外国人雇用

<入国管理法・外国人雇用>

外国人を採用する際のチェックポイント

 ◎入国管理法とは
 出入国管理及び難民認定法(入管法) 第2条の2では以下のように定めてい
 ます。「本邦に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法及び他の法律に
 特別の規定がある場合を除き、それぞれ、当該外国人に対する上陸許可若しく
 は当該外国人の取得に係わる在留資格又はそれらの変更に係わる在留資格をも
 って在留するものとする。」

 簡単に言えば、わが国に在留する外国人は、入国(上陸)の際などに与えら
 れた在留資格の範囲内で、定められた在留期間に限って在留活動(就労等)が
 認められるということです。

外国人の雇用に際しては、「在留資格」「在留期間」を確認しましょう!


 ◎不法就労外国人を雇用していると雇用主も処罰されることがあります

 不法就労外国人を雇用していた場合、雇用主にも罰則が適用される場合があ
 ります。入管法第73条の2には「不法就労助長罪」が定められており
  (1)事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
  (2)外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
  (3)業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は(2)の行為に関し
   斡旋した者
 を処罰の対象とし、3年以下の懲役又は200万円以下の罰金が定められて
 います。

 また、不法就労外国人とは知らずに雇用していた場合は処罰されることはあ
 りませんが、不法就労であるとはっきり認識していなくても、状況からみてそ
 の可能性があるにもかかわらず、確認をせずにあえて雇用するような場合には
 処罰されますので「在留資格」「在留期間」を確認することが必要です。

【参考】不法就労とは次のような場合をいいます。

   (1) 不法に入国したり、在留期間を超えて不法に残留したりする等して、
   正規の在留資格を持たない外国人が行う就労
   (2) 正規の在留資格を持っている外国人でも、許可を受けないで在留資格
   で認められた活動の範囲を超えて行う就労


 ◎「在留資格」「在留期間」の確認方法
  (以下のいずれかのもの等により確認することが出来ます)

旅券(パスポート)面の上陸許可証印 在留期間の更新や在留資格の変更を行っている場合は、それぞれの許可証印(在留資格変更許可、在留期間更新許可)が旅券面に押印されます。その場合は、最新のものを確認する必要があります。
外国人登録証明書 日本に入国して在留することになった外国人は、90日以内に居住している市区町村に届け出て、「外国人登録」を行わなければなりません。登録した場合は「外国人登録証明書」が交付され、16歳以上の外国人はそれを携帯し、入国管理官などがその職務の執行にあたり提示を求めた場合は、これを提示しなければならない。
就労資格証明書 入管法第19条の2に定める就労資格証明書とは、就労が認められている活動の内容を証するものとして、本人が申請した場合に交付されます。転職の場合、その会社での就労が認められるかどうか?将来の在留期間更新申請を想定して具体的に「○○会社における○○の活動は上記に該当する」旨の証明がされます。

【参考】出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条の2第2項において、外国人を雇用するに際して、就労が認められている活動が明らかな場合に就労資格証明書を提示し又は提出しないことを理由として不利益な取り扱いを禁止していますのでご留意下さい。就労資格証明書がなければ就労できないというものではありません。

在留資格

在留資格とは、外国人が日本で行おうとする活動の観点から分類されたもので、在留資格一覧表にあるように入管法で27種類に分類されています。
 日本政府の基本方針にもあるように「外国人雇用の実態」でも、日本政府はどんな活動を行う外国人でも受け入れるのではなく、その活動範囲に一定の制限を課しており、在留資格は「どのような活動を行う外国人を受け入れるか」が分類されているものなのです。
 それぞれの在留資格は「就労に制限のないもの」「一定範囲で就労が可能なもの」「就労不可のもの」の3種類に大きく分けることが出来ます。
 どれに該当するかによって自社での就労が可能かどうかが決まってきますので、必ず確認しましょう。

区分 概要 在留資格
就労に制限のないもの 入管法上、活動に制限がないもの 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
一定範囲で就労が可能なもの 在留資格に応じその範囲内での就労が可能であるが、その在留資格の活動に属さない収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行ってはならないもの 教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能、外交、公用、特定活動
就労不可のもの 収入を伴う事業を運営する活動または報酬を受ける活動を行ってはならないもの 文化活動、短期滞在、留学、就学、研修、家族滞在

1・活動に基づく在留資格
 ①各在留資格に定められた範囲での就労が可能な在留資格
 ②就労はできない在留資格
 ③個々の外国人に与えられた許可の内容により就労の可否が決められる在留資格

2・身分又は地位に基づく在留資格

 

資格外活動許可証

◎ 資格外活動許可証
  留学」「就学」の在留資格では、原則的に就労することはできませんが、法務大臣の許可を受けた場合はアルバイトを行うことができます。許可の内容は一般的に、アルバイト先が風俗営業に係る場所でないことを条件に、1日4時間以内、1週28時間以内(ただし、専ら聴講による教育を受ける研究生又は聴講生の場合は1週14時間以内)を限度として勤務先や時間帯を特定することなく、包括的な許可が与えられます(当該教育機関の長期休業期間にあっては、1日8時間以内)。
 この許可を資格外活動許可といい、許可を受けた場合は資格外活動許可書が交付されます。
 資格外活動許可は、「留学」「就学」以外の在留資格を有している場合でも申請でき、本来の在留資格による活動を阻害しない範囲で付与されるものです。「留学」「就学」の在留資格の場合であれば、学業に支障を及ぼさない範囲内で認められます。
 また、「留学」「就学」の在留資格の場合は、勤務先を特定することなく事前に申請できますが、その他の在留資格の場合は、就労先が内定した段階で申請することになります。

 

外国人雇用の各種届出関係

1・外国人雇用状況報告書

 外国人雇用状況報告書とは、毎年6月1日現在で外国人を雇用している事業主に、その雇用状況を同年7月15日までに、管轄のハローワークに報告していただくもので、厚生労働省が外国人雇用状況報告制度のもとに行っています。外国人雇用状況報告制度とは、年々増加する外国人労働者の雇用状況を把握し、失業の予防や再就職の促進、雇用管理の改善を推進するための指導援助に役立てようとするものです。この制度の下で、外国人を雇用する事業主は外国人雇用状況報告書の提出が求められていますが、報告書の提出は罰則等をもって強制するものではありません。事業主の理解と協力のもとに行われています。また、不法就労者を把握したり、不法就労者及び事業主の摘発を目的とするものではありません。


2・外国人労働者の社会保険

 社会保険についてみると、外国人労働者が働いている事業所が健康保険および厚生年金保険等の適用事業所であれば、使用者は外国人労働者を健康保険および厚生年金保険等に加入させる義務があります。外国人労働者が就労する当該事業場で健康保険および厚生年金保険等に加入しない場合には、当該外国人労働者はその居住する市町村の国民健康保険及び国民年金に加入することができますが、加入の前提として各市町村では不法滞在を問題としますので、不法滞在者は加入できません。なお、国内に90日を超えて在留する外国人労働者等は、90日以内に居住する市町村に外国人登録をしておかなければならないことに注意する必要があります。
(1)会社(適用事業所)で保険に加入する場合
  ①健康保険・・・日本人と同様に給料に応じた保険料を納入する。
  ②厚生年金保険・・・日本人と同様に給料に応じた保険料を納入する。
   年金については保険料は掛け捨てになってしまうという誤解があり
   外国人が加入したがらないという例もありますが、年金には短期在
   留外国人に対する脱退一時金制度が設けられております。

(2)住所地の市町村で保険に加入する場合
  ①国民健康保険・・・日本人と同様に所得等に応じた保険料を納入する。
   加入する際には、外国人登録証(在留期間が1年以上必要)などを
   持参する。
  ②国民年金・・・日本人と同様に一定額の保険料を納入する。
   (厚生年金保険と同様に、短期在留外国人に対する脱退一時金制度
   が設けられております。)

(3)短期在留外国人に対する脱退一時金
  脱退一時金は原則として以下の4つの条件にすべてあてはまる方に支給
 (出国後2年以内に請求)
  ①日本国籍を有していない方
  ②国民年金の1号被保険者としての保険料納付済期間又は厚生年金保険
   の被保険者期間が6ヵ月以上ある方
  ③日本に住所を有していない方
  ④年金(障害手当金を含む)を受ける権利を有したことのない方
  ※年金脱退一時金制度(保険料納付期間に応じて)
  1・国民年金の受給額は、39,900円~239,400円。
  2・厚生年金の受給額は、平均標準報酬月額の0.4%~2.4%。


3・外国人労働者の税金

 外国人労働者についても給与等を支払う場合は、所得税の源泉徴収を行う必要があります。その方法等については、その方が所得税法上の「居住者」であるか「非居住者」であるかによって異なります。

    所得税の課税範囲 住民税の課税範囲
居住者 非永住者 国内の所得(国内源泉所得)の全てと国外の所得(国外源泉所得)のうち国外において支払われ、または国外から送金されたもの 1月1日現在、居住者として日本に住んでいた場合は課税
居住者 上記以外 全ての所得 1月1日現在、居住者として日本に住んでいた場合は課税
非居住者   国内の所得(国内源泉所得) 非課税