【廃墟マニヤ File002】
M峰ロープウェイ(埼玉県)
(その10)
前述の通り、この駅は1964年(昭和39年)の区間変更時から使われるようになったもので、時代とともにいろいろな意識も変わったのでしょう。旧駅よりずいぶん神社に近い位置に設けられています。そのため、路線距離も200メートルほど長くなっているそうです。
2006年(平成18年)5月19日の休止以来、2年近く、また働ける日が来ることを夢みてここに駐まっていた「くもとり」君ですが、再びお客さんを乗せることも叶わないまま、お別れということになりそうです。
その内部は、年代を感じさせるインテリアでした。
区間変更時に造られたこの「くもとり」号、変更前のゴンドラが21人乗りだったのに対し、こちらは71人乗りとずいぶん大型化しています。確かにその頃は高度経済成長で、レジャーが一般化した時代だったため、乗客も多かったのかもしれません。
しかし、晩年はずいぶん寂しくなって、車内がガラガラの状態で運行していることも多かったようです。まあ、仮にゴンドラが小型だったとしても、廃止を免れることはできなかったでしょうが……。
こちらの新山頂駅、旧駅で会った作業の人たちの言うような解体の気配はまだまったく感じられませんでしたが、確かに廃止時の報道によると、この地域は秩父多摩国立公園内のため、自然公園法に基づいて原状回復が義務付けられているそうで、2009年9月までに、O輪駅、山頂駅の機械装置、建物、鉄塔6基の解体を行うことになっています。
5月も近いとはいえ、さすが山の上。日が傾くにつれ肌寒くなってきたのと、駐車場が心配なので、名残惜しい気持ちを抑えて、この場を後にすることにしました。
無事クルマを出すことができたので、途中の桜の下で残っていた食料を持ち出し、暗くなるまで花見としゃれこむことにしました(もちろんノンアルコール)。もう二度と会うことのないであろう、M峰ロープウェイに別れを告げるべく。
※2008年12月、新山頂駅は解体されました。2009年春にはO輪駅、旧山上(頂?)駅も解体の予定だそうです。
END
(2008.4)
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