コラム「神社仏閣巡りについて」
このウェブサイトを御覧の方はお判りでしょうけど、僕の趣味は神社仏閣巡りです。
神社で言えば、伊勢神宮、出雲大社、諏訪大社、熱田神宮、戸隠神社、鶴岡八幡宮、住吉大社、厳島神社、靖国神社などなど。
寺院で言えば、永平寺、善光寺、成田山、浅草寺、寛永寺、増上寺、圓教寺などなど。
行ってないところもまだまだありますが、これまで結構沢山行ってみました。
1 行った方がいい神社仏閣
「神社仏閣巡り」が趣味だということで、他人からよく聞かれるのが「どこの神社仏閣が良かったですか?」という質問。
・・・うーん、これ、難しいんですよね。
観光として行くなら、神社は厳島神社がいいですよね。何といっても安芸の宮島、日本三景の一つです。寺院なら鹿苑寺(金閣寺)とか慈照寺(銀閣寺)、宇治平等院などの京都のお寺は見ごたえがありますよ。観光ガイドをよく読んで、有名どころに行くのがいいと思うのですよ。
観光ではなく、純粋に神社仏閣巡りをしてみたいというのであれば、まあ、伊勢神宮は行っておくべきだと思います。日本の神社の頂点ですしね。
寺院については、ちょっと難しくなります。例えば、自分の家が曹洞宗ならば、二大本山である福井県の永平寺と横浜の總持寺は行っておいてもいいんじゃないかと思います。現に僕の家は曹洞宗なので、永平寺も總持寺も行きました。
それとは別に、平安仏教の聖地として有名な比叡山延暦寺と高野山金剛峰寺もいいと思いますよ。この二つにはまだ僕は行ってませんけど。
要は、「どこがいいか」というのではなく、「どこに行ってみたいか」が重要だと思うのです。それこそが縁だと思うのですよ。
近いから行ってみたい、近いけど興味がない、遠いけど行ってみたい、遠いから面倒くさい。
全て、その神社仏閣との縁ってことじゃないかな、と思います。
以前は興味がなかったけど、急に参拝したくなったということもあります。そういうのは「縁ができた」ってやつかも知れません。
行きたいところに行けばいいんです。行きたくなければ無理して行かなくてもいいんです。
例えば僕は2回、千葉県の成田山新勝寺に行ってますが、2回目の参拝は、何気なく「またそろそろ成田山に行ってみようかな」と思って、たまたま成田山のホームページを見たら「成田山開基1080周年記念大開帳 5月28日まで」なんて載っていて、急遽計画を立てて行った・・・という経緯でした。
こんな感じで、思いがけずきっかけが転がり込んでくることもありますので。これも縁ということです。
2 産土神社と氏神神社
30代になってから、神社仏閣巡りに目覚めた僕ですが、有名どころの神社仏閣に行くうちに、ふと考えたのですよ。
「有名どころの神社仏閣だけじゃなく、身近で行かなくちゃいけないところってあるんじゃないのかな?」
お寺というのは、仏教徒なら菩提寺というのがあるのでそこが縁のあるお寺になるわけですが、仏教徒の僕にとってこれまで神社は観光やお祭りでしか接点がないところだったのです。
しかし、調べてみると神社には
産土神社(うぶすなじんじゃ)・・・生まれた時に住んでいた家がある場所を担当している神社(産院がある場所の神社ではないらしい)。その人間がどこに行っても、生涯その人間を守ると言われている。
氏神神社(うじがみじんじゃ)・・・現在住んでいる場所を担当している神社。
というものがあり、この2つ(人によっては産土神社と氏神神社が一緒の場合もある)には定期的に参拝しておけ、というのを見たのです。
神社仏閣巡りが趣味なのに産土神社と氏神神社を粗末にしちゃいけない、と考えた僕は、それから産土神社と氏神神社にも時折参拝するようになりました。
特に転勤族である僕は、転勤のたびに今まで住んでいた所の氏神神社にお別れのあいさつに行き、転勤先では神社庁に電話して、新住所の氏神神社を確認し、住み始めのあいさつをしています。
まあ、あと、勤め先の近くにある神社には行った方がいいと思いますね。礼儀というレベルの話ですが。
3 注意すべき神社仏閣
別に僕は霊感も何もない、不思議なものは何にも見えない人間なので、何かを詳しく教えられる立場にはないのですが、神社仏閣って相性とかあるらしいですよ。
ちなみに僕は、なんとなくですが稲荷神社が合わない感じがするので、特に事情が無ければ稲荷神社には参拝しないです。参拝しても、敬意を表すだけで、お願いなどは一切しません。
それと、これは有名な話ですが、成田山新勝寺は平将門の乱を鎮圧するのを目的として創建されたため、平将門を祀る神田明神の関係者は成田山新勝寺には行かないそうです。
織田信長の血を引く子孫が比叡山延暦寺に行くと、良くないことが起きるという都市伝説もありますし。
あまりにも荒れ果てた、忘れ去られているような神社仏閣には行かない方がいいそうです。
あと、「神社」を名乗っていても、実は怪しい宗教団体の拠点だったとか、そういうのもありますので、充分注意してください。
4 参拝時の注意事項
といっても、大抵は普通に参拝すればいいんですけどね。
神社仏閣ともに共通しているのは、参道や通路の真ん中を歩かないということですかね。真ん中は神様の通り道って言われてますからね。
あと、参拝する時は、原則、その神社仏閣で一番偉い存在(神社なら主祭神、寺院なら本尊)に真っ先に参拝するのが礼儀です。ただ、これについては例外もあり、例えば伊勢神宮の内宮では、主祭神である天照大神の和魂が祀られている御正宮の前に瀧祭宮へ参拝することで、瀧祭宮の祭神から天照大神にお取次ぎをしてもらえると言われています。
神社は出来れば午前中に参拝する方がいいそうです。神仏の力は、午前10時ころから午後2時ころにかけてが最も強くなるなんて話を聞いたことがあります。ただ、これは小耳にはさんだ程度の話ですので、全ての神社仏閣が当てはまるとは限りません。
なお、神社仏閣巡りとは違いますが、お墓参りは午後3時までに済ませるべきだと聞いたことがります。お墓参りの際も、まずは本堂の本尊に参拝し、六地蔵がある場合は、そこでも手を合わせてからお墓参りをする方がいいそうです。
夜は神社仏閣は参拝してはいけないそうです(ただし、縁日などの祭事が催されていたりする場合はOK)。まあ、夜の神社仏閣って怖いですから、普通はそんな時に参拝しませんけどね。
神社などが「こうしてください」と書いてあるようなルールは守りましょう。手水で手を清められる場所があるなら、「手を清めてください」ということなので面倒くさがらず手水で清めましょう。
やっちゃダメということはやってはいけません。撮影禁止と書いてあるのに写真を撮る、立入禁止と書いてあるのに入ってくる、千社札禁止と書いてあるのに千社札を貼る、などなど。ちなみに、ルールとして書いていなくても、やってはいけないことは常識・良識に照らし合わせて判断してください。神社仏閣における無礼な行いというのは、経験上本当にヤバいです。
仏閣参拝の際は、可能であれば数珠を持参しましょう。
境内にあるものは、勝手に持ち帰ってはいけません。石一つ、落ち葉一つでもダメです。例え誰かが捨てたゴミであっても、拾って帰るのではなく、境内にあるゴミ箱に捨てるとか、邪魔にならない所且つ社務所や寺務所の人が気づいてくれそうな所にそっと置いて見苦しくないようにしておくべきです。授与品や許可されたもの以外は持ち出してはいけません。自分が出したゴミは、持ち帰るか決められたゴミ箱へ。
出来れば、参拝に行く神社の主祭神や御本尊がどういう神仏なのかを知識として知っておいた方がいいです。例えば、薬師如来(病気を治すと言われる仏様)に勉学の事をお願いしても、効果はゼロではないかも知れませんが、文殊菩薩(言わずと知れた智慧の仏様)や虚空蔵菩薩(記憶力の仏様)にお願いした方がいいと思いますので。
神社仏閣巡りとは違いますが、滝行は一般人が勝手にやってはいけないそうです。滝行ツアーも注意。滝行に精通した行者の方に許可を得てからでないとマズいそうです。
神社仏閣でお願いをしたら、そのお願いが叶った時にお礼参りをしてください。お礼参りに来ることができないところは、初めからお願いをしない方が無難です。ちなみに僕は、お礼参りができないような所では「縁あって参拝させていただきました。ありがとうございます。」程度にしています。もしくは、もう最初から「おかげさまでいい旅行をさせてもらってます。無事に帰れそうです。ありがとうございます。」と、これまでの無事と今後迎えられそうであろう無事を勝手に「おかげさま」ということで感謝してしまうこともあります。
御守りは買い過ぎに注意しましょう。購入したら、絶対粗末には扱わないこと。神仏の分身という認識で。「御守りは一つだけにしておけ」という人もいれば、「沢山あっても大丈夫」という人もいます。どう判断するかは自己責任で。
5 僕の経験
前にも書きましたが、僕は霊感ゼロで、何も不思議なものは見えないし感じません。
家の宗派も曹洞宗で、日本人としてはごくありふれています。でも、座禅すらやったことがないというオチつき。しかも家には仏壇と神棚があるという、宗教的にはユルユルな典型的な昔の日本人です。
しかし、神社仏閣巡りが趣味となり、多少なりともそういう信仰というか敬意を持つようになった結果、「神社仏閣とかそういうものを疎かにするとヤバい」という感覚を持つようになりました。
信じられないような奇跡でもなく、偶然が重なったとか「こじ付け」で済ませられるようなことですが、実際に身の回りでこんなことがありました。
ある日、事情があって、会社の同僚と神社に行ったのです。
住宅街の中にある神社で、それなりに大きな本殿がありました。本殿の脇には古くて小さな石造りの祠がいくつかあったのです。
僕たちはその小さな祠の近くにいたのですが、同僚の一人がいきなり「この祠、人一人くらい乗れますね。」と言って、祠の屋根をガタガタと動かし始めたのです。
その同僚、決してふざけてやったわけではないのです。しかし、屋根をガタガタと動かす行為は全くやる必要のない、余計な事でした。
僕は顔から血の気が引くのを感じ、「おい、やめろ。そういうことはするもんじゃない。」と同僚を諫めました。
同僚はすぐにそれをやめましたが、僕は内心、「これ、まずいよな。やばいこと起きなきゃいいが。『祠に謝っておけ』なんて言うと、オカルトチックに思われるかもしれないから黙っておいた方がいいか・・・。」と思い、その場から離れたのです。
数日後、祠の屋根を動かした同僚は、車を大破させる大事故を起こし、車を買い替える羽目になりました。
事故の一報を聞いた僕は、一瞬驚きましたが、「ああ、あれか。あれだよなぁ。」と、祠の屋根の一件を思い出しました。
これは、一部伏せてあるところもありますが、フェイクは一切ない事実です。
みなさんがこれをどう思うかは自由です。ただ、僕は「神様仏様を信じるどうのこうのではないが、少なくとも疎かにするとヤバい」ということだけは確信に近いものを持つようになりました。
とにかく、神社仏閣では無礼を働かないようにしましょう。
6 まとめ
神社仏閣というのは、長い間日本の文化の大きな部分を担ってきました。それは、建築文化という面もありますし、精神的な面もあるでしょう。日本の都市の多くは神社仏閣の門前町として発達したことも事実です。現在も観光立国としての日本は、神社仏閣に大きく依存していることは間違いありません。
観光として神社仏閣に行くのも、もちろん結構だと思います。金閣寺のようなきらびやかな建築、銀閣寺のような侘び寂びを感じる建築、東大寺のような迫力ある建築、法隆寺のような古代の技術の粋を感じられる建築、伊勢神宮のような受け継がれてきた伝統の技法を感じられる建築・・・、見どころは沢山あります。
また、今は御朱印集めがブームになってますので、有名な神社仏閣の御朱印だけでなく、珍しかったりかわいいデザインの御朱印を集めたいという人にとっても、神社仏閣巡りは以前より身近な趣味になったと言えるでしょう。
まあ、そうやって楽しんでいるうちに、僕みたいに「身近な神社とかにも行った方がいいのかな?」とか、「自分の家にも神棚や仏壇が欲しいな」とか思うようになる人も出てくるかもしれません。
難しく考えず、ルールを守って楽しめばいいと思いますよ。
もし、もう少し理解を深めたいというのであれば、
朝日新聞出版 刊 ほん怖コミックス
霊験修法曼荼羅 -密教僧秋月慈童の秘儀- 永久保貴一 著 (全5巻)
と、その続編的位置づけの
朝日新聞出版 刊 ほん怖コミックス
阿闍梨蒼雲 霊幻怪異始末 永久保貴一 著 (連載中)
以上2種類の漫画を見ると、結構参考になります。実際の密教僧に聞いた話を漫画にしたものです。
神社仏閣巡りに焦点を当てた内容ではありませんし、神社よりも仏教に関係していますが、分かりやすいと思います。
※ このページは、令和元年9月16日にアップしました。