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・千秋針灸院は眼科領域の専門治療院として、当院や提携治療院の日々の診療から得られた眼科領域の鍼灸治療による結果を、各疾患毎に集積や統計化しています。症例が統計化されることにより、眼科領域における鍼灸治療の効果が、ある症例に生じた単なる「偶然」ではなく、医薬品や手術成績などと同様に比較が可能となり、適応の可否や、他の治療法との併用の可能性へと広がっていきます。
・ここで紹介している報告は、実際の診療録のデータを基に、全て当院が監修しており、報告時期においての最新の内容になります。古い報告についても明らかに誤りがある場合を除いて、当時の内容をそのまま掲載しています。具体的な治療方法や治療間隔等については、学会等の公式な症例報告であれば記載すべきですが、Web上での報告につき省略させていただきます。
・なお平成28年以降の「眼科と東洋医学」研究会での報告については、眼科専門医による査読や発表の場での討論・質疑等も行われており、これまで以上に皆様に広くお伝えしたい確実な内容になっています。
眼科症例報告 緑内障性視野障害への鍼施術
令和6年6月1日 第74回日本東洋医学会学術総会ミニシンポジウム 大阪国際会議場
・緑内障性視野障害への適切な鍼治療は、長期的にもMDスロープは改善する事実を、5〜10年以上の3症例で報告しました。中でも40代までの比較的若い患者さんで改善する割合や上昇幅が大きくなることや、特に眼圧が高めの患者さんでは、鍼治療により眼圧は低下し易いことも報告しています。高齢の患者さんでは改善する割合や上昇幅は少なくなりますが、トレンド解析(MD値から見た予測寿命)の延長が見られ、視野障害の進行を抑制していることも分かりました。
眼科症例報告 兎眼(顔面神経麻痺)への鍼灸施術
令和5年11月5日 第39回「眼科と東洋医学」研究会 ZOOM開催
・兎眼(閉眼不全)は顔面神経麻痺の一般的な症状の一つですが、自然回復(病院での経過観察のみ)は軽症に限られ、中等症や重症例では後遺症が残る可能性は比較的高いことが分かっています。他の症状も含めて早期の鍼灸治療により自然回復を促すことで、中等症や重症例でも治癒の可能性が高まることを症例を交えて報告しました。
眼科症例報告 中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)への鍼施術
令和4年3月13日 第38回「眼科と東洋医学」研究会 ZOOM開催
・中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)は数ヶ月程の経過観察で自然治癒する症例もあります。しかし発症から6ヶ月以上が経過しても再発を繰り返す等の慢性CSCになると自然治癒は期待できず、眼科ではレーザーや硝子体内注射を繰り返す治療に移行しますが、難治の傾向があります。今回は針治療によりCSCに伴なう視力低下だけでなく歪み、中心暗点、小視症等の見え方の変化を症例と共に統計として報告しています。
眼科症例報告 糖尿病網膜症への鍼施術と視力変化
令和3年5月23日 第37回「眼科と東洋医学」研究会 ZOOM開催
・糖尿病網膜症は日本人の中途失明第2位であり、特に長期間の視機能維持は課題となっています。鍼治療による糖尿病網膜症(25名)への視力変化を統計として明らかにした報告になります。鍼治療はHb-A1c値がコントロールされた状態であれば視力の早期改善は比較的容易で、この報告にはありませんが当院の臨床からは長期的な視機能維持も可能であることが分かっています。
眼科症例報告 鍼施術により、MDスロープに変化がみられた緑内障性視野障害について
平成31年3月10日 第36回「眼科と東洋医学」研究会 台東区区民会館
・緑内障性視野障害の程度を表すMD値は時間の経過と共に低下し、眼科医療では通常水平もしくは右肩下がりで緩やかに進行して、回復に向かうことはありません。しかし適切な鍼治療を行うことにより、MD値の低下抑制に留まらず半数程度で改善したことを、17名29眼の視野検査から明らかにした史上初の報告です。緑内障の常識を変える今回の報告は、患者さんの将来を変え、眼科医療の変化に繋がることを心から願っています。
眼科症例報告 鍼施術が近視性CNV後の視力低下を防ぐ可能性
平成30年3月11日 第35回「眼科と東洋医学」研究会 台東区区民会館
・近年、近視性脈絡膜新生血管(CNV)の治療として、抗VEGF硝子体内注射が注目されていますが、5〜10年以上といった長期的な視機能維持は難しい傾向があります。今回の報告では適切な鍼治療を続けられた場合に、長期経過後も比較的良好に視力が保たれる事実を、統計的にも証明することができました。注射やレーザーなど全ての外科的な治療に比較して、眼球に傷を付けない安全な針治療は、長期間の視機能維持をリスク無く実現可能にする有力な選択肢です。
眼科症例報告 眼科領域の鍼治療 〜対応の難しい疾患に対して〜 「網膜動脈閉塞」
平成29年3月12日 第34回「眼科と東洋医学」研究会 台東区区民会館 (特別講演)
・眼科医の先生方の前で行われた50分間の特別講演の中から、「網膜動脈閉塞」を抜粋した報告です。症例数が少なく今後も充実させる必要がありますが、突然の失明と共に予後不良を宣告される患者さんへ、眼科での初期治療完了後に鍼治療をご紹介いただけるようお願いしています。「網膜動脈閉塞の治療を変える報告」、「眼科学会で報告すべき内容」など最大級の賛辞を多数いただきました。将来、眼科医療の選択肢の一つとして有望な内容です。
眼科症例報告 鍼施術による緑内障性視野障害へのアプローチ
平成29年3月12日 第34回「眼科と東洋医学」研究会 台東区区民会館
・「一度失われた視野は回復しない」とされる緑内障性視野障害に対して、針治療の可能性を眼科医の先生方に提示させていただいた報告です。今回、統計としては症例数が少ないのですが、鍼治療を続けた患者さんの静的視野検査の結果を厳密に評価することで、視野の一定度までの回復は可能なことや、血流改善が緑内障治療の新たな鍵になることをお伝えすることができました。症例数など課題は多いものの、緑内障治療に希望の光が見える内容になりました。
眼科症例報告 黄斑変性への鍼施術が視力に及ぼす影響について
平成28年3月13日(日) 第33回「眼科と東洋医学」研究会 台東区民会館
・眼科専門医の先生方の前で行われた、初めての鍼治療の臨床報告となりました。81名107眼を対象とした統計症例報告は鍼治療の症例規模としても、臨床内容としても日本国内で初めての試みとなったはずです。今回の報告をきっかけとして、患者さんのみならず眼科専門医の先生方や関係する方々に、僅かづつでも鍼治療の認知が広がっていくよう心から願っています。現在、眼科医療の中でも最も熱い話題の一つ、抗VEGF硝子体内注射についても触れています。
眼科症例報告 網膜色素変性への鍼治療
平成24年12月24日 Web公開版・電子書籍
・140名を超える患者さんから得られた様々なデータや、鍼治療を開始して5年を超える経過から、網膜色素変性の実際や鍼治療の果たす役割を電子書籍としてまとめました。現在の眼科医療では「何もできることは無い」とされる、網膜色素変性の常識を変えてしまう内容です。様々な端末で読んでいただけるように、今回は初めて電子書籍(PDF)として作成しました。
眼科症例報告 緑内障への鍼治療
平成22年10月21日〜12月1日 Web公開版・全2部
・中途失明の第1位とされ、40歳以上では20人に1人とされる緑内障に対して、眼圧・視力・視野など様々な課題へ、鍼治療がどのような効果を持ち、現在の眼科医療と共に、どのように役立てていけるのか探る報告です。鍼治療が緑内症治療の選択肢を広げることを統計として証明していきますので、緑内障に関わる多くの方に見ていただけたらと思います。
眼科症例報告 中医学による脈絡膜新生血管(若年性黄斑変性)への鍼灸治療
平成21年10月1日〜12月1日 Web公開版・全3部
・これまで報告の少なかった若年性黄斑変性に対して、多くの症例を基に病気を分析し、鍼治療による効果を統計的に表した日本で初めての報告です。2年前の網膜黄斑変性から大幅に症例数や内容を深めた報告で、患者さんをはじめ一般の方から、鍼灸師や眼科専門医の先生にまで広く見ていただきたいと考えています。
眼科症例報告 中医学による網膜色素変性症への鍼灸治療
平成20年10月1日 Web公開版
・眼科分野で唯一の特定疾患に指定されている網膜色素変性症は、これまで有効な治療法は無く、進歩の著しい眼科医療の中で置き去りにされてきた感があります。鍼治療により少なくとも病気の進行を止めることが可能であり、ある程度の改善が得られることを、当院は日本で初めて統計として報告しました。
眼科症例報告 中医学による加齢性黄斑変性症への鍼灸治療
(社)日本鍼灸師会、全国大会in大阪 平成19年10月7日(日) ホテルグランヴィア大阪
・(社)日本鍼灸師会から要請があり、全国大会で報告させていただいた当院の初めての統計症例報告です。審査段階で演題名を網膜黄斑変性から加齢性へと変更してしまう等、勉強不足と不慣れが重なりましたが、以降の症例報告の作成に役立つ、大変意味のある報告になりました。内容的には古いため、類似疾患である最新の脈絡膜新生血管の報告を参考にしてください。
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