尼崎港線・塚口駅発車前。 1981年3月末に廃線となった尼崎港線です。廃止直前の3月19日に訪れました。 地方のローカル線というわけではなく、阪神地区の工業地帯の中を走る、しかしうらぶれた短い路線でした。 尼崎港線、というのは正式名称ではなく、この線の通称です。 正式には福知山線の一部で、尼崎の隣の駅の塚口から分岐し、尼崎港へ至る短い路線でした。 この日の午後の列車は、小型ディーゼル機DD13がたった1両の客車を牽いて走る短いものでした。 スハフ42。 この客車がいつもたった1両で短い路線をずっと行ったり来たりしているのでしょうか。 何しろ旅客列車は1日わずか2往復しかありません。 とても大都市・大阪の周辺の路線とは思えません。 一応急行型の客車、スハフ42を連結していますが、すでに優等列車で使われることはなく、旧型客車自体、ローカル線からも活躍の場をなくしつつありました。 発車前のひととき、静かな時間が流れる塚口駅ホームです。 もっとも廃止直前の人気か、今日は全部で30人位の乗客で、1両の客車は結構賑わっています。 終着駅尼崎港。 塚口を発車した列車は、上下線の分かれた福知山線の本線の間の築堤を少しづつ上って行きます。 キリンビール尼崎工場を眺め、日本スピンドルの工場の間を抜けて尼崎駅を眺めながら東海道本線をオーバークロスすると、こちらも尼崎駅に到着します。 しかし、乗降客はひとりもいませんでした。 次の金楽時でもお客はおらず、ほどなく大きく右へカーブして、終点尼崎港に到着です。 列車が到着すると、すぐに機関車が外されどこかへ走り去ってしまいました。 この客車が1時間ほど後に再び、今日最後の列車として塚口へ折り返すはずなのですが。 尼崎港は阪神高速神戸線の下、貨物駅の片隅にごく短いホームがあるだけの駅です。 ただし貨物扱い業務があるせいか、高速道路下の駅の造りは、1日2往復の旅客列車駅に不釣合いな構えでした。 尼崎港駅発乗車券。 尼崎港駅には駅員はいましたが、入場券は常備していませんでした。 お馴染みの自動券売機さえありません。 窓口で購入した乗車券はご覧のとおりのものでした。 この日は廃止前で記念に切符を購入する乗客が多かったため、手書きの切符発券は大変だった事と思います。 折り返し列車の発車が1時間後でなくすぐの折り返しだったら、窓口はパニックになっていたかもしれません。 記念撮影・発車前。 珍しく列車のサボの前で記念撮影です。 この時は大学の友人との同行だったためと「記念」のためですが、普段は横着な性格のためあまり自分がカメラに収まっての「記念撮影」をすることはありません。 記念撮影・尼崎港駅1。 終点・尼崎港駅に到着後の記念撮影です。 前夜に泊めて頂いた同級生の実家で、酒の勢いで作った「祝」の紙幕ですが、結構気恥ずかしいシロモノでした。 閑散としたローカル線の終端駅ならいいのですが(実際そのはずだったのですが)、廃止直前人気のため乗客が多数います。 まあ、大体が同じ穴のムジナばかりだから、臆することはないのですが。 記念撮影・尼崎港駅2。 勢いで、改札口(実際はそんなマシなものはなかったですが)を出てからもう一枚。 本来は「祝」の横に大きな文字で「実名」が書かれているのですが、本ページアップのために流石にこれだけは「修正消去」させていただきました。 バカ騒ぎの後ろでは、まだまだ記念の切符を求める列が続いていました。
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