信用取引について思うこと減損会計先生が儲ける時代
2冊目の本の進行状況
執着心疑わしいものは一旦外せ

パーシャル・オーナー


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ショートコラム(2005年7月)

■ 疑わしいものは一旦外せ(2005年7月30日)
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KG情報が下方修正を発表しました。前回の四半期決算で前兆が見受けられたので、私はその時点で逃げたのですが「ついに」という感じです。KG情報については強気の投資判断をしたことがあり、一時期のPF1位銘柄だったので、そのまま持っていれば、けっこうなダメージを負ったことになります。

上場したての新興企業の決算には、特に注意が必要です。弱気な予想をしておいて上方修正するタイプなのか、大風呂敷を広げるタイプなのか、会社のクセが読めないからです。それとKG情報については、前回の四半期決算での会社側のコメントが気に入りませんでした。だいたい、決算が悪かった企業や業績下方修正を行う企業のコメントはろくなものがありません。室部長や役員クラスがあのような報告をトップに行ったなら、すぐにでも首が飛ぶでしょう。そのようなコメントは平気で株主には出すのです。

四半期決算の数字が良くなかったので、半分売るか全て売り切るか迷ったものの、会社側のコメントを読んで「ことの重要性を認識していない」と感じ、全て売り切りました。その後、株価が下がり、買い戻しも視野に入ったのですが、「中間決算が出てからでも遅くないだろう」と思い、様子を見ていたところでした。

株式投資においては「なるべく損をしない」ことが肝要です。大きな損をせずに、投資を続けることができれば、後は「歴史的に見て、株のパフォーマンスが一番」という流れに乗ることができるのです。そのためには「疑わしいものは一旦外すこと」です。


■ 執着心(2005年7月26日)
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何かで「株式投資のようなお金儲けには、儲けたいという執着心がないとダメだ」と主張している講演家を見かけましたが、バリュー投資で成功している投資家さんには、そのような「ギラギラしたもの」を感じないのです。何人もの投資家さんにお会いしましたが、欲がないような方も多いです。むしろ、資本主義(キャピタリズム)という世の中の仕組みを理解していて、その犠牲になるのはまっぴらというクレバーな方が多い感じです。

株式投資の場合は、「儲けたい」という欲を出しすぎると短期的思考に陥り、自滅するように思えます。それは、株式投資での成功者が少数であることと、ビジネスとして成り立っているマネー雑誌や夕刊紙に短期売買をあおるような記事が多いことからも想定できます。逆説的な言い方をすれば、株式投資で利益をあげるためには「手っ取り早く儲けようと思わない」ことなのでしょう。

私が株式投資を行っている理由の一つは、インフレによる資産の目減りを防ぐこと(預貯金のリスク)です。ベンジャミン・グレアムは「新 賢明なる投資家()」で「防衛的投資家」という言葉を好んで使っていますが、投資家はリターンよりリスクを先に考えるべきです。株式市場は(短期的な株価の値下がりを除いて)損をしなければ、利益を得られることは歴史が証明しています。そのためには、必要以上の執着心を捨て去ることです。


■ 2冊目の本の進行状況(2005年7月8日)
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2冊目の本について聞かれることが多いので書いておきます。目次案を見てもらうのが一番わかりやすいでしょう。ご覧のとおり「割安成長株」投資がテーマで、初級者から中級者へステップアップを目指している方を読者として想定しています。5月8日(日)に行った「勝率93%達成!角山智の割安株投資術徹底公開セミナー」をベースにして、さらに煮詰めた内容となっています。

まえがき

1.割安成長株投資をはじめよう
1−1.バリュー投資のブーム到来?
1−2.資産バリュー株投資の限界
1−3.バリュー投資の神髄「割安成長株」投資に挑戦しよう!

2.これであなたも中級者! PERから卒業しよう
2−1.PERの問題点
2−2.企業価値とEV/EBITDA倍率
2−3.ポール・ソンキンの「真のPER」
2−4.利益よりキャッシュフロー
2−5.バフェットの利益率

3.事実をつかむ定量分析
3−1.定量分析のポイントとツール
3−2.会社四季報で3分間チェック
3−3.ウェブサイトを訪問しよう
3−4.有価証券報告書はここを見る

4.「転ばぬ先の杖」定性判断
4−1.定性判断の重要性
4−2.利益の予測をつけやすいか
4−3.独占企業か
4−4.競争力はあるか
4−5.他社の成長や競争を利用できるか

5.銘柄分析の実際
5−1.割安成長株投資の4つのポイント
5−2.分析例1:A社
5−3.分析例2:B社
5−4.分析例3:C社
5−5.分析例4:D社
5−6.分析例5:E社

6.ポートフォリオの組み方
6−1.銘柄数
6−2.売買回転率
6−3.株の買い方
6−4.株の売り方

7.真の投資家を目指して

あとがき

今のところ、5−2まで出来ています。ただ、推敲や前後のすりあわせが必要なので、完成度は半分程度でしょうか。まあ、お盆までに脱稿して、10月中には出版したいです。


■ 先生が儲ける時代(2005年7月7日)
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ウォール街のランダム・ウォーカー」の著者、マルキール教授は本人も株式投資で儲けているそうです。アメリカではそういうケースが多いのですが、日本では儲けてはいけないのか、そういうことを公表する先生はいませんでした。

そんな中で「株式投資「必勝ゼミ」」という本が出版されます。著者は大学教授。ついに沈黙は破られました。「使えない学問をしても仕方ないし、せっかくの学問や分析を何かに使わなければ意味がない」が持論の榊原教授は、専門の会計学を株式投資に生かして、バリュー投資で年間30%以上の利益を上げています。

榊原式(Prof.サカキ式)投資法では、銘柄選びに3つの基準があります。
1.東証一部上場企業
2.BPS1500円以上
3.自己資本比率75%以上

そして買い時は
1.PBR0.5倍以下
2.13週移動平均線が上昇に転じたとき
となっています。

儲けている人の常で、シンプルな考え方ですね。要するに、優良企業が何らかの理由で売り叩かれたときに買うという作戦です。東証一部上場企業を対象にしている点で、初心者の方にも安心感があります。

その榊原教授のお話を、直接聞くことができる機会があります。7月30日(土)から31日(日)にかけて東京で開催される「年利30%のスーパー大学教授が語る「科学的」バリュー投資法 入門ゼミナール」です。2日間みっちりと榊原式(Prof.サカキ式)投資法のレクチャーを受けることができます。何せ、教えるプロのセミナーです。満足できると思いますよ。特に、株式投資をはじめたばかりの方におすすめです。


■ 減損会計(2005年7月4日)
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ある個人投資家さんから「減損会計が投資に与える影響について、どう見ていますか」と質問を受けました。答えは「特に気にしていない」です。「そんなことでいいのか」と思われるかもしれません。「減損会計は帳簿上の話だから」というのも一つの理由ですが、私の銘柄選択法とも関連があるのです。

私はバランスシート(貸借対照表)で、最初にチェックするのは流動資産と固定資産の比率です。ここで固定資産の割合が高く(40%以上)、そのほとんどが有形固定資産である銘柄は投資対象から外します。なぜかといえば、有形固定資産の比率が高い企業はコスト高のケースが多いからです。独身なのに、大きな一戸建てに住んでいる人は、ワンルームマンションを借りている人に比べて、何かとおカネがかかるのと同じ理屈です。有形固定資産(設備や店舗)は維持費用が高くつきます。要するに金食い虫なのです。これは「資産バリュー株」投資でも「割安成長株」投資でも同じです。もっとも、流動資産を重視するグレアム流の清算価値分析は、有形固定資産の評価が非常に低いですから、有形固定資産の多い企業はPBRが低くても、清算価値を割ることはほとんどありません。

それと、「割安成長株」投資では、私は利益率を重視します。利益率にも色々ありますが、こういうケースで参考になるのは、ウォーレン・バフェットが「マネーマスターズ列伝」で「投資対象としてのエクセレント・カンパニー」の条件の一つにあげている「棚卸資産と有形固定資産の合計に対する利益率が高いこと」です。私は勝手に「バフェットの利益率」と読んでいます。この利益率は「勝率93%達成!角山智の割安株投資術徹底公開セミナー」でも取り上げました(セミナーでは「バフェットの利益率」という言葉は使っていません)。当期純利益の変わりに、営業キャッシュフローやフリーキャッシュフローを使っても良さそうですね。

バフェットの利益率 = 当期純利益 / (棚卸資産 + 有形固定資産)

以上のように、私は有形固定資産の比率が低く、有形固定資産に対する利益率の高い企業を選んでいますので、減損会計の影響は、あってもしれていると考えています。

例として、インパクト21のバランスシート(平成17年2月28日現在)をあげておきます。単位は百万円です。ちなみに、バフェットの利益率は99.9%となります。

99.9% = 3,543 / (3,060 + 487)

このような会社で、減損会計の影響を心配する必要はありますか?


■ 信用取引について思うこと(2005年7月3日)
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個人投資家さんの6月分パフォーマンスが出揃ってきました。好調な方が多いですね。でも、公表されている銘柄とパフォーマンスを見比べ「あれ」と思うことがあります。少し考えて「あー、信用を使っているのか」とわかるのです。

セミナーでも質問を受けるのですが、私は「現物株の買い」のみです。しかも、多いときはキャッシュポジションが15%ほどあります。信用取引を上手く活用できればパフォーマンスが向上するのはわかっているのですが、二の足を踏んでしまうのです。私は株式投資用の資金は証券会社に入れて、それ以外の資金はなるべく定期預金にしています。雀の涙ほどの利息でもそうしています。なぜなら、定期預金を解約して証券会社に振り込むには手間もかかりますし、「抑止力」が働くからです。

人間、ものごとが順調に運んでいるときは冷静です。投資においても、順調なときの信用取引は威力を発揮するでしょう。レバレッジに関しても、注意深く使います。ところが、上手くいかなくなると冷静さを失います。投資家は、負けが込んでくると一発逆転を狙いたくなります。そういう心理状態のときに、信用口座があれば、どうなるでしょうか。レバレッジをフルに使用したリスキーな投資に出てしまう可能性は高いといえます。

投資は、正常な心理状態でも、なかなか上手くいかないものです。正常でない心理状態で、レバレッジをかければ、結果は目に見えているような気がします。投資は、1回でも「致命傷を負い、マーケットから退場させられる」と終わりです。投資家は慎重に行動した方がいいでしょう。最近の、誰しも簡単に信用口座が開設できるような風潮は、好ましいものに思えないのです。



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