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研究員物語 (愛と涙そして・・・ |
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エピソード3:自分でつくるイタリアン |
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私の家には、エクストラバージンオイルどころかオリーブオイルすら無かった。orz 私の住んでいた環境(つまり郊外というか少し田舎というか)のせいかも知れないが、当時はまだオリーブオイルなんてスーパーにも並んでいなかったし、家で使うものだという認識も一般的には無かったと思う。 |
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という訳で、大学の短絡仲間のせいで大好物のひとつになっていたスパゲッティ(パスタなんて呼ばなかったなぁ、そういえば・・)を作るにもサラダオイルや菜種油なんてのを使っていた。 そんな折”健康に良いオリーブオイル”と某有名な調味料メーカーがコマーシャルで謳っていた。 実家で暮らしていた私は、油なんて買うこともなかったが、興味本位で「自分用に買ってみるか」と小さな’オリーブオイル’のビンを求めた。 「良いオリーブオイルを使えば味付けもあまりしなくていいらしい」と、どこで覚えたかは忘れたが、いつもの癖で俄か知識をひけらかし、試しに野菜を炒めてみた。 塩コショウは控えめに、チャチャットね。 すると・・! なんとそれが美味しかったのだ! うーん、野菜の甘味が感じられるし、油っぽくもない。 これは、高血圧の親にも良いメニューかも・・・ と一応殊勝な考えも頭をよぎったが、つまりは自分の作ったものが美味なのが嬉しかったのだ。 それから、スパゲティはもちろん野菜や肉にも使ってみたが今までの料理に比べて味は上々だった。 調子を良くして、親戚へのお中元もオリーブオイルとパスタのセットにしてみたりした。 が、しかしそれもつかの間、すぐに何かもの足りないなぁと感じるようになった。 何故だろう? 料理本を見たり、人に話を聞いたりしてレシピを試してみたが、なんだか美味しくないのだ。 腕が悪い? そう、それは間違いないだろう。 (私はちゃんと自分の非を認める人間さ。ははっ・) あの薄暗い半地下の店で味わったマッシュルームサラダとリゾットの味・・・ あれにどうしても近づけないまま、月日が流れていった。 |
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