給料の下がり続ける国、苦瓜達郎氏の銘柄選択基準、
コシダカHDの業績上方修正、投資家として成功するために、嫌な感じ、
静岡銀行の業績下方修正、少量飲酒習慣、高コスト体質の大手企業、
人間には二通りある、建設業界と食品業界、棚ぼた利益、理想の投資、
日本企業の現金価値
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ショートコラム(2017年4月)
■日本企業の現金価値(2017年4月30日) |
バリュー投資では、EV/EBIT倍率を用いたり、時価総額と現金同等物を比較したりして、割安株を見つけ出そうとします。私も、このような手法を好んで用いるひとりです。 ●EV/EBIT倍率=(時価総額+有利子負債−現金同等物)÷営業利益 しかしながら、世界的な機関投資家は、日本企業の保有している現金を額面どおり評価しないという、バリュー投資家にとってショッキングな調査結果もあります。 柳良平氏(東洋大学客員教授、エーザイ常務取締役CFO)によれば、バランスシート上の現金同等物を100%評価する機関投資家は23%にとどまり、その理由としてコーポレートガバナンスが脆弱でキャッシュの有効活用を期待できない点があげられています。 いくらキャッシュリッチで割安でも、長らく低収益に甘んじていたり、新規事業で失敗を続けたりして、その原因が経営陣にある企業は、機関投資家の買いが入らず、株価上昇を期待できないといえそうです。 コーポレートガバナンスの機能していない企業では、保有現金の価値を50%程度に見ておいた方がいいかもしれません。もっとも、私の投資対象である小型株は、社長以外に企業経営のできる人材が皆無に等しく、それどころでないのも事実ですが。 |
■理想の投資(2017年4月27日 |
実力的に、100円のEPS(1株益)を稼げる企業があったと仮定しましょう。 ところが、一時的な悪材料の発生により、EPSが70円に落ち込んでしまいました。メディアには同社に関する悲観的な記事が掲載され、投資家からも減益を毛嫌いされて、株価はPER7倍の490円まで値下がりします。 こんなときがバリュー投資家の出番です。「企業価値に対して明らかに割安だ」と判断した彼は、指値をして少しずつ買い集め、収益が本来の姿に戻るまで気長に待ちます。 2年後、思っていたより早く、この会社はEPS100円を回復しました。見直し買いが入り、PERも10倍まで上昇して、株価は1000円まで戻します。 バリュー投資家は、たった2年間で100%のリターンを得られました。年率換算では50%。彼は「ちょっと出来すぎだけど、まあこんなものかな」とつぶやきます。 以上が、私の考えている理想の投資です。 |
■棚ぼた利益(2017年4月25日) |
成熟産業・斜陽産業を調べていると、ときおり、興味深い事実に突き当たります。 つい先ほどまで調べていた銘柄も、1980年代に急増した施設が老朽化しており、その更新が問題となっている業界に属していました。今後の需要増が望めない現状にて、中小クラスが思い切った設備投資を実行するのは難しい状況です。 施設を更新できなければ、閉鎖するか、二束三文で同業他社に売却するしかありません。結局、業界大手が棚ぼた的にシェアを高め、収益を増やせるわけです。 こんなことは、成長産業ではまず起こり得ないでしょう。夢を見たいであればAIやIoT関連への投資も悪くないですが、実利を得たいのなら成熟産業・斜陽産業への投資が勝ります。 |
■建設業界と食品業界(2017年4月22日) |
5月の バリュー投資塾に向けて、成熟産業・斜陽産業を調べていたところ、建設業界と食品業界が浮かび上がってきました。 この2つの業界には、共通点も多いです。 ●基本的に内需であり、今後、需要の増加が期待でいない(建設業も東京五輪まで) というわけで、一見、投資対象としての魅力は全くありません。しかし裏を返せば、経営の改善を進め、逆風の中を生き残った企業には、ショボイ競争相手を蹴散らす(あるいは買収する)形でシェアを奪い、成長できる可能性が秘められている業界です。 そんな斜陽産業の成長株を見つけるべく、銘柄分析を進めています。 |
■人間には二通りある(2017年4月20日) |
株は、マーケットを介した、人と人の戦いです。そういう意味で、テニスや将棋との共通点も多く、日頃からテニスプレーヤーや将棋棋士の発言には注目しています。 先日も、将棋棋士で数多くのタイトルを獲得している、羽生善治氏の言葉が琴線に触れました。 私は、人間には二通りあると思っている。不利な状況を喜べる人間と、喜べない人間だ 投資家も、不利な状況を喜べるようにならないといけません。逆張りで長期投資を行うバリュー投資では、なおさらでしょう。 少し相場が下げただけで意気消沈しているようでは、まだまだ半人前です。 |
■高コスト体質の大手企業(2017年4月18日) |
サラリーマン時代、今の時期に業界大手のF社やD社と打合せを行えば、やたら大人数でゾロソロと来社しました。 この手の会社では、たいてい3月末に異動が行われます。そこで、新任の部長や課長などが実務担当者に同行し、挨拶にやってくるわけです。 彼らは、当日の打合せだけに出席し、特に発言するわけでもなく、ときおりうなづき、さも分かったような顔をして去っていきました。 まだ若手だった私は、打合せの末席にて、頭の中でつぶやきます。 なるほど、F社やD社からの請求書には、この人たちの分までオンされているのか。客先を一回訪問しただけで給料がもらえるとは結構な商売だ。 当時から「組織が官僚化し、働かない(=投資家から見て、何らかの付加価値を付けるなど企業収益に貢献しない)高給取りを大勢抱えている高コスト体質の大企業は投資対象にすべきでない」と思っていました。 ロングチャートを見る限り、投資判断の方向性としては間違っていなかったようです。両社とも、現場の技術者や営業マンは優秀な人ばかりだったのですが・・・。 |
■少量飲酒習慣(2017年4月17日) |
アルコールの毒性について調べているうち『アルコール―少量飲酒習慣から健康障害が始まる』という本に行き当たりました。アマゾンではすでに絶版になっていますが、カスタマーレビューを読めば、書いてあることはだいたい分かります。 さらに、デビッド・ナット教授によれば、アルコールは麻薬のヘロインより有害とされています。そういえば、バフェットのよきパートナーであるチャーリー・マンガーも『完全なる投資家の頭の中』にてアルコールとドラッグを同等に扱っていました。 この際、きっぱりお酒を立つべきでしょうか(私のことです)。 |
■静岡銀行の業績下方修正(2017年4月14日) |
本日、静岡銀行(8355)より業績下方修正が発表されました。 修正の理由として「今後の債券運用の自由度と機動性を確保するため、発生していた米国債券等の評価損を積極的に処理したことによる」があげられています。 他行も似たり寄ったりの状況と思われますが、静岡銀行のように財務的な余力がなかったり、米国債の運用で下手を打った銀行はどう処理するのか、気になりました。 今頃、このリリースを見て「シブ銀め、また余計なことをしてくれた。うちが困るじゃないか」と舌打ちしているかもしれません。 |
■嫌な感じ(2017年4月13日) |
日経平均の週足チャートが、嫌な感じになってきました。13週移動平均線はすでに下向きに転じており、ローソク足が26週移動平均線の下に入り込んでいます。 このままでは、直近の1万9千円が戻り高値となり、足元の局面がアベノミクス相場における「最後の逃げ場」である可能性まで出てきました。 短期で手っ取り早く儲けるつもりで参戦し、含み損を抱えてしまった場合は、「いつ、見切るのか」決断を迫られる状況といえます。 一方、長期投資の視点では、世の中が不景気とはいえず、株価水準自体も高いことから、まだ本腰を入れて買い進む時期ではありません。 短期売買にしろ、長期投資にしろ、当面は投資妙味に欠ける展開が続きそうです。 |
■投資家として成功するために(2017年4月11日) |
最近読んだ『ハーバード流ケースメソッドで学ぶバリュー投資』の著者、エド・ヴァインハイムは「投資家として成功するためには分析的な面よりも、行動の面での能力が必要になる」として、特に重視する項目をあげています。 ●社会通念に反するような逆張り的な決断を下すことに長けていること この3つは、私自身の課題でもあります。「いかにして投資アイデアを実践に結び付け、愚かなヒューマンエラーを防止するか」 について、PDCAサイクルを回し続ける所存です。 |
■コシダカHDの業績上方修正(2017年4月8日) |
昨年11月のバリュー投資塾にて銘柄分析を行ったコシダカHD(2157)が、第2四半期の業績上方修正を発表しました。 通期予想は据え置かれましたが、いずれ上方修正される可能性が高いといえそうです。 セミナー当日もお話したとおり、同社は主力事業のカラオケ事業で収益低下に直面しています。2013年8月期以降、それまで「地方・郊外・ロードサイド型」だった立地を「都市・駅前・繁華街型」を改めたからです。 規模の拡大を目指したため、収益性が犠牲になっている点は否めません。デフレを逆手に取って、郊外での居抜き出店により高収益を享受できた在りし日には戻れないとはいえ、せめてカラオケ事業の利益率が2桁近くまで回復すれば、投資家の評価も変わってくると思われます。
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■苦瓜達郎氏の銘柄選択基準(2017年4月5日) |
NIKKEI STYLEにミスター・ゴーヤこと苦瓜達郎ファンドマネジャーの記事が掲載されました。銘柄選択基準についても、簡潔にまとめられています。 ●時価総額30〜1000億円の小型株 ほぼ思っていたとおりです。ただ、ひとつだけ意外だったのは、高成長株の適性PERを50倍としていたことです。 もっとも、適性PERに達すれば他の割安銘柄と入れ替えるので、実際にはPERの低い段階で組み入れるのでしょうが、それでも高成長株ならPER30倍台でも投資対象になります。 足元の地合いでは、そこまで基準を緩めなければ、パフォーマンス競争に勝てないということでしょうか。 この1点を除いては、おおむね納得できます。また「バリュー株投資は世間と距離を置いて我慢することが大事」というコメントにも説得力がありました。 既に割高となった人気株ばかりを組み入れている株式投信が多い中で、バリューに忠実な苦瓜氏の運用手法は個人投資家にとってもいいお手本になります。引き続き、注目したい機関投資家です。 |
■給料の下がり続ける国(2017年4月3日) |
「これでは、世の中、デフレになっても仕方ない」というデータを紹介します。 本来なら「家庭を持ち、新しい家族が増えて、夢のマイホームを構える」時期をむかえている30歳代男性の平均年収推移です。 無い袖は振れないわけですから、個人消費が低迷し、ユニクロやニトリのような時流に乗った企業が躍進したのも納得できます。 |
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by 角山智