が発表した「VTホールディングス株式会社との資本業務提携に関するお知らせ」にも、その胸の内が正直に書かれています。 しかし、消費者の皆さんは新車を買う時にカーディーラーでカーコーティングをオプション購入される方が多く、車のアフターマーケットであるガソリンスタンドでのカーコーティングの全面的な普及も、車が新車に更新するたびに、カーメーカー純正のカーコーティングに変わってしまうので、KeePerのカーコーティングが商品としてずば抜けて性能が良く、評判も良いのに、シェアの拡大に限界かのようにシェア拡大に苦しんでいました。 カーコーティングの普及により、ディーラーオプションという「代替品の脅威」が台頭し、結果的に同社の成長余地を狭めてしまったのも皮肉な話です。 |
■会社四季報秋号(2019年9月20日) |
会社四季報秋号の通読を終えました。まず感じたのは「一見、割安に見える株が増えているな」ということ。現にPER10倍未満、配当利回り3%以上の銘柄がゴロゴロしています。 しかしながら、その大半はシクリカル銘柄(景気循環株)です。素直に買えるのかといえば、大いに疑問でしょう。今後、景気が悪化して利益と配当が半減すると、ほぼ辻褄の合う株価水準であり、そこまで想定されているような気がします。 経験則を述べさせてもらえば、実際に利益が大幅に落ち込み配当も減らされれば、投資家の嫌気売りにより株価はさらに下がり、ありえないほどの安値を付けます。ここまで来れば、悪材料の織り込みすぎであり、買いを検討してもいい局面と言えます。 私自身が注目しているのは、11月半ばに出揃う各企業の第2四半期決算です。ここで通期業績予想の下方修正が相次ぐようなら、現時点で割安に見えた株価が「実はそうでもなかった」ことになります。 短期的に日経平均が堅調のようですけど、長期投資の場合、焦って売買する必要は一切ありません。明らかに景気が悪くなるまで待ってから、叩き売られた株を買えばいいのです。 |
■本能で売買する(2019年9月17日) |
『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』に、著者が大学の友人を雇い、トレードの会社を作ってみたものの、上手くいかなかったくだりが書かれています。 でも同じように教えたはずなのに全然違う売買をする。 今から振り返れば、講義したぐらいではダメで、売買にはみんなの本能が出ていた。インセンティブもあるので、お金が絡むとその人の本能が買ってしまう。 そうなんですよ。株式投資セミナーの講師として、大切なことは口を酸っぱくして述べているつもりなのですが・・・。 どれだけ株本やセミナーで熱心に勉強しても、結局は本能で自分勝手に売買してしまうのが、私たち人間の悲しい性です。 ゆえに自分をよく知ると共に、本人に合っている投資手法を採用するのが一番ではないでしょうか。 |
■淘汰のプロセス(2019年9月14日) |
隠れた名著『投資のプロたち』より引用します。 株式市場の行き過ぎが調整されると、その結果として、真の投資家と投資家は分けられるのだとスカーカニッチは信じている……過去において常にそうであったように。 私自身が懸念しているのは、金融市場で周期的に発生する「淘汰のプロセス」が久しく発生していないことです。とりわけ米国株に関しては2009年以降、ほぼ一本調子で上がり続けています。 資本主義が繁栄を続けるには、どうしても痛みを伴うこのプロセスが必要となります。そうでなければ、世の中にゾンビ企業や投資筋がはびこり、健全性が損なわれてしまうからです。 こんな金融の歴史が繰り返されると、次回はかなり悲惨なことになるかもしれません。「いつ、そういった事態が起こっても不思議ではない」ことを念頭にマーケットと対峙したいものです。 |
■33業種投資戦略セミナー(2019年9月13日) |
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外部講師を務めているファイナンシャルアカデミーにて、新たなセミナーを行うことになりました。33業種投資戦略セミナーです。 銘柄選びでは個別企業の分析に力点を置きがちですが、その銘柄の所属している業種(セクター)についても理解しておかなければ、思わぬ落とし穴が待っています。 かくいう私も、ある紙・パルプメーカーに投資を行った際、製品の差別化やプロダクトミックスの変化に注目するあまり、会社の収益が原燃料価格に大きく左右される点を見落としていました。 結局、寝耳に水の業績下表修正を食らって投げさせられたのですが、紙・パルプ業界の属性をよく理解していれば防げた損失かもしれません。 とりわけ、景気に減速の兆候が見受けられる足元の局面では、いわゆるシクリカル銘柄(景気敏感株) への投資に注意が必要です。 この手の銘柄は業績悪化を見越して、PERが1桁となり、配当利回りも高くなっています。その数字を額面通りに受け取り、割安株と勘違いして投資を行えば、再び景気が回復するまで苦しい思いを強いられるはずです。 利益は当初の見込みを大幅に下回り、配当も減らされるからです。赤字を計上し、無配に転落するケースさえ珍しくありません。投資家として、なるべく避けたい事態です。 本セミナーを受講されることで、次の3つの違いが企業独自のものだけでなく、所属している業種に起因する部分の大きいことがお分かりいただけると自負しています。 ●PERを計算する際、EPS(1株益)をそのまま使っていい銘柄と、EPSに何らかの補正を加える必要のある銘柄 またセミナー講師として、皆さんに次のような投資家になってもらいたいとの思いで、お話しをさせていただきます。 ●個別銘柄の強みだけでなく、所属している業種の属性を加味した上で、銘柄を選べる投資家 他では滅多に聞けない内容ですし、セミナーテキストは171ページの大作です。投資家として、さらに上のレベルを目指している方の参加をお待ちしております。
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■暇な長期投資(2019年9月10日) |
私がポジショントレードを熱心に行っていたのは2012年です。 リーマンショックの損失を取り戻すため、何かいいやり方はないかと思案したところ、大儲けはできないものの損切りによりリスクを限定できるポジショントレードにたどり着きます。 2012年はトレンドの明確な分かりやすい相場が続いたため、相応の成果を上げられ、当初の目的を達成できました。 そのままポジショントレーダーに転向することも考えたのですが、やっているうちに、この手法は性に合わないことが分かってきました。 売ったり買ったりとせわしなく、株価が上がれば買い、下がれば損切りする売買にバリュー投資出身者としては抵抗があったのです。 自分に向いていない手法を続けても、 どこかで無理が生じるのは目に見えています。リーマンショックの傷がいえ、短期的な含み損に耐えられるまで回復した私は、従来の長期投資に戻すことにしました。 長期投資を再開し「やっぱりこの方がいいな」と安堵したのも束の間、だんだん暇になっていきました。強気相場の末期には、長期投資家(=バリュー投資家)の出番がなくなるからです。 こうなれば次の弱気相場まで休むしかありません。さんざん待たされた挙句、やっと買いを入れても、その銘柄が上昇に転じるまで、じっとしているしかないのです。 要するに、長期投資は暇なものと割り切るしかないでしょう。道理で、手がける人も少ないはずです。 |
■株式投資家としてのゴール(2019年9月7日) |
株式投資家として、私が考えているゴールは次のとおりです。 配当収入が生活費を上回ること。 レバレッジを活用できる不動産投資と異なり、現物株投資でこの状況を作り出すには、相当に長い歳月を必要とします。 しかし、いったんこの状況になってしまえば、株式投資のほうが有利に思えます。 株はランニングコストが掛かりませんし、当初は優良物件でも築古となれば家賃を下げざるを得ない不動産と異なり、良い会社は毎年のように配当を増やすからです。 世間の資産家も、概ねそうやって生活しています。 ゆえに生活費を稼ぐためドタバタと売買する必要がなく、いつまでも投資チャンスを待てるのです。 今の自分は、ゴールのかなり近くまで来ています。しかし功を焦れば、今まで築き上げてきたものを一瞬にして失ってしまうのが、株の怖さです。 皮算用では、次の不況でゴールインするつもりでいます。問題はそれがいつ訪れるのか、前もって分からないことです(気配は感じつつあるのですが)。 ここは自己資金を運用している者としての強みを活かし、そのときをじっくり待ちましょう。投資家人生を通じて、一番身に染みているアドバイスは、長年勤めていた職場のオーナー(2つの会社を保有している資本家)が折に触れて発していた言葉です。 こんな好景気に工場を建てたらいかん。あのな君、投資は不況でやるもんや。 |
■「ニッチ企業」音声CD(2019年9月3日) |
今回のバリュー投資塾「ニッチ企業」音声CDが出来上がりました。 幅広い業種からケーススタディを取り上げましたので、銘柄分析の参考にもなると自負しています。また参加された方とのディスカッションもできる範囲で収録しており、興味深く聞いていただける内容に仕上がりました。 ご購入を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 既にお申込み・ご入金をいただいた分は、本日中に最寄りの郵便局から発送予定です。 |
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by 角山智