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このページは2016年3月に移転しました。
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世の中で「聖書」と呼ばれる本はひとつですが、実は聖書そのものにはいろいろな版があるのです。このセクションではどうして聖書にはいろいろな版があるのか、その歴史的な背景と、英語の聖書と日本語の聖書の代表的な版について説明します。
聖書にいろいろな版がある主な理由は「底本」と「翻訳手法」の二つです。
底本
「底本(ていほん)」は翻訳の土台になる本のことです(「原典(げんてん)」と呼んだりもします)。
おおもとの聖書は旧約聖書がヘブライ語、新約聖書がギリシア語で書かれているので、それ以外の言葉による聖書はすべて翻訳ということになります。翻訳をするためにはヘブライ語とギリシア語の底本が必要ですが、実はこれがひとつではないのです。
聖書は大変古い本で、聖書が書かれたのは印刷技術が発明されるよりもはるかに昔のことです。活版印刷がいつ発明されたかには諸説あるようですが、東洋では中国や朝鮮で13世紀頃、西洋で活版印刷が普及したのは15世紀です。聖書の成立は旧約聖書の一番古い部分が紀元前の14〜15世紀頃、新約聖書の一番最後が1世紀の終わり頃ですからこれよりもはるか昔のことになります。
印刷技術がなかった頃は書物は人が手で書き写していました。書き写される前の一番最初の本当のオリジナルの聖書というのは現存しません。その当時本が記述されていた紙はどれほど上手に保存しても数千年も朽ちずに置いておくことができないのです。ですから世の中に存在する「古い聖書」のコレクションはいずれも人によって書き写されたものということになります。
中東や北アフリカ、ヨーロッパで見つかる「古い聖書」は、見つかる場所が物理的に離れているのに内容は驚くほど同じです。でもほんの少しだけ違う箇所があるのです。その違いによって「古い聖書」はいくつかのグループにまとめることができます。底本の違いとはこのグループの違いです。詳しくは次の「聖書の成り立ち(歴史)」の項をお読み下さい。
翻訳手法
底本が決まったらそれを他の言語に翻訳するわけですが、翻訳の結果は「味付け」によって様々に変わります。たとえば、
I love you.
私はあなたを愛しています。
と翻訳することもできるし、
I love you.
好きだ!
と翻訳することもできます。どちらが好きでしょうか。上の例は何だか堅くて学術的ですが、その一方で正確だし日本語を読めばなんとなくオリジナルの英文を想像できる利点があります。下の例は物語みたいで感情移入できて読みやすい印象がありますが、本当にこの人は「好きだ!」の雰囲気で言ったのかな、そこまで極端に翻訳してしまって良いのかな、 と思ったりもします。
聖書の翻訳でも翻訳手法は単語の一つ一つをそれぞれ外国語にできるだけ忠実に置き換える方法と、可能な限り読み手に文意が伝わるように「味付け」を施す方法とに別れます。前者はオリジナルの聖書のイメージを知る上で有効ですし、後者は現代人にもとても読みやすい聖書になります。詳しくは次の「聖書の成り立ち(歴史)」とそれに続く「英語の聖書の版」「日本語の聖書の版」の項をお読み下さい。