音楽が鳴っているうちは、井の中の蛙、子供だましのスローガン、
米国会社四季報、日本人の勝算、ひとりビジネスの一日、
設備投資の対GDP比率、長期投資に最も重要なスキル、
定性分析を学べる本、資本主義経済、2つの二極化、
2001年のポートフォリオ
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ショートコラム(2019年4月)
■2001年のポートフォリオ(2019年4月30日) |
2001年末のポートフォリオを眺めていて、ふと気づいたことがあります。 それは今ほどの競争優位(=参入障壁)に関する知見を持ち合わせていれば、アリアケ、キーエンス、ニトリ、アドビ、オラクルの5銘柄に投資を集中させ、長期保有できたかもしれないということです。 少なくとも、プレナスやドトールなど参入障壁を築けない飲食チェーンに投資することはなかったでしょう。 もっとも当時は、投資家向けに競争優位を解説した書籍がないに等しく、勉強のしようがありませんでした。そういう意味で、今は恵まれていると言えます。 競争優位をしっかり理解した上で、株価が下がれば買いたい企業のリストを作っておき、次の弱気相場に備えるという姿勢が、現時点における長期投資家(バリュー投資家)のあるべき姿に思えてなりません。 |
■2つの二極化(2019年4月25日) |
4月17日に広尾駅店がオープンし、ついに”西のドラッグストアの雄“コスモス薬品が関東上陸を果たしました。横山社長は、その理由を次のように述べています。 日本は2つの二極化が進行している。1つは人口の二極化、もう1つは所得の二極化だ。 どちらも関東圏への一極集中が今後、より鮮明になってくるだろう。ビジネスチャンスはやはり関東圏にある。 現在、競争の比較的緩い地方でビジネスを展開している会社も、企業規模が大きくなるにつれ、やがてコスモス薬品のように「肥沃ながらも戦いの絶えない土地」に出ていかざるを得ない時期が訪れます。 バリュー株の宝庫でもある地方銘柄ですが、銘柄選択にあたっては、そういった点を考慮したいものです。長期投資で大化けを期待できるのは、首都圏に進出しても競合とのガチンコ勝負に勝てる見込みのある会社です。 |
■資本主義経済(2019年4月24日) |
是川銀蔵氏の著書『相場師一代』より引用します。 資本主義経済は、絶えず次なる状態に移行していく波動を繰り返す。 金融パニックが起こったりするのは、そこにおける利潤の追求の機構そのものが混乱を起こさせるもので、経済の変動は不規則ではあるが、一定の大きなリズムで起こるのは避けられない。 いわゆる経済変動は経済の実体からくる自然現象である。 (中略)「経済には永遠の繁栄もなければ、永遠の衰退もない」、これこそ資本主義社会の本質なのだ。 今、各国の政府と中央銀行は、資本主義経済が本質的に持ち合わせている自然現象を抑え込もうと躍起になっています。しかしながら、歴史を振り返れば、このような取り組みが成功しているとは言い難いです。資本主義社会では、大不況や金融危機が周期的に発生しているからです。 是川氏も指摘しているとおり、資本主義社会に永遠の繁栄はありません。資金と知識を貯えつつ、次の自然現象が発生するまで我慢強く待つのが投資家の仕事です。 |
■定性分析を学べる本(2019年4月20日) |
長期投資に興味があり、定性分析を学びたい方に参考となる書籍をまとめておきます。何からの形で、一度は紹介した本ばかりです。今回はおすすめ順に並べました。 この中では『千年投資の公理』が断トツに分かりやすいです。ただし事例がすべて米国企業なのは致し方ありません。 日本企業のケーススタディに関しては『高収益事業の創り方』が詳しいです。本書に掲載されている会社でポートフォリオを組んでも面白いと思います。 『千年投資の公理』 |
■長期投資に最も重要なスキル(2019年4月19日) |
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5月のバリュー投資塾は、長期投資家向きのテーマとしました。「“目利き力”養成講座」と題し、定性分析(数字の背景にある質的な分析)に関して、競争優位を中心にお話しします。 これは長期投資(=バリュー投資)を行う上で、もっとも必要とされるスキルです。というのも、今日におけるバリュー投資の主流が「持続的な競争優位を割安に買う」ことだからです。 長期投資で一番儲かるのは「弱気相場や不景気の影響を受けて、株価が相当に下落したものの、未だに競争優位を維持している企業」の安値を仕込めたケースです。この場合のいわゆる“堀”は大きいに越したことはありませんけど、たとえ小さくても無いよりはましです。 逆に大損するのは「強気相場や好景気の後押しにより、株価が大幅に上昇したものの、競争優位を持ち合わせていない企業」を高値掴みしたケースでしょう。現に私も、初心者時代にこの手の銘柄を持ち続け、痛い目に合いました。 今、バリュー投資家が取るべき行動は、持続的な競争優位を築いている企業のリストを作成しておき、次の弱気相場をじっくり待つことに尽きます。本セミナーが、そのためのご参考になれば幸いです。 ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 なお、お申込み締め切りを東京会場5月3日(金)、大阪会場5月8日(水)とさせていただきます。今回は10連休を挟むため、当日現金料金を通常(28,000円)より安く設定いたしました。 ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。
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■設備投資の対GDP比率(2019年4月17日) |
本日、日銀が公表した金融システムレポートに興味深いグラフが掲載されていました。企業設備投資の対GDP比率です(下図)。 このグラフの原系列がトレンドを下回っている局面、つまり不況下の設備投資が冷え込んでいる局面にて、ファナックなど有力な生産財メーカーの株を買うのがグッドアイデアに思えてなりません。直近では2002〜2003年、2009〜2010年が該当します。 ちなみに足元の状況は、1980年代の資産バブル期以来ともいえる盛り上がりを演じています。次の投資チャンスまで、後数年は我慢が必要でしょうか。 |
■ひとりビジネスの一日(2019年4月15日) |
PCとインターネットの普及により、自宅にて、ひとりで仕事ができるようになりました。そんな私の一日は次のように過ぎていきます。 ウインドウズPCを起動して、ニュースやメールをチェック。 グーグル検索で調べ物をしながら、ワードの文章にエクセルで作成した図表やフォトショップで加工した画像を張り付けてレポート完成。PDFデータに変換し、お客様に送信。 一仕事終えてから、アマゾンで本を購入。支払いはビザカード。 食後はユーチューブの動画でリラックス。 日常的に使用しているのは、マイクロソフト、グーグル、アドビ、アマゾン、ビザといった米国企業が提供している製品やサービスです。 日本人のくせに、本邦企業にはほとんどお金を落としていません。PCとインターネットの世界を牛耳っているのは米国企業だからです。 だったら、その手の企業群に投資をしておけば良かったのではないかと思うことがあります。 そういえば、初心者時代に何度も読んだ『ピーター・リンチの株で勝つ』で著者が力説していました。「投資のチャンスは、投資家自身の職場にころがっていることが多い」と。 |
■日本人の勝算(2019年4月13日) |
本格的な人口減少時代の到来を踏まえ、私が常々、思っていることがあります。 働き手を低賃金で雇うことを前提に成り立っている、付加価値の低いビジネスモデルの企業は、これから立ち行かなくなる可能性が高い。 成長を見込めるグローバル市場にて、生産性の高い欧米企業に勝てる見込みもなく、縮小する国内市場にとどまり続け、過当競争を繰り広げる羽目に陥る。 ゆえにトレーディングならともかく、長期投資の対象にはならないだろう。 最近読んだ『日本人の勝算』でも、我が国における企業の低生産性が指摘されていました。それに対して、著者のデービッド・アトキンソン氏は最低賃金を上げるという国策により、企業経営者に「従業員の給料に見合うだけの付加価値の高い仕事をしてもらうよう」仕向けさせる案を提示しています。 たしかに理想はその通りです。しかし投資家としては、たとえ冷徹に受け取られても、まずは現実に対処しなければなりません。投資先の選定に関して、その企業が行っているビジネスの付加価値(生産性)を考慮する必要がありそうです。 |
■米国会社四季報(2019年4月10日) |
『米国会社四季報』を買ってみました。というのも、内需株決算の不振を見るにつれ、今後は米国株投資も視野に入れるべきかなと感じているからです。 S&P500採用銘柄を中心に掲載されていることもあり、一晩でざっと読めました。まず感じたのは「S&P500は株価指数としても優れている」ということです。ETFで持つのも悪くありません。 その一方で、収益が高原状態で伸び悩んでおり、自社株買いの影響か自己資本比率の低い(極端なケースではマイナス)企業の散見された点は気になりました。 面白そうな会社に関しては、自分でも調査を進めていきたいと思います。 |
■子供だましのスローガン(2019年4月7日) |
『ポール・ゲティの大富豪になる方法』を読みました。一番印象に残っているところを引用します。 普通株を買うのは好景気のときに株価が上がってからでなく、安値のときにする。ほかの人が売っているときに買い、彼らが買い始めるまでずっと保持する。 子供だましのスローガンだと思って侮るなかれ。これは投資を成功させるうえで本当に大切な原則だ。 「子供だましのスローガン」と皮肉っているのは、資本家のポール・ゲティからすれば「なぜ、こんな簡単なことができないのか」とはなはだ疑問なのでしょう。 でも、庶民にはなかなか実行できません。そうするための唯一と言っていい方法は、前もって準備をしておくこと。とどのつまり投資資金を温存しつつ、次の弱気相場で思い切った投資を行える銘柄リストを作成して待つことです。 |
■井の中の蛙(2019年4月5日) |
ひょんなことから、米国株を調べてみました。 すると、動物向け医薬品メーカー、保険のリスクを分析する企業や低コストの製塩会社など、次から次へとユニークな会社が見つかりました。個別銘柄の調査でこれだけワクワクしたのは久しぶりです。 今後は、米国企業の調査にも本腰を入れてみようかなと思っています。 |
■音楽が鳴っているうちは(2019年4月2日) |
株が高値を付けている最中、サブプライムローンの焦げ付きが問題になりだした2007年夏のこと。米シティグループCEOのチャック・プリンス氏が述べた有名な言葉があります。 音楽が鳴っているうちは、踊り続けなければならない。 それから12年、今、機関投資家は再び同じ状況に立たされています。一足早く舞台から飛び降りたがために、ライバルに差を付けられてしまうと、下手をすれば首が飛びかねません。 一方、私たち個人投資家は、無理をして躍り続ける必要は全くありません。いつまでも舞台で踊り狂っている人たちに対して、高みの見物を決め込むことができるのです。 ここは個人投資家の特権を活かすべき局面でしょう。やがて音楽が鳴り止めば、掘り出し物はいくらでも見つかります。 |
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by 角山智