タイムスリップ瀬戸際のラッセル2000続・イールドスプレッド
経営者を買え続けるということRIZAPグループ強迫観念
株安が不況を招く特に何もしない日日経平均を動かせる男倹約貯蓄

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ショートコラム(2018年12月)

■倹約貯蓄(2018年12月30日)

本多静六博士の名著『私の財産告白』より引用します。

したがって、投資戦に必ず勝利を収めようと思う人は、何時も、静かに景気の循環を洞察して、好景気時代には倹約貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を、時期を逸せず巧みに繰り返すよう私はおすすめする

今年はこの教えに従い、倹約貯蓄に励んだ一年でした。来年もこのまま好景気が持続するのなら、引き続き倹約貯蓄を続けます。もし不景気に転じるのであれば、思い切った投資を行うつもりです。

とにかく景気の循環に合わせて、黙々と行動するだけ。そのための準備を、常日頃から怠らないのが投資家の仕事でしょうか。


■日経平均を動かせる男(2018年12月26日)

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』を読了しました。

あくまで私見ながら、資本家的な視点が必要な長期投資に対し、デイトレなどの短期売買は点数を競うゲームに近いと認識しています。

そのゲームを極めたのが著者。自分が住んでいる世界と全く別次元の空間で起きた、ひとつのサクセスストーリーとして、映画を見ているような感じで楽しく読めました。

興味深かったのは、売買の本質にふれている箇所で、少なからぬ共感を得られたこと。全然違う競技を行っているのに、そういったところは共通のようです。


■特に何もしない日(2018年12月25日)

自分の流儀が決まっていれば「日々、何をすればいいのか」自ずと明らかになっているものです。

本日、株価が大きく下げるであろうことは、昨晩のNY市場でほぼ確定していました。しかし投資に関して、私には特にすることがありません。いつものように淡々と、本業のセミナーテキストやレポートを書いているだけ。

今、マーケットで目をらんらんと輝かせているのは、逆張りのスイングトレーダーでしょうか。


■株安が不況を招く(2018年12月21日)

待望の日本語訳が出版された『ティリングハストの株式投資の原則』より引用します。

ほとんどの投資家は、経済の変動によって株式市場がどのようになるかが分かるというが、それは逆である。株式市場によって、経済がどうなるかが分かるのだ。

(中略)議論の余地はあろうが、株式市場が低迷すれば、アニマルスピリットは落ち込み、不況の原因となるわけだ。

強く同意します。一般論として「株価は企業業績や景気を先読みして上げ下げする」と言われることが多いです。また私自身も、外部講師を務めている株式投資セミナーなどで、便宜上、そういった説明をすることがありました。

しかし最近は、逆ではないかと思っています。天才ファンドマネジャーのジョエル・ティリングハスト(ティリンガスト)氏が同意見なのですから、やっぱりそうなのでしょう。

大半のビジネスパーソンは「株が上がり始めると、やがて景気も良くなるだろう」と信じ込んおり、ポジティブになります。株が下がれば、ネガティブになります。

悲しいかな私たち人間の行動は、感情に左右されるのです。企業経営者だって生身の人間です。

そう考えれば、株価が企業活動や個人消費に与える影響を侮れません。日々の値動きは無視すべきでしょうが、月足ベースの大きな流れには注意が必要です。


■強迫観念(2018年12月18日)

相場で儲け続けられる人は、20人に1人とも言われています。複数の業界関係者によれば「20人に1人もいない」とか。

そんな厳しい世界につき、とにかく生き長らえているだけで御の字。にもかかわらず、何からの強迫観念にとらわれている個人投資家が多すぎる気がしてなりません。

●何か買っていないといけない
●今年もプラスで終えなければならない
●こんなパフォーマンスでは恥ずかしくてツイートできない

株なんて、ときたま訪れる、ヘボな自分の腕前でも儲けられそうな局面だけ参加して、後は高みの見物でいいのです。

もっとも新聞片手に競馬場まで出向いておきながら、いつ来るか分からないオッズの有利なレースまで、ひたすら馬券を買わずに見続けているのはつらい事なのかもしれませんが・・・。1レース毎に一喜一憂している人々の中で、一人だけ仲間外れの気分を味わいつつ。


■四季報新春号のチャート(2018年12月15日)

四季報新春号には、次のような株価チャートの銘柄が多く見受けられます。短期売買を行うトレーダーが苦戦を強いられ、高値をつかんだ投資家も含み損に苦しんでいる光景が目に浮かびます。

【JASDAQ平均 2003年7月〜2006年12月】

JASDAQ_200307_200612

マーケットの歴史が繰り返されるのであれば、1年後の会社四季報には下記のまるで富士山のようなチャートが多数掲載されていると想定されます。塩漬け株を抱える投資家がさらに増えて、市場心理も相当に悪化していることでしょう。

【JASDAQ平均 2004年7月〜2007年12月】

JASDAQ_200407_200712

以上が、私の勝手な妄想です。

長期投資家としては、もし、こうなったら占めたもの。待っている間に銘柄分析の時間を十分に取れているはずで、下げ止まりを確認しつつ、これぞという銘柄をじっくりと買っていけばOKだからです。

当てが外れても、せいぜい儲け損ねる程度で、特に被害はありません。もう1年待てばいいだけの話。

今のような状況こそ、常にフルインベストメントを要求されず、投資チャンスをじっくり待てる個人投資家の特権を活かすべきではないでしょうか。


■RIZAPグループ(2018年12月14日)

今、流し読みをしている四季報新春号で、RIZAPグループの記事に思わず手が止まりました。

前途多難ながら、経営者自ら暴走にストップをかけた点は評価できます。このまま走り続ければ、日銀が異次元緩和に見切りをつけ、金融機関の融資姿勢が変化した時点での突然死も十分にありえるからです。

経営破たんのリスクに留意しつつ、投資家にその存在を忘れ去られるまで追ってみるのもありかなと思いました。

実は、私が週末に汗を流しているテニススクールに、RIZAPに通っていた女性がいます。まるで別人のようになっていたので、久しぶりに見かけたときは誰だか分からないほどでした。

スリムで身体のキレが良くなっただけでなく、髪形やウェアもお洒落にして変身できていたからです。当人としては、十分に元が取れたでしょう。

本業さえ好調であれば、ひょっとすると復活できるかもしれません。


■続けるということ(2018年12月11日)

間もなく会社四季報 2019年1集新春号が発売されます。

昨年の12月は、目を皿にして「何か買える銘柄はないか」と四季報を読んでいた方も少なくなかったはずです。では、今年はどうでしょうか。ひょっとすると、四季報を買う気すら起きないかもしれません。

こういった状況にて、地味な努力を続けられるかどうかが、投資家の明暗を分けます。継続してこそ、四季報の見方をつかめてくるからです。

天邪鬼な私は、今までの株高局面で四季報通読をバカバカしいと感じたこともありました。やってられない気持ちをぐっと我慢して、読み続けてきたのです。

そういう意味で、今回の四季報は久しぶりに楽しみです。中小型株の下落により、割安な銘柄も増えているに違いないと、勝手に期待しています。


■経営者を買え(2018年12月7日)

塩住秀夫氏について調べていたとき、たまたま見つけた財形新聞の記事が琴線に触れました。

初めて投資したのはドンキホーテが新聞の社会面で冷やかに扱われていた時期だった。

(中略)最終的な投資の決め手は、創業者オーナーの安田との数回の面談だった。安田隆夫という男を買ってみたいと思った。

今後、自分がやりたいのは、まさにこの投資です。

残念ながら、個人投資家が企業トップと直に面談することはできません。しかし会社説明会の動画を見るなり、1枚だけ買って株主総会に出席するなり、人物像を知るための手段は残されています。

また経営者によっては、育った家庭環境から起業に至るまでの経緯を語る記事がネット上に掲載されています。そういった情報も有用でしょう。

次の不況までに「この社長に投資したい」という企業を1社でも多く見つけるべく、銘柄分析に勤しんでいる今日この頃です。


■続・イールドスプレッド(2018年12月6日)

ほぼ1年前に取り上げたイールドスプレッドの続編です。FRBが金融引き締めを続けているため、長短金利差がさらに縮小し、僅差となってきました。

「まだ逆イールドでないから大丈夫」という声もあるようですけど、余裕を持って行動したいのであれば、予め警戒しておいた方がいいかもしれません。

現に中小型株や新興国からは、既に資金が逃げ出している状況です。最後の砦となるのは、米国のブルーチップでしょうか。

米国債の長短金利差(10年−2年)


■瀬戸際のラッセル2000(2018年12月5日)

11月のショートコラムで紹介したラッセル2000指数の株価チャートを再掲しました。株価の先行きは分かりかねますが、現時点で言えることをあげておきます。

●10月以降、戻り高値を切り下げている
●今よりさらに下げればヤバい

折に触れて、確認しておきたいチャートです。

ラッセル2000 株価チャート


■タイムスリップ(2018年12月3日

市場サイクルを極める 勝率を高める王道の投資哲学』より引用します。

未来にタイムスリップして過去を振り返っている自分を想像するのだ。2023年の自分は、「2018年のあのときに、もっと攻撃的になっておくべきだった」と思うだろうか。それとも「2018年のあのときに、もっと防御的になっておくべきだった」と思うのか。

(中略)数年後の自分が言ってそうなことは、今日やっておくべきことを見出す手助けになりうるのだ。

私は常に「今、株を買ったとして、3年後の自分は笑っているのか、それとも泣いているのか」を想像することにしています。

足元の状況では、泣いている自分の姿しか浮かびません。景気循環と信用サイクルと考慮すれば、2〜3年以内に次の不況が訪れても不思議ではないからです。

そんなわけで、笑っている自分の姿が浮かぶまで、ひたすら待っています。皮肉なことに、皆さんの大半が泣いているときが、そのときです。



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