筋書きはどれも同じホームラン級の投資案件同じ阿呆なら
CCR株価と企業価値最近の生活パターン5年以上かけて買う
7月のバリュー投資塾蔵王産業の株価チャート何かしたくなる気持ち
永守さんに働いてもらおうそれができるかどうかフロー型とストック型
会社四季報の読み方

パーシャル・オーナー


ホーム投資入門ショートコラムポートフォリオ株の本バリュー投資塾レポート


ショートコラム(2020年6月)

■会社四季報の読み方(2020年6月29日)

ときおり「会社四季報の読み方がよく分からない」という声を耳にします。その度に、どう答えればいいのか、困ることが多いです。この際、私なりの見解を述べておきましょう。

四季報は、ファンダメンタル分析の勉強を重ねた結果、だんだんと深読みできるようになる資料です。

あのコンパクトにまとめられた紙面から、財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)のイメージが頭の中で浮かび上がるようになれば、投資家として一人前と言えます。

それに加えて、業種の特徴やビジネスモデルと四季報の情報を結び付け、投資判断を下せるようになれば理想的です。

裏を返せば、決算書を読めない投資家が、決算書から重要な数字のみ抜き出した四季報を読んでも、たぶんチンプンカンプンではないでしょうか。

業種の特徴やビジネスモデルを理解していなければ、記事欄の情報も頭に入ってこないはずです。

とりあえず会社四季報の通読を続けながら、並行してファンダメンタル分析の勉強に取り組まれることをおすすめします。


■フロー型とストック型(2020年6月26日)

7月に開催するバリュー投資塾「ストック型ビジネス」のセミナーテキストより、フロー型ビジネスとストック型ビジネスの違いを抜き出してみました。

基本的にフロー型ビジネスを行っている会社はトレード向き、ストック型ビジネスを手がけている会社は長期投資向きと言えそうです。

ネット上では「ストック型ビジネスに投資しましょう」という記事を見かけますけど、短期の値幅取りを狙い、業績の変化率に着目するのであれば、むしろフロー型ビジネスのほうが向いているケースもあります。

投資家本人の流儀に合わせて、どちらのタイプの会社を選ぶべきか、よくよく考えたいものです。

フロー型ビジネス

ストック型ビジネス


■それができるかどうか(2020年6月23日)

ある程度の経験を持つ投資家なら、自分の売買履歴を分析することで「どうすれば勝てるようになれるか」がだいたい分かります。

私の場合、何度も自己分析を行い、シミュレーションを重ねた結果、次の結論に至りました。

●10年に1〜2度あるかないかの長期的な投資チャンスをじっくり待つ
●長期投資を前提に、厳選した銘柄を少しずつ買っていく
●多少株価が乱高下しても、粘り強くポジションを持ち続ける

問題は、果たして「それができるかどうか」です。実行が伴わなければ、せっかくのプランも絵に描いた餅に終わってしまいます。

とりあえず、銘柄の絞り込みを行いつつ、投資チャンスをじっくり待ちたいです。


■永守さんに働いてもらおう(2020年6月21日)

教養としての投資』より引用します。

方法は簡単で、たとえば永守さんを部下にしたいと思ったら、日本電産の株式に投資すればいいのです。

そうすれば、永守さんはあなたのために経営戦略を練り、さまざまなビジネスのアイデアを考えながら、日本電産の社員を叱咤激励して働かせて、継続的に利益を稼いでくれるでしょう。

その利益の一部を持ち分に応じて得ているのが、日本電産の株式を保有している投資家なのです。

長期投資において、これは極めて重要な視点ではないでしょうか。

とりわけ、私のような小型株を好む投資家にとって、株を買うことは「経営者に対する、個人的な出資」を意味します。この手の会社には、社長以外に経営のできる人材がほぼいないからです。

投資を行う前に「このオヤジに、虎の子の資金を託していいのか」自問自答するよう心がけています。


■何かしたくなる気持ち(2020年6月17日)

完全なる投資家の頭の中』より引用します。

ただ、適切な安全域がある投資チャンスは簡単には見つからないため、忍耐がいる。

しかし、そう分かっていても、待っている間に何かしたくなる気持ちを抑えるのは、ほとんどの人にとってはかなり難しい。

耳が痛いです。自分の投資を振り返っても、1998年、2003年、2009年の株安局面で株を買い、後はじっとしていたほうが、よっぽど儲かっています。

しかしながら、何かしたくなる気持ちを抑え切れず、投資チャンスまで待つことができませんでした。「今度こそは」と意を新たにしているのですが、そういうときに限って、株価がなかなか下げてくれないものです。

ここは忍耐が必要な時期でしょう。余計なことに手を出してしまわないよう、気を付けたいと思います。


■蔵王産業の株価チャート(2020年6月15日)

蔵王産業(9986)の株価チャートを眺めていて、興味深い事実に気が付きました。この銘柄は個人投資家の間で、小型株が人気を博していた時期に高値を付けています。

上場直後の1994年は二部・店頭ブームが起こっていました。1999年のITバブルではスルーされ、次に高値を付けたのは、多くの個人投資家が小型株に熱中していた2006年1月です。

2018年1月も、2006年1月の再来のような状況でした。登場するカリスマ投資家と皆の買っていた銘柄が違うだけで、私の目には同じ風景に映りました。

12年周期で高値を付けている点にも注目してください。12年も経てば、前回の喧騒など誰も覚えていないのでしょうか。ということは、次は2030年です(笑)。

蔵王産業 株価チャート


■7月のバリュー投資塾(2020年6月12日)

開催のメドが立ってきましたので、7月のバリュー投資塾について、ご案内しておきます。今回のテーマは「ストック型ビジネス」です。

新型コロナウイルスの感染拡大により、休業を余儀なくされたスポーツジムや居酒屋チェーンなどは多大なダメージを負いました。

一方で、ほとんど無傷だった企業もあります。これらの企業を分析してみると、ビジネスモデルにひとつの共通点が浮かび上がってきました。

それは定額課金により収益の積み上がる「ストック型ビジネス」を手がけていることです。収益の安定成長を期待できる「ストック型ビジネス」は長期投資に向いています。投資対象として、検討してみてはいかがでしょうか。

ご参加を希望される方はメールにて、氏名と電話番号(列車が遅れた際など、非常時の連絡に使用します)を記入してお申込みくださいませ。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。

ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。

7月のテーマは「ストック型ビジネス」です
日時・場所

2020年7月23日(木祝)10:30〜16:50 東京・大井町 きゅりあん

2020年7月11日(土)10:30〜16:50 大阪・天満橋 エル・おおさか

人数

少人数制(10名様程度)

受講料

銀行振込 26,400円 当日現金 28,000円

3日前までのキャンセルは返金いたします。それ以後のキャンセルは音声CDでの受講に振替させていただきます。

概要

収益が積み上がる形の安定成長を期待できる「ストック型ビジネス」を手がけている企業を取り上げます。

テキスト
概要

第1部 フロー型とストック型
フロー型ビジネス
ストック型ビジネス

第2部 情報・通信業
3社を分析予定

第3部 サービス業
3社を分析予定

第4部 その他金融業
2社を分析予定

第5部 長期投資の出口戦略
長期トレード
長期保有


■5年以上かけて買う(2020年6月9日)

奥野一成氏の著書『教養としての投資』を読みました。とりわけ刺さったのは次の言葉です。

個人投資家である程度まとまったお金がある場合でも、5年程度で淡々と買っていくことをおすすめします。

1月11日付のショートコラム、青写真にも書いた通り、私もほぼ同じことを考えていました。

弱気相場では、株価は思っている以上に値下がりします。せっかく良い会社を選んでおきながら、振り落とされてしまっては元も子もありません。

そこで「安いな」と感じた局面で少しずつ買い、数年ががりで、弱気相場の平均値にてポジションを組むことを図策してします。

売買に余分な労力を使わず、銘柄選択に集中したいからです。


■最近の生活パターン(2020年6月7日)

5月はセミナー関係の仕事がいくつか中止になり、予定していた収入を得られなくなりました。支出を減らそうにも、それのできる分野は限られます。

困ったな。いっそのこと、酒をやめてみるか。

既に酒量を減らしていましたし、飲まない日も増えていたので、さほど抵抗なく実行できました。

飲まなければ、どうでもいい動画を見続けたりして、ダラダラ過ごさなくなります。夜更かしをしないと、翌朝も自然に早く目が覚めます。

早朝から執筆を始め、まずは一番重要なセミナーテキストや銘柄分析レポートから取り掛かります。人間、集中できる時間は限られており、私の場合はせいぜい2〜3時間が限度です。

9時頃に切り上げ、一息入れます。さらにこのショートコラムなど軽めの書き物をこなし、10時過ぎにはだいたいの業務が終わります。

その後、2日に1回は散歩も兼ねて、徒歩で30分ほどのスーパーまで買い出しに出かけます。いずれにせよ、お昼前に1日の用事がほぼ終わります。

困るのは、昼からヒマになってしまうことでしょうか。

場が引けてから、株価の大まかな値動きや適時開示情報をチェックする程度です。トレードはやらないので、場中に株価を見ることはほぼありません。

夕方、少し仕事をして、最後にいただいたメールの返信を行い、角山オフィスの1日が終わります。

最近はこんな生活パターンです。普段はいったいどうしているのか、気になる方もいらっしゃるでしょうから、書いてみました。


■株価と企業価値(2020年6月6日)

自分の経験では、株価がフェアバリュー近辺にとどまっていることはほとんどなかったです。企業価値を大幅に上回っているか、それとも大幅に下回っているか、どちらかでした。この状況が周期的に繰り返されます。

しかも同じ局面が思っている以上に長続きします。割高だからと言って直ぐに下がるわけでもなく、割安だからと言って直ぐに上がるわけでもないのです。

投資家の大半が損をしてしまうのは、こういった状況に抗えないからでしょう。

強気相場では、上がり続ける株価に我慢ならず、割高な銘柄に飛び付かずにはいられなくなります。弱気相場では、せっかく割安な銘柄を拾ったにもかかわらず、鳴かず飛ばずの株価にうんざりして、結局は投げさせられてしまうのです。

ゆえにバリュー投資家は、弱気相場の到来を粘り強く待ち、そこで買った株を次の強気相場まで我慢強く持ち続ける必要があります。もっとも口で言うほど、簡単ではありませんが。


■CCR(2020年6月4日)

もう15年前の出来事ですけど、ひょんなことから、達人級の不動産投資家とさしでランチをすることになりました。

せっかくの機会です。恐る恐る、次のように切り出しました。

将来的に5000万円の物件をキャッシュで買い、年間500万円の家賃収入を得て、それで生活できればいいなと思っています。

間髪を入れず、返されます。

甘いな。私だったら5000万円を頭金にローンを組んで、5億円の物件を買う。家賃収入は年間5000万円。たった1年で元が取れるじゃないか。

この投資家は、CCR(自己資金収益率)の話をしてくれたのです。とにかく借金が大嫌いで、信用で株を買ったことのない私には、全く浮かばない発想でした。

●CCR = キャッシュフロー ÷ 自己資金

不動産投資の物件価格に対する収益性は、株式投資の足元にも及びません。もっともレバレッジの効かせ方次第では、株式投資を凌駕します。

個人的には、地元で築古戸建を現金で買い、賃貸に出すことを視野に入れていました。でも株より期待リターンの低いものに、わざわざ投資するのは無意味です。

もし賃貸経営に参入するのであれば、レバレッジの活用を前提に覚悟を決め、本腰を入れてやるしかありません。だったら株1本でいいのかなと、いつもながらの結論に達してしまうのです。


■同じ阿呆なら(2020年6月3日)

一部の海外投資家にバブル・ダンスとして知られている、阿波踊りの有名なフレーズを皆さんもご存知でしょう。

踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々。

正直に自分の経験を述べさせれもらえば、バブルは皆と一緒になって踊っているのが最高に楽しいです。株価が上がっているときのオフ会ほど愉快な集まりはありません。

それに対して、見る阿呆はつまらないです。一人だけ、仲間外れにされているような気持ちになります。

だったら「バブルの間だけ参加して、バブルが崩壊すれば直ぐに逃げればいいじゃないか」と思われるかもしれません。

しかし私たち人間は、自分の取っている行動に対して、都合の悪い情報に耳をふさぐという悲しい性を備えています。さらにオフ会に参加したり、SNSを通じて交流することで、すっかり群集の一員になってしまうのです。

ゆえにバブル崩壊に直面しても、おいそれとは軌道修正できません。「まだ大丈夫だ」「ここはナンピン」と踊り続けているうちに損失が拡大して、ほぼ手遅れになってから「しまった」と我に返ります。

他人のお金を運用している機関投資家の場合は「踊らにゃ損々」でOKなのかもしれません。でも虎の子の自己資金を運用している私たち個人投資家が、果たしてそれでいいのでしょうか。

バブルは皆と一緒になって踊っているのが最高に楽しいです。後で高くついても構わないのであれば・・・。


■ホームラン級の投資案件(2020年6月2日)

かつて光通信(9435)の玉村前社長が、東洋経済のインタビューで語った言葉があります。

ホームラン級の案件が来れば、やれたらいいなと思っている。

光通信が放ったホームランとしては、2009年4月に実施されたフルキャストHD(4848)への第三者割当増資があげられます。1株46円(株式分割修正済)で取得しており、それに対して2019年12月期は40円の配当を受け取りました。

また同時期にキーエンス(6861)がジャストシステム(4686)の第三者割当増資を引き受け、子会社化しました。こちらは1株160円。株価は40倍以上に上昇しています。

2つの投資は、奇しくもリーマンショック後の底値圏で行われました。

投資家としては、人生でいくつか、この手の案件に相乗りするだけで資産を築けます。フルキャストHDもジャストシステムも、第三者割当増資の発表直後は株価が急騰したものの、短期資金が去ってしまえば再び買い場が訪れたからです。

しかし私を含めた大半の個人投資家は、2005年から2007年にかけてのバブルに踊らされたあげく、2008年のリーマンショックで傷だらけになり、それどころではありませんでした。

おそらく次の株安局面でも、ホームラン級の投資案件がいくつか出てくるでしょう。キャッシュをふんだんに用意して、そのときを静かに待てばいいのです。


■筋書きはどれも同じ(2020年6月1日)

価値の探究者たち』に登場するバリュー投資家、アービング・カーンのコメントを引用します。

1929年の大恐慌、1970年代前半のニフティ・フィフティ相場、1987年10月のブラックマンデー、ロング・ターム・キャピタル・マネジメントの凋落、ドットコム・バブル、そしてリーマンショックと、時々の登場人物と金融商品は異なっているが、筋書きはどれも同じだ。

資本主義の原理原則と人間の本質が変わらない以上、金融市場では似たような出来事が周期的に繰り返されます。

足元の状況も「かなり煮詰まってきたな」というのが正直な印象です。「いつ、何が起きるか」をピンポイントで予測することなど不可能ですけど、バリュー投資家の出番がそう遠くないように思えます。

マーケット氏から「安くしておきます。お願いしますから株を買ってください」と懇願されたとき、すぐに動けるようにウォーミングアップだけはしておきたいものです。



メール | プロフィール | アクセス統計 | 特商法表記 | このサイトについて | リンク集

最終的な投資判断は、みなさまご自身でなさるようお願いいたします。
Copyright (C) 2003-2020 パーシャル・オーナー by 角山智