リブセンスの投資判断、桐谷さんの金言、
ヒラノテクノシードがストップ安、不動産投資の出口戦略、
火のないところに煙は立たぬ、資本主義の死、
クスリのアオキ、5月度月次に異変、エスクリの業績予想、
私自身の数値目標、シスメックスの決算
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ショートコラム(2014年5月)
■シスメックスの決算(2014年5月30日) |
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シスメックス(6869)の2014年3月期決算は、26.8%増収、50.8%営業増益でした。一見、絶好調に思えますが、この決算にもカラクリがあります。
検体検査用機器・試薬にて高いシェアを獲得し、海外で売上の8割近くを稼いでいる同社は、円安の恩恵をフルに受けました。決算説明会資料によれば、為替の影響で売上高・営業利益ともかさ上げされています(下図)。 ちなみに、前年同期と同じ為替レートを適用した場合、9.6%増収、5.6%営業増益にとどまります。同社だけでなく、輸出企業の2014年3月期決算は、多少割り引いて考える必要がありそうですね。 |
■私自身の数値目標(2014年5月29日) |
今、意識している数値目標があります。 10年後までに、投資からの収入400万円を達成して、経済的自由を得る。 10年後、私は還暦をむかえます。400万円というのは、サラリーマン時代の年収です。還暦までに、サラリーマン時代と同じ収入を得られれば「お金の心配をせず、働きたいときだけ、好きな仕事をやればいい」という人生を送ることができるからです。 実のところ、昨年と一昨年に関しては、相場が良かったこともあり、この数値目標を達成しています。しかしながら、得られたのは株の売買差益であり、不労所得とは言いがたいです。キャピタルゲインは、前もって計算できませんし、状況時代ではキャピタルロスを被る恐れもあります。 やはり、不労所得といえば、インカムゲインでしょう。インカムゲインといえば、真っ先に思い浮かぶのが不動産投資です。物件しだいでは、利回り10%以上の高い家賃収入を期待できます。ただ、我が国においては「家賃は下がる、売却時にキャピタルロスが出る」という前提で投資を組み立てる必要があり、その点が引っ掛かります。投資の原理原則は「将来的に価値が上がるものを買う」だからです。 一方、株式投資では、価値の上がりそうな銘柄を選ぶことができます。目先の配当利回りが3%でも、15%増配を続ければ、10年後には12%で回ります。ただ、10年後の業績予想は困難であり、たとえ業績が堅調でも投資家心理の移ろいにより株価は乱高下します。弱気相場で振り落とされてしまい「ああ、持っていれば数倍になっていたのに」という経験は誰しもがしているでしょう。 そうはいっても、昨年や一昨年と同じ行動を繰り返している限り、いつまでたっても経済的自由を達成できそうにありません。数値目標の達成に向けて「やるべきことをやらなれば、このまま流されてしまう」という危機感を持ちたいです。 |
■エスクリの業績予想(2014年5月28日) |
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エスクリ(2196)の2015年3月期業績予想は、15.4%増収、27.7%営業増益となっています。万年強気の岩本社長らしい数字です。
ところが、27.7%営業増益という数字には、あるトリックが仕掛けられていました。 また、当社グループは減価償却費に係る会計方針の変更を予定しております。次期の業績予想は当該変更を前提に作成しており、係る影響額は245百万円と見込んでおります(決算短信添付資料2ページ)。 もし、この会計操作がなければ、予想営業利益は2,162百万円。営業増益率も27.7%から14.7%まで低下してしまいます。投資家から、成長が鈍化したと受け取られることを恐れたのでしょうか。
決算発表後、同社株は興味深い値動きを示しています。翌営業日の5月12日に急騰し、13日に935円まで上昇したものの、すぐに反落してしまいました。決算書の表紙のみで判断した個人投資家が飛びついたとたん、会計操作を嫌った機関投資家が売りをぶつけたとも考えられますね。 まれにですが、こういったことも起こります。決算書はじっくり読んだ方がいいケースとして紹介しました。
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■クスリのアオキ、5月度月次に異変(2014年5月27日) |
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本日、クスリのアオキ(3398)の月次が発表されました。 同社は、既存店が好調を維持していたのですが、この5月度(4月21日〜5月20日)は100%を大きく割り込んでしまいました。消費税増税の反動であれば、4月度にも影響が出ていたはずで、気になる数字です。 この件で、私自身、引っ掛かるのが、4月11日付のショートコラムで取り上げたとおり、社長交代の際に取締役が3名も辞任していることです。 店舗運営の混乱など、何らかの異変が生じているのかもしれません。来月以降の月次にも注目したいです。
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■資本主義の死(2014年5月21日) |
国債に投資しても、ほとんどクーポンが付かない。株のバイ・アンド・ホールドなど、怖くてできない。不動産投資では、家賃収入の値下がりとキャピタルロスを前提にしなければならない。 仕方なく、資金は銀行に預けてあるが、銀行もこれといった貸出先がなく、国債を買っている。まったく、資金が有効的に活用されていない。 いつから、こんな世の中になってしまったのでしょうか。資本主義社会にもかかわらず、今の我が国には投資機会がないに等しいのです。 水野和夫氏は著書『資本主義の終焉と歴史の危機』にて、こういった現象が「資本主義の死」であり、やがて世界的に広まることを危惧しています。 ちなみに、私自身も「世界レベルにおいて、中長期的に資本主義システムが健全であること」を前提条件として、投資を組み立てています。もし、ゲームのルールが変わるのあれば、投資のやり方を再考する必要があります。 著者の意見は、投資家にとって決して心地良いものではありませんが、頭の片隅に入れておく必要があると感じました。 |
■火のないところに煙は立たぬ(2014年5月16日) |
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昨日、リブセンス(6054)の第1四半期決算が発表されました。結果は、明らかに期待外れの内容で、株価もストップ安をつけました。大量の売り注文を残しているため、来週も予断を許さない状況です。
ただ、5月4日付けのショートコラムでも取り上げましたとおり、今年に入ってからの株価チャートは「何か問題が起こっている」ことを暗示していました。 「何もないのに、これだけ株価が下がるにはおかしい。念のため、いったん売っておこう」というテクニカル分析を用いたリスク管理を取り入れておれば、たとえ損をしたとしても“かすり傷”で済んだはずです。 一方、チャートを無視して「絶好の買い場」とばかりにナンピン買い下がりを決行した投資家は、昨日の決算発表で“詰んだ”ことになります。 と偉そうに書きましたが、一昔前の私も、後者のような投資行動を取っていました。この週末は、好きなテニスも楽しめず、憂鬱な時間を過ごしていたでしょう。そう考えれば、リーマンショック時に払った授業料も意味があったのかもしれません。 こういったケースでは、十中八九「火のないところに煙は立たぬ」と考えて間違いありません。大火傷を負いたくなければ、下がる続けている銘柄には手を出さないことです。 |
■不動産投資の出口戦略(2014年5月14日) |
ブログの株式投資+不動産投資にも少し書きましたが、ひょんなことから不動産投資への興味が再燃し、長らく中断していた勉強を再開したところです。 そんなとき、どんぴしゃりのタイミングで、束田光陽氏の新刊『不動産投資 家賃収入&売却益 両取りのルール』を読むことができました。 私自身、不動産投資に踏み切れなかったのは「当初の利回りは高くても、売却時にキャピタルロスが出てしまい、トータルではそんなに儲からない」と思い込んでいたからです。つまり、出口戦略の思い浮かばないことが、大きな理由だったのです。 しかし、本書を読んで、長年の懸念が吹き飛びました。というのも、著者の実践してきた出口戦略が明示されており、やり方次第では売却益を出せることがよく理解できたからです。 また、そのためには、投資家(プロ)しか売買しないワンルームや一棟ものを狙うより、実需層(素人)を相手にできるファミリーマンションなどが向いているという主張にも納得できました。 久しぶりに、多くの気づきを得られた書籍です。不動産投資にも興味をお持ちの方には、一読をおすすめします。 |
■ヒラノテクノシードがストップ安(2014年5月10日) |
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昨日14時、ヒラノテクノシード(6245)の決算発表がありました。同社は、塗工・化工・各種熱処理機械のメーカーです。 平成26年3月期は、四季報予想(会社予想をそのまま掲載)に対して未達でした。
一方、平成27年3月については「業界の低調な新規投資」を理由に、45.6%減収、87.4%営業減益という、驚くべき数字を出してきました。
株価は、大引けにてストップ安をつけ、300円も下落しました。 研究熱心な個人投資家であれば、同社を投資対象としてピックアップできるはずです。なぜなら、割安で好財務だからです。四季報春号よりEV/EBIT倍率を計算してみると、たったの1.8倍です。 ●EV/EBIT倍率1.8倍=(時価総額161億円+有利子負債10億円−現金同等物102億円)÷営業利益38億円 ただ、同社には「何をやっている会社なのか、分かりにくい」という欠点があります。皆さんは「ヒラノテクノシードの強みは何か。顧客は誰か。どこと競合しているのか」ご存知でしょうか。 ビーたー・リンチ氏は著書『ピーター・リンチの株式投資の法則』にて「クレヨンで説明できないアイデアには、決して投資するな」と述べています。難しい銘柄を避けていれば、ストップ安に巻き込まれることもなかったはずです。 |
■桐谷さんの金言(2014年5月7日) |
ニコニコ動画に桐谷さんのインタビュー動画がアップされています。その中で、株の話題になったとき、桐谷さんは次のように答えました。 株で儲けたとしても、上手いのではなく、たまたま上がる時期に株をやっていただけです。 これは金言です。まさに「その通りだ」と膝を叩きそうになりました。 それでは“たまたま”儲けた投資家は、相場の振り子が逆に振れれば、どうなるのでしょうか。今度は「なぜ、損をするのか」分からないうちに、儲けを吐き出し、元本まで失って、退場させられてしまうのです。 明日は我が身になりたくなければ、昨年の勝ちトレードについても自己分析を行い「たまたまだったのか、狙いどおりだったのか」確認しておくべきでしょう。 株の世界では、偶然勝てた「運だけの人」は短命に終わります。長生きできるのは、偶然を必然に変えることのできる「実力も兼ね備えた人」です。 |
■リブセンスの投資判断(2014年5月4日) |
リブセンス(6054)の投資判断について、シミュレーションを行ってみます。 まず、買い時は、株価が上昇トレンドに転じた2013年3月です。この辺りから買い始めれば、4月中旬からの急騰に乗ることができました。 問題はどこで売るかです。小型株が急上昇した場合、長めの移動平均線を用いれば、売り遅れるケースがあります。一方、短めの移動平均線では、振り落としに合ってしまいます。 要するに“帯に短し、たすきに長し”なのですが、どこかで割り切るしかありません。今回は「25日移動平均線を割り込めば売り」というルールにしました。 結局、5月下旬に売らされます。それでも、1,000円で買い、1,800円で売ったとすれば、2ケ月余りで80%のリターンを得られたのですから、上出来といえるでしょう。 その後、同社株は6月下旬から7月上旬にかけて、2,000円から3、000円まで急騰します。ただ、相場全体の地合いを考慮すれば、ここで再び買えたかどうかは微妙です。 株価が7月上旬に天井をつけてからは、買い場は全くありませんでした。保ち合いにて、利益を出すのは難しいからです。 注意したいのは、今年に入ってからです。保ち合いから下落トレンドに転じ、株価の下げ止まる気配を一向に感じません。こういった局面で買い向かうのはやめた方がいいです。特にナンピン買いは厳禁で、大損につながる危険性があります。 私自身、リブセンスのビジネスモデルは評価していますが、売買においてはチャートに逆らわないことが肝要だと思っています。銘柄選択と売買は別物だからです。 常に「投資したい銘柄」をピックアップし、相場の地合いが良くなるのを待ち、その銘柄の上昇トレンド入りを確認してから買い、ダメだったら素早く損切りする。こういった投資の繰り返しにより、利益が損失を上回る状態を続けたいものです。
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by 角山智