かいもん4号のホームページ TRAVEL ユーロスターEUROSTAR
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ユーロトンネル経由でイギリス・フランス・ベルギーを結ぶユーロスターが運転を開始し、丸10年が過ぎました。
華々しいセレモニーにも関わらず、当初はやや立ち上がりが遅れ気味だったユーロスターですが、高速新線区間も徐々に増え、後はイギリス国内の残り区間の完成を待つのみとなりました。 10年前、1994年末の正月休みに初乗車した様子+αです。 1月9日、後半のユーロスターパンフレットを追加しました。

「ユーロスター」チケット。

 1994年12月29日、営業開始後一月半の「ユーロスター」に初乗車しました。
 1985年のドイツ出張以来2度目、個人旅行としては初めてのヨーロッパです。
 正月休みの短期間ながらとにかく鉄道三昧の旅、のつもりなのですが、準備しているのは往復の航空券とユーレールパス、ブリッドレールパスのみ。 列車の予約は全て現地調達です。
 入手困難が心配だった「ユーロスター」のチケットですが、とりあえずベルギーのブリュッセルMIDIからロンドンまでの当日チケットは、MIDI駅のカウンターにて入手できました。



時刻表。

 ブリュッセルMIDI駅で入手した時刻表(英語バージョン)です。
 英仏海峡トンネルが開通したのは同年5月のこと。 しかし、肝心のユーロスターの運転開始は遅れに遅れ、ようやく11月14日に営業一番列車が走りました。 とはいうものの、当初はロンドン〜パリ間、ロンドン〜ブリュッセル間ともにたったの2往復づつ。 事前にロンドン在住の友人から貰った情報では、「パリ行きはほとんど満席でチケット入手困難」とのことでした。
 現在では料金体系も航空機対抗や各種割引で複雑になりましたが、当初は単純に1等と2等(2等は通常クラスと、変更不可の事前割引チケット)のみ。 ただ、当時の円高(1ドル=80円台前半)のおかげで、現地購入したチケット(1等Discovery Gold)は日本円で片道おおよそ14000円。 乗車時間3時間余り+日本のグリーン車相当+食事のサービスがあることを考えると、正規運賃ながら随分割安な感じがしました。



クック時刻表。

 初めての個人旅行、入手困難なユーロスターのチケット。 それにもかかわらず、事前に日本国内で予約購入しなかった理由は単純明快。 当時、日本ではまだユーロスターのチケットが購入できなかったのです。 それどころか、日本の旅行代理店では、現地の正確な情報がよくわからない状況でした。
 ヨーロッパ鉄道旅行必帯の「トーマスクック時刻表(日本語版)」ですが、94年秋〜冬号では、ユーロスター用のスペースはあるものの、時刻は空白のままでした。 別のアナウンスを確認しろとか、完全なサービス開始は1995年春になるとか書いてあるだけです。
 今のようにインターネットもなく、仕方なく運転時刻の確認から現地で行うことにしました。



初乗車の車内。

 1994年12月29日、ブリュッセルMIDI発ロンドン・ウォータールー行き、9157列車の車内です。
 余席はないのではいか、との予想とは全く違い、ガラガラというほどではないにしろ、1等はこんな感じでした。 (但し写真は乗車直後で、発車時にはもう少し増えていましたが。)
 スケジュールの関係で、初乗りは18時26分発の列車。 真冬のヨーロッパですから完全に「夜」で、車窓を楽しむことはできません。 おまけにブリュッセル〜フランス・リール間は高速新線は開通しておらず、古い在来線経由。 イギリス国内も在来線でしたから、高速列車本来の性能を発揮して満足に走れるのはユーロトンネル内だけ。スピード感も全くありませんでした。



メニュー(1)。

 車窓の楽しみのない、ほとんど「夜行列車」的運転時刻ではありますが、ユーロスターの1等には食事サービスがあります。
 当日朝、香港経由でフランクフルトに到着したばかりで、それまでの食事はキャセイ航空の機内食の4連続。しかしその後昼食は間食程度で間隔が開いたため、どんな食事でも美味しく食べられそうです。
 あまり過度に期待しないように自分に言い聞かせながら、それでも夕食のあてにしていた食事は、期待を裏切り?予想をはるかに越えた「豪華」なものでした。
 飛行機のようにトレーで出てくるのには変わりありませんが、サラダや魚料理などの前菜のあと、メインディッシュにはちゃんとディッシュ交換され、航空機の食事とはかなり差別化されています。 (但し、航空機と言ってもビジネスやファーストクラスには乗ったことはありませんから、あくまでエコノミーとの比較です。)
 今回は決して美食飽食の旅ではなく(むしろ貧乏旅行に近い)、日頃はファミレスの食事で満足する性分ですから、これは十分に「豪華なディナー」です。 少なくとも今回の旅行では、これ以上のものはあり得ません。
 しかし何より好ましいのは、アルコール(ワインを指定)がフリーで、フルボトルのワインを何度でも注ぎに来てくれた点でしょう。 これはパーサーがサービスすべき乗客が定員の半分弱と少なかったのも幸いしています。 別に手を上げて呼んだわけではないのですが、パーサーが往復するたびに「今日は日本人はおまえだけだ」などといいながら何度も注いでくれます。 もちろん一度も拒みはしませんでしたが。



メニュー(2)。

 腰のしっかりした厚手の紙のメニューです。(別に紙を食べるわけではありませんが。)
 当時の1等と2等の料金差はおおよそ2900円。 食事が付いて、座席や居住性に差があってこれだけの料金差しかないということは、どう考えても1等の方が割安感があります。
 しかし、さほど混んでいないのは、今でも頑として階級意識が残っている証拠なのでしょうか。 ちなみに後で散策した2等車内は、結構混雑していました。
 尚、今では料金体系や割引制度の幅が広がり、円安の影響もあって、当時ほどの1等の割安感はありません。



「ユーロスター」チケット(2)。

  ブリュッセルからロンドンまでの往路は難なく入手できたユーロスターのチケットですが、パリへの帰路はそうは行きませんでした。  朝の便のパリ行きが希望だったのですが、さすがに当日朝、発車1時間前では全部売り切れ。人気のパリ線のためある程度予想していたことではありますが。
  しかし午後の便、9040列車は何とか余席があり、予定通り年内に大陸側に戻れそうです。 



ポーツマス。

  無事にチケットが取れたユーロスターですが、朝の便希望が午後の便になったため、ぽっかり時間が7時間程も空いてしまいました。
 ウォータールー駅の近くには、バッキンガム宮殿に国会議事堂ロンドン塔、ウェストミンスターにロンドンブリッジなど、有名な観光地が多いのですが、今回の基本は鉄道三昧の旅。 それに本当は、大晦日の結構寒い朝なのであまり何時間も外を歩きたくない、といういささか横着な本音の事情もあります。
ウォータールーから列車で片道2時間程度で往復できるところ、と言う条件で路線図を眺めたら、目にとまったのが「ポーツマス」。 イギリス海軍の古い軍港の町です。
というわけで、インターシティでポーツマスまでショートトリップです。 ロンドンの朝方の寒さが嘘のような、晴天で暖かい絶好の散歩日和の、大晦日のポーツマスの町でした。



ウォータールー・インターナショナル。

 ユーロスターの始発駅、ウォータールーです。
 駅表示に「インターナショナル」とありますが、在来線のウォータールー駅ホームのすぐ横に併設しており、駅の関係は「東京駅の在来線と新幹線」といった感じです。 もっとも行き止まり式のターミナルではありますが。
 真新しい駅とは言いながら、すでに使用開始後一月半経っているのですが、どういうわけかずらりと並んだ自動改札の機械がうまく動いておらず、係員が側について対応しています。 どうもチケットを差し込む微妙な角度で、うまく反応したりしなかったりするようです。



ウォータールー駅ホーム。

 午後発車のパリ北駅・PARIS DU NOIR行き列車は15時53分発。
 ロンドンからだと距離的にはブリュッセルよりパリの方がやや遠いのですが、フランス国内パリ〜リール間は、すでにTGVの北ヨーロッパ線高速新線が開通しており、最高速度300キロ走行のため、所要時間はやや短く3時間で到着します。
 それにしても、イギリスは大陸との間に1時間の時差があるため、16時前はほとんど夕方です。 イギリス国内走行では何とか窓の景色が見えるでしょうが、ユーロトンネルを抜けてフランスに入る頃には完全に夜になるはずで、その点が少々残念ではあります。



「ユーロスター」車内。

 ロンドン発車直後は車窓が楽しめたユーロスターですが、イギリス国内は在来線をゆっくり?走るため、ユーロトンネルに到達しないうちに車窓は闇の中となってしまいました。 となると、あとの楽しみは再び車内での食事です。
 今回のパリ行きの便は1等もほぼ満席で、相席の乗客がいます。 おまけに4席向かい合わせのポジションでしたから、食事になれば軽い会話くらいはすることになります。 (軽い会話、なんてものでは済まず、言葉にハンディのある身では少々疲れましたが。)
というわけで、相席の面々です。
 全員単独行動で、この列車内の席がたまたま一緒だっただけの関係で、出身・国籍もバラバラです。



「ユーロスター」車内(2)。

 記念写真は、食事が終わったあとです。 列車はフランス国内を300キロで走行中です。
顔色・顔つきからわかるように、食事中の「飲み物」サービスの波状攻撃のせいで、すでに全員結構デキ上がっています。
 といってもこの席ばかりではありません。 あちこちで賑やかな、というよりちょっとうるさい位のお祭り騒ぎ?になっています。 けっして団体客が乗っているわけではないのですが。
 まあ、開業直後の大晦日の夜のユーロスターで、殆どが体験乗車的乗客なので、お互い様、ということで勘弁してもらいましょう。 新幹線のグリーン車でこんな大騒ぎをしたら、確実にひんしゅくものですが。



「ユーロスター」チケット。

 こちらは2002年のユーロスターチケットです。
 その後も何度か乗車する機会があったのですが、この時は2等に乗車してみました。 理由は、都合により食事をすませた後だということと、ユーレールパス使用の割引チケットで乗車し、かつコストダウンを図るため?です。
 かなりの円安だった2002年夏ですが、2等のパスホルダー料金だと9000円程度です。
 さすがに2等の室内(4列シート)でほぼ満席、となると結構手狭です。 やはりこちらの人間の体格は違うと感心します。
更に、じつはユーロスターの車体はそれほど大きくありません。 TGVはじめ最近の高速列車の車体は、ドイツのICEを別格にするとどれも小振りなのですが、その中でも、イギリスに合わせたユーロスターは限界の関係でひときわ小さくなっています。 何しろ車体幅は日本の485系よりわずかに狭いのですから。



ウォータールー駅。

 1996年夏のユーロスターです。
 すでに列車本数はかなり増え、開業人気は過去のものとなり、航空機との競争は激化して、ちょうどいい時間の夕方のパリ行きなのですが、1等はかなり空いていました。
今回は真夏(8月の盆休み)であり、夏時間で22時頃までは薄明るい時が続きますから、終点パリまで十分車窓が楽しめそうです。



パンフレット1。

 開業当初のパンフレットです。
 駅構内で配布(ご自由にお取り下さい)のものです。
 西ヨーロッパの鉄道各駅や観光案内所では、無料のパンフレットが充実しています。 中にはかなり凝った造りやデザインのものも多く、なかなか楽しみです。 これは、ユーロスター運転開始当初のものです。 デザインは、二つ折りの時刻表や投書用紙などと統一されています。



パンフレット2。

 表紙をめくった見開きページです。
 ユーロスターの出会い、というイメージが洒落ています。
 このパンフレットはベルギーのブリュッセルMIDI駅で入手したもので、残念ながら英語バージョンではありません。



パンフレット3。

 次のページです。
 ユーロスターが結ぶ3都市へのいざない、といったところです。
 このページは、紺色の三角形の部分が更に別ページでめくれるようになっています。



パンフレット4。

 上のページの紺色の部分をめくってみると・・・。
 さらに3都市のイメージですが、コラージュ風で上と対照的です。



パンフレット5。

 こちらはユーロスターのイメージページ。
 駅(乗車前)、人(いよいよ乗車)、車内(乗車後)、と進みます。



パンフレット6。

 紺色の三角形をめくってみると・・・。
 パンフットにも決して「性的差別」表現はありません。 1等のシートで休養する男性と、働くキャリアレディの図です。 それとも実は「社長」と「秘書」?
車窓風景は「はめ込み合成」のようです。



パンフレット7。

 このページはさらに、三角形の部分の別ページが重なって続きます。
 上と対照的に「ファミリー席」。 車内もこちらは2等です。



パンフレット8。

 次のページは・・・。
 車内サービスアラカルト。 テーマは「食」です。



「パンフレット9。

 テーマは「人」。
 出会いと別れ、見知らぬ土地への誘い。
 余分な説明がないのが好ましいです。



パンフレット10。

 小ページをめくって。
 ユーロスターの旅を演出する人々。
 もちろん女性ばかりでなく、男性パーサーも乗務しています。 それに「若い魅力的な女性」ばかりではなかったような記憶と証拠写真が・・・。 あえて掲載はしませんが。



パンフレット11。

 テーマは諸設備。
 駅から車内までの設備サービスの紹介です。



パンフレット12。

 テーマは「駅」。
 各国の始発駅、ロンドン・ウォータールー、パリ北駅、ブリュッセルMIDIですが、実は高架構造のスルー式で、デザイン面で一番絵になりにくいブリュッセルMIDIだけは、ホームの写真でお茶を濁しているようです。



路線図。

 裏側は、イギリス、フランス、ベルギーの主要路線図とユーロスター路線図です。
 日中の列車なのですが、なんとなく夜行列車を連想させるカラーリングの地図ではあります。

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