KG情報投資家としての資質
私がスクリーニングを使わない理由低PBR銘柄のパフォーマンス検証

パーシャル・オーナー


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ショートコラム(2005年5月)

■低PBR銘柄のパフォーマンス検証(2005年5月29日)
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超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」71ページで取り上げた低PBR銘柄について、パフォーマンスの検証をしてみました。これは、簡易的なスクリーニングを行い、PBRの低い順に並べたものです。赤字企業や財務の弱い企業を排除するため、PERや株主資本比率も副次的に使いました。普段はスクリーニングを使わない私も、こういうケースでは使用します。

コード 銘柄
2004/8/27
2005/5/27
上昇率
株価
PBR
株価
PBR
9866 マルキョウ
630
0.26
693
0.28
10.0%
5277 スパンクリート
805
0.28
630
0.30
-21.7%
9848 トヨタカローラ岐阜
1,500
0.30
1,720
0.33
14.7%
9036 東部ネットワーク
676
0.31
1,020
0.46
50.9%
1960 サンテック
438
0.33
600
0.45
37.0%
8747 豊商事
705

0.34

820
0.39
16.3%
9407 RKB毎日放送
640
0.34
935
0.47
46.1%
3426 アトムリビンテック
775
0.39
890
0.44
14.8%
2113 新光製糖
300
0.39
405
0.50
35.0%
3600 フジックス
515
0.39
710
0.54
37.9%
10銘柄平均
24.1%
TOPIX
1,137.78
1,132.34
-0.5%

結果はどうでしょうか。TOPIXが若干のマイナスなのに対して、10銘柄の平均は24%と悪くないパフォーマンスです。低PBR銘柄のリターンの良さはよく知られていることなのですが、今回もそのとおりになりました。スクリーニングで抽出された銘柄を買い付け、9か月持っているだけでこれだけのリターンを得られるのですから、忙しい方や初心者にも向いています。

ただ、この投資方法には注意点があります。
■スクリーニングの結果に対して、中途半端な定性判断を行わないこと。低PBR銘柄というのは、何らかの問題があるから、低PBRで放置されている。
■分散投資を行うこと。今回の結果でも50.9%からマイナス21.7%まで、リターンのばらつきがでた。個別銘柄ではなく「低PBR銘柄群」に投資していると考えること。

さらに、パフォーマンスを追及したい方は、サンテックのチャートを見てください。

3月に低PBR銘柄とは思えないような上がり方をしています。割安成長株なら我慢して持っていてもいいのですが、好業績が望めない低PBR銘柄の場合は、売り時と判断できます。低PBR銘柄への投資では1年で50%のリターンが得られれば上出来と言えるでしょう。


■私がスクリーニングを使わない理由(2005年5月28日)
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今週は「エコノミスト」の取材を受けていました。「投資の達人(6月20日発売)」のバリュー株特集に掲載予定です。取材時間は1時間でしたが2時間ほど話をしてしまいました。バリュー投資の話になると止まりません(笑)。

このようなケースではスクリーニングについて聞かれるのですが、実は、私はスクリーニングほとんど使っていないのです。なぜかといえば、スクリーニングには
■他人と同じ結果になる
■定性判断ができない
■景気循環株が業績のピークで引っ掛かる(東京製鐵については、石坂さんの「東京製鐵とNucor」が秀逸です)
■条件を厳しくすると、とんでもない企業ばかりになる
■条件を緩めすぎると、銘柄数が多くなりすぎる
という欠点があるからです。

もちろん、スクリーニングは定量分析ツールとして優れていますし、SGターゲット・ジャパン・ファンドなどプロの投資家も銘柄選択の第一ステップとして活用しています。ただ、私自身は使っていないということです。投資は数値で線引きできるものではないという思いもあります。

スクリーニングとはちょっと違うのですが、バリューサーチ投資顧問 「銘柄発掘ナビ」 というツールがあります。月額3,150円で、銘柄の割安度を判定してくれるものです。3月21日の東京セミナーでも実演していただいたのですが(ここはDVD/ビデオには映っていません)、マネックス・ビーンス証券内藤さんが使われており、良好なパフォーマンスをあげられています。


■投資家としての資質(2005年5月15日)
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本日は久しぶりにテニススクールで汗を流してきました。頭では理解していても、なかなかそのとおりに実行できないことは、テニスも投資も同じです。

学生時代のことですが、就職のために適性検査を何度か受けました。結果はいつも同じで、向いている職業は「彫刻家」「映画監督」、性格的な特徴は「協調性なし」でした。当時は、この結果を不思議に思っていたのですが、今となってはわかるような気がします。「彫刻家」「映画監督」は一つのものを作り上げていく作業で、クリエイティブな部分があります。SE(システム・エンジニア)やウェブマスターはまさにそういう仕事ですから、自分に向いている仕事ができていたのですね。

「協調性なし」については、常に自分で考え、その結果に基づいて行動しますから、資本主義社会の雇用主(資本家)にとってはそうなります。職場でも「マイペースですね」と言われますし、他人にどう思われているかなんて、ほとんど気にしないです。団体行動が苦手で、いつも他人の出方を伺っている輩を滑稽だと思います。

投資では、大衆と同じことをしていては、勝者になることはできません。独創性が必要になります。また、群集心理から一歩距離を置く意味でも、他人と違う行動をとっても平常心でいられることが肝要です。社会的動物である人間には、難しいことなのですが、「投資家としての資質」にはそのようなものが必要なのでしょう。その結果、金持ちにはなれても、幸せな人生を送れるとは限りませんが。


■KG情報(2005年5月2日)
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車の運転をしていると、ヒヤリとする瞬間が何度かあるものです。運転を憶えたてのドライバーも、そういう経験を重ねていくうちに、安全運転を心掛けるようになります。

長い間、投資を続けていると、同じようにヒヤリとする瞬間を経験します。今回のKG情報の四半期決算がまさにそうでした。会社側は悪いとは思っていないようですが、投資家はそうと取らない数字です。この銘柄はバリュエーション的に割安ではなく、決算には何らかのサプライズが必要です。KG情報のシナリオに自信のあった私はポートフォリオの中で大きなポジションを取っていました。

「まずいことになったな」翌28日の寄り付きは仕事どころではありませんでした。「誰かに見られたら、そのときはそのとき」職場のパソコンでEトレードの画面を開きます。このような状況で、流動性が薄いJASDAQ銘柄の板は信用できません。売買を無視して、成り行き注文を出します。値段は二の次で、逃げることが先決です。安いと思った寄り付きがその日の高値でした。

半数処分したので、KG情報での大ヤラレはなくなり、気が楽になりました。人間、精神的に追い込まれると何をやるかわからないので、 パフォーマンス云々より、自分が落ち着いて投資に取り込めることが肝心です。残りをどうするか、ゴールデンウイーク前半にじっくり考えることにしました。

基本的に、成長株投資は自分で描いたシナリオが崩れれば売りです。今回はそのケースです。でも、もう一人の自分が耳打ちします「会社は順調と言っているし、季節的要因でもあったのだろう。将来性は抜群だし、半分持っているといいよ。間違いを認めるのか」。別の自分がささやきます「いや、バリュエーション的に安くない銘柄の決算が投資家の期待を裏切ったとき、末路はどうなるかわかっているだろう。次の決算が好調なら、そのとき買い直しても間に合う。一旦外しておくべきだ」。

結局、本日に残りを処分して、KG情報を売り切りました。買い値が安かったので、それでも20%あまりの利益が出ています。売却代金で、好決算&増配発表の2銘柄を買い、残りはキャッシュポジションの補充としました。投資に失敗はつきものですが、私のように四六時中このような経験をしていると慢心しなくていいかもしれません(苦笑)。



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