オリーブオイル研究所



研究員物語
プロローグ
エピソード1
エピソード2
エピソード3
エピソード4
エピソード5
エピソード6
エピソード7
エピソード8
エピソード9
エピソード10
研究員物語 (愛と涙そして・・・ ツッコミ 笑い)

エピソード8:現実の生活

これから半年の間住まいとなる家は、憧れていたホームステイのイメージを充分に満足させるものだった。

輸入家具の雑誌に出てくるような、タイル張りのオープンなキッチン、石の床、白い壁、極めつけは薪をくべる暖炉!のちのち触れることになるが、この暖炉が曲者だったり唯一の友だったりするのだ。

部屋は長女(中学生)と同室で、実は次女(小学生)の机とベッドを私が使わせてもらう形だった。次女は両親の寝室を使う。

子供はこの姉妹ふたりだけ。体格の良い優しい父親(仮名マオリ)は週末しか家に帰ってこない単身赴任。なので、普段の生活は私より
1歳年上の母親(仮名ファラウ)と3人暮らし。

とは言っても、すぐ隣にマオリの両親と叔母、同じ敷地内にマオリの兄家族が住んでおり、親の友人も子供の友人もしょっちゅうお茶を飲みに出入りするので賑やかだ。

お茶というのはつまりエスプレッソ(イタリア語では
カッフェと言う)を指す。朝はもちろん、午前午後のおしゃべりタイムには欠かせない。もちろん日本で飲むコーヒーよりずっと強いので、イタリア人の中にも朝以外は飲まないという女性や、心臓に悪いのでカフェイン抜きのカッフェ(麦から作るらしい)を飲むという男性もいた。

カッフェを飲みながらしゃべるイタリア人はまるで
弾丸のようだ。まず早い!私の語学力のせいもあり、余計に早口に聞こえる。そして合の手、表情、身振り手振りが激しい・・いやじつに表現豊かなのだ。さらにお互いがしゃべり終わらないうちにかぶせるように話し出し、両方がしゃべっていることも多々あり、初めのうち私は喧嘩をしているのかと思った。

しかし、家でも職場(私は小学校でボランティアをしていた)でも皆、私との会話ではゆっくりしゃべってくれた。日本のことなどいろいろ興味を持って聞いてくれるし、実によくほめてくれる。イタリア人は
ほめ上手だ。あまりほめられ慣れていないと気恥ずかしいが、実に良い気分になったりする。

ファラウとも、食後の片付けが終わった後など、いろいろしゃべった。日本にいる家族のことなど親身に聞いてくれたし、わからない言葉などは表現を換えて説明してくれた。しかしそんな蜜月(?)が長く続くはずもなかった。
続く・・・

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