3月の日銀短観トレーダーと長期投資家サンプルレポート公開します
バブル前夜株主総会のチケット心理的側面景気と株価
節目を迎えた日経平均売上拡大余地販売代理店への依存リスク

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ショートコラム(2021年4月)

■販売代理店への依存リスク(2021年4月30日)

4月28日、AI inside(4488)が「大口販売先ライセンスの不更新見込に関するお知らせ」を発表しました。

同社の時価総額は1,459億円(4月28日終値)。東証マザーズの時価総額ランキングで12位に位置し、予想PERは119.1倍です。個人投資家に人気の銘柄と言ってもいいでしょう。

「お知らせ」の大まかな内容は次のとおり。

OEMパートナーであるNTT西日本が未使用分のライセンスの更新を行わないと通知

●利用シーンにまで踏み込んだ提案ができず、多くのユーザーが1年間の最低利用期間を待たずに解約したため

●ライセンス9,284件のうち、2021年4月の不更新見込は470件、5月から6月は7,636件で、今後増加する可能性もある

●2021年3月期の業績に影響はない

●ライセンスがすべて更新されないと仮定した場合、2022年3月期に17億円のリカーリング売上が減少する

2021年3月期の売上高は44億円(会社予想)につき、これは相当にインパクトのある数字です。

図らずも、同社の有価証券報告書に記載されていた「販売代理店への依存リスクについて」が表面化した形となりました。

販売代理店への依存リスクについて

ちなみに売掛金の相手先内訳を見れば、NTTデータ以外にも、NTT東日本やNTT西日本の割合が高いことが分かります。この数字から類推すれば、NTTグループに対する依存度が相当に高いのではないでしょうか。

売掛金の相手先別内訳

私はソフトウェアの会社を分析する際、なるべく販売方法(直販主体か、代理店主体か)についても調べるようにしています。特定の代理店に大きく依存している会社は、同社のようなリスクが常に存在するからです。


■売上拡大余地(2021年4月25日)

売上拡大余地を考慮する場合、皆さんならどちらの会社に投資したいでしょうか?

●旧態依然とした成熟産業・斜陽産業にて、ショボい中小零細企業からシェアを奪う形で、売上拡大を目指すA社

●技術の進化が著しい成長産業にて、手強い大手グループとの厳しい競争を勝ち抜き、売上拡大を目指すB社

私ならA社を選びます。昔ながらの成熟産業・斜陽産業に属する会社のほうが、将来的な収益予想を立てやすいからです。


■節目を迎えた日経平均(2021年4月21日)

昨年11月以降、力強い上昇の続いていた日経平均ですが、久々に節目を迎えました。というのも、日足ベースで株価が75日移動平均線を割り込んだからです。

順張りのポジショントレードでは、いったん売りを検討すべき局面です。再び買いを入れるにしても、日経平均が3万円を上放れる時点まで待つことになります。一方、逆張りの長期投資では、まだ買い出動するほど株価が下がっていません。

このような状況における参加者は、目先の材料を手がかりとしたデイトレやスイングなど短期のトレーダーが中心になると想定されます。相場の方向性が見えてくるまで、神経質な展開が続きそうです。

日経平均 日足チャート(6カ月)


■株価と景気(2021年4月17日)

株価と景気に関して「株価は企業業績を先読みする形で、景気に半年から1年ほど先行して上げ下げする」という解説を聞かれた方も多いと思います。

でも本当でしょうか? この話が事実なら、景気予測のできる投資家が一定の割合で存在することになります。そんなことができれば、一生左うちわで暮らせるはずです。

私見を申し上げれば、株価が上がるから景気が良くなる(あるいは株価が下がるから景気が悪くなる)のではないかと考えています。次のようなサイクルが周期的に繰り返されているのです。

(1)投資家がポジティブになる
(2)株価が上がる
(3)経営者もポジティブになる
(4)景気も良くなる

(5)投資家がネガティブになる
(6)株価が下がる
(7)経営者もネガティブになる
(8)景気も悪くなる

ここで厄介なのは、いつ投資家がポジティブからネガティブに変わるのか(あるいはネガティブからポジティブに変わるのか)が事前には全く読めないことです。

メディアで「日経平均4万円」と力説している専門家の発言内容を「私は人間の心理が先読みできます。日経平均が4万円になるまで投資家がポジティブであり続けると断言します」と置き換えてみれば、占い師レベルにしか受け取れないでしょう。

ゆえに自己資金を運用する身としては、あくまでざっくりした現状分析に留めるべきであり、株価や景気の先行きを予測して利益を上げる試みは徒労に終わると認識したほうがベターです。

私自身、足元の日経平均を割高と感じながらも決して空売りをしないのは、もうしばらく市場参加者がイケイケであり続ける可能性を否定しないからです。

といっても生身の人間である以上、いつかは高揚している気持ちの切れる日がやってきます。そのときをじっと待っているのです。


■心理的側面(2021年4月15日)

たまたま読み返していた『世紀の相場師ジェシー・リバモア』の付録「投資の鉄則」が刺さりました。

株式市場を動かすのは理性や理論、純粋な経済活動などではなく、人間の心理的側面であること、そして人間の本性はいつの世も変わらないと心得ること。

「コロナ禍にもかかわらず、なぜ日経平均が3万円前後の高値を付けているのか」と問われれば、「現時点では楽観派が圧倒的多数を占めているから」が答えになります。

もっともマーケットの歴史を振り返れば、バブルとその崩壊の繰り返しであり、楽観ムードは永遠に続かないものです。長期投資家としては、悲観ムードを株式市場が支配するまで、死んだふりをしているのが一番でしょうか。

それが嫌であれば、リバモアのようなトレーダーに転身するしかありません。食うか食われるかで、とにかく生存競争の厳しい鉄火場ですけど。


■株主総会のチケット(2021年4月14日)

今、思案中の投資アイデアがあります。

●株主総会のチケットとして、気になる会社の株を1枚ずつ買っておく
●株主総会への出席を通じ、その会社への理解を深めるつつ、投資対象を絞り込む
●この作業を繰り返しながら、次の弱気相場を待つ
●弱気相場が訪れれば、本命の会社に本腰を入れた投資を行う

この手法の問題点は、最初に1枚だけ買った大半の株が無駄になってしまうことです。損をしてしまうケースも少ないないでしょう。

もっとも何事にも先行投資は付き物です。そう割り切れば、やってみる価値はあると思います。


■バブル前夜(2021年4月12日)

本日、書店の店頭で目を引いたタイトルは週刊エコノミスト 2021年4月20日号「バブル前夜」です。「バフェットが日本株買い増しへ」のキャッチコピーにつられて、思わず立ち読みしてしまいました(苦笑)。

週刊エコノミストと言えば硬派のイメージがあったのですけど、今では随分と読みやすくなった気がします。もっとも日経平均4万円とせず、3万5千円に留めているあたりがいかにも同誌らしいです。

週刊エコノミスト2021年4月20日号


■サンプルレポート公開します(2021年4月9日)

久々に月刊レポートのサンプルレポートを公開します。

●銘柄分析レポート2020年8月号:四季報夏号で気になった銘柄
●資産運用レポート2020年3月号:長期投資のリスク管理

他では読めないユニークな内容であると自負しております。体験購読も受け付けておりますので、ご検討くださいませ。


■トレーダーと長期投資家(2021年4月7日)

株式市場には、2種類の人間がいます。株式トレーダーと長期投資家です。

基本的に、トレーダーは「トレンドがしばらく続く」と考えます。長期投資家は「短期的にはトレーダーの言うとおりかもしれないけど、長期的にマーケットは平均に回帰する」と考えます。

足元の相場に関して、トレーダーは「上昇トレンドだから参加しよう」とします。長期投資家は「株価の過大評価がはげ落ちるまでじっくり待とう」とします。

ときおり、トレードと長期投資の両方をやろうとする投資家を見かけます。私見を申し上げれば、天賦の才能を持ち合わせていない限り、一人でまったく異なる人種を掛け持ちするのは無理です。

要するに、自分がどちらに属しているか把握していれば「今、何をすべきか」が見えてきます。そうでなければ、日々の値動きに右往左往することになりがちです。


■3月の日銀短観(2021年4月1日)

本日、3月調査の日銀短観が公表されています。

個人的に一番注目している「業容判断の推移」では、景気の先行指標となる大手製造業がすっかり回復しました。 このグラフを見る限り、2019年あたりから始まった今回の不況は終わったと言えそうです。

問題は今後です。グラフの予測は下向きとなっており、景気回復局面が短命に終わる可能性を示唆しています。もし、そうなるのであれば、実体経済と乖離している株価の説明ができません。

楽観ムードに支配されているマーケットでは、日銀短観が好材料として受け入れられ、本日の日経平均は上昇しました。しかし手放しで喜べる状況ではなさそうです。

日銀短観 業容判断の推移



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