野球でいえば8回心配性の人たちしか生き残れないクリーンアップ
フタバ産業スノーピークの業績下方修正社員は社長の鏡優先順位というもの
コンビニ経営そーせいグループ日経平均VI気になるチャート
鳥貴族が値上げ投資先が見つからないバフェット氏東証REIT指数という炭鉱のカナリア

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ショートコラム(2017年8月)

■東証REIT指数という炭鉱のカナリア(2017年8月31日)

ニッセイ基礎研究所のレポートに、東証REIT指数を不動産市況の先行指標として使う方法が紹介されています。

レポートでは、第1のサインを東証REIT指数の最高値、第2のサインをNAV割れとしており、現にリーマンショック時には「炭鉱のカナリア」の役割を果たしました。

ただ相場の世界では、前回に有効だったサインが次も使えるとは限りません。それでも、何からの参考にはなると思います。

東証REIT指数と東京オフィス賃料の推移


■投資先が見つからないバフェット氏(2017年8月30日)

ブルームバーグの記事によれば、ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社、バークシャー・ハサウェイ社の手元現金が1000億ドル(約11兆円)近くまで積み上がっているそうです。

長年にわたって強気相場が続き、株価が高値を更新している状況では、新たな投資先が見つからないのでしょう。

バフェット氏が投資先に困ったのは、実は今回が最初ではありません。1969年にも、割安な買い物の種がつきたという理由で、自ら運用していたパートナーシップ形式のファンドを解散しています。

それから3年後、株式市場は1973〜74年の暴落に見舞われます。2008年のリーマンショックに匹敵するほどの厳しい下げでした。

バフェット氏はこの時期、お気に入りのマスメディア株や広告代理店などを大量に破格の値段で仕込み、今日の礎を築いたのです。

1999年のITバブルでは「優良企業を割安な株価で買える機会は、永遠にやってこないかもしれない」と嘆きつつ、静観を決め込みます。

歴史は繰り返し、ITバブルの崩壊により、再び投資チャンスが訪れました。

潤沢な投資資金を活用して、バークシャー・ハサウェイ社が大がかりな投資に踏み込むのは、果たしていつになるのでしょうか。個人的には、そう遠い将来の話ではないように思えますが。

バークシャー・ハサウェイ社の手元現金


■鳥貴族が値上げ(2017年8月28日)

6月のショートコラムでも取り上げた鳥貴族(3193)が値上げを発表しました。10月より、全品が税抜き280円から298円になります。理由としては、次の3つがあげられていました。

●人件費を中心とした店舗運営にかかるコストの上昇
●天候不順による国産食材の仕入価格高騰
●酒税法改正の影響

個人的には、商品やサービスの質を落とすのであれば値上げしたほうがベターと思いますが、世間には「安いほどいい」という考え方もあります。

今回の決断が、同社にとって吉と出るのか凶と出るのか、注目したいです。


■気になるチャート(2017年8月25日)

下図は、日経平均株価とJASDAQ指数の比較チャートです。このところ、上値の重い日経平均に対して、JASDAQ指数はじり高の展開となっています。

しかし、JASDAQには人件費など諸コスト上昇の影響を受けやすい内需関連の労働集約型企業が数多く上場しています。首都圏の天候不順による個人消費の低迷も懸念材料です。

小型株は、いったん下落に転じれば、きつい下げになりがちなため、株価上昇の反動が心配されます。とりあえず、8月の月次に注目でしょうか。

日経平均とJASDAQ指数の比較チャート


■日経平均VI(2017年8月23日)

恐怖指数の日本版といえる日経平均VI(日経平均ボラティリティー・インデックス)ですが、1年以上に渡り、低水準で推移しています。

株を持っていて、仕事が手につかなくなったり、胃が痛くなるような経験を久しくしていない方も多いのではないでしょうか。

ネット上で「こんなにボラティリティに低いときに株を買ってはいけないよ」とつぶやいている方がおられましたけど、長期投資に関しては正解かもしれません。

臆病者の私には、嵐の前を静けさのようにも思えます。

日経平均VIチャート(週足)


■そーせいグループ(2017年8月21日)

投資家心理を表すシンボリックストックとして、そーせいグループ(4565)に注目しています。株価は節目の1万円を割り込み、年初来安値を更新中です。

今後、個人投資家が好んで売買している銘柄に関しては、投資家心理の冷え込みにより、厳しい状況に陥るかもしれません。

もし実体価値のしっかりしている会社まで連れ安すれば、そのときがバリュー投資家の出番となります。まったく、嫌な稼業ですね。

そーせいグループ 株価チャート(日足)


■コンビニ経営(2017年8月18日)

20代のころ、コンビニ経営に興味を持ったことがあります。一国一城の主に憧れたのです。

もともと凝り性だったこともあり、業界誌のバックナンバーが置いてある大きな書店に通い詰め、コンビニやFCの仕組みについて、徹底的に調べました。

商売人向けの業界誌には、運転資金に困ったときの街金との付き合い方まで書かれており、あまりにも生々しい記述に脅かされたものです。

そこで得た結論は「コンビニのFCに加盟するのであれば、その資金でFC本部の株を買ったほうが賢明」というものでした。

私が株式投資の世界に足を踏み入れる、大きなきっかけとなった出来事です。


■優先順位というもの(2017年8月15日)

小泉秀希さんのツイッターに感銘を受けました。

本作りを通じて自分が成長しないと読者の役に立つ本にならないし、読者の役に立たなければ印税は稼げない

私も同じ考え方です。セミナーを開催したり、レポートを執筆する目的の優先順位は次のとおりです。

1.自分自身の目利き力を高めること
2.お客様に何からの気づきを与えること
3.生活費を得ること

今の仕事を始めて12年になりますが、何とか食べています。

セミナーに来られた方からは「あなたは商売っ気がなさすぎる。もっと参加者が喜びそうなことを話したらどうか」と言われ、業界関係者には「株芸人にならなければ、集客なんかできませんよ」とアドバイス(?)されました。

短期的に収入を上げたければ、それでいいのかもしれませんが、結局は長続きしないと思います。何事にも信念を持って取り組むのが一番ではないでしょうか。


■社員は社長の鏡(2017年8月13日)

業績悪化を「社員が悪い」と言わんばかりのリリースを出す会社がある一方で、「社員は社長の鏡」と言い切る経営者も存在します。

会社のことは、全て社長の責任です。(中略)社員も社長の鏡なんです。社員の言動は私の言動を映し出しています。

皆さんは、どちらの会社に勤めたいですか。長期投資を行うなら、どちらの企業でしょうか。


■スノーピークの業績下方修正(2017年8月11日)

一昨日、スノーピーク(7816)が業績下方修正を発表しました。

情報システムのリプレイスでつまづくという、新興企業ではありがちなパターンです。ただ、気になったのはその書き方です。

下記の文面を読んで、経験の浅い販売スタッフや新物流センターのオペレーション担当者、社内システム部門のSEはどう感じるでしょうか。またSAP(の代理店)との関係はぎくしゃくしないのでしょうか。

業務に支障をきたしてしまうほどのシステムトラブルは、欲張った要求を突き付けるなど、経営側にも原因の一端があるケースが少なくありません。

それはともかく、このような文章を対外的に出してしまう経営者の姿勢に、違和感を感じずにはいられませんでした。

まあ、この程度で同社のブランド価値には傷が付かないでしょうから、今後の挽回に期待したいものです。

スノーピーク 業績修正

スノーピーク 業績修正(続き)


■フタバ産業(2017年8月7日)

フタバ産業(7241)は、自動車マフラーの最大手です。ブランデス社が買っていたこともあり、2014年11月のバリュー投資塾「外資系バリューファンドの投資銘柄」で取り上げました。

ちなみに私自身も2014年12月に買ったのですが、業績回復を待ちきれず、2015年6月から7月にかけて損切りしました。ずっと持っていれば、相当に儲かったはずですが・・・。

敗因としては、内需関係のローテク株を得意としている私の守備範囲から外れていたことがあげられます。株式投資において、自分のよく分かっていない銘柄で儲けるのが難しいことを再認識させられた次第です。

フタバ産業 株価チャート(週足)


■クリーンアップ(2017年8月5日)

相変わらず面白いタレブ氏の著作『反脆弱性[上]』より引用します。

弱いプレーヤーがいっせいに出口に殺到すれば、全体を崩壊に導く。変動性のある市場では、長い間リスクの“クリーンアップ”が起こらないことはありえないので、こういう市場の崩壊を避けることができる

著者はこう述べていますが、中央銀行により支配されている昨今のマーケットでは、久しくクリーンアップ(浄化)が起こっていません。そんな中で、株価の大幅な調整が起これば、市場がパニックに陥る可能性が高いといえそうです。


■心配性の人たちしか生き残れない(2017年8月2日)

信金の中では異色の存在である稚内信用金庫の理事長、増田雅俊氏の発言が興味深いです。

日銀は長期金利をコントロールできると言っているが、絶対にできない。一時的にできるように見えても、今は皆、日銀の言うことを聞いているふりをしているだけだ。修羅場になったら誰も手をつけられない状態で壊れていく

今の金融政策の下では、時間がたてばたつほど生き残れる金融機関の数は減っていき、そして誰もいなくなる。何をそんなに心配しているのかといわれるような、心配性の人たちしか生き残れない

私自身も、日銀はやってはいけない領域まで踏み込んだと思っています。自由主義経済では、中央銀行といえども市場のコントロールなど不可能です。やがて、マーケット氏より手痛いしっぺ返しを食らうのではないでしょうか。


■野球でいえば8回(2017年8月1日)

投資で一番大切な20の教え』の著者であり、自らも資産運用会社を率いているハワード・マークス氏が、顧客向けレターで警告を発しています。

野球でいえば8回に入ったような気がするが、試合がいつまで続くかはわからない

同氏らしい絶妙の言い回しで、相場の天井は近いとみています。自己資金を運用する身としては、株の買い場が来るのを、じっくりと待ちたいですね。



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