3つの顔、1月のバリュー投資塾、バブルとは、
鶏卵が15年ぶり安値、残念に思うこと、病は気から、
「海外ファンドの投資銘柄」音声CD、若き日のジム・ロジャーズ、
人の人生を決める仕事、株価崩落に備えよ、
几帳面すぎないこと、投資家はどこを見ているのか
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ショートコラム(2019年1月)
■投資家はどこを見ているのか(2019年1月31日) |
経済産業省の公表している資料に、興味深いグラフが掲載されていました。機関投資家は財務情報をあまり重視していないという調査結果です。 私自身も決算書の定量分析より、非財務情報である定性分析に力を入れています。個人投資家に定性分析は荷が重いのではないかという意見もあるかと思いますが、難しい会社を投資対象から外すことで、この問題をほぼクリアできます。 それが内需関連のローテク銘柄を好む理由のひとつです。 |
■几帳面すぎないこと(2019年1月30日) |
日経の記事にて、シニアファンドマネジャーの葛原健吾氏が「ファンドマネジャーに必要な資質はなんですか」と聞かれ、次のように答えています。 きちょうめんすぎないことです。個別銘柄に投資するとき、初めから全部を完璧に知る必要はありません。 限られた時間内に集めた情報をもとに良いと判断したら投資します。保有して確信が強まれば買い増せばいいし、違ったと思えば売ればいいのです。 また底値で買おうと思い、タイミングにこだわりすぎてもいけません。 同感です。性格的に几帳面な私は、あえてざっくりとしたファンダメンタル分析を行うように意識しています。バランスシートなど財務三表の細かい分析も、最近ではめったにやらなくなりました。 テクニカル分析に関しても、使っているのは移動平均線ぐらいで、あまり深入りしていません。 株は、どうしても運に左右される部分があります。分析はそこそこにとどめ、裏目に出たときの対応を前もって決めておくことです。もしそうなれば「今回は仕方ない。次、頑張ろう」でいいと思います。 |
■株価崩落に備えよ(2019年1月28日) |
本日に発売される『週刊東洋経済 2019年2/2号』のタイトルは「株価崩壊に備えよ」。投資家であれば、ついつい手が伸びてしまう表紙です。 出版社も商売につき、一番売れそうなタイミングで週刊誌の特集を組みます。しかるに株が高値を付けたあたりで投資家の強欲を刺激し、安値を付けてから恐怖心を煽るのがいつものパターンです。ときには逆指標となってしまうわけですが、そんなことを会社側は気にしていないでしょう。 今後に関しては、短期的に堅調な局面が期待できるかもしれません。バリュー投資家にとって朗報とはいいがいたいですが。 |
■人の人生を決める仕事(2019年1月25日) |
昨年まで年2回のペースで外部講師を務めていた、株式投資スクール短期集中コースの担当が、今年から年5回に増えました。 大阪開催分の1日目は、ほぼ私が話をすることになります。「株式投資を勉強する」という一大決心をして、株式投資スクールを受講されるお客様が初めて顔を合わせる講師というわけです。 我が国は資本主義社会であり。やり方さえ間違わなければ、株式投資で中長期的にリターンを得られるはず。にもかかわらず、損をしてしまう個人投資家が少なくないのは残念なことです。 たとえ少しずつでも株式投資で資産を増やしていけるか、それとも虎の子の資金を失ってしまうかでは、天と地ほどの違いがあるといっても過言ではありません。 株式投資スクールを受講される方に正しい最初の一歩を踏み出していただけるように、やや大げさにいえば「人の人生を決める仕事」だという決意で臨みたいです。 今年の初回は2月9日(土)。ただいま教科書を読み返しながら、何をお話しすべきかを再検討するとともに、当日に使用する補助資料を作成しているところです。 |
■若き日のジム・ロジャーズ(2019年1月21日) |
『新ファンド・マネジャー』(後に『マネーマスターズ列伝』として再編)に、当時はキレキレだった、若き日のジム・ロジャーズのアドバイスが掲載されています。 そんな場合、お金は耳をそろえて財務省証券かマネーマーケットファンド(MMF)に入れておくべし。あとは気楽に泳ぎに行ってもいいし、映画を見てもチェッカーをやっても、何でも好きなことをしていればよろしい。 そうこうするうちに、自分が熟知している分野で、これはと思う買い物がきっと現れる。そこですかさずMMFから全部払い出して敢然と買い向かい、3年でも5年でも10年でもじっと待つ。 他の誰よりも詳しい投資対象を買ったのだから、売り時が来れば自ずと分かるはず。今後はそっくり換金してまたMMFに戻し入れ、次のチャンスを待つんです。時期が来たら同じプロセスを繰り返してまたたっぷり頂く。 そういえば、サイバーエージェントの藤田社長もほぼ同じ意味合いのコメントをしていました。 自分の得意分野で儲けのチャンスが来るのを待てるようになれば、株式投資で資産を築けるのでしょう。しかし悲しいかな小市民の分際では、つい余計な売買に走ってしまいます。投資の軸がぶれないようにしたいものですね。 |
■「海外ファンドの投資銘柄」音声CD(2019年1月17日) |
1月のバリュー投資塾「海外ファンドの投資銘柄」音声CDが出来上がりました。 今回は相場の状況を鑑み、個人投資家として自己資金を運用する立場から、投資環境の説明にも力を入れています。 いつもはセミナーテキストの内容に入る前、30分ほどお話ししている市況解説に、その3倍近い時間を割いて、いくつかポイントを述べました。 マーケットが混迷を極める中、今後の投資を組み立てる上で、ぜひとも頭の片隅に入れておきたい内容であると自負しております。 ご購入を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 なお、既にお申込み・ご入金をいただいた分は、本日中に最寄りの郵便局から発送予定です。 |
■病は気から(2019年1月13日) |
先日に内閣府から発表された、昨年12月の景気ウォッチャー調査(街角景気)の回答に、「株価」という言葉がやたら目立ちました。 ここでのポイントは、人々が「株価が下がれば景気も悪くなる」と思い込んでることでしょうか。景気が悪くなることを前提に、企業は投資を減らし、個人は消費を控えるわけですから、実際にそうなってしまうわけです。 以下に、私の気になったコメントをいくつかピックアップしておきます。 【現状】 株価が暴落しているため、客が将来に対して悲観的になっている(北海道、住宅販売会社)。 今まで売上をけん引していた宝飾品や高級時計、絵画などが株価下落の影響により前年を割っている(南関東、百貨店)。 当地域のような高収入、高資産の客が中心の街は、株価の動きに売上が左右される。株価が安定して良いとクレジットカードの売上が良くなるのだが、株価が乱高下すると低水準となる。11〜12月はこれが顕著に出ている(南関東、商店街)。 米中の貿易摩擦や株価の値下がり等により、経営者のマインドが少しずつ下がっているように思える(南関東、金融業百貨店)。 米国の株安による影響を受けて、この1週間ほどで急に株価が暴落してきた。世界的な傾向であるが、この状態がいつまで続くか心配である。客の購買意欲にも大きく影響しそうである(近畿、その他専門店)。 株価の大幅下落が気になる。株価の下落が消費者マインドに与える影響は大きい(四国、輸送業)。 株価の暴落や円高傾向に関する声が客から多数上がっており、客は経済的不安を感じている(九州、通信会社)。 【先行き】 最近の株価の状況も非常に不安定であり、大きなイベントもないため、消費者の出控えや買い控えが進むのではないか。特に旅行などは一番削られてしまうジャンルである(東北、旅行代理店)。 不安定な株価の動きが続くと広告費を手控える企業が出てくるため、先行きは不透明である。新元号への期待が膨らむなか、水を差す結果が懸念される(東北、広告業協会)。 経済情勢が不安定ななか、今月は、株価下落が高額品に与える影響が極めて大きくなっている。しばらくの間は、富裕層の買い控え、様子見が続く(南関東、百貨店)。 年末に株価下落など明るいニュースがないので、広告などにはなかなか回らないのではないかと懸念している(南関東、その他サービス業)。 年末から株価が大きく下降しており、コンビニは反応が遅いが、過去に株価が下降したときには販売も徐々に落ちてくることがあり、しばらく厳しい(東海、コンビニ)。 今月は来期予算を策定する企業が多いが、ここ最近の株価下落が来期予算の策定に影響する可能性もあり、2〜3か月先の景気はやや悪くなる(東海、人材派遣会社)。 年末の必要時期に売れないことから判断すると、1〜3月に落ち込む傾向にある過去の経験から今後悪くなる。株価の下落等により、先行きは良くない(九州、商店街)。 |
■残念に思うこと(2019年1月11日) |
株式投資セミナーの講師をしていて残念に思うのは、株高局面で参入して、株安局面で撤退する個人投資家があまりにも多いことです。 というのも株安局面こそが、活きた経験を積み、投資家としてレベルアップするための絶好の機会だからです。 極論すれば、株を始めてから最初の株安局面を乗り切れるか否かが、企業のパーシャル・オーナーとして資本家サイドに回れるかどうかの岐路となります。 それができなければ、一生、資本家のために働き続けるしかありません。まあ価値観は人それぞれですから、どの道を選ぶかは本人の自由でしょう。 ひとつだけ言えるのは、我が国は資本主義社会であり、資本家にとって有利に(それ以外の人々にとって不利に)できていることです。 |
■鶏卵が15年ぶり安値(2019年1月9日) |
昨日、ヤフーのトップニュースに「卵15年ぶり安値 10個100円も」という見出しが躍りました。 供給過剰を背景に鶏卵の価格が下落している。 基準となる「JA全農たまご」のMサイズの卸売価格は、東京地区の今年初値が2004年以来、15年ぶりの安値となる1キロ当たり100円だった。 家庭にとっては負担軽減となるが生産者は厳しい状況に陥るため、国が補助する生産の抑制が実施される可能性がある。 この件に関しては『ティリングハストの株式投資の原則』の指摘が的を得ています。 一次産品の生産企業は投機家の遊び場であるが、投資家にとっては地雷原である。生産物はすべて均一で、需要と供給を反映した市場価格で取引される。 もっとも業界唯一の上場企業にとって、ピンチはチャンスにもなりえます。経営者の力量が問われる局面であり、ここはお手並み拝見といきたいものです。 |
■バブルとは(2019年1月8日) |
『ティリングハストの株式投資の原則』より、最高に皮肉の利いている文章を引用します。 バブルとは、自分たちが楽しんでいない市場の暴騰に対する人々の呼び名である 強気相場の天井にて「今はバブルだ」と声高に叫ぶ人が少ないのは、自分たちもこぞって参加し、一時的にその状況を楽しんでいるからです。 その後、バブル崩壊によって大損した投資家の続出する頃、ニュースの見出しに「バブル」という3文字が踊り、魔女狩りが始まります。 天邪鬼な私は、今回のバブルにどんな素敵な名称が付けられるのか、興味津々です。ネーミングが決まれば、そろそろバリュー投資家の出番でしょうか。 |
■1月のバリュー投資塾(2019年1月3日) |
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有望銘柄を見つけ出すために、年数回行っているルーチンワークがあります。 それは海外ファンドのアニュアルレポートをダウンロードして、保有している日本株のチェックを行い「なぜ、この企業に投資しているのか?」自分なりの検討を加えてみることです。 なぜ、わざわざ海外ファンドを調べるのかといえば、我が国には株式投信を筆頭に「短期・順張り」の回転売買を手がけるファンドが散見されるからです。みさき投資の資料(下図)にも、はっきりとその傾向が表れています。実際に月報のトップテン銘柄が激しく入れ替わり、面食らうこともたびたびです。 一方で海の向こうには、長期的視野を持ち、じっくりとした投資を行う私好みのファンドが少なくありません。とりわけ興味深かったのは、黒い目の外国人(日本人)の運用しているファンドでした。海外のほうが、長期投資をやりやすいのでしょうか。 1月のバリュー投資塾では、個人的にお気に入りの4つのファンドについて、投資銘柄を分析します。ひょっとすると、皆さんのウォッチリストに加えたい銘柄が見つかるかもしれませんよ。 ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。
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■3つの顔(2019年1月2日) |
50代の将棋ファンで、谷川浩司九段のファンでない方は滅多にいないと思います。 文春オンラインに、その谷川浩司九段のインタビューが掲載されていました。個人的に琴線に触れたのが、次の箇所です。 研究と勝負という観点で言えば、将棋界でよく用いられる「棋士は研究者、芸術家、勝負師の3つの顔を持つ」という言葉はもともと谷川九段が語ったものです。 先日、初タイトルを獲得した斎藤王座も3つの側面を比較し「自分には勝負師の要素が足りない」と痛感したことが成長につながったと語っています。 かつての私は、芸術家としての要素も、勝負師としての要素も欠けていました。ファンダメンタル分析一本やりで戦い、その限界を露呈させられたのが2008年のリーマンショックでした。 それから株式投資の勉強をやり直し、今では「このチャートは、一目でダメ」といった感覚を持てるようになりました。喫茶の課題は、奇しくも斎藤王座と同じく「勝負師の要素が足らない」ことでしょうか。 リスク許容度との兼ね合いを図りつつ「とことん投資チャンスを待ち、思い切った投資を行い、一定の成果を得られるまで微動だにせず持ち続ける」という理想の投資家像に近づけるよう、精進を積み重ねたいもの。これが2019年のテーマです。 |
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by 角山智