経済統計の信憑性「しん」の〈株〉バリュー投資法資本家の特徴
続・2025年の数値目標長期と短期の下落相場の違いシェルビー・カロム・デービス

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ショートコラム(2025年8月)

■シェルビー・カロム・デービス(2025年8月31日)NEW!

プラク・プラサド(Pulak Prasad)の著書『What I Learned About Investing from Darwin』(ダーウィンから学んだ投資)でシェルビー・カロム・デービス(Shelby Cullom Davis)が紹介されています。

デービスは優良保険会社を持ち続けて富を築いた投資家です。我が国の東京海上など大手損保にも投資していました。

長期にわたる高いリターンをあげており、ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)には僅かに及ばないものの、フィリップ・キャレー(Philip Carret)、ウォルター・シュロス(Walter Schloss)、ジョン・テンプルトン(John Templeton)といったレジェンドを上回っています。

幸いにもデービスに関しては、金融作家のジョン・ロスチャイルドにより書かれた『デービス王朝』が翻訳されています。まさかバフェットと肩を並べる投資家とはつゆしらず、本書を処分してしまった私は、買い直しを検討しているところです。

Approximate excess returns versus the S&P500 index(with dividends reinvested) of top investors

出典:Excess Returns


■長期と短期の下落相場の違い(2025年8月27日)NEW!

ヘッジホッグ』で長期と短期の下落相場の違いが解説されています。

【長期下落相場】

●主要銘柄が平均で40%以上下落
●主要でない銘柄はさらに大きく下落
●3年から5年続く
●20世紀の米国では2回発生(1929〜1938年、1969〜1974年)

【短期下落相場】

●15%以上40%未満の下落
●1年以上続くことはほとんどない
●20世紀の米国では25回発生

【パニック】

●非常に短く短期的な下落
●20世紀の米国では3回発生(1916年、1929年、1987年)

以上の定義を用いたうえで、著者の結論は下記のとおりです。

長期下落相場の定義で重要なのは時間の長さであり、それは時間の長さと苦痛の持続が人の行動パターンに影響を与え、社会を変えるものだからである

私自身も、下落相場では値幅より日柄を重視しています。

経験則では、相場全体が急落しても短期間で戻せば、投資家は直ぐに元気を取り戻します。マーケットの雰囲気が悪くなるのは、株価の下落が2年続いた場合です。

3年も下げ続けると、もう総悲観一色です。好材料は無視され、悪材料のみに反応し、どちらとも受け取れる場合は悪材料と見なされます(現在と逆です)。

大半の個人投資家は、持株の値下がりにより身動きが取れなくなるため、個人の好む小型株の売買も細ります。買い板がスカスカとなるため、売りたければ目をつぶって投げるしかありません。時間の経過と共に、やがて電卓を叩くまでもなく割安な小型株があちらこちらに放置されます。

今の私は銘柄分析を続けながら、2013年以前に何度か経験した、このような状況を待っています。資本主義自体が、バブルの発生とその崩壊を繰り返し、企業家や投資家の淘汰を行い(非効率な弱者を排除し)つつ、その試練を乗り越えた勝者だけに褒美を与えることで、全体として中長期的に成長するという仕組みを内包しているからです。

ちなみにバートン・ビッグス卿のもう一冊の著作である『富・戦争・叡知』は、疫病(新型コロナ)や戦争といった予言がことごとく的中したため、もはやコレクターズアイテムと化しています。長期投資家必読とも言える書籍であり、近隣の図書館で探すなりして、ぜひとも読んでおきたいものです。


■続・2025年の数値目標(2025年8月25日)

本年元旦に2025年の数値目標を掲げました。

今後10年間の長期所有に値する会社を10社見つける

具体的には、下記の5つを満たす会社の絞り込みを進めている最中です。

(1)光通信が大株主
(2)自分の理解できる事業
(3)高ROIC
(4)経営陣が相応の自社株を所有
(5)時流を享受できる立ち位置

皆さんの中には、既にお気づきの方がいらっしゃるかもしれませんけど、セミナーテキストや月刊レポートには、この作業に関連したものが多く含まれています。

今年も残すところ4カ月余り。数値目標の達成に向けて銘柄分析に励みたいです。


■たーちゃんの出演動画(2025年8月17日)

ときおりメールのやり取りをしている方が知らせてくださいました(Aさん、ありがとうございます)。

たーちゃんの出演動画「資産80億円/全額 集中投資した銘柄/まだ増やし続ける投資家の習慣/2年連続赤字企業は買い/黒字企業の方が怖い/企業分析レポートの書き方/おすすめ投資本/娘に残す独自の投資法【個人投資家・たーちゃん】」で私の著書をおすすめされているとのこと。

早速、動画を拝聴したところ、個人投資家が書いたバリュー投資の本として、私の著書、しんさんの本『謎のトレーダー「しん」の〈株〉バリュー投資法』、KAPPAさんの本『エビデンスに基づく株式投資(EBI)のすすめ』をあげられていました。

拙著に関しては、具体的なタイトルまで言及されていなかったものの、時代背景からして処女作『超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術』を差していると思われます。

たーちゃんと交流があったのは、今から20年近く前です。しかし個人投資家向けのセミナー講師やレポート執筆を生業としている以上、特定の投資家グループと仲良くするのはフェアでないような気がして、銘柄研究会への参加を断念しました。

それ以降は疎遠になってしまったにもかかわらず、今でも名前を出していただけるのは嬉しい限りです。


■ラルフ・ワンガー(2025年8月13日)

投資の古典的名著『マネーマスターズ列伝』に登場するラルフ・ワンガー(Ralph Wanger)に興味を持ち、1997年に出版された著書『A Zebra in Lion Country』を読んでみました。

ワンガーは1970年から2003年まで自ら運用したエイコーン・ファンド(Acorn Fund)で年率16.3%のリターンを達成した小型株投資の達人です。同期間のS&P500指数は年率12.1%につき、年率4.2%の超過リターンを得ていました。

33年間の長きにわたり、年率4.2%の差が積み重なれば、まさに天と地ほどの違いとなります。1970年に100ドルで運用を始めた場合、2003年の結果は下記のとおりです。

●エイコーン・ファンド:16,971ドル(169倍)
●S&P500指数:4,859ドル(48倍

ワンガーの成功した要因として、大半の機関投資家が関心を持たない小型株に投資を行い、その投資に長期的視野に基づく理路整然としたロジックを採用したことがあげられます。小型株の売買主体が短期志向で行き当たりばったりの売買を繰り返す個人投資家であることを考慮すれば、相当に有利な立ち位置だったのではないでしょうか。

この点に関して『マネーマスターズ列伝』では「世の中には小型株を価値以下で手離しては、わざわざ成熟しきった株を価値目いっぱいで買っている個人投資家がずいぶんいますね」と皮肉っています。

それはさておき、我が国の小型株において、ワンガーのような投資家は光通信以外見当たりません。ラルフ・ワンガーに学び、光通信の投資銘柄を分析することが、日本株の個別銘柄投資で成果をあげる近道のような気がします。

なお手前味噌で恐縮ながら、今月の資産運用レポートは「ワンガー流小型株投資(1ページ目のみご覧になれます)」と言うタイトルで『A Zebra in Lion Country』 の要約と日本株への実践を取り上げました。体験購読も受付中です。


■資本家の特徴(2025年8月11日)

私はサラリーマン時代、2つの会社を経営する資本家の下で働いていました。そのとき感じた資本家の特徴は下記のとおりです。

●多額の現金を手元に置いたまま、常にじっとしている
●次から次へと持ち込まれる投資案件に、滅多なことで首を縦に振らない
●その代わり、決断した際は思い切った額を投じる
●普段、株にほとんど興味を示さなかったくせに、JTの上場時は大量に買った
●口ぐせの「投資は不況でするもんや」を有言実行していた

今から振り返れば、もっと図々しく近づいて、そのノウハウを吸収しておけば良かったです。

ちなみに「投資は不況でするもんや」は直々に言われたことがありました。「こんな若造に何を言っても無駄やけどな」という感じで・・・。もちろん、貴重なアドバイスとして肝に銘じています。


■「しん」の〈株〉バリュー投資法(2025年8月4日)

喜ばしいことに、2005年に出版された『謎のトレーダー「しん」の〈株〉バリュー投資法』が電子書籍として復刻されています。

今となっては昔話ですけど、この時代の我が国には、米国から入ってきたばかりのバリュー投資を実践している個人投資家のお手本がありませんでした。

たしかにバリュー投資は優れた手法に違いない。しかし日本株においてどのように取り組めばいいのか?

模索を続けているうち、一筋の光明となったのが、しんさんのホームページでした。親しくお付き合いさせていただいた時期もあり、私にとってしんさんは恩人です。

それから20年の歳月が流れましたけど、本書の存在意義は不変です。当時をご存じの方も、そうでない方も、一読をおすすめします。


■経済統計の信憑性(2025年8月2日)

5月、6月の米国雇用統計における大幅な下方修正を受けて、トランプ大統領が労働統計局長の解任を指示したというニュースが流れています。

実は以前から感じていたのですが・・・。人間の関与する以上、この手の経済統計に手心が加えられる可能性を完全には否定できません。上場企業の不適切会計でさえ珍しくないご時世に、当局の「中の人」だけが清廉潔白とは言い切れないのです。

経済統計に関しては、そんな少し冷めた目で投資の参考にする程度にとどめたいものです。もっともどのような経済統計も、株価に対する遅行指標に過ぎませんけど。



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