記憶の配当経験への投資物流業界の2024年問題
2007年のBRICsブーム東京セミナーを休止します
野村日本株連続増配インデックス年初来安値更新銘柄
7月のバリュー投資塾バリュー株天国ティリングハスト氏のインタビュー記事
収益性と規模の経済

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ショートコラム(2021年6月)

■収益性と規模の経済(2021年6月28日)

旧態依然とした薄利多売のビジネスを行っている、とある大手卸の役員が興味深い発言をしていました。主旨は次のとおりです。

●卸のビジネスは利益率が低い。
●一定の売上規模がなければ利益額を獲得できない。
●利益(=キャッシュ)がなければ投資も難しい。
●今後は物流センターやシステムへの投資が必要になる。
●そういう意味で参入障壁が高い。

この発言から業界の未来が予見できそうです。

●利益の絶対額が少なく、設備投資の負担に耐えられない中小卸が淘汰される
●その結果、大手卸への集約が進む

つまり大手卸にとっては、卸というビジネスの低収益性が自社にとって有利に働いているのです。収益性と規模の経済が関連している興味深い事例として紹介しておきます。


■ティリングハスト氏のインタビュー記事(2021年6月27日)

日経のサイトに、コロナショックの直後に行われたジョエル・ティリングハスト氏のインタビュー記事が掲載されています。

個人的なまとめは次のとおりです。相変わらずのティリングハスト節が炸裂しており、読んでいてホッとしました。

●この難局を乗り切るには、負債が少なく財務が強固であることも求められる。
●普段は、ライバル企業とは何か異なる点のある会社を探している。
●その会社の価値や収益力に比べて株価が割安な間は持ち続ける。
●変わらないのは、会社の価値に照らして割安な銘柄を買うことだ。
●ビッグチェンジには乗ろうとしているが、誰もが注目して最も人気のある銘柄には投資しない。

なおティリングハスト氏の投資手法は、著書『ティリングハストの株式投資の原則』でガチに語られています。興味をお持ちの方は、読んでみてください。


■バリュー株天国(2021年6月25日)

昨日、四季報夏号を読み終えました。通読に時間を要したのは、割安に感じられる銘柄が多かったからです。

いったい、どうしたことか? まるでバリュー株天国じゃないか!

当初は「割高な株はより高く、そうでない株はそれなりに」という二極化相場が続いたため、銘柄間の格差が開いたのかと思っていました。

しかし日経平均が高止まりする中で、割安銘柄のゴロゴロしている状況は納得できません。付せんを貼りまくっていくうちに、ふたつの理由が見えてきました。

(1)景気のピーク時は見かけ上の低PER銘柄が増える
(2)四季報の業績予想が強気すぎる

コロナ禍で業績が悪化している一部の業種を除き、景気自体は良好です。つまりEPSに下駄を履かされている銘柄が少なくありません。そこに四季報の楽観的な業績予想が加わり、EPSがますます膨張しています。

実際、その通りに事が運べば、みんなハッピーでしょう。しかし投資の世界では、コンセンサスが外れることも珍しくないのです。

一見、バリュー株天国に見えて、実はバリュートラップ地獄が待ち構えているのではないか?

表面上のPERを過信し、安易な銘柄選択を行えば、痛い目に合うかもしれません。四季報夏号から銘柄選択を行う場合、業績を深読みする必要がありそうです。


■7月のバリュー投資塾(2021年6月21日)

今後のバリュー投資塾については、当面の間、大阪のみで開催します。

恐れ入りますが、会場までお越しになれない方は音声CDをご活用くださいませ。音声CDは大阪セミナーで収録を行い、7月20日頃の発送を予定しております。

7月のテーマは「連続増配企業」です。長きにわたって配当金を増やし続けている、連続増配企業の分析を行います。長期的に保有でき、株式投資による資産形成に向いている投資対象です。

ご参加を希望される方はメールにて、氏名と電話番号(列車が遅れた際など、非常時の連絡に使用します)を記入してお申込みくださいませ。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。

ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。

7月のテーマは「連続増配企業」です
日時・場所

2021年7月10日(土) 10:30~16:50 大阪・天満橋

人数

8名様まで

会場側の要請により、定員の半数で開催します。

受講料

銀行振込 26,400円 当日現金 28,000円

3日前までのキャンセルは返金いたします。以後のキャンセルは音声CDでの受講に振替させていただきます。

なお当面の間、発熱・咳などで当日の体調が優れなければ、受講の見合わせをお願いいたします。その場合、受講料は返金いたします。

音声CD

銀行振込 26,400円

7月20日頃に発送できる予定です。郵送の他、Googleドライブ経由によるデータでの受け渡しも承ります。

概要

長きにわたって配当金を増やし続けている、連続増配企業の分析を行います。

テキスト
目次(仮)

第1部 連続増配企業のパフォーマンス
1-1 米国配当貴族指数
1-2 野村日本株連続増配インデックス
1-3 連続増配企業のシミュレーション
1-4 連続増配企業の特徴

第2部 連続増配の途切れた企業
2-1 明光ネットワークジャパン(4668)
2-2 しまむら(8227)

第3部 連続増配企業の個別銘柄分析
3-1 A社(31年連続増配)
3-2 B社(21年連続増配)
3-3 C社(20年連続増配)
3-4 B社(20年連続増配)
3-5 B社(17年連続増配)


■年初来安値更新銘柄(2021年6月18日)

トレーダーの中には年初来高値更新銘柄をチェックしている方が少なくないそうです。それに対してバリュー投資家は年初来安値更新銘柄をチェックしています。私もその一人です。

6月に入っても日経平均は高止まりしているものの、このところ年初来安値更新銘柄に気になる会社が増えてきました。本日は次の10社です

コード 社名 株価 PER PBR 配当利回り
4465 ニイタカ
2,406
10.93
1.18
1.08
6540 船場
815
20.27
0.81
3.07
7296 エフ-・シー・シー
1,606
8.40
0.61
3.24
7453 良品計画
2,071
15.64
2.69
1.93
7618 ピーシーデポ
429
15.34
0.82
3.26
7673 ダイコー通産
1,426
11.07
1.17
3.16
7833 アイフィスジャパン
707
14.11
1.56
2.12
8282 ケーズHD
1,257
8.10
0.94
3.18
8766 東京海上HD
5,057
11.13
0.96
4.25
9997 ベルーナ
969
7.49
0.83
1.96

年初来安値更新銘柄は、然るべき理由があって下げていることが大半です。しかし、ときおりミスプライシングを起こしている場合があり、バーゲンハンターに投資チャンスを提供してくれます。

久しく東証のバーゲンセールに参加していない私も、この週末に少し調べて見ようかと思っています。洋服も株式も、価値のあるものが安売りされているときに上手く買いたいものです。


■野村日本株連続増配インデックス(2021年6月13日)

米国では連続増配企業で構成される配当貴族指数が長期的に良好なパフォーマンスを示しています。そこで「我が国の連続増配企業はどうなのか」とデータを探してみたところ、野村證券が公表していました。

野村日本株連続増配インデックスは、過去において一定期間、毎年連続して増配した銘柄(2000年末以降は5年以上、2008年末以降は6年以上)を構成銘柄とする日本株指数です。

この指数は特別配当や記念配当を除いた配当金のみを対象としている点が優れています。日本企業では特別配当や記念配を出したがために連続増配の途切れるケースが散見されるからです。

パフォーマンスに関しては、2013年までRussell/Nomura 日本株インデックスのバリュー指数に水をあけられていたものの、2014年に逆転し、それ以降は連続増配インデックスが優勢となっています。

長期投資を行うのであれば、日米を問わず、連続増配企業に注目するのも一興です。

バリュー指数と連続増配インデックス


■東京セミナーを休止します(2021年6月10日)

コロナ禍で角山オフィスの売上が落ち込む中、個人事業主として苦渋の決断を迫られることになりました。

7月以降の東京セミナーに関しては、新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間は休止します。直前まで開催できるかどうか分かりかねる事態が続いており、開催できたとしても受講を見合わせる方が増えてきたからです。

また東京会場は現地での手続きが必要なため、2カ月毎の開催が途切れれば今後の予約が取れなくなります。さらに来年1年間は耐震工事の実施による休館が決まっており、下見ができず新しい会場の確保も難しい足元の状況では、休止もやむを得ないと判断しました。

なお大阪セミナーは、会場が使用できる限りは続けるつもりです。大阪も開催できない場合、自宅などで収録した音声CDのみのご提供となります。

東京セミナーへの出席を予定されていた方には、ご不便をおかけする形となり、誠に申し訳ありません。当面の間、音声CDでの受講をお願いしたいです。当方としても、日常生活からコロナへの不安が消え去り、リニューアルされた会場で東京セミナーが開催できる日を心待ちにしています。


■2007年のBRICsブーム(2021年6月8日)

昨今の米国株人気を見るにつれ、思い出す出来事があります。かつてBRICsへの投資ブームが起こったとき、大阪で開催された食事会にゲストとして招かれた話です。

たしか2007年頃でした。香港まで出向いて現地で口座を開き、BRICsに本腰を入れて投資している熱心なメンバーの集まりでした。

折りしもBRICs株が急騰しており、皆さん相当に儲かっていたと思われます。乾杯が始まるや否や、会場は熱気と熱狂が入り混じった独特の雰囲気に包まれました。

宴もたけなわになると、BRICs株を持っておらず、部外者で一人だけ冷静だった私にも質問が飛んできます。

今、買うとしたら何がおすすめですか?

困りました。当時は世界的な株高で、おすすめできるものが皆無でした。2006年のライブドアショックで壊滅した我が国の小型株のみ蚊帳の外でしたけど、チャートが崩れており投資できる状況ではありません。しばし考えてから苦し紛れで答えました。

個人向け国債はいかがでしょうか?

一瞬にして場がしらけました。そんな中、沈黙を打ち破るように、一人の女性が声を上げます。

日本の国債なんか、信用できないわ。

お酒が入っていたこともあり、実際は関西弁丸出しの、もっときつい言い方でした。参加者からどっと笑いが起こります。

あなた方の買っているBRICs株よりは、信用できると思うのですが・・・。

喉まで出かかった言葉を、ぐっと飲み込みました。その後、私の話などなかったことのように、食事会は再び盛り上がりました。あの投資家グループは、今頃どうしているのでしょうか。

【上海総合指数 月足チャート】

上海総合指数 月足チャート


■物流業界の2024年問題(2021年6月6日)

カーゴニュースによれば、「福山レールエクスプレス4号」の運行に際し、福山通運の小丸社長が次のコメントを発表しています。

令和6年問題(物流業界の2024年問題)は非常に厳しく、長距離輸送の手段はフェリーかJRコンテナしか選択肢がなくなるだろう。

これは大変危機的な状況であり、そのときになって慌てても仕方がなく、コンテナが不足する事態も想定される中で、先を読んだ経営判断として今回(福山レールエクスプレス4号)の運行を決めた。

月間の拘束時間293時間を上回らないようにするには、700㎞以上はワンマンでトラック運行できないのではないか。

“大変危機的な状況”という言葉が印象に残りました。また各企業にとっても、物流コストの跳ね上がる恐れがあります。

2024年まで、残された時間はそう多くありません。投資家としては、常に頭の片隅に入れておきたい問題です。


■経験への投資(2021年6月3日)

記憶の配当を得るためには、経験に投資する必要があります。今、やってみたいことのひとつが、株主総会への出席を兼ねた旅行です。

一例をあげれば、Hamee(3134)の株主総会に出席後、小田原城を観光し、天史朗寿司で海の幸を堪能するといった塩梅です。

そのためには、前もって株主総会のチケットを買い求めておく必要があります。経験への投資が目的につき、下手に「儲けよう」と思わないほうがいいのかもしれません。


■記憶の配当(2021年6月1日)

旧知の個人投資家、www9945さんに紹介された『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』を読みました。

私のようにコツコツ貯めている、いわゆるアリ派の人間には、全くなかった発想に驚かされました。ヘッジファンドのマネジャーでもある、著者の主張は次のとおりです。

●人生とは経験の合計であり、一番大切な仕事は思い出づくり
●経験からは、その瞬間の喜びだけでなく、後で思い出せる「記憶の配当」が得られる
●とにかく早い段階で経験に投資すべき。そうすれば年齢を重ねるほど「記憶の配当」がもたらす、驚くほど多くのリターンが得られる

数年後に還暦を迎え、今後の身の振り方を思案していた私自身にとって、色々と考えさせられる内容でした。もし皆さんの中に近い立場の方いらっしゃれば、ぜひとも一読をおすすめします。



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