売り手市場は株の売り時不動産投資の成功率ミサワの業績下方修正
3月のバリュー投資塾マイナス金利と消費者マインド株式投資で難しいこと4つ
ポジポジ病という相場中毒会社四季報春号の印象PER7倍のスバル
大手総合商社の最終赤字転落最初のチャンスは見送れ

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ショートコラム(2016年3月)

■最初のチャンスは見送れ(2016年3月29日)

投資は、野球や将棋との共通点が多いと思っています。

●人と人とが対峙するゲームである
●セオリーを知っていながら、お互い裏をかきあう
●常に勝てるとは限らず、負けがつきもの
●達人でもミスをする

というわけで、野球選手や将棋棋士の発言には注目しています。ちなみに、一番好きな言葉は、大山康晴十五世名人の「最初のチャンスは見送れ」です。

自分も何回か経験があるからです。以前から「買いたい」と思っていた銘柄が、少しでも下げれば、つい我慢できず買ってしまうことが何度かありました。

しかし、いったん下がり始めた株は、そのトレンドがしばらく続きます。「もう少し待てば、もっと安く買えたのに」と地団駄を踏んでも後の祭りです。

中には、ロスカットラインに引っ掛かってしまい、損切りさせられたケースもあります。そういった銘柄に限り、後日、急反発したりしました。

買いに関しては、何も焦ることはありません。「もう少し安くなれば、拾ってあげてもいいよ」という心の余裕を持ちたいものです。


■大手総合商社の最終赤字転落(2016年3月25日)

大手総合商社の三菱商事(8058)と三井物産(8031)が最終赤字転落を公表しました。資源関係で巨額の減損損失を計上するためです。

この件に関しては、昨年10月4日付のショートコラムでも取り上げましたが、三菱商事の最終赤字転落は想定外でした。

ただ、配当は維持される見込みですし、悪材料出尽くしで株価がいったん底打ちするかもしれません。

個人的に懸念しているのは、どの程度の数字を出せばいいのか苦慮していた市況関連産業の経営陣が「あの三菱商事や三井物産が思い切ったから」と相次いで大きな減損損失を計上する可能性を否定できないことです。

一見、割安に思えても、減損の恐れがある銘柄には手を出さないほうが無難でしょうか。

三菱商事 株価チャート(日足)


■PER7倍のスバル(2016年3月23日)

スバルの富士重工業(7270)が絶好調です。一方、PERはたったの7倍で、配当利回りも3%以上あります。

●PER7.5倍 = 株価3,953円(3月22日終値) ÷ EPS530.5円
●配当利回り3.6% = DPS144円 ÷ 株価3,953円

さて、同社株は買いでしょうか?

PERは「何年で元が取れるか」ともいえる指標につき、「今後7年間、スバルの車が北米で売れに売れている状況が続く」と考えるのであれば、株価の下げている足元の局面は絶好の投資チャンスに映るでしょう。

もちろん、そのためには米国の景気が良く、失業者も減り、金融機関が自動車ローンを喜んで貸してくれる状況の持続する必要があります。

しかし、景気サイクルを鑑みると、そろそろ息切れする時期に差しかかっても不思議ではないという見方もできます。

つまり、今後のEPSをどう捉えるかで、同社株に対する投資判断が天と地ほど変わってくるわけです。

EPSを自分なりに補正し(通常、好況時には割引き、不況期には下駄を履かせます)、修正PERを再計算するのが投資家の仕事です。

富士重工業 株価チャート(日足)


■会社四季報春号の印象(2016年3月22日)

会社四季報春号を通読中です。8割程度読み終えたところで「利益は高原状態だが、株価チャートの崩れている景気循環株が多い」という印象を受けました。

これは、景気がピークアウトする段階で見受けられる現象です。その手の銘柄は、PERが低く、配当利回りも高くて、一見割安に思えるのですが、近寄らない方が無難です。

なぜなら、将来のEPS低下や減配を織り込み、株価の下げているケースが大半だからです。


■ポジポジ病という相場中毒(2016年3月18日)

最近、“ポジポジ病”という言葉を知りました。常にフル・インベストメントでなければ気が済まない、相場中毒とか相場依存症という意味です。

かくいう私も、重症のポジポジ病患者でした。以前は、患者の集い(オフ会)にも頻繁に参加していました。

この病気を克服できたのは、リーマンというショック療法のおかげです。自分の投資行動を振り返り、下げ相場でも株のポジションを手放せず(ロスカットしても、すぐに別の銘柄を買い)、損の上塗りをしていることが分かったからです。

今では「少々儲け損ねてもいいから、自分の勝てそうな局面のみ参加しよう」という考え方ができるようになりました。

なお、再発防止策として、個人投資家のブログをなるべく見ないようにしています。他人が儲けているのを知ってしまえば、黙っていられないのが人間の悲しい性ですから。


■株式投資で難しいこと4つ(2016年3月15日)

株式投資セミナーの講師を務めるようになり、11年の月日が経ちました。皆さんのお話を伺っている限り、次の4つが難しいようです。

1.損切りを実行すること
2.損失の続く局面においても、モチベーションを保ち続けること
3.ポジションを持っていなくても、勉強や調査を続けること
4.記帳をして、負けた売買についての反省を行うこと

実は初心者時代の私も、全く実行できていませんでした。それゆえ、1997年秋のアジア通貨危機では、新聞の株価欄を見れなくなってしまい、1999年のITバブルで救われるまで休場に追い込まれます。

ITバブル崩壊を乗り切れたのは、損切りを決行し「今度こそ、心を折られてたまるか」と相場に喰らいついていったからです。しかし、この段階では、相場の状況にかかわらず常にポジションを持っていましたし、記帳はしていたものの反省を行っていませんでした。

全て実行できるようになったのは、2008年のリーマンショックで大損してからです。過去の売買履歴を振り返ることで、自分の勝てる局面が限定されていることに気づきました。それ以降、相手ピッチャーの研究は欠かさずとも「外角低めに逃げるボール球の変化球には手を出さない」バッティングを心がけています。

いずれも、心理的に抵抗のある項目ですが、課題として取り組んでもらえば、いずれパフォーマンスも改善されていくはずです。自分はけっこうな回り道をしてきたので、皆さんにはもっと早くマスターしてもらいたいですね。


■マイナス金利と消費者マインド(2016年3月11日)

日銀によるマイナス金利の発表以来、スーパーの特売り合戦がエスカレートしている気がします。また、特売りやポイント割増しのない日は、以前にも増して閑散としている状況です。

もう、この国では貯金しても利息が付かないんだ。おカネを残すには、我慢して節約するしかない。

売場ですれ違ったお年寄りの顔には、そう書いてありました。

東京はまだ景気がいいのかもしれませんが、高齢者の多い地方都市はこんな感じです。2月は閏年に救われましたものの、3月以降は小売業にも影響が出るだろうと見ています。


■3月のバリュー投資塾(2016年3月9日)

3月のバリュー投資塾では、毎年恒例となった前年のIPO銘柄を取り上げます。

なぜ、このタイミングかといえば「強気相場(好況時)に上場された新顔のうち、次の弱気相場(不況期)においてもしっかりと収益を上げている企業を割安な株価で買えば、儲かる可能性が高い」と考えているからです。

そこで、上場人気も一段落し、上場ゴールを目指していた企業の“化けの皮”がはがれる頃合いを見張らかって分析を行い、「とりあえず、目を付けておく銘柄リスト」に入れておこうという算段です。

ちなみに、2015年は92社がIPOを行っています。相変わらずの玉石混交ながら、調べてみると興味深い会社も数社見つかりました。

基本的に「パッと咲いて散る」ような銘柄は外したつもりですが、それでも、厳しい競争社会の中で増収増益基調を続けられるのは、ほんの一握りではないでしょうか。

皆さんの一緒に銘柄分析を試み、お互いに新たな「気づき」を得られるセミナーにしたいです。

なお、取り上げる企業は推奨銘柄でも何でもありません(意識的に問題含みの銘柄も混ぜました)ので、今回は社名も書いておきます。

ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。

3月のテーマは「2015年のIPO銘柄」です
日時・場所

2016年3月21日(祝) 10:30〜16:50 東京・大井町 きゅりあん

2016年3月26日(土) 10:30〜16:50 大阪・天満橋 エル・おおさか

セミナー終了後、懇親会を開催します(費用は実費です)。

人数

少人数制(10名様程度まで)

受講料

銀行振込 25,920円 当日現金 28,000円

3日前までのキャンセルは返金いたします。それ以後のキャンセルは次回以降の受講に振替させていただきます。

内容

2015年のIPO分析について、後半(7〜12月上場銘柄)を中心に、ビジネスモデルなどの分析を行います。

テキスト
概要

1 2014年のIPO銘柄フォロー
1−1 アルファポリス(9467)
1−2 エラン(6099)
1−3 スノーピーク(7816)
1−4 マークラインズ(3901)
1−5 アトラ(6028)

2 2015年のIPO銘柄
2−1 マーケットエンタープライズ(3135)
2−2 富士山マガジンサービス(3138)
2−3 イトクロ(6049)
2−4 土木管理総合試験所(6171)
2−5 ベステラ(1433)
2−6 ピクスタ(3416)
2−7 ブランジスタ(6176)
2−8 パートナーエージェント(6181)
2−9 バルニバービ(3418)
2−10 ロゼッタ(6182)
2−11 あんしん保証(7183)
2−12 インベスターズクラウド(1435)
2−13 鎌倉新書(6184)


■ミサワの業績下方修正(2016年3月6日)

ミサワ(3169)が業績下方修正を発表しました。

同社は「ニトリに満足できない人達」をターゲットに、UNICOブランドの家具を展開している会社で、個人的にも注目していた銘柄です。

【平成28年1月期 連結業績予想】

 
  売上高 
 営業利益
 経常利益
 純利益
 1株益
前回発表予想
8,120
210
200
90

12.90

今回修正予想
8,080
80
56
-74
-10.43
前期実績
7,641
646
662
369
59.10

修正の理由は次のとおりです。

●一部商品の値上げの影響
●家具のセット販売率低下
●ポイント引当金51百万円の積み増し
●株主優待引当金102百万円の計上

企業経営にも「たられば」は禁物とはいえ、もし大盤振る舞いの株主優待がなければ、最終赤字転落をまぬがれたことになります。

もっとも、そのおかげで、同社の株主数は2,000名(14年7月)から4,942名(15年7月)にまで増え、東証1部に昇格できたのですが。

ところが、株主数の増加により、優待が思わぬコストとなって降りかかるという皮肉な結果を招きました。

同社の株価チャートを見る限り、株主数が大幅に増加した期間に買った投資家は、現時点では相当な含み損を抱えている計算になります。

ミサワ 株価チャート(週足)


■不動産投資の成功率(2016年3月3日)

以前から気になっていた数字があります。それは不動産投資の成功率です。

株は「20人に1人」といわれており、感覚的にも「そんなものかな」と思います。では、いったい不動産投資はどのぐらいなのか?

不動産の場合、株のように安易な気持ちでは始めないでしょう。レバレッジを掛けるにしても、金融機関でそれなりの審査があります。

そうはいっても、事業には変わりなく「脱サラして開業したラーメン屋のうち、10年後に残っているのはどの程度か」という状況に近いと想定していました。

ということで、悶々としていたのですが、最近読んだ不動産投資の本『大家業の投資・情報・リスク・事業運営のポイント』で答えが見つかりました。

不動産投資する人の中で90%の人たちは成功できないともいわれる中で、「売っているものを買うだけで成功」というような世界があるわけない。

この「10人に1人」という数字は、割と納得できます。株にしろ、不動産やラーメン屋にしろ、いずれも厳しい世界であることに違いはなさそうです。


■売り手市場は株の売り時(2016年3月2日)

株は、不景気で買い、好景気で売れば、儲かります。

そのためには、景気の動向を観察する必要があります。といっても、そんなに難しくはありません。ニュースなどで報道される、新卒の就活状況を見れば、だいたい分かります。

基本的に、売り手市場は株の売り時、買い手市場は株の買い時です。今は「超売り手市場」ですから、長期投資家の出番はありません。「就職氷河期」という文字がニュースの見出しに踊るまで、ひたすら冬眠することになります。

よくよく考えてみれば、世間が儲け話であふれている時期に、じっとしていなければならない、嫌な家業ですね。

ちなみに、前回の売り手市場は2006年から2008年にかけての3年間でした。この間も株を買い続ければ、リーマンショックでひどい目にあっとことを、皆さんはよくご存知でしょう。



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