10倍株の思考法金融市場の原理原則世界で最も良く効く薬
たとえ優良企業でも、高値をつかめばどうなるか不運な業績修正
超優良企業キーエンス素晴らしい会社は素晴らしくあり続ける
好況は永遠に続かない高値でつかむことは極力避ける
生活面における変化

パーシャル・オーナー


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ショートコラム(2022年12月)

■生活面における変化(2022年12月31日)

投資に関しては、それなりに準備を進めてきたものの、何も実行できずに終わった一年でした。

しかし生活面において大きな変化がありました。郷ひろみ氏の著書『黄金の60代』を読んで、色々と考えさせられたからです。

(1)食生活
(2)筋トレ
(3)歯磨き

食生活は長らくの間、ミニクリームパンの朝食、パック入りきつねうどんの昼食、柿の種のおやつ、毎日のように焼酎ロックで晩酌をして、コロッケ、唐揚げ、ウインナーソーセージなどで夕食という、不健康なものでした。

今では、トマト+レタス+ハチミツ入りヨーグルト+ゆで卵+チーズ+国産小麦パンの朝食、豚キムチ入り野菜炒め(自炊)、ししゃも、うるめいわし、とろろご飯などの昼食、ダークチョコレート、ミックスナッツ、キウイフルーツ、みかんなどのおやつ、普段は晩酌なし、焼魚(サバ、天然ブリなどの切り身をグリルで焼く)、ブロッコリーやほうれん草、豆腐、納豆などの夕食に変えました。サプリメントとしてビオスリー錠を飲んでいます。

医師のアドバイスで始めた筋トレは、ほぼ一日おきの腹筋、スクワットが主なメニューです。筋トレではありませんけど、ウォーキングに早歩きを取り入れています。

歯磨きは3カ月に一度、クリーニングで通院している歯科医院の歯科衛生士さんに改めて教えを請いました。目下、デンタルフロスの練習中です。

この手のルーチンワークを黙々と続けるのは、正直なところ、面倒だと思うことも度々です。手間暇もかかります。それでも続けているのは、投資家として充実した60代を過ごすためのベースとして必要不可欠だからです。


■高値でつかむことは極力避ける(2022年12月28日)

成熟産業におけるM&A戦略で成長してきた企業の経営者が、対談で次のように述べていました。

過去を振り返ると、リーマンショックのころには複数のM&Aを実施しています。

適正価格で行うには時期を考慮する必要があり、高値でつかむことは極力避けないといけません。

基本はしっかりと留意したうえで、これからも良いタイミングで進めていきたいです。

企業を丸ごと買うM&Aも、その部分所有権を買う株式投資も、基本は同じです。

「マーケットタイミングは気にするなかれ」とか「欲しい時が買い時」とかいう意見もありますけど、高値でつかむことを極力避けたいのであれば、「いつ買うのか」という時期は極めて重要だと思います。


■好況は永遠に続かない(2022年12月26日)

ブルームバーグの記事によれば、米テスラCEOのイーロン・マスク氏がポッドキャストでマーケットの先行きに関して警鐘を鳴らしたとのことです。

下降相場では、かなり極端なことが起こり得る。

1年から1年半、嵐のような時期があり、その後、だいたい24年第2四半期(4−6月)ごろに夜明けを迎えるというのが私の最善の推測だ。

好況は永遠に続かない。リセッションもそうだ。

常々、マーケットがいつ底打ちするかを予測するのは難しいと感じています。しかし、それ以外は全く同感です。

来年から再来年にかけて、いかに行動するかが、投資家の命運を決めるように思えてなりません。心してかかりたいものです。


■素晴らしい会社は素晴らしくあり続ける(2022年12月24日)

バリュー投資達人への道』に掲載されている、興味深いデータをもうひとつ紹介しておきましょう。2013年6月にクレディ・スイスが発表した論文です(ソースはHOLT - research -doc .credit -suisse .com)。

本書にも引用されている、この論文の結論は次の通りです。

企業の利益率はあまり変わらない。素晴らしい会社は素晴らしくあり続け、劣る会社は泥沼にはまったままでいる。

利益率が優れた会社のパフォーマンスは、ROCが最低の会社を上回る傾向がある。質の高い会社を公正な価格で買えば、高いパフォーマンスはさらに上がる。

参考までに、論文の最後に図示されていて、なぜか本書には示されていない、もっとも重要と思われるグラフを載せておきます。このグラフを見れば一目瞭然です。

さて次の不況では、どんな会社を買いましょうか。

素晴らしい会社は素晴らしくあり続ける


■超優良企業キーエンス(2022年12月19日)

初心者時代、るいとう(株式累積投資)やミニ株(株式ミニ投資)を通じて、キーエンスに投資していました。

当時の私は、満員の通勤電車にて、斜めになりながら日経新聞を熟読するのが日課でした。冬場は新聞のインクでコートの袖が黒ずんだほどです。

紙面ではキーエンスが何度も取り上げられ、超優良企業として紹介されていました。一連の記事を読んでいるうちに、居ても立っても居られなくなった私は、同社への投資を決意します。

幸いなことに、るいとうを始めたのがITバブルの前だったことにあり、一時的に買値の2倍を超える含み益となります。しかし「株は持ち続けるものだ」と頑なに信じ込んでいた私は、そのままにしておきました。

ITバブルが崩壊すると、キーエンス株の含み益は吹き飛んでしまいました。それどころか、含み損にさえ転じたこともあります。この期に及んで、あのとき売らなかったことを後悔します。

結局、低迷していた株式市場が上昇基調となった2003年の年末に、ヤレヤレとばかりの売りを出します。2割弱のリターンで、まさに骨折り損のくたびれ儲けでした。

その後も同社株のリターンはかつてのような勢いに欠け、2000年の高値を超えたのは、2013年に入ってからでした。2003年から2005年にかけてのバリュー投資ブームや2007年の資源株相場において、蚊帳の外だったのです。

この間、塩漬けを余儀なくされた投資家は「超優良企業キーエンスへの投資で、こんなに儲からないとは思いもよらなかった」とぼやいていたかもしれません。

もっとも2013年以降のリターンは目を見張るものでした。タラレバの話で恐縮ですけど、キーエンス203株(株式分割調整済)をそのまま持ち続けていれば、現時点では1,127万円の評価額となり、投資額に対して14倍強のリターンをあげている計算となります。

ただそのためには10年以上の我慢を強いられました。投資資金を有効活用できたという意味では、2003年の売却も、あながち間違いとは言い切れない面があります。この結果を自分なりに受け止め、今後の投資に活かしていくのが一番でしょうか。

キーエンス 月足チャート


■不運な業績修正(2022年12月15日)

個別銘柄の調査中に、cottaの11月14日付「通期業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」が目に留まりました。

気になったのは、数字よりも「差異の理由」 です。

しかしながら、当社年間の最大イベントであるバレンタイン商戦がオミクロン株の流行期と重なる不運、さらに想定外の小麦粉の高騰、円安による輸入雑貨等の高騰が追い打ちをかけ、難しい経営判断に迫られる環境となりました。

上場企業の発表する文章にて「不運」という言葉を用いたのは、例を見ないような気がします。同社の業績は、今後も運次第なのでしょうか。

個人的に、黒須社長の経営手腕には期待していました。ただ今回の件に限っては、正直なところ、ちょっと残念です。

cotta 通期業績予想と実績値との差異に関するお知らせ


■たとえ優良企業でも、高値をつかめばどうなるか(2022年12月13日)

バリュー投資達人への道』に興味深いデータが掲載されています(ソースはPrice Is What You Pay; Value Is What You Get ? Nifty Fifty Edition)。

ニフティ・フィフティ(1970年代初頭の二極化相場で人気化した「素晴らしき50銘柄」)を1972年6月に買った場合のリターンです。

ニフティ・フィフティ(素晴らしき50銘柄)を1972年6月に買った場合のリターン

ここで注目すべきは「高い」ニフティ・フィフティのリターンです。ウォルト・ディズニーやコカ・コーラといった優良企業を買い持ちしても、当初の10年は損失を抱えている計算になります。

もちろん20年を超えて保有すれば相応のリターンを得られるものの、10年間も含み損を我慢できる投資家がどれだけいるかは疑問です。

要するに、たとえ優良企業でも高値をつかんでしまえば、その後、長期間にわたって苦労する羽目に陥ります。かくいう私も、ITバブル崩壊局面における超優良企業キーエンスへの投資で身をもって体験しました(マイナスのリターンに耐え続け、ずっと保有していれば・・・。これ以上は言わないでおきましょう)。

高値から少し下げたといえ、相変わらず、ニフティ・フィフティの再来を彷彿させる二極化相場が続いています。そんな中、人気を博している素晴らしき企業にどれだけ惚れ込んだとしても、買値には十分な注意を払いたいものです。


■世界で最も良く効く薬(2022年12月10日)

スーパーストック発掘法』という株本をご存知でしょうか。著者は株式市場で何度も全財産を失った後、大成功した米国の個人トレーダー。勉強熱心な投資家の間で読まれている、隠れた名著です。

本書の圧巻は「第3章 世界で最も良く効く薬」です。その一部を引用します。

自分の意思決定に従い、自分を集団思考と操作から遮断するために、私はCNBCやブルームバーグといった経済情報番組は一切見ない。

こうしたマスメディアが処理した「ファストフード」を徹底的に避けることの重要性はいくら言っても言いすぎということはない。

この地球上で「ニュース」ほど効果があり、病みつきになる麻薬はない。

ときおり、ショートコラムやレポートのネタを仕入れるため、マスメディアの投資サイトを見て回ることがあります。

そのたびに感じるのが「自己資金を運用する長期投資家にとって、有益な情報はないに等しい。むしろ有害な情報ばかりが掲載されている」ということです。個人のSNSも似たようなものでしょうか。

知らず知らずのうちに、こういった薬物の依存症にならないよう留意する必要があります。結局、私が常々チェックしているのは、面白くもなんともない東証の適時開示情報閲覧サービスぐらいです。


■金融市場の原理原則(2022年12月6日)

以前から気になっていた株本に『デイトレード』があります。たまたまメールをいただいた方がおすすめされていたこともあり、読んでみました(Tさん、ありがとうございます)。

名著とうたわれるだけあり、長期投資を志している私も、いくつかの気づきを得ることができました。とりわけ印象の残ったのが次の指摘です。

金融市場は大多数に利益を与えるようにはできておらず、その結果、株価が調整される際に、典型的な投資家(多数派)が駆逐される一方で、優れたトレーダー(明らかに少数派)は生き残り、株価が上昇に転じる時に十分な仕込みができるのある。

自分がマーケットに足を踏み入れてから、投資家の淘汰される局面が、少なくとも10年に一度はありました。時系列で示せば次の通りです。

●1997年秋から1998年夏(アジア通貨危機、ロシアデフォルト)
●2000年春から2003年春(ITバブル崩壊、邦銀の不良債権問題)
●2008年秋から2012年秋(リーマンショック、東日本大震災)

しかし2013年以降、多数派が駆逐されてしまうような株価の調整は発生していません。2016年前半や2020年春のミニクラッシュも、過度な集中投資や信用取引によるレバレッジを掛けていなければ、生き残れたはずです。

その結果、投資家が増えすぎているような気がします。金融市場の原理原則に照らし合わせれば、そう遠くない将来、投資家の数が適正値に戻るような気がしてなりません。


■10倍株の思考法(2022年12月3日)

またまた「10倍株」をタイトルに冠した株本が出版されました。『10倍株の思考法「ビジネスモデル×企業価値」で考える株式投資入門』です。

本書の著者ろくすけさんと『サラリーマン投資家が10倍株で2.5億円』の著者である愛鷹さんには3つの共通点があります。

(1)サラリーマンを本業としている個人投資家である(ろくすけさんは3年前にアーリーリタイア)
(2)個別銘柄への長期投資で資産を築いた
(3)当初から10倍株を狙っておらず、将来性などを加味した投資を行った結果として、持株の中から自然に10倍株が現れた

投資手法に関しては相違点(個性と言うべきでしょうか)も見受けられるものの、おふたりの投資には、まじめに株式投資に取り組んでいる個人投資家の目指すべき方向性が示唆されておるように感じました。

自分自身の投資方針を決める上で、お手本にしたいです。



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