孤独な長距離ランナー成長ではなく膨張セミナー後の懇親会について
株式投資の魅力株式投資はギャンブルか低く見られるビジネスディフェンシブ株
朱に交われば赤くなる明日は四季報発売日200日移動平均線四季報通読
業種別の営業利益率リーマンショック直後の営業利益率シオズミアセットマネジメント
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ショートコラム(2016年9月)

■理想の投資(2016年9月29日)

いわゆる投資家人生の後半戦において、次のような投資ができればいいなと思っています。

●不景気・悲観時代をじっくり待つ
●「この人なら間違いない」という経営者を10名程度見つけておき、社長に出資するつもりで投資を行う
●四半期毎の業績は気にしない。一時的な収益悪化で株価が下げれば、むしろ追加投資のチャンスと捉える
●株主総会には必ず出席して、経営陣の声を直接聞く
●長期投資を心がけ、10年間で株価が数倍になる会社が2〜3あればOKと考える

もちろん理想と現実の間には、相当のギャップがあります。「それを埋めるために何をすべきか」自問自答している今日この頃です。


■シオズミアセットマネジメント(2016年9月28日)

シオズミアセットマネジメントは、長年に渡り「レッグ・メイソン・ジャパン・エクイティ・ファンド」を運用しています。ベテランのファンドマネジャーでもある塩住秀夫社長の発言には、含蓄のある言葉が多いです。

●45年間ファンドマネジャーを一匹おおかみでやってきた。これまで成功できたのは一貫した投資哲学を持ち続けたからだ

●ファンドマネジャーの仕事は四半期の業績を追うのではなく、経営者の素質、企業と産業の将来性を見抜くこと

●皆が笑っているときに泣いているときもある。それでも同じ投資哲学を持ち続けられるかは、忍耐強さがあるかどうかだ

ただ投資銘柄に関しては、バリバリのグロース派です。ここまで徹底しているポートフォリオは、滅多にお目にはかかれません。

「ピカピカの会社であれば、PERがいくら高かろうが関係ない」と言わんばかりです。バリュー投資家には、とても手を出せない銘柄が並んでいます。

ゆえに、強気相場では目を見張るリターンを達成するものの、弱気相場では目も当てられない下げ方をします。そのため、相場の天井圏で話題になることが多いファンドです。

もし個人投資家がシオズミアセットマネジメントの手法を参考にするのであれば「成長株のPERが低下する相場の底値圏に限る」というのが私的な見解です。

下のチャートを見て、そろそろグロース株投資が危険な時期に差しかかってきたと感じるのは私だけでしょうか。


■リーマンショック直後の営業利益率(2016年9月27日)

昨日の続きです。業種別の売上高営業利益率に関して「かなりいいな」と思ったので、本日はリーマンショック直後の数字を紹介します。

会社四季報2009年夏号の「業種別業界展望」より、同じグラフを作成しました。製造業の落ち込みが激しいですし、小売業や卸売業も不況の影響を受けています。

景気循環を考慮すれば、今のような人為的な好景気が、いつまでも続くとは思わない方が良さそうです。業種によっては、直近のEPSを用いてPERを計算すると過大評価してしまうかもしれません。

営業利益率(製造業)

営業利益率(非製造業)


■業種別の営業利益率(2016年9月26日)

業種別の売上高営業利益率に関して、質問をいただきました。

調べてみるといくつか出てくるものの、最新の数字がなかなか見つかりません。そこで、会社四季報秋号巻頭の「業種別業界展望」の売上高と営業利益(東洋経済予想値)よりグラフを作成してみました。

まだ景気自体が悪くないこともあり、全体的に「かなりいいな」と思われる数字になっています。日本取引所の調査レポートなど、他の公表データとも突き合せて、自分なりの目安をつかんでください。

個人的な感覚として、製造業10%以上、小売業5%以上、卸売業3%以上の営業利益率であれば、高収益企業の仲間入りといえます。

営業利益率(製造業)

営業利益率(非製造業)


■四季報通読(2016年9月23日)

つい先ほど、会社四季報秋号を読了しました。

本音を書かせてもらえば、四季報通読は楽しい作業とは言い難いです。自分の興味を引くのはごく一部の銘柄で、建設や非鉄金属、地銀などは「どうでもいいコモディティ企業」のオンパレード。そのうえ、3600銘柄もあるので、なかなか前に進みません。

読んでいるうち、何度も睡魔に襲われそうになりました。それでも四季報を読むのは、この作業が自分で銘柄を見つけるための、唯一といっていい方法だからです。

しかし、苦行を終えた後は、付せんを貼った銘柄を調べるという、ワクワクするルーチンが待っています。メルマガでも触れたとおり、最終的に10銘柄程度に絞りたいですね。


■200日移動平均線(2016年9月21日)

下図は、私が投資を始めてからの日経平均日足と200日移動平均線です。

200日移動平均線は、いったん向き(トレンド)が変われば、そう簡単には反転しないという特徴があり、長期投資にも使える指標です。

私の過去20年間の売買履歴を用い、シミュレーションを行ったところ「日経平均の200日移動平均線が下向きでない(横ばいか上向き)時期に買えば、銘柄選択が多少アバウトでも、相当のパフォーマンス改善を見込める」という結果が得られました。

裏を返せば、日経平均の下降トレンドを買い向かっても、徒労に終わるということです。少し時間を要するかもしれませんが、200日移動平均線の下げ止まりを待つのが賢明に思われます。

日経平均株価(日足)


■明日は四季報発売日(2016年9月15日)

今月は、明日16日の会社四季報秋号発売日までに主な仕事を仕上げられるよう、段取りを組んできました。予定より少し早く終わったので、本日はちょっとだけ暇です。

定期購読している会社四季報CD-ROMは前日の夕方に届きますが、紙の四季報は当日に近場の本屋さんまで買いに出向きます。

売れ行きなど書店の状況もチェックしたいからです(たいてい、帽子をかぶった年配の男性が立ち読みしてます)。

ただ、明日以降は17日に株式投資の学校、19日にバリュー投資塾とセミナー講師の仕事が続き、まとまった時間を取れそうにありません。

よって移動の車中などで、四季報を通読したいと思っています。このところ、グローバル製造業だけでなく、内需関連にも業績悪化の兆候が現れていますので、そのあたりを特にチェックしたいですね。


■朱に交われば赤くなる(2016年9月14日)

東洋経済オンラインに格闘家・青木真也氏の記事が掲載されています。その中に、琴線に触れた言葉がありました。

しかし、一度でも食事をともにしてしまえば、それは馴れ合いの第一歩となる。大人数での食事ともなれば、必ず様々な会話が生まれ、周囲の意見に流される場面も出てくるはずだ。

株も、マーケットを介し、命の次に大切なものを賭けた、人と人との戦いです。市場の勝者は少数派であり、時々の大勢に流されてしまえば、敗者と運命を共にします。

ゆえに投資家同士は、適度な距離感・緊張感を保ちつつ接するべきというのが、現時点における私の持論です。そういう意味で、オフ会などに出向いて交流を深めるのは、実は好ましくないかもしれません。

友人が欲しければ、戦場以外で作ればいいのです。


■ディフェンシブ株(2016年9月13日)

5月20日付のショートコラム弱気相場の宵の口で取り上げた花王(4452)の株価も、どうやら雲行きが怪しくなってきました。

弱気相場も中盤戦に突入すれば、同社のような安定成長株も値動きが悪くなりがちです(後半戦では、何もかも売られる全面安になります)。

たとえ損をしても、TOPIXに負けなければ許される機関投資家なら、消去法的な投資先として「あり」でしょう。

しかし「儲かったか、損したか」しかない、自己資金を運用する立場としては、このような銘柄に投資する意義を見出せません。相場の状況が芳しくない場合、現金で持っていればいい話だからです。

「個人投資家の辞書にディフェンシブ株という言葉はない」と思ってください。

花王 株価チャート(週足)


■低く見られるビジネス(2016年9月11日)

業界初の上場を果たした企業には、次のような発言をする経営者が少なくないようです。

自社のビジネスが世間から低く見られていることに対して納得がいかず、上場を目指して発奮した

気持ちはよく分かります。しかし、低く見られるビジネスだからこそ、優秀な人々の参入を招かず、新興企業にも勝機があったのではないでしょうか。

投資家としては、低く見られたままで一向に構いません。割安なうちにじっくり仕込める分、むしろ好都合といえます。


■株式投資はギャンブルか(2016年9月9日)

世の中には「株式投資はギャンブルだ」と思い込んでいる人が少なくないようです。ゆえに、私のようなセミナー講師をしている人間は「怪しい人」という誤解を受けたりします。

ただ個人的には、株式投資に対して懐疑的な見方をしている人の多い方がありがたいかもしれません。頭のいい人たちが真剣に取り組み始めれば、私のような凡人の取り分が減ってしまうからです。

今後は「株はギャンブルです。手を出したらダメですよ」と吹聴することにしましょうか。


■株式投資の魅力(2016年9月8日)

今回は株式投資の魅力について書きます。

それは、最終的に努力が報われることです。もちろん、短期的には運に左右されますし、試行錯誤の期間を相応に必要とします。

しかし、多少の不運にも挫けず、投資につきものの失敗を乗り越えられれば、少なからずの果実を得られます。この世にて、これだけ努力がストレートに反映されるものは滅多にありません。

サラリーマンの方なら、そのあたりの不合理を日常から感じられているのではないでしょうか。

私自身も17年間の会社員生活を送ってきましたが、いわゆる“おべんちゃら”の苦手な不器用人間だったため、損ばかりしていたような気がします。

いつしか、この職場で必要以上に頑張っても無駄とばかりに、勤務時間中は集中して仕事をこなし、できるだけ定時に切り上げ、株式投資に時間を振り向けるようにしました。

すると今度は、大した用もないのに居残っている「仲良し付き合い残業グループ」から嫌がらせを受けましたが(苦笑)。

とくにかく、株は努力の方向性さえ間違っていなければ、やった分だけ返ってきます。そういう意味では、自分に向いているのかもしれませんね。


■セミナー後の懇親会について(2016年9月6日)

バリュー投資塾終了後、毎回のように行っている懇親会ですが、今後は回数を減らしたいと思っております。

なぜなら、このような会にもメリット・デメリットの双方があり、色々と考えさせられるからです。さらに、手前味噌ながら、私自身の事情も絡んできます。

もちろん、楽しみにされている方が少なからずいらっしゃるのも、重々に承知しております・・・。あれこれ迷った結果、年2回程度が妥当と判断しました。

というわけで、セミナー後の懇親会については、原則的に3月、9月のバリュー投資塾後のみ開催とさせてくださいませ(個人で受講される場合を含みます)。

講師としても「懇親会で盛り上がればいいから」という甘えを捨て、セミナーそのものの充実を図っていく所存です。ご理解をお願いいたします。

【メリット】

●普段、職場などではできない株の話を楽しめる
●他の受講者がどのような投資を行っているか、ざっくばらんに聞ける
●講師にも、気軽に質問しやすい
●流行っているチェーンの店舗を視察できる

【デメリット】

●本来は適度な距離感・緊張感を持って接するべき講師と受講者が、悪い意味で「なあなあ」 になってしまう
●流儀の異なる同士で宗教論争が起こったり、他の受講者に対抗意識を持たれたりした場合、楽しい席になるとは限らない

【個人的な事情】

●特に東京において、丸1日セミナーを行い、その後に懇親会を開催すること自体が、体力的にきつくなりつつある
●健康上の配慮で、酒席の回数をなるべく減らしたい


■地味株でド派手なリターン(2016年9月5日)

今の私は、割安銘柄のリストアップに心血を注いでいます。景気循環と株価サイクルを考慮すれば、ここ数年以内に絶好の投資チャンスが訪れると踏んでいるからです。

9月のバリュー投資塾では、その一環として「地味株」を取り上げます。株式市場では、事業内容や社名が地味なため、割安のまま放置されている企業が少なくありません。

足元の相場は、一部の銘柄に人気が集中する二極化が進んでいるため、ただでさえ不人気な地味株はますます売られています。

しかし、よく調べてみると、その中に他の投資家が気づいていない、何か光るものを持っている銘柄群が含まれているのです。

この手の会社は、世間一般にその存在が知られるようになれば、大化けする可能性を秘めています。前もって仕込んでおき、地味株でド派手なリターンといきたいものですね。

ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。

ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。

9月のテーマは「地味株」です
日時・場所

2016年9月19日(祝) 10:30〜16:50 東京・大井町 きゅりあん

2016年9月24日(土) 10:30〜16:50 大阪・天満橋 エル・おおさか

人数

少人数制(10名様程度まで)

受講料

銀行振込 25,920円 当日現金 28,000円

3日前までのキャンセルは返金いたします。それ以後のキャンセルは次回以降の受講に振替させていただきます。

内容

バリューファンドや大口個人など投資の達人が人知れず買っている、地味で目立たない不人気株を取り上げます。

テキスト
概要

1 地味株は儲かる
1−1 ピーター・リンチの「完璧な株」
1−2 ジョン・テンプルトンの視点
1−3 意外な10倍株

2 地味株の見つけ方
2−1 会社四季報通読
2−2 スクリーニング
2−3 バリューファンドの投資銘柄

3 地味株の銘柄分析
3−1 A社(建設業)
3−2 B社(小売業)
3−3 C社(不動産業)
3−4 D社(小売業)
3−5 E社(小売業)
3−6 F社(機械)
3−7 G社(その他製品)

4 地味株の売買
4−1 相場サイクル
4−2 移動平均線
4−3 投資家心理
4−4 参考にしたいコメント


■成長ではなく膨張(2016年9月4日)

投資される経営 売買される経営』にて、琴線に触れた記述がありました。

超過利潤を上げられない会社が大きくなっていることは「成長」ではなく、単なる「膨張」に過ぎません。

この件で、以前より気になっているのが、オフィスなどへの観葉植物レンタルを収益源としているユニバーサル園芸(6061)です。同社は「みんな2〜3人でやっている、中小零細の塊のような業界」にて成長を続けてきました。

全社的な業績は堅調ながらも、セグメント間の収益性に雲泥の差が見受けられます。決算短信にて、当連結会計年度のROIC(投下資本利益率、ここでは「セグメント利益÷セグメント資産」で計算)を比較すれば、一目瞭然でしょう。

グリーン事業関西エリアが99.7%、関東エリア59.2%に対し、グリーン事業の海外エリアは5.8%、卸売りは19.4%、小売は未だに赤字です。

きまじめな森坂社長は、上場企業として、毎年のように売上と利益を増やす責任があると考えているようです。

また、オフィスビル市況の影響をダイレクトに受けるグリーン事業は景気後退期の業績に不安を抱えており、それをカバーする意味で市場規模が大きく安定している花き小売事業に魅力を感じているのも理解できます。

ただ以上の状況を鑑みても、超過利潤を出している(と想定される)国内グリーン事業を有する同社が、わざわざ海外や卸売・小売に進出する必要があるのか、はなはだ疑問です。

そんなリスクを冒すのであれば、関西エリアとの比較において、商圏的に売上拡大余地のあるグリーン事業関東エリアの深耕を図るべきと思うのは私だけでしょうか。

ユニバーサル園芸 セグメント情報(前期)

ユニバーサル園芸 セグメント情報(当期)


■孤独な長距離ランナー(2016年9月2日)

数ある投資の名言の中で、私の一番好きな言葉をあげておきます。

われわれは、孤独な長距離ランナーである。そういう心構えが長期的な投資の成功に役立つものであり、投資方針の重要な要素ともなっている。マスコミの関心の大半を集める大きなリスクをとる人たちは、われわれの投資方針とは別の世界にいる

投資のプロたち』にて、ピーター・スカーカニッチが述べています。



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