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衆議院会議録情報 第171回国会 総務委員会 第22号

平成二十一年六月十八日(木曜日)
    午前九時六分開議
 出席委員
   委員長 赤松 正雄君
   理事 秋葉 賢也君 理事 実川 幸夫君
   理事 玉沢徳一郎君 理事 林田  彪君
   理事 森山  裕君 理事 黄川田 徹君
   理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君
      今井  宏君    遠藤 宣彦君
      小川 友一君    小野 次郎君
      坂本 哲志君    鈴木 淳司君
      関  芳弘君    田中 良生君
      谷  公一君    土屋 正忠君
      土井  亨君    葉梨 康弘君
      萩原 誠司君    橋本  岳君
      平口  洋君    福井  照君
      古屋 圭司君    松本 文明君
      渡部  篤君    小川 淳也君
      逢坂 誠二君    小平 忠正君
      田嶋  要君    寺田  学君
      福田 昭夫君    森本 哲生君
      伊藤  渉君    塩川 鉄也君
      重野 安正君    保坂 展人君
      亀井 久興君
    …………………………………
   総務大臣         佐藤  勉君
   総務大臣政務官      坂本 哲志君
   総務大臣政務官      鈴木 淳司君
   政府参考人
   (内閣官房郵政民営化推進室長)          振角 秀行君
   政府参考人
   (総務省大臣官房総括審議官)           河内 正孝君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  久元 喜造君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員部長)          松永 邦男君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  久保 信保君
   政府参考人
   (総務省情報流通行政局長)            山川 鉄郎君
   政府参考人
   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       吉良 裕臣君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 高宅  茂君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           前川 喜平君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           伊岐 典子君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           榮畑  潤君
   参考人
   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役社長)    西川 善文君
   参考人
   (日本郵政株式会社取締役兼代表執行役副社長)   高木 祥吉君
   参考人
   (日本郵政株式会社専務執行役)          横山 邦男君
   参考人
   (日本郵政株式会社専務執行役)          米澤 友宏君
   参考人
   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君
   参考人
   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君
   参考人
   (日本郵政株式会社常務執行役)          妹尾 良昭君
   参考人
   (日本郵政株式会社執行役)            清水 弘之君
   総務委員会専門員     伊藤 孝一君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十八日
 辞任         補欠選任
  田中 良生君     小野 次郎君
  重野 安正君     保坂 展人君
同日
 辞任         補欠選任
  小野 次郎君     田中 良生君
  保坂 展人君     重野 安正君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 住民基本台帳法の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件
     ――――◇―――――

○赤松委員長 これより会議を開きます。
【途中省略】

○赤松委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十四分開議

○赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長久元喜造君、法務省大臣官房審議官高宅茂君、文部科学省大臣官房審議官前川喜平君、厚生労働省大臣官房審議官伊岐典子君及び大臣官房審議官榮畑潤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――

○赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。

○黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。
 佐藤総務大臣には、午前中の委員会質疑、そして引き続きの質疑ということで、本当にお疲れさまです。それでは、通告に従い、順次質問していきたいと思います。
 大臣、ここに私の地元の一関市の広報がございます。五月号であります。韓国、中国、ブラジル、タイの方々への日本語教室の様子が表紙を飾っております。それで、「外国人でも日本人でも相手を尊重し違いを認めること それが多文化共生の時代に必要」という形で大きく広報の一面を飾っておるわけであります。ちょっと中身を見ますと、「病気になった時どうすればいいか、医師への説明、診察申込書の書き方などの表現」、あるいはまた、「一一〇番、一一九番への連絡方法。」まあ、生活に密着したそういう情報が本当に必要なんだなということをつくづく感じるわけであります。こういうふうに多文化共生の時代は今現実にありまして、これはどんどん広がっていくと思っておるわけなのであります。
 そこで、外国人も地域社会の一員であるという多文化共生の考え方が浸透しつつある中において、大臣はこの共生の考え方についてどんな認識を持っているか、お尋ねいたします。

佐藤国務大臣 地方に暮らす外国人は、近年、大変急増しております。また、十七組に一組ということで、いわゆる国際結婚といった状況にございます。
 このような中で、外国人の住民も日本人同様ともに地域社会を支える主体と考えておりまして、おっしゃられます多文化共生の地域づくりを図ることが大変重要だというふうに思います。このことは地域の活力を維持する上でも極めて大事な観点であると考えます。
 このため、総務省としても、地方交付税措置などの対策を行ってきておりますが、今後とも、先生のおっしゃられる多文化共生の推進のため、できる限りの支援を行ってまいりたいというふうに思っております。

○黄川田委員 前の鳩山大臣は、ともに生きる社会といいますか、友愛の精神でつくりたいということできずなを大事にするということでありますけれども、新しい大臣は、座右の銘といいますか、前大臣は友愛という言葉を言われましたけれども、何かあったらお知らせください。

佐藤国務大臣 なかなか鳩山大臣の域までは達しませんので、座右の銘と言われましてもすぐ出てまいりませんが、日本の文化というのはどこに暮らしても隣組というのが大事でありまして、やはり自分では何もできないわけでありますから、その方が外国人であろうとも仲よく共生をしていくということが大事だろうというふうに思います。
 特に、私は、外国人であるがゆえに大事にすべきではないかなという思いの中で進めていきたいというふうに思っております。

○黄川田委員 外国人住民に対する行政サービスは質、量ともどんどんふえていくわけでありまして、先ほど大臣がお話しのとおり、総務省の方でも、たしか多文化共生の推進に関する研究会を立ち上げたりしてさまざま勉強されておるということだと思うのであります。
 この外国人に対する施策でありますけれども、これをどのような方針で展開するのか、より具体的にお話をいただきたいと思います。

佐藤国務大臣 定住外国人施策の総合調整には、ことしの一月、内閣府に定住外国人施策推進室が設置をされまして、教育、雇用などさまざまな施策の取りまとめを行っているところというふうに伺っております。
 総務省としては、従来から、外国人の住民も日本人とともに地域社会を支える主体と考えておりまして、地方自治体に対し多文化共生の地域づくりに関して助言や支援をしてきたところでありますが、今後は、内閣府とも十分連携をしながら、外国人に係る施策を展開してまいる所存でございます。
 引き続き、国籍、民族などの異なる方々が地域社会の構成員としてともに生きていけるようにすることを目指し、地方自治体の支援を図ってまいりたいというふうに思います。
 当然、外国人は生まれも育ちも全く違う文化の中でいらっしゃるわけでありますから、我々が変に思うこと等々もわからないでやっているところもありますから、やはり親身に話し合いを持つようなコミュニケーションを図っていくことが大切だろうというふうに思いますし、そういう面で何らかの措置ができればしっかりと支えていくという方向づけを示していきたいというふうに思っております。

○黄川田委員 外国人施策も、ややもすると省庁縦割りということで、何かそれぞれやっているんじゃないのというふうに思われがちでありますが、このたびの大臣は八つぐらい大臣がやらなきゃいけない部分を担当しているということもありますので、縦軸だけじゃなくて横軸をしっかりと構築していただきたいと思っております。
 そこで、法案に入りますけれども、この住基法の改正でありますが、これは法務省の入管法とリンクされた形での改正だと思っております。切り口、見方がどこにあるかで考え方が大きく変わってくるんじゃないかと思っております。
 例えば、外国人を管理するための法律をしっかりとつくるんだという見方、それから、今大臣が、隣近所、みんなで生きていくのは大事だよ、日本人、外国人、そういう区別はないんだよと。やはり国際社会に開けた日本としてそういうものに果敢に取り組んでいこうということでありますので、先ほど言ったように、この法律の制度設計を外国人の管理という形から見るのか、あるいはまた多文化、多民族共生の社会をつくっていくというところから見るのか、大臣の立ち位置はどこにあるのでしょうか。どちらにあるのでしょうか。

佐藤国務大臣 私は、先ほど先生がおっしゃられるような観点で、やはり多文化共生という形で考えるべきではないかなというふうに思います。

○黄川田委員 現行の外国人登録は九十日以上在留する外国人が対象ということでありまして、在留資格の有無を問うてはおらないわけであります。それで、外国人登録制度には現在二百十五万人が登録されておりますけれども、この中には一・八万人の在留資格を有しない者も登録されております。現行法では、この人たちは住民基本台帳に移行する際に対象にならないと思われる方もあるわけですね、在留資格のカテゴリーでもって入管法と住基法をリンクさせようということでありますので。
 そこで、住基の対象者を三十条の四十五のように限定した理由を改めてお尋ねいたします。

久元政府参考人 今回の改正案におきまして、住民基本台帳制度の対象者を第三十条の四十五で規定しておりますが、その考え方につきましてお答えをさせていただきたいと思います。
 住民基本台帳制度は、市町村長が、住民の居住関係の公証、これは居住関係を公に証明するという行為でありますが、そういう住民の居住関係の公証など住民に関する事務の処理の基礎となるものであります。そして、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳を作成する制度であります。
 こうした住民基本台帳制度の趣旨から申しますと、今回の改正法案では、観光目的で入国した短期滞在者を除く、適法に三カ月を超えて我が国に在留する外国人を対象とすることが適切であると考え、今回の改正案を立案させていただいたところでございます。

○黄川田委員 在留資格を持つ適法の方々をそれぞれ台帳に登載ということであります。
 公共サービス、行政サービスについてちょっとお尋ねいたします。
 各制度でサービスの対象範囲を定めていると思っておりますけれども、そもそもこのサービスの中には、人道的見地に立って在留資格の有無にかかわらず提供されるものがあると思っております。在留資格がなくても対象となる行政サービス、在留資格がある場合に対象になる行政サービス、これはどのようなものがあるか、具体的にお答えいただきたいと思います。

久元政府参考人 外国人の方に提供される行政サービスの対象範囲は、それぞれの制度、法令によって定められております。例えば義務教育や助産施設における助産、結核予防のための健康診断などにつきましては、在留資格がない者でもその対象とされているというふうに承知をしております。
 一方、国民健康保険や国民年金、生活保護などにつきましては、在留資格を有する者のみがその対象とされているというふうに承知をしております。

○黄川田委員 重ねて伺いますけれども、それらのサービスは住基法の改正に伴っても今までどおり受けられるということでよろしいでしょうか。

久元政府参考人 今回のこの住民基本台帳法の改正によりまして、これまで提供されてまいりました行政サービスの対象範囲が変更されることはないというふうに考えております。

○黄川田委員 そこで、外国人登録のようにこれまで登録されていた方々が、今度は登録されない方々が出てくる。例えばホームステイなどの非正規滞在者や難民申請中の仮放免許可者などが除外されていくんだと思っております。一方、行政サービス、公共サービスは縮減されることはありませんという答弁でありますけれども、現行法から外れる方々は、これから行政に見えない存在といいますか、台帳記録管理の部分から外れてくるわけでありますよね。こういう方々の情報は今後どのように処理されていくのでありますか。外れたままになるんですか。あるいはまた、外れた方々のさまざまな情報というのはこれからどう把握していくんでしょうか。

久元政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、今回の住基法の改正案によりまして、行政サービスの対象範囲が変更されることはないわけであります。
 外国人登録制度が廃止されることによりまして、そのことによって対象範囲は縮減されることがないわけでありますけれども、こういうサービスが具体的に提供されるためには、それぞれの地方自治体においてそういうサービスが提供されるための対応というものが必要になってくるわけでありまして、私どもといたしましては、関係省庁と十分連携をいたしまして適切に対応してまいりたいと考えております。

○黄川田委員 外国人登録は法定受託事務、それが住基に入ることによって自治事務だ、さまざまなサービスは自治体がおのおの提供するんだと。そういう中で問題がもしあるというのであれば、各省庁と連絡して指導するという答弁なんでしょう。
 大臣、一関市というところを覚えておりませんか、岩手県一関市。去年六月十四日に岩手・宮城内陸地震ということで大変な被害をこうむったところであります。
 大臣は防災大臣も兼ねて、どっちが兼ねているんだろうな、総務大臣が兼ねているのか、防災に関連して、自治体の中でだれがどこに住んでいるということは最も大事な情報なのであります。災害のときに外国人と日本人を区別して災害復旧、災害救助、いろいろなことをするわけはないし、むしろ平等に扱うという大臣の今までの答弁でありますので、そういう大事な部分が消えていくわけですよ。
 例えば日が照っていると、立っていると影が出ますよね。存在するんだけれども、影が見えない。影の部分というのは、例えば台帳に記録されておるとか、どこかにその人たちの捕捉される部分があるということなのでありますけれども、あるいはまた伝染病であるとか、さまざま非正規滞在者の方々もある意味地域社会の一員ということでありますので、片方で自治体に適当に、適当にという言い方はちょっと言い過ぎかもしれませんが、それぞれの職務でそれぞれの方々を見つけ出して何とか管理しなさいというふうな、何かほうり出されたような意味合いであれば、最初の基本的な理念といいますか、多文化共生社会をつくり上げていくんだぞというそのものが逆にまた見えなくなるわけなんですよね。
 その辺の認識といいますか、ただ単に自治体にお任せでいいんですかと。先ほど言ったように、災害なんかのときには人がどこに住んでいるかというところが一番大事なところでありますので、その方向性といいますか、ただ単に自治体の自治事務だということじゃないところがあるんじゃないですかという意味合いのもとで、大臣の言葉で……(佐藤国務大臣「局長、答えて」と呼ぶ)いやいや、大臣が先ほど……(佐藤国務大臣「答えますが、先に局長に答えさせてください」と呼ぶ)そうですか。

久元政府参考人 実務的な観点から、まず私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、住民基本台帳制度はそれぞれの市町村における行政サービスの基礎となるものであります。同時に、市町村は、例えば災害弱者あるいはひとり暮らしのお年寄りの方、いろいろな観点から住民の居住の実態を把握する必要があるわけでありまして、それぞれの観点から別途そういう記録の整理がなされていることが多いのではないかと思います。
 私どもは、そういうような自治体の取り組みは大変重要であると考えておりますので、これはそれぞれの省庁にまたがる部分があろうかと思いますが、総務省も自治体との関係がいろいろと深い役所でありますから、この法律の改正を契機といたしまして、必要な助言等は今後ともより適切に行ってまいりたいというふうに考えております。

佐藤国務大臣 今局長が申し上げましたように、やはり災害が起きたときに受けるサービス、サービスといいますか救助等々の問題は大変大事なことだろうというふうに思います。
 そういう観点で、日本の社会というのは自治会があって、自治会長さんがいてという社会ができ上がっておりますから、どこにだれがいるか、少なくとも私の田舎なんかではちゃんとわかっておりますし、あそこに外国人の方がいらっしゃるというのも大体把握をしているわけでありますから、今局長が言われたようなこと等々も含めて、そういう情報を的確に市町村が把握できるようなシステムというのはこれから考えていかなければいけないというふうに思っております。

○黄川田委員 新しい改正住基は、カテゴリーをつくって、それ以外は除外という形なので、除外された方も現実に地域住民として住んでいるということでありますので、さまざま今答弁いただきましたが、その部分は具体的な形になるように鋭意やっていただきたいし、それからまた、基本的な情報の部分ではやはり総務省との連携も大事だと思っておりますので、基礎的部分は総務省から来るんでしょうから、その部分も十分やりとりをしていただきたいと思っております。
 時間がありませんので、実は、改正住基法によりましてこれまで紙台帳であった外国人登録の部分がコンピューター化されるということで、さまざま経費がかかるわけであります。例えば、施行まで三年ぐらいあるんですか、仮住民票を作成するであるとか、何といっても住基のネットワークシステムあるいはまた住民記録システムの改修が必要だと思います。
 そこで、これまでの現行の外国人登録事務については法定受託事務でありましたので財政支援があったと思うんですが、これはどのような仕組みで、どのぐらいの金額の財政支援があるのでしょうか。

高宅政府参考人 お答えいたします。
 現行の外国人登録事務は法定受託事務でございまして、市区町村で事務が行われておりますが、その財政措置につきましては、地方財政法の規定に基づきまして、その事務に係る経費のすべてを外国人登録事務委託費として毎年法務省が市区町村に交付しております。
 その金額は、平成二十一年度の委託費で約五十一億四千万円でございます。

○黄川田委員 今お話しのとおり、法定受託事務ということで地方財政法で担保しているわけでありますが、今回の改正に伴って外国人登録に要する事務が地財法から除かれるわけですよね。なおかつ、新しい住民基本台帳に外国人登録がされる、しかしながら、入管法に法定受託事務も残るということだと思っておるのでありますけれども、地財法から取り除く、でも法定受託事務が残るということの中で、その件の財政支援というのはどういうふうに考えたらいいんでしょうか。

高宅政府参考人 今回の入管法の改正で、市区町村から外国人の住居地情報を法務大臣に通知していただくといったような市区町村が行う法定受託事務が残りますが、これにつきましては、現行の外国人登録事務と同様に、市区町村の財政負担が生じないよう、その財政措置について関係省庁と協議を進めていく所存でございます。

○黄川田委員 関係省庁の総務省はどう考えているんですか。しっかりと対応できるんでしょうか。財政支援をお尋ねいたします。

久元政府参考人 財政措置につきましては直接の私の担当ではございませんけれども、外国人登録制度の変更に伴って、地方公共団体にとってはこれは必要な事務でありますので、財政局においてしっかりと対応するように、私ども、関係する制度を持っておりますので、必要な協議をさせていただきたいというふうに存じます。

○黄川田委員 次に、戸籍の付票であります。
 たしか現在は紙レベルで市町村がお互いに通知をし合っていると思っておるのでありますけれども、今般住基ネットに入れるということでありますが、戸籍の付票の通知はなぜ当初から住基ネットに入っていなかったんでしょうか。

久元政府参考人 住基ネットの稼働に当たりましては、大変多くの課題がございまして、さまざまな議論がございました。そういう中で、戸籍の制度は法務省の所管でありまして、戸籍の付票はいわば戸籍と住民票との間をつなぐ書類でございます。そういうことから、当時、住基ネットの対象とするかどうかについては、必ずしも十分議論が行われないままに住基ネットがスタートしたというふうに承知をしております。
 現在はこれは郵送によって行っているわけでありますけれども、行政の合理化の見地からは、住基ネットにより転出地市町村に送信する転入通知と同様に、住基ネットを利用した通知ができるようにという要望が多数の市町村から寄せられてきたわけであります。
 今回の外国人住民に係る制度改正にあわせまして、住基ネットのシステム改修が必要となるわけでありますが、これとあわせて戸籍の付票につきましても住基ネットの対象とすることがシステムの改修上効率的であるというふうに考えて、今回こういう改正をお願いしているということでございます。

○黄川田委員 市町村の実務担当者からすれば、ネットで行き来すればずっと事務の効率化にはなると思うのでありますが、先ほど戸籍は法務省ということでありまして、この記載事項には、本籍情報というんですか、身分関係とかさまざまなものが含まれておりますので、高度なセキュリティー対策といいますか、そういうものも必要じゃないかと思うのでありますけれども、その辺のセキュリティー対策はどうなっておるんでしょうか。

久元政府参考人 住基ネットのセキュリティー対策についてお答えを申し上げます。
 住基ネットの保有情報につきましては、専用回線を利用した上で、指定情報処理機関が管理するファイアウオールにより厳重に通信を制御するほか、通信相手となるコンピューターとの相互認証の上、データを暗号化し、独自のアプリケーションで通信するなど、制度上、システム上、さまざまな保護措置を設けております。さらに、守秘義務について通常よりも重い罰則を科すことにより、多角的にセキュリティーの確保を図っているところであります。
 総務省といたしましては、今回の改正を契機にいたしまして、さらに住基ネットの安全性の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

○黄川田委員 総務省お話しのとおり、本籍情報などが入っていますので、これがネットを行き来するということでありますので、しっかりとしたセキュリティーが大事だと思っております。
 では、最後であります。
 住基ネットの関係で、未接続団体は今二団体ですか、東京都の国立市と福島県の矢祭町ですか、これについてはそれぞれ知事から是正勧告、是正の要求というような形で出ておるようでありますけれども、このネットワークシステムの接続を拒否し続けている自治体に対して、この違法状態を是正するため、地方自治法の改正などの検討を始めたとの報道が一カ月ぐらい前にあったような気がしておりますけれども、この報道は事実なのか。事実であれば、俎上に上がっている改正項目、あるいはまた今後の検討についてお尋ねいたします。

久元政府参考人 現在、国立市と福島県矢祭町が住基ネットに接続しておりません。この不接続の状態が違法であるということは、最高裁判例に照らしても明らかであると考えております。
 また、この二自治体の住民の方について見ますと、年金の受給に当たって現況届の提出を余儀なくされておりますし、いわゆる五千万件を超える未統合の年金記録、これらは住基ネットによって相当解明が進んできておりますが、そういう解明の道も閉ざされているということから考えますと、これ以上放置できない事態であると考えております。
 このため、去る二月、地方自治法に基づきまして、まず、総務大臣から東京都知事に対し指示を行い、東京都知事から国立市長に対し是正の要求を行ったところであります。
 この是正の要求に対しまして、国立市長は地方自治法の規定に基づいて第三者機関に不服申し立てができるわけでありますが、国立市長はこれを行わず、かつ、住基ネットにも接続しないという違法状態が続いております。
 いわゆる地方分権一括法によって導入されました国、地方間の係争処理手続は、こういう地方自治体の違法状態が国と地方の間の法律解釈の違いから生ずるということに着目いたしまして、第三者機関を設置してその判断を仰ぎ、最終的には司法的判断によってこれを解消するという制度をとっております。裁判所の判断に国も地方も従うという制度になっております。
 こういう係争処理手続に地方自治体が背を向けるという事態は、現行の地方自治制度上想定されていないわけでありまして、こういう事態を解消することが課題になっていると考えているところであります。具体的な改正項目や作業方法等につきましては、検討スケジュールを含め、大臣の御指示を仰いだ上で検討していきたいと考えております。

○黄川田委員 総務省お話しのとおり、年金の現況調査ですか、さまざま利便性が高いということでありますけれども、地方分権が進む中で国から自治体に向けてさまざまな、強制的にとは言いませんけれども、法的には違法だということは出ていますけれども、一歩間違えば国からの関与みたいな話になりますので、今担当官は大臣の方針に基づいてというお話をされましたので、最後の最後になります、大臣はどういうふうにこれをお考えですか。どのように取り組まれますか。

佐藤国務大臣 先生のおっしゃる趣旨を十分踏まえた上で、住民に対し法律や条例の遵守を求めるべき立場にある地方自治体の首長が、みずから法律を守らないということは、法治国家にあるまじき残念な事態であるということだと思います。
 今後、地方分権を進める上で重大な支障となるため、私といたしましては、このような事態に対処するため法的な手段が必要と考えておりますが、この問題は、国、地方の関係の基本にかかわる、先生もおっしゃるような課題でありますので、御指摘のとおり、地方側の意見をお伺いするとともに、今後しっかり検討してまいりたいというふうに思っております。

○黄川田委員 時間でありますので、終わります。ありがとうございました。

○赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
 住民基本台帳法について質問いたします。
 最初に、リンクしています入管法に関して法務省に伺います。
 住民基本台帳法の三十条の五十「外国人住民に係る住民票の記載の修正等のための法務大臣からの通知」と対になっている入管法改正案の六十一条の八の二「住民票の記載等に係る通知」の部分についてお尋ねします。
 入管法では、政令で定められた一定範囲の住民票情報について、地方自治体に対し、国へ通知することを義務づけております。そこで法務省に伺いますが、地方自治体が国に対して通知をしなければならない住民票情報とは何を指しているのか、お答えください。

高宅政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の住民基本台帳法第三十条の五十と改正入管法六十一条の八の二の規定は対になっておるわけでございますが、六十一条の八の二の規定と申しますのは、法務大臣が外国人から届け出のあった氏名等の変更情報などを市区町村に通知するに当たりまして、その通知を行うべき外国人の範囲、あるいは通知先の市区町村を正確に把握するためというものでございます。
 具体的には、改正入管法のこの規定に基づく政令で定めることになりますが、例えば、外国人住民が出生、死亡したことにより外国人住民票を記載または消除した場合にはその旨の情報を、あるいは行政区画の変更などがあった場合には変更後の住所情報をそれぞれ市区町村から法務大臣に通知してもらうというようなことを考えております。

○塩川委員 外国人の出生や死亡の事実、この変更や、住所の変更あるいは行政区画の変更の場合などに通知をするということですけれども、住民票の記載には、住所にとどまらず、世帯情報や国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険、年金、児童手当など、さまざまな情報が含まれているわけです。
 世帯情報を初めとして、住民票に記載されている社会保険加入状況や福祉施策の受給状況に関する住民票記載情報というのは、これは将来にわたって国に通知しない、将来にわたって国に通知するものではないということですか。

高宅政府参考人 お答えいたします。
 市区町村から法務大臣へ提供される情報というのは、あくまで、法務大臣が外国人から届け出のあった氏名などの変更情報を市区町村に通知するに当たって、その通知を行う範囲あるいは通知先を正確に把握するために必要なものに限定するという方針でございまして、外国人に係る住民基本台帳制度上の例えば世帯情報などに変更があったとしても、その情報をこの規定により市区町村から法務大臣に通知していただくということはありません。

○塩川委員 政令事項ですから聞いているわけですけれども、要するに、今現在定まっているわけじゃないわけですから、その点で、将来にわたってやらないという担保はあるのかということなんです。

高宅政府参考人 目的から限定されますので、その目的に反するような政令を定めることは考えておりませんので、当然、世帯情報等を通知していただくことが必要になるということはございません。

○塩川委員 必要なものに限定してということに当然なるというお話ですけれども、であれば、それは法文上で書いてもらえばいいわけですよ。政令事項じゃなくて法文上にきちんと、今言った、法務省から市町村に通知をする、それに関連するような情報についての変更情報を提供してもらうというのであれば、はっきり法文上に書けばいいんですけれども、何で書かないんですか。

高宅政府参考人 この六十一条の八の二で、市区町村が法務大臣に通知すべき外国人住民に係る住民票の記載、消除または記載の修正の事由については政令で定めるというふうにしておりますが、これは、現行の住民基本台帳制度において、住民票の記載、消除あるいは記載の修正の事由というものが政令で定められております。住民基本台帳法の施行令で定めております。そういう関係から、法制上の、いわば技術的な理由からこうなったものでございます。

○塩川委員 住民票の情報というのが国に対して提供されるわけですから、その範囲はやはり限定をされることが必要なわけで、その点でも、法文上にはっきり明記する必要があるんだと考えます。
 住基法の改正案の三十条の五十では法務大臣から市区町村へ通知する情報というのは具体的に記載をされているわけですから、それに対応するような形で、市区町村から国に対する情報についてもきちっと法文上で明記をするということが必要なんじゃないですか。

高宅政府参考人 この点につきましては、先ほど来申し上げたとおりでございますが、現行の住民基本台帳制度が政令に住民票の記載、消除、記載の修正といった事由を委任しておりますので、その関係でこのような規定になったという制度上の問題というふうに御理解いただきたいと思います。決して、必要のないものをとるということは考えてございません。

○塩川委員 ですから、必要のないものという、その必要のないという判断が法務省、国ということですから、法文上で明記されなければ国の判断でその範囲が変わるということであるので、その点について、やはり法文上で明記をすべきだということを申し上げているわけです。政令事項のままでは、国の都合次第で住民票記載情報の通知範囲が無限定に広がりかねないという懸念が生まれるわけです。
 住民基本台帳法では、国が氏名や住所、生年月日の情報写しを閲覧しようと思えば、例えば十一条で、事由などを明らかにするなどの請求手続をした上で行うことになりますし、また十二条の二などでは、戸籍の表示についても交付の請求をして初めて得られる情報となっているわけです。国が情報を取得する場合には当然個別の手続が必要とされるわけですが、今回の入管法の改正の場合では、外国人住民については、このような手続さえ国が行わずに自動的に情報収集する仕組みになっている。これは外国人住民だけ情報提供する仕組みを新たにつくるものになる、こういう点が問題になってくるわけです。
 そこで、佐藤大臣に伺いますけれども、こういう自動的に外国人住民の情報を国に提供するような仕組みをつくる、これはやはり住民基本台帳法の個人情報保護にもかかわる手続に穴をあけるものになるんじゃありませんか。

佐藤国務大臣 住民基本台帳に係る事務処理に当たっては、市町村長に対して住民票に記載されている事項の漏えい防止などの措置を義務づけるとともに、事務に従事している職員等に対して守秘義務を課しております。
 また、平成十八年十九年の住基法改正によりまして、何人も住民基本台帳の閲覧、住民票の写し等の交付を請求できるという制度を見直しまして、相当の理由がある場合に限定するなど、個人情報に十分配慮した制度として再構築をしたところでございます。
 さらに、すべての市町村においても個人情報保護条例が制定されておりまして、これらに基づきまして、住民基本台帳に限らず、市町村の保有する個人情報の保護が担保されているというふうに思います。

○塩川委員 今回の入管法が、前提として所属機関からの情報収集の強化を含めて外国人の管理強化を強めるものという枠組みになっているのは重大で、これとリンクした形で住民基本台帳法の改正が行われている。そういう点でも、外国人の管理強化に市町村を組み込むような仕組みになっているという点が重大だと申し上げているわけです。住民基本台帳の個人情報保護のルールを逸脱するような内容を含んでいるものであり、国による外国人情報の収集や一元管理はやめるべきだということを申し上げておくものです。
 続けて、外国人住民への行政サービスの基準の問題ですけれども、厚生労働省に伺いますが、住民基本台帳法の改正に伴って、市町村が外国人についても住民として正確な情報を把握して、住民に関する各種行政サービスの適切な提供に利用される基盤を整備するとされております。
 そこで、国民健康保険についてお聞きしますけれども、外国人についての現行制度の適用基準はどのようになっているでしょうか。

榮畑政府参考人 国民健康保険は市区町村の区域内に住所がある方を対象としておるところでございまして、現在、外国人につきましては、外国人登録があること、それから入管法に定める在留資格があり、一年以上の在留期間が決定されていること、これには一年以上日本に滞在すると考えられるケースも入ってございますが、これを双方ともにクリアする人を被保険者としておるところでございます。これは、住民基本台帳法における基準を踏まえ、一年未満の短期滞在者などについては我が国に生活の本拠を有するとは考えられないということによるところでございます。
 以上でございます。

○塩川委員 一年未満については生活の本拠を有するとはとれないというお話でした。
 改正案では、ここで外国人住民として規定をされます中長期の在留資格の方という点で変わるわけですけれども、そういう意味でいいますと、この一年という基準は妥当性を欠くと思うんですが、この点、住民基本台帳法が改正をされた場合にどのような対応をされるのかについてお聞かせください。

榮畑政府参考人 今回の住民基本台帳法の改正案におきましては、住民として各種行政サービスの対象となり得る外国人を住民基本台帳の対象とするとの考え方から、在留期間六カ月以上の外国人住民の方を住民基本台帳に記録することとしたものと承知しております。
 厚生労働省といたしましては、住民基本台帳に記録される外国人につきましては国保の適用になるものと考えておりまして、住基法の改正案が成立し、それが施行されるときに合わせまして、国民健康保険につきましても所要の法令上の整備を行おうというふうに考えております。

○塩川委員 最後に大臣に伺いますが、このように、外国人住民の方、新たに規定をされた場合に、現行の各種の行政サービスについても見直しが求められてくるわけです。そういったことについて、厚生労働省を初めとして、あるいは文科省など関係府省と連携をとり合って、各種行政サービスに係る基準や条件の見直しということは当然求められてくるわけです。
 総務省として、その点について何らかの基準といいますか方向性といいますか、そういうことも示す必要があると考えておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられる趣旨を理解した上で、各省庁とよく相談をさせていただきながら、そごのないように対応してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 住民基本台帳法において、やはり外国人住民の方が、一定範囲の方が対象から排除されるという仕組みが入管法とのリンクの中でも生まれてくるわけです。そういう点でも、私たちは、一律に排除するような仕組みというのは改めるべきだということを申し上げたいと思っておりますし、住基法と入管法がリンクしたような形での今回の法改正というのは枠組みとして問題があるというふうに考えております。
 そういう意味でも、外国人住民として規定をすること自身は積極面はありながらも、入管法の管理強化の側面と一体となっている、こういう仕組みはやはり見直すべきだということについて、改めて大臣のお考えをお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。

佐藤国務大臣 今御指摘をいただいた点も踏まえて、協議をしてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 終わります。

○赤松委員長 次に、保坂展人君。

○保坂委員 社民党の保坂展人です。
 きょうは、私はいつも法務委員会におりまして、この一月余り、入管法の審議をやっているわけですけれども、大変重要な点だと思いますが、今回の両法案の改正案によって、外国人の住民サービス、今ほど総務省からはその住民サービスは変わらない、こういう答弁がございましたけれども、ここの点についてちょっと確認をしていきたいというふうに思います。
 今回の改正案をそのまま読むと、外国人住民票の制度で、いわゆる難民申請者あるいは非正規滞在者が、生活実態はあるが住民基本台帳に登載されないということにもなってくるのではないか、とすれば、外国人登録制度からは大きな後退になるのではないかということを感じてきました。
 この点は変わらないという先ほどの話だったんですが、外登法上は、在留資格の有無を問わないで、九十日以上の在留外国人に対して地方自治法の住民として扱ってきたということですが、この概念、位置づけは今回外登法が廃止されても変わらないのかどうかという点をまず総務省に伺います。

久元政府参考人 今回の改正の契機は、法務省において在留管理制度を見直すという見地から入管法の改正を検討され、また、その一環として外国人登録制度が廃止されるということが前提になっております。
 これまでは、外国人登録制度は、これは在留管理を目的とする制度でありますが、現実には市町村がみずからの行政サービスを提供する際の基礎に活用されてきたわけです。
 そこで、この外国人登録制度が廃止されることに伴って、外国人の方の住所地情報をどういうふうに考えるかということについて総務省として検討をして、結果的には、住民基本台帳の対象とする、住民票を作成することが適当なのではないかということで今回の改正案を用意したわけでありまして、その範囲としては、適法に我が国に在留する外国人の方を対象にすることが住民基本台帳制度の趣旨からいって適当である、こういう基本的な考え方のもとに、改正案を用意させていただいたところでございます。

○保坂委員 今の答弁ですと、それでは、外国人登録法上、従前は在留資格の有無を問わずに住民サービスを提供してきた、今回からは変わるということですか。つまり、今のお話だと、適法にという前提がつくので、そこは在留資格の有無で振り分けていく、こういうことですか。

久元政府参考人 住民基本台帳制度は、居住関係の公証をするということ、そして市町村が住民サービスの基礎とするということを目的としておりますが、それぞれの行政サービスの対象は、先ほども国民健康保険について厚生労働省からお答えがありましたように、それぞれの法令、制度によって決められるわけであります。
 今回の改正案は、そういうこれまで不法滞在者の方を含めて提供されてきた行政サービスの範囲を変更するものではないということは、先ほどから御答弁を申し上げているとおりでございます。

○保坂委員 では、法務省の方に聞きます。
 例えば、仮放免をされて九十日以上在留する外国人が住民サービスを受けたいということで、その際何らかの在留資格が必要となる。法務省では、具体的にどのような措置をどのように凝らしていこうとしているのかという点についてお答えいただけるでしょうか。総務省としては外国人に対する住民サービスの提供というその基本線は変わらないんだということをこれまで聞いてきましたけれども、その点、かみ合っているのかどうか。

高宅政府参考人 仮放免の段階というのは手続中の段階でございまして、この時点では不法滞在者の方が仮放免になっても在留資格を有するということにはなりませんので、この段階では一応不法滞在者という形が継続されるわけでございます。その場合には、本人の身分事項につきましては、一応仮放免の許可証のようなものを交付しておりますので、それである程度確認ができるかと思います。ただ、いずれにしましても、早急な手続によってこの未確定の状態を確定するということが必要かと思います。
 ちょっと状況の御説明をしますと、今回の入管法の改正案、在留管理制度関係は三年を超えない範囲で政令で定める日からの施行となっておりますが、平成二十一年一月一日現在で不法残留者数は約十一万三千人おります。改正法施行までの間にもちろんこの減少に努めてまいりたいと思いますが、その中で、退去強制すべき者はもちろん退去強制いたしますが、在留特別許可を認めるべき者、これについては認めていくという方向を考えております。特に、登録をしている不法滞在者を減少させることが急務だと考えております。
 それから、在留特別許可につきましては、これまでも個々の事案ごとに総合的判断ということでございますが、これについても、透明性を確保するという観点から、現在、既に事例等を公表、あるいはガイドラインをつくっておりますが、これもいま一度吟味していきたいと思っております。

○保坂委員 それでは、総務大臣に、ちょっとこの点は大事なので確認したいんですけれども、これまでのいわゆる外登法が廃止をされた。これまでは在留資格の有無を問わずに住民サービスは提供してきた。今回、入管法と住基台帳とクロスするわけですけれども、基本的に外国人住民に対するサービスの提供という点の基本線は変わらないのかどうか。

佐藤国務大臣 私どもとしては、先生がおっしゃられるように、変えるつもりはないという気持ちでおります。

○保坂委員 文部科学省に伺います。
 平成十八年の初中局長通知「外国人児童生徒教育の充実について」というところで、就学手続の居住地確認方法などについて、この際、外国人登録証明書による確認に限らず、居住地の確認に関して、一定の信頼が得られると判断できる書類によって確認するなど、幅広く柔軟にやろう、こう通知をされていますが、文科省、この線は変わらないんでしょうか。

前川政府参考人 我が国に滞在する外国人が、その保護する子の公立義務教育諸学校への入学を希望する場合におきましては、すべての子供の教育を受ける権利の保障を求めております国際人権規約、児童の権利条約等の規定に基づきまして、在留資格のいかんを問わず、無償での受け入れを行っているところでございます。
 今回の住民基本台帳法の改正が行われた場合におきましても、台帳への記載の有無にかかわらず、希望があれば公立の小中学校等に受け入れるという取り扱いに変わりはございません。
 また、先生御指摘の平成十八年の初等中等教育局長通知につきましても、その方針について変更するつもりはございません。

○保坂委員 次に、厚生労働省に伺いたいんですが、我が党の参議院議員だった大脇雅子議員が平成十二年の四月二十八日提出の質問主意書で尋ねたことに対する政府答弁なんですが、非正規滞在者であっても、福祉、医療の制度の適用は可能な限りこれを保障していく、こういう政府方針が示されているんですけれども、この方針について変更がないのかどうか。
 また、この際、先ほど文科省に答えていただきましたけれども、住所の確認等の事務手続をどのように地方自治体に求めていくのか。
 さらには、医師法十九条において、診療を拒否することはできないとなっていますけれども、とりわけ非正規滞在者に対する診療拒否などが起こらないように公立病院などで必要な措置をとるべきではないかという点についてどうお考えなのか。
 厚労省に伺います。

伊岐政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の政府答弁書におきましては、非正規滞在の外国人につきましても、助産施設への入所、養育医療や育成医療の給付、母子健康手帳の交付、定期の予防接種の対象となり得ることをお示ししているところでございますが、今般の住民基本台帳法の一部を改正する法律案が成立した場合におきましても、これらの制度の適用についての方針に変更が生じるものではないというふうに理解をいたしております。
 また、このように方針変更がない旨につきましては、必要に応じ、地方自治体等へも周知してまいりたいと思っております。
 さらに、これらの制度における非正規滞在の外国人につきましての住所確認につきましては、現行におきましても適宜各自治体で行われていると認識しておりますが、その事務手続の例示につきましては、その必要性も含め、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

○保坂委員 外国人の住民票から選挙人名簿登載有無欄の削除、こういうことが提案されているということなんですけれども、これは、この国会で成立はしておりませんが、ここ約十年にわたって、地方参政権の付与に踏み切るべきではないか、私たちはそう思っていますけれども、そういう方向、あるいは二百以上の自治体で外国人住民の住民投票権を定めた条例がつくられていることとも逆行してしまうんじゃないのか。これをあえて削除せずに空欄にしておく、こういう扱いでもいいのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。総務省にお願いします。

久元政府参考人 外国人住民票から選挙人名簿登載の有無の欄が削除されるという御指摘をいただきましたが、今回の法案によって外国人住民票は創設されるわけでありまして、その際、現在日本国籍を有しない者は選挙権を有しないわけでありますから、外国人に係る住民票で、選挙人名簿の有無は記載事項とはならないというふうに考えております。
 なお、外国人に対する地方参政権のあり方につきましては、我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題であり、各党各会派で御論議いただきたいというのが政府としての一貫した考え方でございます。

○保坂委員 システム設計というのはお金がかかりますので、空欄にしておいて、いざそうなったときには、そこに記入しておくということでもいいのではないかと思います。
 先ほど、厚生労働の榮畑審議官の方がちょっと手を挙げられたので、何か補足答弁があればお願いします。

榮畑政府参考人 先ほど保坂先生から、医師法の関係、医師の応招義務の関係で御質問がございました。
 医師法第十九条第一項におきまして、「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」というふうになっておるところでございまして、具体的な各事案におきましては、患者の容体や医療機関の受け入れ体制等の諸事情を総合的に勘案する必要はございますが、一般的には、適法滞在でないこととか費用が払えないということなどを理由として診療を拒否することはできないというふうに考えておるところでございます。
 この医師法十九条の規定は、今回の住基法の改正におきましても、当然のことながらこのままでございますから、私どもとしましては、公立病院も含めましてこの取り扱いというのは徹底させていかなければならないと思っておるところでございます。
 以上でございます。

○保坂委員 最後に、総務省に一点だけ。
 これは入管法とセットで在留カード、そういったカードができてくると思うんですが、そのカードナンバーというのがあらゆる情報のいわばキーになって情報がマッチングされるということは、既に法務省からはそういうふうに私は説明を受けているんですが、これは住基ネットの原則に反するんじゃないかというふうに思うんです。時間がありませんので、一問だけ聞いて終わりたいと思います。

久元政府参考人 在留カードの番号につきましては、外国人に係る住民票の記載事項としておるわけでありますけれども、これは、市町村と入国管理局において情報のやりとりをする場合などにおいて、それぞれが保有する情報の突合の迅速化を図るために記載事項としているものでありまして、御指摘の御懸念というものは当たらないというふうに考えてございます。

○保坂委員 もう質問は終わりますが、その番号で法務省の所管しているさまざまな情報とリンクして、そのナンバーで情報を引っ張ってこられるわけですから、これはやはりリンクしているというふうに私は指摘をしたいと思います。
 時間になりましたので、終わります。

○赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十七分散会


原典について


Copyright(C) 2009 やぶれっ!住基ネット市民行動
初版:2009年08月30日
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