資本を食う豚「収益バリュー投資」の勉強法上昇相場にどう対応するかフージャース廣岡社長の印象
「超分析」バリュー投資セミナー学ぼうという姿勢続・「超分析」バリュー投資セミナー
正当派 VS ストリート型

パーシャル・オーナー


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ショートコラム(2005年12月)

■正当派 VS ストリート型(2005年12月28日)

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フージャースお茶オフ会でC言語さんがご挨拶に来られたことがきっかけとなり「人生を謳歌する会」の勉強会でボードリーダーを務めることになりました。2月25日(土)東京での開催です。持ち時間が90分ですので「ビジネスモデルと収益バリュー」というテーマに絞って話をするつもりです。

この勉強会では、もう1人、注目の方がボードリーダーを務められます。ウォール・甲斐さんが「ファンドマネージャーの運用手法」というテーマでお話をされます。機関投資家で運用を経験された正当派の投資方法を聞くことができ、私も楽しみにしています。一方で、私の投資方法は、マーケットで「骨身にしみるほど」痛い目にあって身に付けたストリート型です。けっこう近いテーマですので、聞き比べられるのも興味深いと思います。

この勉強会、会費はリーズナブルですが、投資をまじめに考えている方に来ていただきたいですね。「人生を謳歌する会」で会員登録を行えば、会員ページから申込みができます。当日は懇親会も予定されていますので、投資家仲間を見つけたい方にはいいかもしれません。


■続・「超分析」バリュー投資セミナー(2005年12月27日)

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セミナーの話題ばかりで恐縮ですが、「超分析」バリュー投資セミナーへの問合せがありましたので、もう少し書いておきます。

Q1.このセミナーは、5月に行われた「勝率93%達成!角山智の割安株投資術徹底公開セミナー」と11月の「「バフェット流」バリュー投資セミナー」を合わせたものでしょうか。

A1.実は、5月に開催した「勝率93%達成!角山智の割安株投資術徹底公開セミナー」が「株価4倍「割安成長株」で儲ける収益バリュー投資術」の原点になっています。本の執筆時期とセミナーの開催日が重なってしまったので、本の内容を先出ししたのがこのセミナーです。そして、本が出来上がり、出版記念として行ったのが11月の「「バフェット流」バリュー投資セミナー」です。

ですから、その延長線上にあるわけですが、私自身も進歩しているので、セミナーの内容も進化していると自負しています。今回は資産バリューを久しぶりに取り上げ、清算価値分析の他に再調達コスト(12/21付けショートコラムでも取り上げました)を追加しましたし、収益バリューでは、決算短信からの分析、ビジネスモデルの解説、業績と事業素質の関係にも触れています。そして、「株価4倍「割安成長株」で儲ける収益バリュー投資術」では掲載を見送った収益バリュー株の理論株価計算にも踏み込みました。内容的には、来年中には出版予定の3冊目の内容を一部先出しする形となります。

Q2.東京での開催やDVD化の予定はありますか。

A2.大阪セミナーの集客・内容(アンケート結果)とも好調であれば、東京での開催&DVD化もありえます。時期は、少し後になります。

Q3.予習は何をすればいいでしょうか。

A3.メインは収益バリューになりますので、「収益バリュー投資」の勉強法に書きましたとおり、 「収益バリュー投資術セミナーDVD(KENさん) 」 「なぜか日本人が知らなかった新しい株の本(山口揚平さん)」 で予習されると効果的です。余裕があれば「バリュー投資入門」「証券分析入門」を読まれるといいのですが、荷が重たい方は「バフェットの銘柄選択術」に目を通しておけばいいでしょう。


■学ぼうという姿勢(2005年12月21日)

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「超分析」バリュー投資セミナーの申込みがじりじりと増えてきています。講師としては、多くの方に来ていただけると嬉しいです。テキストも「第1部:「定量分析」で数字をチェックする」がほぼできました。我ながら、いい感じで仕上がっています(笑)。今回は資産バリューの話もするのですが、清算価値だけでなく、資産再調達コスト(詳しくは「バリュー投資入門」を読んでください)についても取り上げます。ある国際優良企業を再調達コストで試算してみると、割安であることがわかりました。道理で外人さんが買っているわけですね。

さて、本題です。マネーマスターのしんさんがこのセミナーに名古屋から参加される気になっているそうです。すでに資産1億円を達成され、「謎のトレーダー「しん」の〈株〉バリュー投資法」という著書もあるしんさんなら、私のセミナーを受けなくても十分だと思うのですが、やはり達人は「学ぼうという姿勢」が違うのでしょうか。

以前も東京でのセミナーに「道具としてのファイナンス」著者の石野さんが見えられたことがあります。「質問されたらどうしよう」と内心は焦りました(苦笑)。ファイナンスの専門家が、わざわざ個人投資家のセミナーに来られるのですよ。楽しそうに参加されていたのが印象的でした。

よく「地元で開催されるなら・・・」「参加料が安ければ・・・」「もう少し勉強してから・・・」という方がおられます。でも、そうこうしているうちにチャンスは過ぎ去ってしまうものです。

猛勉強したからといって達人になれるわけではありませんが、達人が勉強家であるのは事実です。「学ぼうという姿勢」に学びたいものです。


■「超分析」バリュー投資セミナー(2005年12月16日)

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久しぶりに大阪でセミナーを行います。来年(2006年)1月21日(土)の「超分析」バリュー投資セミナーです。当初は、東京で何回か行ったセミナーのうち、好評なテーマを集めるつもりでしたが、主催者のクラビスとも協議した結果、タイトルの「超分析」とつけた以上、徹底的に分析してみることにしました。銘柄分析を2銘柄から5銘柄に増やし、銘柄分析を通じて、決算書の見方(定量分析)やビジネスモデルの理解(定性判断)をマスターする実践的な内容になります。

取り上げるのは次の5パターンです。
■決算短信から収益バリューを「分析」する(A社)
■バリューファンドの投資銘柄を「分析」する(B社)
■バランスシートから資産バリューを「分析」する(C社)
■斜陽産業の勝ち組企業を「分析」する(D社)
■バフェット型企業を「分析」する(E社)

これで私の銘柄分析手法はほとんど網羅できます。「魚の取り方(銘柄分析手法)」に興味のある方には聞いていただきたいセミナーです。ただし「魚そのもの(推奨銘柄)」を教えるセミナーではありません。

今から当分はテキスト作りに追われることになりそうです。


■フージャース廣岡社長の印象(2005年12月11日)

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昨日(12月10日)は
■ 5:00 〜 起床・上京
■10:00〜 CFS銘柄研究ゼミ(最終回)
■12:00〜 ゼミのメンバーと昼食会
■13:30〜 日経ホールでフージャース会社説明会
■15:00〜 有志でお茶オフ会
■16:30〜 マネックス ラウンジ@銀座でのミニセミナー
■18:00〜 銀座でオフ会
■20:30〜 帰阪
■25:00前 帰宅・就寝
というスケジュールを東京でこなしてきました。いい意味でクタクタになり、本日はテニススクールを休んでしまいました(苦笑)。

私は会社説明会への参加ははじめてなので、フージャース廣岡社長の印象を書いています。まず「若いなあ」というのが第一印象でした。話は上手い方ではないと思いますが、誠実さが出ていて、内に強いものを持っているように見受けました。アーバンの房園社長は(会社説明会のビデオを見る限り)話も上手く、カリスマ性まで備えてきたようですが、対照的に思えました。廣岡社長は、ワンマン型ではなく、人の意見を聞き入れるタイプのようです。何となく「成功する投資家」としての資質を兼ね備えているような経営者です。

(どんなバカでも経営できる)独占企業は別として、投資を行う際に、経営者は重要なキーポイントです。ワンマン型がいいのか、廣岡社長のようなタイプがいいのかは判断が分かれるところです。会社が小さいうちは、ワンマン型でいいのかもしれませんが、周りにイエスマンを揃えてしまうワンマン型では、社長1人でできる範囲に成長が限られてしまうのです。「売上1,000億円の壁(売上が1,000億円で多くの企業の成長が止まってしまうこと)」の原因もそのへんにあるのではないかと私は思っています。銘柄にほれてはいけませんが、株主重視の姿勢もあり、なるべく長く持ちたい銘柄だと再認識しました。

* * *

説明会の後は、有志でのお茶オフ会です。幸せな投資家さんに音頭をとっていただき、30名ほどのメンバーが集まりました。私も昔からなじみのwww9945さんと参加したのですが、人数が多すぎて、残念ながら全ての方とお話することができませんでした。それでも、okenzumoさんDAIBOUCHOUさんNoppinさん、「人生を謳歌する会」のC言語さんをはじめ、多くの方とご挨拶することができました。

ミニセミナーを終え、次は銀座でオフ会です。今度は少し落ち着き、何人かの方とお話することができました。いつも思うのは、手法の違いはあっても、成功している投資家は皆さん「謙虚」であることです。料理は美味しい中華で「北京ダック」をはじめて食べました。そうこうしているうちに、もう時間です。「もうちょっといたかったな」といつものように思いながら、帰途につきました。

本当に昨日は楽しかったです。皆さんどうもありがとうございます。東京に行く機会を見つけて、またオフ会に参加したいです。


■上昇相場にどう対応するか(2005年12月7日)
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◆私の心境
毎日毎日、株価がよく上がりますね。「持株が上がるのは嬉しいけど、いったいどうしたものか」と感じている方も多いと思います。今、私がどうしているか、喩えてみます。

ある日、職場で飲み会がありました。すごく盛り上がり、一行は2次回のカラオケに突入します。もう、飲めや歌えやの大騒ぎで、羽目を外す新人まで出てくる始末です。私は、トイレに行ったり、ときたま外に出て頭を冷やしながら、こっそり注文したウーロン茶を「水割り」と称して飲んでいます。そして、端の方でおとなしくしていました。

つまり、参加はしているものの、騒ぎに加わらないようにしています。ここでのポイントは「帰ってはいけない」ということです。なぜなら、マーケット・タイミング戦略を取ることになるからです。

◆マーケット・タイミング戦略の問題

敗者のゲーム」に掲載されている、けっこう有名なグラフです。株式市場はベストの上昇日を逃すと、リターンが極端に低くなるものです。株価が上がりすぎたと思われる時に、先を読んで売りに回って手持ちを減らすのも、マーケット・タイミング戦略を取ることになります。

そしてフィッシャー・ブラックの「投資家が市場から撤退した時も参加した時も、市場の方は平均すれば同じように上昇している。だから、買ってじっと持っている単純な戦略に比べ、市場から一歩手を引くことは、かえって損をすることになる」という言葉を引用しています。

著者のエリス自身は「市場タイミングに賭けてみようというのは「悪魔の囁き」だ。決して耳を傾けてはいけない」として「常に「長期投資家」を標榜し、市場の最悪期にもフル・インベストメントで望むことである。これが市場の大活況期、上昇期に参加する唯一の現実的な方法だと思う」と結んでいます。

私は効率市場仮説を支持しませんが、この考え方には同意します。

◆マーケットの過熱感を判断する方法
ピーター・リンチの株で勝つ」でピーター・リンチが提唱している「カクテル・パーティー理論」も参考になりますが、私自身は「電車の宙吊り広告」と「書店の株本コーナー」を判断材料にしています。

「電車の宙吊り広告」では、一般誌や女性誌にまで株式特集が組まれるようになったら、やや過熱気味と判断します。週刊○○○の推奨銘柄まで上がりだしたら、何でも買われているということで、危険信号です。

「書店の株本コーナー」では、拡張されたり、場所が好位置に移動されたりすると、やや過熱気味と判断します。「私は株で資産をン億円にした」というタイトルで、中身のほとんどない個人投資家の本が出版されたりすると、危険信号です。

「資本主義の本質が「数少ない勝ち組とその他大勢の負け組」という構図になっている以上、「みんなが儲かる」と思うときには自分は一歩引く(稲虎さん)」という卓見もあります。

もう、いいところまで来ているような気がします。

◆ここからどうするのか
マーケット・タイミング戦略を取るのは良くないけれど、確かに過熱気味ではあり、判断を悩まれている方も多いかと思います。

私は、今までどおり、考えながら走り、走りながら考えるだけです。

銘柄では、相対的に割高となったものを売却して、相対的に割安なものにシフトしていくことになります。「もう、割安株は存在しないのでは?」と思われるかもしれませんが、中間決算が好調だったのにPBR1倍割れとか、優良企業なのに直近の業績が悪いだけでPBR1倍前後とか、探せば見つかるはずです。

意識的にキャッシュポジションを高める必要はありませんが、何も見つからなければ、焦らずに現金のまま持っていてもかまわないです。機関投資家のようにTOPIXに勝つ必要はありませんから。ただ、株式投資をはじめようと思いながら、まだ何も持っていない方は、少額で打診買いを入れるといいでしょう。上がれば嬉しいでしょうし、下がれば「実際におカネを投じた持株が値下がりして辛い」という、初心者とってためになる経験ができます。

まとめてみると
・銘柄の入れ替えにとどめ、意識的な株式・現金の移動を行わない
・買いたい銘柄がなければ、無理して購入する必要はない
・まだ何も持っていない方は、少額で打診買いを入れておく
となります。

長期的視野で投資を行っている限り、下落相場でも上昇相場でも、そう変えるところはないと考えています。


■「収益バリュー投資」の勉強法(2005年12月6日)
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私の新刊「株価4倍「割安成長株」で儲ける収益バリュー投資術」を買い求められた方も多いようですので、「収益バリュー投資」の勉強方法について書いてみます。「収益バリュー投資」 では定性判断がポイントになるのですが、定性判断について触れられているものはあまり多くありません。とりあえず、次の2つを揃えるといいでしょう。ちなみに、KENさんも山口さんも本職の経営コンサルタントです。

収益バリュー投資術セミナーDVD(KENさん) 」
なぜか日本人が知らなかった新しい株の本(山口揚平さん)」

定性判断のやり方は3人3様です。KENさんは教科書的なものをベースに話されていますし、山口さんはわかりやすく要点を書かれています。私の方法は実践で身に付けたストリート型です。3人のやり方を比較してみて、共通点や相違点を書き出してみてください。そして、自分なりのやり方を検討してみましょう。「いいとこ取り」で構わないです。

後は、実践しながら改善していけば、自分だけの「収益バリュー投資法」ができあがります。ときどきは痛い目にあうかもしれませんが、それも経験のうちです。「資産バリュー投資」よりハードルが高い分、果実も大きいのが「収益バリュー投資」です。基本ができている方なら、挑戦してみる価値は十分あると思います。


■資本を食う豚(2005年12月3日)
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株式投資の未来」は今年で一番の良書だと思います。「成長の罠」や「負け組業界の勝ち組経営陣」といった共感できる章も多いです。その中でも、きらりと光るのは「第7章 資本を食う豚」でしょうね。

私は新刊「株価4倍「割安成長株」で儲ける収益バリュー投資術」やセミナーで固定資産のことを「金食い虫」と評しています。そして設備投資におカネが掛からず、現金がどんどん貯まっていく企業を「良い投資先」としています。そうするとセミナー後に「企業は製造設備から利益を上げているのだから、設備投資におカネを使うのは悪いことなのか?」と質問をしてくる方がいます。もっともな疑問でしょうし、一理あります。

製造業では製造設備が収益の源泉ですし、小売業では店舗がそうです。ただし、理屈どおりに事が運べばという条件が付きます。小売業では、勢いに乗って大量出店したあげく、競争激化により売上が低迷、不採算店舗の退店によるリストラが繰り返されています。株主からすれば「そんな無駄使いをするなら、配当でもらった方が、余程ましだった」と言いたいですね。

デジタル家電はどうだったでしょうか。株式市場のテーマになり、関連会社の株が買われたものです。結果は、各社一斉に参入して、一斉に価格競争をはじめて、一斉に利益が出なくなりました。利益を得たのは、デジタル家電関係の株式に投資せず、値下がりしたDVDプレーヤーを購入できた一般消費者でした。

株式投資の未来」には設備投資対売上比率に基づくリターン(1957年〜2003年)が記されています。「設備投資こそ利益の源泉と信じる向きには、この結果はこたえるであろう」がシーゲル氏のコメントです。

設備投資対売上比率 リターン
最低
14.78%
最高
9.55%
S&P500
11.18%

私が(設備投資の結果である)固定資産のことを「金食い虫」と評したのは、まだ控えめな表現だったようです。シーゲル氏はテクノロジーを叩いていますが、固定資産もまた「資本を食う豚」なのです。



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