布引観音


 平成24年9月20日、布引観音(天台宗布引山釈尊寺)に行ってきました。ここは「牛に引かれて善光寺詣り」の逸話の発端の地です。

 「牛に引かれて善光寺詣り」とは・・・
 昔、無信心な老婆が布を干していたところ、どこからともなく現れた牛が布を角に引っかけて走り去ってしまった。老婆は牛を追いかけ、とうとう善光寺にたどり着く。牛はいなくなってしまったが、善光寺の仏様の光明が老婆の信心を呼び覚ます。老婆はすでに布を取り戻そうとする気は無くなり、家に帰った。しかし、老婆が近くの観音堂に参拝したところ、観音様の足元に例の布が落ちていた。老婆は「あの牛は観音様の化身であった」と気づき、ますます信心深くなった。
 という話です。

 この話に出てくる「観音堂」が、布引観音なのです。
 僕はここに来るのは20数年ぶりになります。過去ここに参拝したのは1回若しくは2回。今年(平成24年)1月6日の初詣では、穂高神社や武水別神社、生島足島神社とともにここにも来ようかと思ったのですが、時間の都合上省略となり、予定から数か月遅れで参拝と相成りました。




入口にある案内板






麓の参道入口
 石柱には「布引山観世音」と書かれています。立札にはちょっと怖い注意書きが。しかし、これがただの脅しではないことはすぐにわかります。


 いざ、布引観音へ。かなりの坂道を予想してはいましたが、予想以上でした。この日は非常に天気も良く、汗だくになって登りました。



参道(下り方向に向かって撮影)
 かなりの急傾斜で、苔むした石段はかなり滑ります。むき出しになった巨大な岩があちこちにあり、落石の危険は常に付きまといます。「地震が発生しませんように」と本気で思いながら、息を荒くして登って行きます。



仁王門
 参道の途中、脇にあります。門には通行止めの棒が渡してあり、くぐることはできません(この門自体が参道上に跨っているわけでは無いのです)。


 仁王門を横目に見ながら、更に参道を進むと、寺務所らしき建物と本堂が見えてきました。寺務所で御朱印帳を預けて、参拝。



天台宗布引山釈尊寺 本堂






観音堂(重要文化財・本堂前から撮影)
 断崖絶壁に作られた御堂で、布引観音のシンボルです。



本堂から観音堂に向かう途中の岩をくり抜いた参道
 怖いです。トンネルはあまり高くありません。身長180センチメートルの人だと頭が当たるかも。



観音堂(岩のトンネルをくぐり抜けた直後の場所から撮影)
 断崖絶壁というのが分かるでしょうか?



観音堂内部



観音堂入口脇の立札
 この観音堂、いわゆる「旧国宝」だったんですね。



観音堂から撮影した本堂
 よくもまあ、こんな所にお寺を建立したものだ、と。


 帰りに寺務所で御朱印帳をいただいて、下山しました。落石などの被害には遭わなかったものの、こめかみの辺りを蚊に刺されました。



 以下はおまけ的な物です。
 「牛に引かれて善光寺詣り」の伝説では、老婆が観音堂で再び手にした布は風に舞って岩に張り付き、岩と同化したと伝えられています。それがこの布岩です。
 布引観音を後にし、東御市方面に進むと左手に見えてきます。


画面中央部の白い岩の層が「布」部分



角度を変えて撮影した「布」部分




 この年(平成24年)は小諸を舞台にしたアニメも放映されたことから、記念ページというか御祝儀ページというか、そんな意味合いでこのページを作ってみました。