企業経営者に対する見解半歩遅れでは負けるリユース業界の悲鳴
晴耕雨読か、雨に唄えばかコメ兵の業績上方修正CAPEレシオ
投資対象としての斜陽産業嬉しいコメント胃薬を飲みながら買う
アップルパーク保ち合い上放れ資本主義社会への扉
投資を続けるという目標好景気・楽観時代の過ごし方1億円の実感

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ショートコラム(2017年5月)

■1億円の実感(2017年5月30日)

金融資産1億円を達成した実感について聞かれました。しかしながら、正直なところ「特に何もない」です。

現に、エクセル上の桁がひとつ増えただけに過ぎないですし、そもそも株の含み益などあってないようなもの。来月には8桁に後戻りしているかもしれません。

ただひとつ「金を持っているだけの、つまらない奴」と後ろ指を指されないようにだけはしたいと思いました。


■好景気・楽観時代の過ごし方(2017年5月29日)

景気が良く、投資家も楽観的で、株価の高いときは、長期投資家にとって不愉快な時期です。割安銘柄がほとんど残っていないからです。

世間に儲け話があふれている中で、一人だけ仲間外れになっている気分を味わされます。「自分も短期売買で稼いでやろうか」という考えが頭をよぎります。しかし、投資手法をコロコロ変えてばかりでは、成功はおぼつきません。

現時点で長期投資家にできるのは、準備を怠らず、いつやってくるか分からない次の投資チャンスを期待せずに待つことだけです。

これができないから、みんな失敗するのです。高値で買った持株を目一杯抱えたまま、その後の反落で投資資金とモチベーションを失ってしまう個人投資家を嫌というほど見てきました。

好景気・楽観時代には「何もしない」のが一番です。もっとも、それが一番辛いかもしれませんが・・・。


■投資を続けるという目標(2017年5月26日)

私が投資家になる決意をしたのは1993年。当時の金融資産は500万円でした。それから24年の月日を費やし、ようやく1億円に到達したわけです。

そういう意味では、時間が掛かりすぎているかもしれません。もともと慎重な性格ゆえに、金融資産の半分は預貯金で保有していましたし、信用で株を買ったことは一度もありませんでした。

巷のカリスマ投資家みたいに、もっとバリバリやれば、今頃は2〜3億円になっていたかなと思うことはあります。しかし、その一方で、退場させられている可能性も捨てきれないでしょう

先日、ある方に「株の世界で生き残れるのは20人に1人」という話をしたところ「いや30人か40人に1人ではないか」と返されました。

とにかく、1年でも長く投資を続けることを目標にやっていきたいです。


■資本主義社会への扉(2017年5月25日)

大学進学にあたり、私は文学部を志望していました。しかし、合格できたのは文学部の2日前に入試があり、練習で受けた経営学部。

そんなわけで、全くヤル気のなかった学生時代ですが、ある講義で聞いた次の言葉だけは未だに覚えています。

1億円あれば、資本主義社会に参加する権利を得られる

本日の朝、そろそろかなと思い、金融資産を計算してみると、私にも資本主義社会への扉が開かれていました。

次は、投資からの収益で生活できるレベルを目指します。


■保ち合い上放れ(2017年5月23日)

下図は、鈴茂器工(6405)の株価チャートです。3年間に渡り、保ち合いを続けた後、上に抜けるという典型的な「保ち合い上放れ」となっています。

このケースでは、次のようなポジショントレードが効果的です。

●保ち合いを放れた1200円で買う
●上場来高値である2013年の高値を抜けないようなら、そこでいったん売る
●2013年の高値を抜いた場合は、上昇トレンドが崩れるまで持ち続ける

このように、テクニカル分析の基本に忠実な売買を心がけるだけで、相応の利益を得られます。

一方、長期投資では、株価が割安だった保ち合い形成中に指値を入れて続け、安値を拾いつつ、同社株が正当な評価を受けるまで待っていればOKでした。

どちらの流儀でも、儲かった銘柄といえるでしょう。

鈴茂器工 株価チャート(週足)


■アップルパーク(2017年5月18日)

「豪華な本社ビルを建てたら売り」という相場格言をご存知でしょうか。

今、海の向こうでは、世界最大の時価総額を誇る電気機器メーカーが、まるで宇宙基地と見まがうばかりの豪華な新社屋を建設しています。

もし、この格言が的中すれば、株式市場にも大きな影響が出そうです。

アップルパーク

アップル 株価チャート(月足)


■胃薬を飲みながら買う(2017年5月15日)

日経ビジネスに連載されている、居林通氏のコラム「市場は「晴れ、ときどき台風」」が興味深いです。とりわけ「個人投資家は今のマーケットに参加する必要なし」で述べられていた、次の文言が琴線に触れました。

誰かが悲鳴を上げたら、利益が期待できるチャンスと考えるべき。「パニックで株価が下がった時はリスク対リターンのコストパフォーマンスがいい。頑張って買おう。胃薬を握りしめて」です。

私自身の経験からも、持株が下げ続け、株価を見るのが嫌になるときほど、後から振り返れば絶好の買い場だったことが多かったです。逆に、持株の含み益が拡大して、追加で株を買いたくなるときほど、利益確定のチャンスだったりします。

で、今はどうかといえば、何か買いたくてうずうずしており、目を皿にして決算短信をチェックしている自分がいます。ここは、胃薬を飲みたくなるまで、待ったほうがいいのかもしれません。


■嬉しいコメント(2017年5月14日)

先日、 バリュー投資塾に参加された方から「負けないようになりました」というメールをいただきました。

連休中に外部講師を務めたセミナーでも、記帳した資料を持参され「利益を得られるようになりました」と報告に来られた方がいらっしゃいました。

セミナー講師として、やりがいを感じ、とっても嬉しかったです。

自分で四季報を読んで割安な銘柄を探し、じっくり買い場を待てるようになれば、損をかなり減らせるはずです。さらに投資の記録をしっかり付けて、折にふれて反省を行うことで、上達できるようになります。

安易な儲け話でなく、株式投資で利益を上げるための基本をお伝えしていくことが、私の役目だと思っています。


■投資対象としての斜陽産業(2017年5月13日)

初心者時代に読んだ株本の内容は、今でも憶えているものです。とりわけ印象に残っているのが『ピーター・リンチの株式投資の法則』に書かれていた、次の文面です。

私はいつでも投資対象としては人気業種よりも斜陽産業を優先することにしている。

斜陽産業のなかでは、ある会社はゆっくりと成長しているが、弱者は脱落していき、残存者は大きなマーケット・シェアを得ることになる。

不活発なマーケットのなかでそのシェアを継続的に増加させることができる企業は、マーケット・シェアを減少させられないよう努力しなければならない企業よりはるかに裕福である。

現に、私自身が実際に儲けることができたのも、明光ネット(4668)やニトリ(9843)など斜陽産業にてマーケット・シェアを伸ばした企業でした。

そんなわけで、今でも斜陽産業とその予備軍である成熟産業に注目しており、5月のバリュー投資塾でも成熟産業・斜陽産業について取り上げることにしました。

ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。

お申込み締切については、東京会場5月24日(水)、大阪会場17日(水)とさせていただきます。 両会場とも、まだ残席がございます。

なお、セミナーの音声CDがご入用の場合も、5月17日までにご一報をお願いします(ご要望があれば録音します)。

ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。

5月のテーマは「成熟産業・斜陽産業」です
日時・場所

2017年5月28日(日) 10:30〜16:50 東京・大井町 きゅりあん

2017年5月20日(土) 10:30〜16:50 大阪・天満橋 エル・おおさか

人数

少人数制(10名様程度まで)

受講料

銀行振込 25,920円 当日現金 28,000円

3日前までのキャンセルは返金いたします。それ以後のキャンセルは次回以降の受講に振替させていただきます。

内容

成熟産業・斜陽産業において、シェアを拡大させている企業や残存者利益を享受している会社を取り上げます。

テキスト
目次

第1部 砂漠のなかの一輪の花
1−1 明光ネットワークジャパン
1−2 VTHD
1−3 ニトリHD

第2部 成熟産業・斜陽産業の有望株
2−1 A社(農林・水産)
2−2 B社(建設)
2−3 C社(食料品)
2−4 D社(小売業)
2−5 E社(サービス)
2−6 F社(サービス)
2−7 G社(機械)
2−8 H社(情報・通信)


■CAPEレシオ(2017年5月12日)

科学で勝負の先を読む -投資からテニスまで先を読むため・読まれないための実践ガイド』に興味深い記述がありました。

それは、CAPEレシオが一定の水準以上になれば売り、一定の水準以下になれば買い戻すことにより、長期的にバイ・アンド・ホールドより高いリターンを上げられるというものです。

こんな簡単な公式が通用するのなら、誰も投資で苦労などしないのですが、相場が高値圏にあるのか安値圏にあるのかを判断するのに、CAPEレシオは使い勝手のいい指標です。

足元の状況は見てのとおりで、少なくとも長期投資家が本腰を入れて株を買い進む局面ではなさそうです。

CAPEレシオ


■コメ兵の業績上方修正(2017年5月11日)

2月のショートコラムで取り上げたコメ兵(2780)が、今度は業績上方修正を発表しました。コストコントロールの強化により、2017年3月期の最終赤字転落という最悪の事態は避けられそうです。

このニュースは投資家に好感され、株価も急騰を演じました。

 
  売上高 
 営業利益
 経常利益
 純利益
1株益
前回発表予想
39,900
600
590
150
13.69
今回修正予想
40,134
832
815
355
32.47

同社株のような銘柄への投資で難しいところは、事態の好転を待っていれば、株価が先に織り込んでしまい、絶好の買い場を逃すことです。

経営陣が逆境を乗り越える力を備えているかを見極め、悪材料の出続ける中で買い進まなければ、安値を拾うことはできません。

それができるかどうかは、最終的には投資家の性格次第でしょうか。

景気循環論者の私としては、不況が何年も続き、競合他社の撤退ラッシュが起こり、同社株が底値圏で横ばいを続けている局面なら、投資を検討すると思います。

ただ今の局面では、あまり乗り気にならないです。コメ兵は、百貨店売上高に業績がほぼ連動する景気循環株だからです。

コメ兵 株価チャート(週足)


■晴耕雨読か、雨に唄えばか(2017年5月10日)

投資家の生活は、流儀により異なります。

短期売買を行うポジショントレーダーには、晴耕雨読です。株式市場が晴れの日にポジションを持ち、雨の日は投資を休み会社四季報でも読んで過ごします。

一方、長期投資家は、映画のタイトルにもなった「雨に唄えば」を地で行きます。普段から傘やレインコートを用意しておき、マーケットが土砂降りになれば、嬉々として歌いながらタップダンスを踊るのです。

流儀の決まっている投資家は、雨の日に何をすべきかを心得ています。そうでなければ、大雨の中を傘も持たずに出かけ、びしょ濡れになるでしょう。


■リユース業界の悲鳴(2017年5月8日)

東洋経済の記事「メルカリに食われる」、リユース業界の悲鳴を興味深く読みました。

個人的に、リユース業界が業績不振に陥っている原因は、次の2つだと思っていました。

●大手チェーンの大量出店による競争激化
●ネット買取専門業者の台頭

さらに、ネット上の個人間売買が広がれば、まさに泣き面に蜂でしょう。とりわけ、競合不在により、そこそこ儲かっていた地方の店舗が大きな影響を受けそうです。

もともと、中古品の売買は、株と同様に“目利き”の必要な分野。大手チェーンは、あえてベテランの鑑定眼に頼らず、アルバイト店員でも値付けを行えるマニュアル化により、大量出店を可能にしました。

一方で、マニュアル頼みの査定は「価値のあるモノを、タダ同然で買い叩く」というユーザーの不満を生みます。メルカリのように、個人でも簡単に出品できる場が提供されれば、なおさらです。

そういった意味で、成長の原動力だったリユース大手のビジネスモデルは、曲がり角に差しかかっているのかもしれません。


■半歩遅れでは負ける(2017年5月7日)

四季報オンラインに藤野英人氏と苦瓜達郎氏の対談が掲載されています。

その中で、ミスター・ゴーヤの発していた、次の言葉が印象的でした。

勝ち方も負け方も無限にあるが、一つだけはっきり言えるのは、株の世界では「人の半歩後をついていくと確実に負ける」ということ

後追いで小さく稼いだとしても、その流れがかわれば大きく負けてしまうから。その繰り返しをしてしまう人が多い

情報が瞬時に伝達されてしまう現在では、年々、その傾向が強まっているように思います。連休明けに決算発表が本格化しますが、好決算に飛びついても織り込み済みのケースが少なくありません。追っかけ商いにならないよう、気をつけたいものです。


■企業経営者に対する見解(2017年5月2日)

メルマガ「この社長に投資したい」で述べたとおり、私は企業経営者を重視するタイプです。

しかしながら、企業経営者に対する見解はプロのバリュー投資家でも分かれており、なかなか興味深いです。そのいくつかを紹介しましょう。

マレーシアの貧しい家庭で育ち、香港の中小型株に特化しているチア・チェング・フイェは『価値の探究者たち』にて、自らの経験を述べています。チアは分散投資派です。

世の中には口がうまい、信用ならない人が思いのほかたくさんいて、株主をだますということが分かってきた

同じく『価値の探究者たち』に登場する、独学でバリュー投資の道を切り拓いたスペイン人、フランチェスコ・ガルシア・パラメスはピーター・リンチと同じ考え方です。

普通の人でも経営できるビジネスに注目するのがお勧めだ。いまは違うかもしれないが、いずれはその会社の経営陣も普通の人になってしまうだろうから

ハーバード流ケースメソッドで学ぶバリュー投資』の著者、エドガー・ヴァヘンハイム三世は、この件に関して、2つの相反する事実を述べています。

企業の成否は、経営陣の強み、モチベーション、そして性格に大きく左右される

投資家というのは、カリスマ的な企業幹部や、投資家が聞きたいと思っていることを意図して口にする、つまり顧客の前で演じてくれるような企業幹部には感心しすぎるきらいがある

そして、彼の最終的な結論は次のとおりです。「調べはするが、決めつけない」という、現実的な解決方法に思えます。

私は経営陣の能力を正確に評価することに対して謙虚であろうとしている

いかがでしょうか。まさに三者三様で、投資の流儀に正解など存在しないことがよく分かります。この中で、誰に親近感を覚えるかと問われれば、やっぱり私はヴァヘンハイムですけどね。



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