【珍スポ観光 File021】
元祖国際秘宝館(三重県)
(その1)
2007年3月、秘宝館界(?)を衝撃が駆け抜けました。なんと、あの日本最大の伊勢『元祖国際秘宝館』が3月末をもって閉館することになったというのです! なかなか私の住んでいる東京から伊勢は遠く、そのうちに……と先延ばししているうちに、ついに恐れていた事態となってしまいました。
この機会を逃すともう二度と見ることができなくなる! ということで、閉館まであと10日というギリギリの頃、なんとか仕事の都合をつけ、あわてて伊勢まで車を走らせたのでした。
……とまあ、普通でしたらここでイントロは終わり、本編に入っていくところですが、実はこの後の話があります。
とりあえず、その日は『元祖国際秘宝館』最後の姿を瞼に焼き付け、それなりに満足して帰ったわけです。ところが数日して、この秘宝館の公式ガイドブックを発行している『東海秘密倶楽部(現在「八画文化会館」)』さんのWEBサイトに「最終日の3月31日オフ会を開き、その参加者は館内撮影自由」という告知が載ったのです。
いくらなんでも行ったばかりだしなぁ……と思っていたのですが、直前になって行きたい気持ちが辛抱たまらん状態になり、前日わざわざ新しいカメラとレンズまで購入。10日とたたないうちに、再び伊勢を訪れることにしたのでした。
そんなわけで今回は、門外不出(でもありませんが……)の『元祖国際秘宝館』内部の写真を一挙大公開です!
ところで、このサイトを見にきている人の中で「秘宝館」が、どんな所か知らないという方はおそらくいないと思いますが、念のため説明しておくと、人形や映像などを使ってエロを娯楽的に展示している大人のアミューズメントパークと言えばイイでしょうか。ただ、秘宝館が生まれた当時はともかくとして、今ではリビドーが亢進して辛抱たまらん!……という客は皆無と思われます。
特にこの『元祖国際秘宝館』は、現代の社会通念からすると色々な意味で問題のある展示が多かったので、非常に真面目な方、グロテスクなものは受け付けないという方は、ここから先はご遠慮ください。
さて、館内の様子をご覧いただく前に、この『元祖国際秘宝館』の歴史を簡単に説明しておきましょう。興味の無い方はとばしてください。(このページ末へ)
日本で「秘宝館」のコンセプトを確立したのは、この伊勢の『元祖国際秘宝館』で、全国に存在する(あるいはしていた)その他の秘宝館は、そのスタイルを模倣したものといわれています。それ以前には「衛生展覧会」という、公衆衛生教育的な体裁をとったエログロの見世物や、民俗的な資料館のような施設はあったようですが、こうした等身大人形を使い娯楽性を打ち出した総合的な施設というものは存在しませんでした(徳島にあった『男女神社秘宝館』の開館は1969年と『元祖国際秘宝館』より早かったようですが、こちらの展示内容は阿波国の守護職であった坂東家に伝わってきたという秘画や彫刻の類でした)。
元々ここは、真珠会社のオーナーであった松野正人(1929-1989年)という人物が、1963年、真珠の製造直売をするためのドライブインやボーリング場などを造ったのが始まりだそうです。
松野氏は、後に「近畿・王道の会」というセックスマニア的な人々の集まり(?)において、会長を務めるような「色」に強い関心を持つ人物だったため(自分のキャラクターを打ち出すためのリップサービスもあったと思いますが、相当パンチが効いた発言をしています)、性に関する様々なコレクションを持っており、最初はその一部をドライブインで展示していました。
ところがそれが好評だったため、独立した施設を作ることにして、1972年「秘宝館」を誕生させます。とはいうものの、当初は絵画や彫刻などがメインの小規模な施設だったようです。
1976年には「11PM」(イレブンピーエム)という、私たちの世代で知らない者はいないTV番組で紹介されたり、ドラマのロケに使用され、大ブレークを果たします。全盛期の1980年頃には、一日に2000人以上の入館者があったそうです。
一方、松野秘宝館の人気を見て、この頃各地に数多くの秘宝館が誕生しました。ちょうど第一次ボーリングブームが終了した頃で、広大な駐車場を持つ施設の有効利用として丁度よかったということもあったようです。こうした模倣者への対抗上、松野氏(近畿観光)の秘宝館は、あわてて「元祖」として登録。こうして『元祖国際秘宝館』が正式名称となりました。
1981年には三重県鳥羽市に『元祖国際秘宝館・SF未来館』、山梨県の石和温泉に『元祖国際秘宝館・石和館』をオープンしますが、1986年(87年?)には警察の手入れによって石和館が閉館。SF未来館も地元の反対など様々な理由が重なり、2000年には閉館してしまいます。
そしてその後、唯一の松野氏系秘宝館として頑張ってきた伊勢の『元祖国際秘宝館』ですが、2007年3月末をもってついに終焉の時を迎えてしまった……というのは、最初にお話しした通りです(3月31日が土曜日だったため、実際は翌日の4月1日まで営業していたようです)。
満足度:★★★★★
11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/
(この頁最初へ)