平成二十一年六月二十六日(金曜日)
午後一時開会
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委員の異動
六月二十五日
辞任 補欠選任
大島九州男君 山下八洲夫君
六月二十六日
辞任 補欠選任
山下八洲夫君 大島九州男君
山下 芳生君 仁比 聡平君
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出席者は左のとおり。
委員長 内藤 正光君
理 事
加藤 敏幸君
高嶋 良充君
長谷川憲正君
河合 常則君
二之湯 智君
委 員
大島九州男君
加賀谷 健君
行田 邦子君
武内 則男君
外山 斎君
林 久美子君
平田 健二君
吉川 沙織君
泉 信也君
礒崎 陽輔君
世耕 弘成君
谷川 秀善君
中村 博彦君
溝手 顕正君
吉村剛太郎君
魚住裕一郎君
弘友 和夫君
仁比 聡平君
又市 征治君
事務局側
常任委員会専門員
高山 達郎君
参考人
愛知県豊田市長 鈴木 公平君
特定非営利活動法人難民支援協会事務局長
石川 えり君
日中交流研究所所長
日本僑報社編集長
段 躍中君
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本日の会議に付した案件
○住民基本台帳法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(内藤正光君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、山下芳生君が委員を辞任され、その補欠として仁比聡平君が選任をされました。
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○委員長(内藤正光君) 次に、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
本日御出席いただいております参考人の皆様方を私から御紹介申し上げます。
まず、皆様方から向かって右手でございますが、愛知県豊田市長の鈴木公平参考人でございます。よろしくお願いします。
次に、真ん中、中ほどでございますが、特定非営利活動法人難民支援協会事務局長の石川えり参考人です。
そして、左手ですが、日中交流研究所所長・日本僑報社編集長の段躍中参考人です。
この際、参考人の皆様方に、委員会を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙中のところを当委員会に御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。
参考人の皆様方からは忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、お一人十五分程度で、まずは鈴木参考人、そして石川参考人、そして最後に段参考人の順に御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、発言の際は、挙手をしていただき、その都度、私、委員長の許可を得ることになっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。
なお、参考人の皆様、そして質疑者共々、発言は着席のままで結構です。
それでは、まず鈴木参考人にお願いをいたします。鈴木参考人、どうぞ。
○参考人(鈴木公平君) ただいま御紹介をいただきました愛知県豊田市長の鈴木と申します。
本日は、法案の審議に当たりまして、発言の機会をちょうだいいたしまして感謝申し上げたいと存じます。また、委員の先生方には、日ごろ地方自治に対しまして御支援をいただいておりますことに重ねて感謝申し上げます。
それでは、まず外国人集住の課題ということについてお話をさせていただきます。
豊田市におきましても、平成二年の入管法改正を機に南米からの日系人が製造業を中心に就労することになりまして、外国人住民が急増し、本年五月の外国人登録者数は一万六千三百七十二人、人口の三・九%を占めております。この外国人の割合は、日系人が多く住む外国人集住都市会議の参加都市の中で特別高いわけではございませんけれども、当市におきましては、市内にあります保見団地というところに外国人、特にブラジル人の方々が集住しておりますことが特徴でございます。
この保見団地は、住民八千七百人のうち四千三百人が外国人で、外国人比率は実に四九%、そのうち九割の方々がブラジル人でございます。また、団地内には、在籍する外国人児童生徒が半数を超える小学校もございます。
これまで、保見団地を始めとする市内の外国人集住地区におきましては、外国人の子供の教育、ごみ出し、騒音、違法駐車、無保険、治安の悪化など、言葉や生活習慣の違いに起因する様々な問題がありまして、地域の官民が一体となった豊田市多文化共生推進協議会におきまして、教育・青少年、保険・労働、コミュニティー、この三つの分野で部会を設け改善策を模索して、かつ実行してまいりました。その成果といたしましては、来日間もない児童生徒に市内二か所の学校で三か月程度日本語や適応指導を実施する言葉の教室の開設、運営、あるいは外国籍児童生徒の支援を行うNPO法人と学校との連携、また商工会議所における外国人雇用にかかわる法令遵守のためのガイドラインの策定などに現れております。
また現在は、豊田市多文化共生推進協議会の多くの関係者とともに、外国人が日本で生活する上で最低限必要な日本語を習得できるように、とよた日本語学習支援システムの構築に取り組んでいるところでございます。
さて、豊田市は自動車産業を始め製造業が盛んでございまして、製造品出荷額は全国第一位でございますが、昨年秋以降の世界同時不況の大きな影響を受けまして、当市の法人市民税の当初予算で比較いたしますと、平成二十年度の四百四十二億円から平成二十一年度の十六億円になりまして、四百二十六億円の減少となっております。
また、有効求人倍率を見ましても、ハローワーク豊田管内では昨年の秋以降下落の一途で、十二月に一を割り込み、今年の四月には〇・二九まで落ち込んでおります。外国人に限りますと更に厳しい状況でございまして、かなりの外国人世帯の雇用等に影響が出ていると思っております。
また、生活保護に関しましては、窓口相談、申請件数共に大きく伸びております。外国人児童生徒に関しましては、親の失業などによりブラジル人学校に通えなくなった子供が増えている一方、公立学校への編入は一部にとどまり、不就学の状態が懸念されております。また、公立学校における就学援助申請も増えております。
これら全般に対応するため、豊田市では緊急経済対策を打ち出しまして、外国人を含めた臨時職員の雇用や生活支援緊急特別貸付けなどを行っているところでございます。また、国、県の施策とも連携いたしまして、外国人求職者のための日本語教室や多言語による就学生活雇用相談の窓口を充実させております。
次に、外国人集住都市会議についてちょっと申し上げておきたいと思います。
外国人集住都市会議は、浜松市と私ども豊田市で相談をいたしまして、ニューカマーと呼ばれる南米日系人を中心とする外国人住民が多数居住をする都市の外国人住民にかかわる施策等の情報交換を行う中で、地域で顕在化しつつある様々な問題の解決に積極的に取り組んでいくことを目的といたしまして、平成十三年に設立いたしました。その事務局を担当する座長都市は、現在は太田市でございますが、二年ごとの交代となっておりまして、本市も平成十五年から十六年度にこの座長都市を務めております。会議を構成しますのは、現在、群馬県、静岡県、愛知県、岐阜県、長野県、滋賀県、三重県の七県下の市町で、合わせて二十七市町でございます。外国人集住都市会議では、地域における外国人住民との地域共生の確立、多文化共生の推進を目指すとの立場から、外国人住民に関する就労、教育、医療、社会保障のみならず、国の在留管理の在り方なども含めた広範にわたる諸課題を検討し、必要に応じて国や県あるいは関係機関への要望や提言を行ってまいりました。
外国人住民の台帳制度及び新たな在留管理制度の創設につきまして、外国人集住都市会議で要望をしてきたところでございます。この要望の中で、国への主要な要望の柱の一つとして位置付けられておりますのが、ただいま申しました外国人住民に関する記録を迅速かつ正確に把握できる制度の構築でございます。具体的には、外国人住民の台帳制度の創設及びこの台帳制度と密接な関連を有するとされる新たな在留管理制度の創設でございます。
差し上げてございますお手元の資料を御覧いただけると大変幸いでございます。この資料は、私どもが一昨年の十月に全国市長会、全国町村会に提出いたしました外国人住民の台帳制度の創設に関する要望書でございます。この要望のポイントは四点ございます。
第一に、現在、ブラジルやペルーからの日系人を中心に外国人の日本での定住化が進んでおり、生活者、地域住民としての各種権利義務関係を明確にした上での行政サービスの提供が求められる中、現行の外国人登録制度では市町村が外国人の所在情報を迅速かつ正確に把握することが極めて困難であるとの指摘でございます。この点につきましては、後ほど改めて御説明をさせていただきます。
第二に、日本人と外国人とが同一の住所に居住するいわゆる混合世帯の把握が困難であるとの指摘でございます。この点は、今回の住民基本台帳法の一部改正により改善されるものと認識しております。
第三に、現在、外国人集住都市で顕在化しております課題は一部特定地域における特別な課題などでは決してなく、全国の自治体において発生している、あるいはいずれそう遠くない将来に発生することになる重要な課題であるとの指摘でございます。
第四に、国における在留管理の観点と地方自治体における多文化共生推進の観点とが相まって新制度を構築していく必要があるとの指摘でございます。お手元の資料にもございますように、外国人の厳正な在留管理を基本としつつ、同時に地域における多文化共生推進の観点から、外国人住民に関する記録を迅速かつ正確に把握できるように外国人住民の台帳制度を構築していただきたいというのが私どもの主張でございます。
国における新たな在留管理制度、それと外国人の方々の住民基本台帳制度、両者は車の両輪に例えられるほどの密接な関係にあると承知しておりまして、両者相まって検討を進めていただきたいと考えましてこうした要望書を提出した経緯がございます。
ここで改めて、現行の外国人登録制度の何が問題であるかを市町村の現場の目線から指摘しておきたいと思います。
地域における多文化共生の推進に向けて地方自治体が外国人住民に対する行政サービスの提供を適切に行っていくためには、まずその前提として、自分たちの町や市にどのような外国人の方々が住んでいらっしゃるかを正確に把握する必要が当然ございます。しかしながら、現行の外国人登録制度は、特に登録と居住実態の乖離が顕著でございます。
昨年、本市におきまして実施いたしました外国人の子どもの不就学実態調査によりますと、就学年齢にある外国人登録者千二百十六人について調査を行いました結果、転居、出国等が百九十八人いたことが明らかになりました。つまり、比較的正確に登録されていることが想定される就学年齢においても、その約一六%の外国人が登録上の住所には住んでおらず、市が把握しているデータと違う状況にあったわけでございます。これは外国人登録と実態との乖離を示す一例でございますが、こうした状況のために、送付した文書が返送されてきたり、課税を続けても当人が居住していないため納入されることなく滞納にカウントされたり、児童手当が振り込み続けられるなど、多くの支障が生じております。
なぜ登録と実態が乖離してしまうのか。現行制度は次の問題があると考えております。
まず、転出届の制度がないために他の市町村へ転出した外国人を迅速に把握できないことが挙げられます。さらに、外国人が在留期間の満了までに再び入国するつもりで出国する場合、再入国の許可を受けて出国いたしますが、これらの外国人に対しましても、海外転出届の制度がないために市町村における把握が困難を極める状況になっております。
次に、職権消除の制度がない点でございます。先ほどの不就学調査のように、登録されている住所に住んでいないことを市町村が確認した場合、日本人であれば市町村が職権で住民票を消除することができますが、外国人登録原票の場合は、その外国人が日本に在留している限り閉鎖することができず、原票が残ったままになってしまうわけでございます。
今回の改正案につきまして、若干の意見を述べさせていただきます。
まず第一に、国の在留管理、自治体における住民の把握と行政サービスの提供といったそれぞれの本来の役割が明確化され、スムーズに行える制度にしていただきたいと存じます。
第二に、先ほど説明いたしました登録と居住実態の乖離について、抜本的な解決を図っていただきたいと存じます。
第三に、新たな居留管理制度の構築により、法務省は従来よりも正確に在留外国人の在留情報について把握することが可能となりますために、そうした把握された正確な情報を基に、市町村の保有する外国人の住民基本台帳の正確性の確保にも御協力、貢献をしていただきたいと存じます。
これらのことにつきましては、さきの衆議院での議論や附帯決議の内容を十分に反映していただくことでおおむね実現できるものと理解しておりますが、重ねてお願いを申し上げたく存じます。また、法務省と市町村間の相互の情報提供が迅速かつ円滑に行われますように、システムの構築につきましても御配慮を賜りたいと思います。
これらのこととは別に、今回の住民基本台帳法の改正では、適法な在留資格を持って在留する外国人が前提となった検討がなされておりますが、市町村の現場といたしましては在留資格を持たない外国人への対応も必要となってまいります。在留資格がなく不法に滞在する外国人につきましては今回の外国人登録台帳制度の対象から除外されることとなりますが、現実に居住実態がある以上、行政としてかかわりを持たざるを得ないと存じますので、併せて十分な配慮をお願いしたいと存じます。
最後になりますが、外国人集住都市会議の構成市といたしまして、住民基本台帳法の改正案と入管法改正案の今国会での速やかな可決、成立を望むものでございます。
外国人集住都市会議は、新制度の早期創設、早期実施、施行を従来から要望しておりますが、新制度は法案が可決、成立いたしましても施行まで三年掛かるとお聞きしております。市町村の現場は今大変困っておりますので、三年でも遅いと感じておりますけれども、新制度の構築に当たりましてはシステムの改修、構築や外国人の方々への周知など十分な準備が必要となりますので、やむを得ないだろうとも存じております。しかし、法案が成立しませんと三年よりも更に施行が遅れてしまうことになってしまいますので、早期の法案の可決、成立を望む次第でございます。
若干まだ申し上げたいですが、時間が来ましたので、以上、私からの意見の陳述とさせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(内藤正光君) ありがとうございました。 次に、石川参考人にお願いをいたします。石川参考人、どうぞ。
○参考人(石川えり君) ありがとうございます。
特定非営利活動法人難民支援協会で事務局長をしております石川と申します。座ったままで失礼させていただきます。
この度は、法案審査に際しまして、私どもに発言の機会を与えていただきまして大変感謝しております。
難民の人たちというのは、外国人登録者数で約二百万人いると言われている日本全国にいらっしゃる外国人の方の中のうちで、非常に多くを占める方々ではないんですけれども、非常にニーズを持った支援の必要性があるという方々で、そういった方々を支援しているという立場から今回の法案審議に関して意見を申させていただきます。
お手元に資料がございますので確認させていただければと思いますが、住民基本台帳法改正案と難民保護の課題ということで、五枚ほどのレジュメを配付させていただきました。御確認いただければと思います。
レジュメに沿いまして御説明させていただければと思います。
まず、難民の人たちを取り巻いている状況についてお話しさせていただきます。
先に難民とは何かということを、釈迦に説法ではございますが、簡単に確認させていただきますと、迫害を恐れて故郷に帰ることができない人というふうになっています。これは、日本が一九八一年に加入いたしました難民条約第一条に定められている定義によっております。日本は八一年にこの条約に加入いたしまして、八二年から出入国管理及び難民認定法という形で制度を整えて、難民の人たち、故郷での迫害を逃れて日本に来て助けを求めた人たちを日本で受け入れていく、保護をしていくといった受入れ制度を開始しております。
現在どのような状況になっているかというふうなことを申し上げますと、二〇〇八年、二枚目に参考三ということで棒グラフを載せさせていただいたんですけれども、難民申請を求める人、難民の認定を求める人、日本に逃れてきて、助けてほしい、日本で保護をしてほしい、かくまってほしいという人たちが非常に急増している、ここ数年で倍、倍と増えてきているという実態がございます。私どもの団体が立ち上がりました十年前ぐらいですと、日本に来ている難民の方々は年間二、三百人ですというふうに申し上げていたんですが、昨年では約千六百人、千五百九十九人の方が保護を求めて申請をされていらっしゃいます。これは過去最高の数字でして、今年も現在のところ約六百人以上の方が難民申請をされているというふうに理解しておりますので、昨年のペースで外国人の方が保護を求めていらっしゃっていると。この傾向は、残念ながら当面続いていくというふうに考えております。
そういう中で現場で何が起きているかというふうに申しますと、やはり審査をしてくださる方がすぐに増えて審査が迅速に行われるというわけでは実際にはございませんので、審査に掛かる期間というのが長期化しているという現状がございます。
最近の法務委員会での質疑によりますと、難民申請をしてから行政段階での最終的な結論が出るまでは約七百六十六日、二年以上掛かっているという実態がございます。この後、裁判を経て認められる方もいらっしゃいますので、長い方でこちらが把握している限り九年掛かったという方がいらっしゃいます。この方は裁判を経て九年掛けて日本にいていいという在留の許可をいただいたわけですけれども、平均二年、長い方ではそれ以上、難民としての保護を求める申請を日本政府に対して行って、結果が出るのをどこかの地域で住民として暮らしながらずっと待っているというような現状がございます。
これと今回の法改正がどのようにかかわってくるかということを御説明させていただければと思います。
三枚目に添付させていただきました難民認定手続と仮滞在・仮放免というチャートも用いさせていただきながら簡単に御説明させていただきたいと思うんですけれども、難民認定手続というのは法務省入国管理局の方で行われますけれども、何回かのインタビューを経て、審査を経て結果が出されます。一次段階で認定されない場合は、もう一度ということで異議申立てをして、その結果が出るということになります。ここに掛かる期間が七百六十六日と申し上げました。
待っている間の在留資格に関してなんですけれども、難民申請を待っていますという在留資格があれば一本で簡単なのかもしれませんが、実際にはそうはなっておりませんで、レジュメの方の表の方に、一枚目の、どういう種類があるかということを載せさせていただきましたので、併せて御覧いただければと思うんですけれども、待っている間、在留資格がある方とない方といらっしゃいます。
具体的には、難民申請をされた段階で在留資格が何らかの形であった方、ない方で分かれてまいります。ある方に関しては、現状の実務では特定活動三か月間のビザが交付されまして、これは住民基本台帳の加入対象になるというふうに理解しております。ほかには、在留資格ではないんですけれども、日本に上陸をしていいという許可ですね、一時庇護上陸許可を持っている方、また仮に滞在できるという仮滞在という許可を持っている方、仮放免の方、仮放免の許可を待っている方、この全部で五種類の方々がいらっしゃるということです。難民申請という統一されたプロセスを経ていきながら、それを待っていらっしゃる、二年間待っている間の在留資格は非常に異なっているという現状がございます。
その方々がどのくらい難民の方の割合でいるかというふうに申しますと、昨年、難民申請を行った方は千五百九十九名でした。先日の総務委員会での御回答によりますと、特定活動を持っている方は統計約半数、難民申請を求めている方々の約半数というふうになっています。一時庇護上陸許可の方は、私どもが手元にあった資料だけで調べますと、十六年間で六名の方に許可が出ています。仮滞在の方は、去年許可が得た方が五十七人。そして、仮放免、仮放免の許可を待っていらっしゃるという方は、こちらの推計では五百人から千人ぐらいいらっしゃるかもしれないというふうに考えております。
こういった方々が住民基本台帳にどのように扱われていくのか、ここが私ども現場で支援しているNGOの最大の関心事でございます。
またチャートに戻っていただきたいんですけれども、こちらが実務の中で把握している個々のケースを通じた数字で包括的な数字ではないんですけれども、データによりますと、難民申請をしてからその人に仮の滞在の許可を出すかどうかという結果が出るまでは大体三、四か月掛かると理解しております。これより長い方も短い方もいらっしゃいますけれども、その程度というふうにこちらは理解しております。また、仮滞在が不許可になった場合に仮放免という許可をいただけることが多いんですけれども、この結果が出るまでには六、七か月掛かるということになります。
ずっと結果を待っているので故郷に帰ることもできませんし、ひたすら二年間待っているということになるんですけれども、そのうちの長い方で十か月、十一か月、最長ではもっと長い方はいらっしゃいますが、そういった期間仮放免を待っているという方々がいらっしゃるということも、仮放免の議論をしていただく際に是非御参考にしていただければというふうに思っています。
こういった方々が今どのような状況にあるかということを申し上げますと、やはり最低限のセーフティーネットということが課題となってまいります。仮放免、仮滞在のような在留資格がない状況で仮の許可を得て収容されずに地域で暮らしていらっしゃる方というのは、生活保護の対象にもなりませんし、国民健康保険にも、対象にも今のところはならないというふうにされています。そういった中で、外務省が生活支援金の限定的な支給をされていますけれども、今年度から更にその優先順位を高めたことによって、申請者数が増えたことによるんですけれども、実際に受給できる方が少なくなっているということで、生活困窮者が増えているといった実態があります。
何より課題なのは、仮滞在、仮放免の方々が就労を禁止されているという実態がありまして、働いてもいけないし、生活保護、国民健康保険も得られないという中で非常に困窮している方が多いということを申し添えさせていただきたいと思います。
お配りした資料の最後に、難民申請者が非常に生きていくのに困難だといったことをNGOでアピールさせていただきまして、読売新聞の都内版に掲載していただいた記事がございますので、併せて御参考までに御覧いただければと思います。現在、民間では、緊急キャンペーンということで寄附を呼びかけさせていただいて、街頭募金をしたり、ほかのNGOと協力をしてお米を配ったり、事務所ですぐ食べられるもの、カップラーメンを用意させていただいたりしています。何日間か食べていないという方も事務所に来られまして、それも残念なことに余り珍しいことではなくなってまいりました。
そういったことで、民間でも最低限のセーフティーネット構築へ向けて努力を続けてまいりたいというふうに思っておりますけれども、やはりできましたら公的なセーフティーネットの方で、こういった待っている期間、本国に、ちょっと外国に行っているので結果が出たら教えてくださいというふうになっている制度ではございませんで、日本の中で結果を待つということになりますので、この期間もどこかの自治体で住民として居住実態を持って生活をしていくということになりますので、どのような対応が必要とされるのかということを是非御議論いただきたいと思いますし、そういう観点から今回の法案の修正部分が、出していただきまして、そして、仮放免の人たち等について行政上の便宜が引き続き受けられるようにという観点から修正案を出していただいたということを非常に有り難く思っております。これに、仮放免の立場の人たちに関しては引き続き検討を加えていただけるということですので、是非私たちもそういった御議論に参考となるような資料ですとか実態というのを御提供させていただきたいというふうに思っております。
また、先日の総務委員会での議論を拝見させていただきましたところ、とりわけ国民健康保険に関しましては大きな進展があったというふうに理解しておりまして、住民基本台帳に記載される外国人の方に関しましては国民健康保険の適用になるものというふうに考えていらっしゃるという厚生労働省さんの見解を拝見いたしました。これは、今までよりも住民の、住んでいるという居住実態に照らし合わせて国民健康保険の方が適用されていく、施行されていくということで、私どもとしても非常に歓迎しておりますし、今後の実施というのを期待して見守っていきたいと思います。その際に、仮放免ですとか仮放免を待っている方々に関しましても是非検討に加えていただきたいというふうに思っております。
最後に、こちらの総務委員会とは若干異なるのかもしれませんが、入管法の改正と併せて審議、御議論いただいているということで、現在の課題に関しましても若干申し上げさせていただきたいと思います。
先ほど申し上げました仮滞在ですとか一時庇護上陸許可、既に住民基本台帳の対象者となっている方々に関しましては、やはり我々が現場で見ている数字としては、許可を受ける人がまだまだ少ないのではないかと。もっと人道的に運用していただける幅があるのではないかというふうに考えております。
仮滞在というのは新しい制度でして、二〇〇四年に国会議員の先生方が入管法を変えていくという中で、長い間待っている難民の人たちがオーバーステイにならないように仮に滞在する許可が必要ではないかと御議論いただいた結果、法案を通じて確保していただいた許可でございます。
これの実態が、昨年ですと許可を受けられた人が一〇%を割っておりまして、九%弱という数字になっております。これがもう少し拡大されていきますと、比較的短い待ち時間で仮に滞在する許可が出て、住民基本台帳にも記載されて住民としてのサービスが受けられていくというような形になってまいりますと思いますので、併せて御検討をしていただければというふうに思います。
私の方からは以上とさせていただきます。本当に貴重な機会をありがとうございました。
○委員長(内藤正光君) ありがとうございました。
次に、段参考人にお願いをいたします。段参考人、どうぞ。
○参考人(段躍中君) 段躍中と申します。
いつもテレビから先生方の顔、御活躍を拝見しておりますが、今日はこういうような場で意見を述べさせていただく機会あって、とても光栄と思います。
私の意見を正確に理解していただくため、用意した原稿を棒読みさせていただきます。これから座らせていただきます。
この度、参考人として参議院総務委員会で意見を述べることに責任を重く感じております。中国から来日十八年、これまでの研究調査を生かして日本社会の発展のために住民基本台帳法改正及び外国人政策について陳述させていただきたく存じます。よろしくお願いします。
まず第一点、住民基本台帳法改正について、私の意見ですけれども、今回の法改正では、外国人にとって便利になる面が大きいと思います。一回情報が登録されれば、関係省庁あるいは区役所、市役所など、すべての部署で活用いただけるからです。
現在、手続する際には、外国人登録の窓口に行った後にほかの窓口も回らなくてはならず、時間が掛かり苦痛です。外国人の在留資格が変更されたらほかも自動的に変更されるシステムは合理的です。行政にとっても効率が良くなるのではないでしょうか。
更なる国際化に向け、外国人がいかに滞在しやすく、より便利に生活できるシステムの構築が不可欠です。少なくとも、私と中国人の友人は、行政というより手続しやすいシステムが望ましいと思っております。そのため、改正を基に、変更届や転出届はインターネットでもできるようにしたらいいと思います。例えば、仕事を変更してから規定の日数以内に手続や入管に行かなくてはいけないというシステムは、仕事をしている場合は難しく、日本の同僚にも迷惑を掛け、束縛されるものです。
外国人にとってシステムが簡便化する改正ですが、個人情報の保護には万全を期していただきたいです。また、住民基本台帳に掲載するデータや閲覧方法に議論が尽くされる必要があると考えております。外国人差別を生み出す土壌となり、日本へ貢献したいという気持ちをそぐおそれがあるからです。
現在、永住権を取得していても、たまたま外国人登録証を未携帯だったという理由で逮捕のおそれがあります。ほかにも、在日中国人の教授からの意見ですが、海外から日本人の学生を引率して帰国したとき、学生が簡単に入国できたのに対して、外国人教授は指紋採取を受けているという風景を解散待ちの学生はどう見ているのか常に疑問に思っていると聞きました。また、別の在日中国人教授からは、再入国のたびに両手の指紋と写真を撮られ、屈辱感を感じるとの意見もありました。住民基本台帳の改正がこのような流れに追随するものではなく、外国人にとって便利であり、日本で学びたい、働きたいとの誘因を高めるものであることを願います。
また、住民基本台帳の改正が不法滞在に及ぼす影響ですが、外国人も日本にいる以上、日本の法律を遵守すべきです。日本に住んでいる二百二十万人以上の外国人は法律を遵守しているので、今回の改正で便利になると考えています。また、外国人のイメージの向上にもつながるのではないでしょうか。
逆に、不法残留者は、法律に違反している点で、不便を被っても仕方がないと考えております。やむを得ない不法滞在、例えばDV被害に遭われた配偶者の方などは別の法的手段を講じる必要があるのではないでしょうか。
次の点は、日本の外国人政策の必要性について私の意見です。
まず、①外国人政策の重視をもっとしてほしいということです。
少子高齢化の日本では、外国人の受入れをこれまで以上に重視する必要があると考えております。しかし、現状では、日本社会(日本人)に外国人嫌悪がないとは言えません。
日本が世界に通用する国際国家となるために、外国人が安心して働き、住むことができる環境を準備する必要があります。また、日本人がほかの外国人とお互いの立場、文化を尊重し合って生きる社会、すなわち多文化共生の社会が必要でしょう。多文化共生は、次世代の子供たちにも良い影響を与えます。
日本に在住している外国人も、多くがこれからも日本に定住し、社会に貢献したいと決意しています。在日中国人を例に取ると、元中国人留学生の多くが日本で活躍しています。日本で博士号を取得した中国人は何人いると思いますか。先生方も御存じないと思いますが、もう既に六千人以上です。こういった名簿は、残念ながら各省庁でも、そういったまとめた名簿、一つもありません。外国人として初めて芥川賞を受賞した、話題を呼んだ中国人の作家、一部上場企業の経営者、大手企業の役職者、大学教授や研究者、メディア関係者らは、日本の国際化、日中の発展に大きく寄与しています。
②番は外国人に夢を与える社会構築についてですけれども、日本社会にやってくる外国人が日本嫌いとなるのではなく、夢を与える日本社会を希望します。元東京入国管理局長、坂中さんの書かれた「外国人に夢を与える社会を作る」、二〇〇四年、私たちの日本僑報社から出版した、これは反響が大きい一冊でした。中国語に訳したこともあり、多くの共感を呼び、中国人の敵と思われていた東京入管局に対する見方が変わったとの声が続々と寄せられています。
このように、日本で行っていることを大きく発信し、諸外国民の理解を得られれば、国際情勢は変化するものではないでしょうか。確かにクリントンさんがアメリカで述べたように、移民がアメリカをつくったという言葉があったようですけれども、これからのグローバル化時代に、外国人に夢を与え、日本社会に貢献させてほしいということです。
③番は外国人が直面している問題、二点ほど申し上げたい。
一つは、子供を育てる問題ですね。
今、地方自治体では、外国語で深く悩みを相談できる職員は恐らく全国でもそれほどいないと思います。記憶に新しいと思いますが、滋賀県で中国人のお嫁さんが幼稚園に行くとき二人の子供を車の中で殺害してしまった事件がありました。とても悲しく、許せない事件と思います。ただ、同時に、行政や周りのコミュニティーにおいて外国人の悩みを相談できる職員あるいはアドバイザーがいなかったことも原因ではないでしょうかと気が付きました。
そのとき、テレビ朝日のニュース番組に出演したのですが、視聴者から、中国語ができる相談員の配置等のコメントに共感したとの声が多く届きました。このように、実際にニーズがあると思いますが、残念ながら各自治体はそのような人材はいまだ少ないようです。
また、外国人の子供の母国語教育に対する支援、特に民族学校への支援策ももっと強化すべきではないでしょうか。子供たちが誇りを持って母国語を話す空間をつくり、日本人の子供たちと多文化共生するのはすばらしいことです。将来、そのような子供たちが懸け橋として日本と諸外国との友好関係を築くことでしょう。
もう一点、外国人が受け取る情報不足についてです。
外国人に対する情報提供が不足しています。日本語の問題もありますが、今回の改正は余り知られておりません。少なくとも中国語メディアではそれほど取り上げておらず、中国人社会にはほとんど伝わっていないと思います。
ほかにも、それぞれの地方自治体で政策は異なる面もあるので、例えば転居したときに、ごみの出し方や回収曜日について外国人登録窓口で紹介してほしいと思います。外国人が燃えないごみを燃えるごみの日に出してしまうのは、法律を守らないのではなく、曜日を間違えているという面もあります。
最後に、私なりの提言ですが、一つは、外国人政策について専門家をもっと多く育ててほしいです。若手の政治家、公務員の方々に、外国人政策に強い行政をお願いしたいと思います。滋賀県の悲劇を繰り返さないために、特に地方に語学が堪能な人材を配置する必要があると思います。これは定住外国人のみの利便ではなく、外国人の強い来日誘因となり、国際社会の強みになっていくのではないでしょうか。
それから、外国人との交流の機会をもっと増やしてほしいです。今回の機会をいただき、できる限り提言を述べたいと存じます。しかしながら、二百二十万人以上の外国人は、行政を始め日本社会と接触する機会は乏しいのです。交流会や座談会などがあればもっとよいと思います。また、外国人住民の多い市区には、外国人相談員や国際交流協力委員の雇用も視野に入れてほしいです。
③番、民間交流へ公的資金を提供してほしいです。現在、日本社会に多くの民間団体があります。外国や外国人との交流を図ろうと各自努力をされていますが、どの団体も資金難が問題です。民間交流や外国人ボランティア活動への援助を検討してください。
日本はこれまでODAを始め国際援助を行い、その成果はすばらしいものがあります。しかし、残念ながら中国でも日本のODAを知らない人は多いです。日本社会でも実態を余り知られていないのではないでしょうか。そのため、日本国内で行う民間交流団体へ公的資金で支援することができればより有意義ではないかと考えております。ODAと異なり、参加や検証が可能であり、小規模な資金投入が可能です。
外国人に夢を与える社会構築。インターネットを活用して、アクセスしやすい情報発信が必要と考えています。
それから、外国語メディアの活用。中国語で、「私が総理になったなら」、その本、それは山本一太参議院議員が主編、今日は、安倍晋三元総理も含めて、世耕弘成先生もいらっしゃいますが、二十九名の若手政治家のインタビュー集は私たちの翻訳で中国で出版しました。この本も大きな反響がありました。やはり外国では、日本に興味ないのではなく、日本語のレベルが読解に追い付いていないのです。
その解決法としては、日本社会に滞在している外国語メディアへの発信が挙げられます。例えば、中国語の新聞、雑誌、あるいは中国人の団体もたくさんあるので、そこを通してヒアリングあるいは座談会をやったらどうかと思います。ちなみに、現在日本で発行されている外国語メディアは百種類以上あります。中国語新聞、雑誌だけでも四十種類以上はあります。
最後になりますが、外国人の定住化について一つの提言です。日本の留学政策は国際社会に誇るべき偉業です。現在、語学、学部、学生から博士課程まで十一万人以上の外国人が学んでおります。その学生、留学生たちに優遇政策として、例えば博士学位取得した、修了したらグリーンカード、いわゆる永住権を取得できる、そういった選択肢などはいかがでしょう。これはほんの一案ですけれども、留学生がせっかく日本に来て、不満を持って帰ったらもったいないと思います。あるいは日本を踏み台として第三国に行かれたらとても心痛いではないかと思います。
それから最後に、在日外国人の参政権について短く申し上げます。
地方自治体では、全住民の意思が反映されることが望ましいと思います。在日外国人は、外国籍であっても納税を始めとして義務を果たし、地方自治体に貢献しています。マイノリティーである在日外国人が住みやすい社会は日本人にとっても住みやすい社会であり、在日外国人の意見や要望を吸い上げることは地方にとっても利益をもたらすことです。外国籍で地方議員になれなくても、外国人会議などのような機構を設けたらよいではないでしょうか。
国政に関しては、国民主権ということで難しい側面があると思いますが、議論を続けていただきたいと思います。
四番目は、参考資料として先生方に提示しました。
私の発言のできる時間もこれまでですので、これで終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○委員長(内藤正光君) ありがとうございました。
以上で参考人の皆様方の意見陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行いますが、質問者の方にお願いがあるのは、どの方への質問かを明示して質問をしていただきたいと思います。
では、質疑のある方は順次御発言願います。
○加賀谷健君 民主党の加賀谷でございます。
今日は、本当にお忙しい中、参考人として意見を述べていただきました。心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。
私どもこの総務の委員会ということで、特に時間の制限もございますので、私は今度のこの住民基本台帳のかかわりということで、その辺を中心に質問をさせていただきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
まず、鈴木参考人にお伺いをいたします。
豊田市というのは、先ほど来参考資料を読ませていただいたりしていたんですけれども、一万六千八百人という大変多くの外国人を抱えていて、先ほどもありましたけれども、外国人集住都市会議というのもスタートさせて取組をされている。大変そういう意味では取組が進んでいる町だろうと思うんですけれども、この中で、やはり先ほど来出ておりましたけれども、不法滞在という問題が大変大きなテーマではないかと思うんですね。住民登録をされていない、不法に滞在をしている人、先ほど来お話がありましたように、医療の問題でありますとか、そういう最低限度のセーフティーネットの問題もあるわけでありますけれども、この辺で、豊田市さんが取組をされている他市に見られないような特徴がありましたらちょっとお教えいただけますか。
○参考人(鈴木公平君) 現在のところ、不法滞在者というか、在留期限が切れているとか、そういう方々に対する対応として、私どもが把握できるのは、外登法に基づく外国人登録による住所としての把握しかし得ないということがございまして、したがって、在留期間が過ぎたといっても外国人登録そのものはそのままになっているという、そういうシステムになっておりますので、現場ではなかなか分からないということがございます。それで、先ほど私は数字的に二百名弱の調べた結果として申し上げたんですけれども、こういうのは個々にやっぱり調べていかないと分からないということがございます。
今回の住民基本台帳法の改正に伴いますとそこら辺のところが厳格化されまして、つまり不法滞在者というのがあぶり出されるというかはっきりするということがあると思いますが、依然としてお住みでございまして、教育の分野、あるいは医療は、健康保険には加入できませんから無保険者になって、しかし病気されるから医療にかかる。かかれば治療費は当然掛かるんですけれども、未払治療費というのが、私ども現在でもありますけれども、かなり発生するだろうというようなこととか、そういった地域における、コミュニティーにおける課題というようなのが公的サービスの中でも起きるということは、引き続いて起きるということですが、そういうことはちょっと感じます。
○加賀谷健君 分かりました。
それで、今回の法の改正では、これから三年掛けて、先ほど来お話がありましたけれども、外国人を登録していくわけですけれども、三年後から登録ということになるわけですけれども、今多分システムをお持ちだろうと思うんです。紙台帳はありますけれども、多分もうコンピューターを使って管理されていると思うんですけれども、これの変更を進めていくということになるわけですけれども、この辺についての事務処理的にはどうなんでしょうかね。
○参考人(鈴木公平君) 結論から言いますと、余り大きな不安は感じておりません。
一点申し上げさせていただきますと、これは従来のケースを想定しながら申し上げますのでそのようにお聞き取りいただければと思いますが、率直に言って、制度が変わりましても、具体的な中身というか内容、これをお国の方がお示しいただくんですが、これがなかなか準備期間が余りないような状況でお示しいただくケースというのが過去にございました。今回がそうなるとは存じませんけれども、是非早く、この法案が通りましたら、施行までの間に是非早くその実施方法の具体的なお示しを、御指示を市町村にちょうだいしたい、それに合わせてシステムをちゃんと変えていく、そのように思っております。
○加賀谷健君 最後ですけれども、市長さん、住基カードの、豊田さんの場合は無料での交付というのをしていないというふうにお伺いをしているんですけれども、その理由と、多くの市町村は独自の住民カードみたいのを発行をして簡単な謄本や住民票というのは自動で取得できるような方法を採用しているんですけれども、豊田さんの場合はそういうことも余りやられていないようなんですけれども、これは特に大きな理由がおありなんですか。
○参考人(鈴木公平君) 実は、これから検討しなきゃいけないというふうに今思っているところなんですが、正直申しまして、住基カードというのは、市民の側からいうとニーズが非常に少ないというか小さいというか、必要性がつまり余りないというケースなんです。使い方としては本人確認という使い方があるんですけれども、これは様々な確認の仕方があって、運転免許証もございますし健康保険証もあったり、ほかのものもあるということもありまして、余り関心が広がっていかないというか、そういうこともありまして、少し私どもも対応が緩やかだったという反省をしております。
ただ、これから市民税などの電子決済、eLTAXと言っておりますけれども、これ今開発中ですので、こうしたことと併せて、先ほどお話のありましたようなことも課題として検討していきたいというふうに思っているんですが、一点、高齢者の運転免許証を返していただいた方には無料で今も交付しておりますんですけれども、そんなふうに今思っております。
○加賀谷健君 住基カードがある面ではそういう身分証明に使えるというようなこともあって、こういう申請が増えてくる。これは実は総務省が補助金を出して実際には無料で交付できるようなシステムが国としてはあるんですけれども、今採用していないその大きな理由というのは。
○参考人(鈴木公平君) 特段のことを今申し上げる根拠は余り持ち合わせていないんですけれども、住基カードを発行しますとやっぱりコストは当然掛かって、全額いただけるかどうかという点はもちろんあるんですけれども、当初の実費の半額程度というふうに抑えて私どもは有料で出したんです、実質的には五百円ちょうだいしているんですが。そういう経緯もありますので、加賀谷先生おっしゃいましたんですけれども、これから検討したいなとは思っているんです。
○加賀谷健君 時間の都合がありますので先へ。ありがとうございました。
石川それから段両参考人にちょっとお伺いしたいんですけれども、今回のこの入管法の改正あるいは住基法の改正で実際にその対象となる外国人、特に不法滞在の外国人の方々は、どの程度この法の改正や改正内容に関心を持ち、また中身を理解しているのかどうか。そして、今度、このことによってどんなことが心配をされるのか。先ほど少し出ていましたけれども、特にこういうところだよという観点がありましたら、それぞれお聞かせ願えますか。
○参考人(石川えり君) 御質問ありがとうございます。
私どもは、認定をされたら正規化、不法滞在が正規の資格を持って在留を続けていかれるということで、いつも大体、日々、支援に毎日十人ぐらいの方がいらっしゃるんですけれども、事務所に、プラス電話が三、四十回鳴るという事務所なんですが、これに関しての御質問、こういうことが国会で審議されているけど自分はどうなるんだろうというような御心配というよりは、まず目の前の難民の手続がどうなっていくかということがほとんどでして、我々が広報していないというところもあるんですけれども、これに関して御意見をいただいたということはないんですね。ほかの外国人支援団体の方にお伺いしましたら、やはり知られていないということがNGOも含めた一番の課題ではないかというふうに感じています。
ただ、説明会などを開かれた団体さんもございまして、そういったところでは、やはり今まで市役所ですとか区役所で入手できた外国人登録証が入国管理局の方まで行かないといけない、そこがなかなか生活圏内というか身近にない場合がありますので、そういったことから生じる負担増に関して御心配をされているという方と、あとは、今回の入管法の改正の方ですけれども、取消し制度、在留資格の取消しというのが設けられておりますので、もっと手続ですとか細かい規定などがまだ出てきていない段階かとは思いますが、そういった自分の在留資格が取り消されてしまうかもしれないということに関する、これは在留資格が現在ある方かと思いますが、不安感を持っていらっしゃる方もいらっしゃるということで、具体的に執行される段階、望ましくは法案の段階から多言語で、我々の努力も必要なんですけれども、周知していくようなことができないかというふうに考えておりますし、また施行される段階になって、様々な御本人が理解できる言葉にできるだけ多くなって伝わっていくといいなというふうに考えております。
以上です。
○参考人(段躍中君) この点については、少なくとも中国人社会はまだ余り知られていないと思いますね。というのは、たしか今年の二、三月ぐらいに東京入管の登録担当官が私たちの交流サークルへ来てくださって、その在留カードの話したら、私がその情報を発信して各メディアに初めて乗ったということですね。
それから、不法滞在の外国人は、少なくとも私の接触している範囲でそういった方はほとんど知らないと思います。情報ルートも問題あるし、それから、彼たちは日々まじめに働いていますけれども、一般の公の場へは行かないし、そのため知られていないのではないかと思います。
○加賀谷健君 時間がもうほとんどないんですけれども、石川参考人、先ほど健康保険の加入など医療面についてもちょっとありましたけれども、今度の場合、その辺も登録されるということになれば使えるわけですけれども、何かその辺でこういうことがもう少しできればいいかなという、セーフティーネット絡みで何か御意見がありますか。
○参考人(石川えり君) ありがとうございます。
国民健康保険に是非難民申請の期間中加入させていただきたいというのは強い願いとしてございます。
難民申請というのが、私どもの考え方ですと、行政手続だけで終わるものではなくて、その後引き続き裁判もございまして、それを経てやはり難民だったというふうに分かる方というのが年間少なからずいらっしゃいます。そういった方々のためにも、裁判、一連の手続を通じて仮放免ですとかを持っていらっしゃる方も国民健康保険の加入対象としていただきたいということが強くございますし、セーフティーネットで考えますと、医療のみならず、生活保護に関しても是非御検討いただきたいと思います。
ただ、この期間ずっと働くことを許されずにセーフティーネットだけに頼っているということも、認定された後の自立にうまくつながっていかないという課題もございますし、働いて税金を払って待っている間でも貢献したいという方もいらっしゃいますので、そういったことが可能になるようなやはり就労許可というものも併せて御検討いただきたいと考えております。
以上です。
○加賀谷健君 段参考人にちょっとお伺いします。
日本は、御承知のとおり少子高齢時代、これは大きな社会問題として日本は今抱えているんですけれども、将来やはり労働力人口がどんどん減っていく中で、日本はこれからも外国人労働力に頼っていかなければならなくなってくると思うんですけれども、ここに対して、先ほどの中でも少し言われておりましたけれども、ちょっとあと二分ぐらいしかないんですけれども、お話を聞かせていただければと思います。
○参考人(段躍中君) 私たちは、日本に来てこの十八年間感じたことは、やはりもっと外国人を受け入れるべきではないかと思います。というのは、中国人から申し上げますと、御存じのとおり中国では一人っ子政策ですね。日本に来られた中国人は、大体平均的には二人ぐらい子供はもうけているんですよ。多い人は五人、四人、これはやはり恵まれている政策ということで。そうすると、外国人を多く受け入れて、その人口の問題も一つの解決方法と思います。
もう一つは、やはり外国の文化、異文化交流で日本の国際化が進んでいくのではないかと思います。特に将来、やはりグローバル化社会において、日本は世界での発言力、世界に対する役割は、やはりこういった外国人をもっと多く受け入れて国際社会における役割をもっと発揮すべきではないかと思います。
今、国際結婚もそうですけれども、たくさんの日本人の方が外国人と結婚して、それもすばらしいことと思います。外国人を受け入れて、そういう外国人移民庁、いわゆる移民立国も考えるべきではないかと思います。
○加賀谷健君 どうもありがとうございました。
○礒崎陽輔君 ありがとうございます。自由民主党の礒崎陽輔でございます。
最初、鈴木市長にお伺いをいたします。
経済、財政の大変な中だと思いますが、御苦労さまでございます。実は、豊田市が座長都市をなさっているときに私は総務省で国際室長をやっておりましたので、豊田市で開催されました集住都市会議、私参加して、大変そのとき市長にお世話になりましたので、ここでお礼を言わせていただきたいと思います。
そのときは、たくさんの本当いろんな議論をしたんですよね。だけれども、市長さん方、職員の皆さんから一番やっぱり出た意見がこの住基台帳の問題でして、外国人登録の問題があって、最初はちゃんと登録してくれる人が多いんだけれども、引っ越したら本当にどこに行ったか分からなくなる、何とかしてくれという強い要望がありまして、私もそれはもう今でも耳に残っておって、それから私なりにここまでいろいろ努力をしてきたつもりでありまして、何とか今回与野党協力できていい方向に向かっていますので、私は本当に良かったのではないかと思っております。
それで、施行期日の問題も先ほどおしかりを受けまして、私も党の中でも審議の段階でも三年というのはあんまりだろうと相当言ったんですが、やっぱりなかなか技術的な準備が掛かるようでございまして、先ほど市長の方からやむを得ぬとも言っていただきましたけれども、この辺ももう少し早くならないかということを今後とも言ってまいりたいと思います。
特に、先ほど、要は住基登録される人以外の不法在留者についてもいろいろと市役所としては事務をしなきゃならぬというお話、それは当然のことでありまして、その点については今回、衆議院の、いい修正を私はできたと思います。そういう人についても何らかの登録の方法を考えようという改正ができたのは、私はこれは支持したいと思っておるわけでありますから、市長はそこのところ、ちょっと法律論ですけれども、難しいんですが、要は適法な、不法滞留者というか、適法な滞留者以外の人の登録の在り方、これについてどういう御意見をお持ちか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○参考人(鈴木公平君) 礒崎先生、ありがとうございます。大変お世話になって、恐縮でございます。
今、不法滞在者のことについての御質問と承りましたんですが、どこからも記録から欠けてしまうという、私どもは住民基本台帳の中での住民としての存在が確認できなくなるということがあろうかと思って気にしているんですけれども。
それではどうしたらいいかということですが、やはり依然として教育だとかその他のサービスは地方自治体としてはやっぱりしていかなきゃいけないというのがございますので、それに対する方策、具体的にはいろいろあると思うんですけれども、つまりは自治体としてそうした方々を何らかの形で把握でき続けるような方策が、法律では難しいと思っています、私も。すべて法律で規定するのは難しいと思うんですけれども、具体の方策として何かお示しがいただけると全国的にこの辺は各市町も取組が統一されて、市町で異なりますと問題が起きやすいものですから、統一されてうまく進むことが少しでも可能になるのかなと、私どもの不安が少しでも解消できるんではないかと、そういうふうな気持ちでおります。
当然、子供たちはちゃんとやっぱり教育しないといけないと思うんです。なかなか把握できないのが今でも実態ですので、具体には難しい部分があると思いますが、御配慮いただけると有り難いと、そういう意味でございます。
○礒崎陽輔君 ありがとうございました。
次に、石川参考人にお伺いいたします。
いつも本当に、事務局長として難民の皆さんのお世話をしていただいて本当に御苦労さまでございます。
私は、自民党の中で移民を受け入れる立場でございまして、移民の受入れに積極的にしていこうという仕事もいたしております。昨年、この参議院の出張で海外に行かせてもらって、移民をやっている国に行ったんですが、当然、向こうでは難民というのが移民の一種類であると、移民の中に難民というのがあるから、もうほとんど違和感なく難民を受け入れていると。それで、難民と普通の移民の人は何か違うんですかなという質問をしたら、いやいや、そんなものはほとんど意識していないらしいですね。難民というのは移民の一種であって、それで移民と難民というのは別に区別せず我々は受け入れているんだと、なるほどなと。日本はまだまだ、移民法はないわけですけれども、日本は、そこの違いはあるわけですけれども、まだまだ考え方が日本は大分違うんだなということを思いました。
御説明はよく分かりました。セーフティーネットをきちんと難民の皆さんに対してもやっていかなければならないというのは、私もそれは大賛成でありますが、基本的に、例えば先ほどの仮放免の皆さん、これもやっぱり住民基本台帳法に入れるべきだという御意見だと思うんですが、やはりそういうふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
○参考人(石川えり君) 私どもとしましては、待っている間、政府に申請を出してその答えを待っている間、仮放免という資格で待っていらっしゃる方に関して入れていただきたいと考えております。
○礒崎陽輔君 もちろん、それによってセーフティーネットがきちんとやるのはいいと思うんですけれども、私はやっぱり昔から考えているのは、難民の問題は、我が国はやはり国の責任というのがかなりあるんじゃないかと思うんですね。それはもちろん御理解いただいていると思いますが、普通に単に住民基本台帳の中に入れているだけでは、地方の責任がかなり大きくなって、国の責任というものがどこに行くんだろうかという、そういう疑問もかねて持っているところがあるんですが、それについて何かお考えがあったら教えてください。
○参考人(石川えり君) ありがとうございます。
国と地方ということで、現在地方分権等に関してこの委員会ですとか先生方に御議論いただいていると思うので、その大きな話というのは私は本当にビジョンとしては持っていないんですけれども、国の責任で明確にあるのはやはり保護を提供するというようなことで、具体的には法務省さんの方で審査をして認定をしていただくということだと思います。
ただ、日々の生活に関しましては、やはり日々どこかの自治体に住居を構えて暮らしていくという意味で、そこの住民としてのサービスというのも、地域住民としてどのようなサービスが適切か、そして地域住民としてどのような貢献をその地域社会にしていくべきなのかという両輪で考えていきたいなというふうには考えております。
現在、セーフティーネットに関しましては外務省さんの方で予算を持って取り組んでくださっているんですが、そこに難民申請者の急増がなかなか我々も予測していない波でいらしていらっしゃるということもありまして、なかなか予算が一気に増えていかないというところでギャップも感じているところではございますが、私の考えとしましては、保護を提供するという国の責任、また地方、そこの間、結果を待つ間、二年間地域で暮らしている地域住民の視点、両方必要なのかなと考えております。
以上です。
○礒崎陽輔君 ありがとうございました。
次に、じゃ、段参考人にお伺いをいたします。
非常に前向きな姿勢で明るい御提案をいただきまして、本当に感謝を申し上げたいと思います。
その中でちょっと質問が、少しそうでないのかもしれないんですけど、やはり外国人一般という問題もあるんですが、在日中国人の皆さん、それから在日韓国・朝鮮人の皆さんというのはやっぱり歴史的な特殊性が私はあると思います。というのは、この法律案の段階の中でもいろんな議論があったんですけれども、要は、日本人と同様に外国人としての人権を認めてほしいという人たちもいる一方で、日本人としても、日本人と同様よりも、同化してしまって日本人として生きていきたいという在日中国・韓国・朝鮮人の皆さんもいらっしゃる。
その中で、ほかの外国と違うところは、例の通称名の使用というような問題もあります。これを今後どう考えていくかというのは、まだ法案の段階ではきちんとは決まっていないような気がするわけでありますが、そういうことも含めて、同じ中国人の皆さん、韓国人の皆さん、朝鮮人の皆さんでも二様の考え方があるのではないかと思うんですが、その辺についてもしお考えのところがあったら教えていただきたいと思います。
○参考人(段躍中君) 済みません、ちょっと確認ですけれども、通称名のことですか。
○礒崎陽輔君 通称名なども含めて。
○参考人(段躍中君) 含めて。
たしか去年、総務省のヒアリングのとき私はいろいろ発言しましたけれども、正直申し上げますと、この法案について私たち外国人は、情報まず少ないし勉強する時間も余りない。今回もそうですけれども、頼まれてわずか一週間、こういった十五分の陳述はもうとても難しいと思います。というのは、私たち、日々自分の仕事、生活もありますから。皆さんは専門の議員さんですので、皆さんの方が我々より詳しいはずではないかと思います。そのため、私も今回猛勉強して、この一週間本当に大変でした。何もできなくて、この場で十五分間の原稿をまとめるのに、しかも日本語でやらなければならないわけですから、本当に大変です。
質問の問題ですけれども、やはり私たちとしては、基本的に日本人の皆さんと同じ扱いしてほしいと思いますね。というのは、お客さんではなくて、その社会の主人公の一人として見てもらいたい。というのは、同じ日本で同じ空気、同じおいしい水、同じハンバーグを、同じ吉野家さんのものを食べているんですから、そのため、別に、ほかの特別なやり方とか私は必要ないと思います。
その開示、どういった内容を見せられてよろしいか、あるいはこれは駄目かといったことは、去年の発言の中でたしか、私はまだ記憶に、先生方の言葉を借りると、記憶の中にはっきりしていないですけれども、その内容開示の方法、内容については日本人の住民基本台帳法にのっとって、それに基づいてやったらいいじゃないかなと私は思います。
○礒崎陽輔君 明確な御答弁、大変ありがとうございました。まとめるのは大変だったということでございました。本当にありがとうございました。
もう少し時間があります。鈴木市長、もう一回お伺いしたいんですが、私、党の中で日本語教育の仕事もしておるんですが、豊田市でも子供に対する日本語教育もしっかりなさっておるようですが、日本語を教える先生が、質とか数とか、そういう辺の問題、十分かどうか、その辺のお考えがあったらちょっと教えてください。
○参考人(鈴木公平君) おかげさまで、余り人材不足という印象でもって苦労しているというふうには思っておりません。
ただ、どこまでやればいいかということが、日本語教育をですね、そこのところがなかなか難しい。義務教育に入る子供たちに対する日本語教育は、もうそれはこの辺が限度というのは分かるんですけれども、問題は大人なんです。お母さんやお父さん、こういう人たちがなかなか日本語を習得していただけないというのがあって、先ほどちょっと意見の中で申し上げさせていただきましたけれども、改めて日本語教育システムというのを今構築しておりまして、これでもって各企業、お勤め先の企業で日本語教育に取り組んでいただくとか地域でやっていただくとか、そのシステムをつくりまして、それで進めたいというふうに思っていると。これは、人のかかわりと、それから機器でかかわるシステムと併用でやっておりますので、先生がおっしゃったように、余り人手が掛からないという部分もございまして、これ独自に今開発をしております。
○礒崎陽輔君 ありがとうございました。
○弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。
三人の参考人の皆さん、本当にお忙しいところ、ありがとうございます。
まず、お三人に共通してお伺いしたいと思いますけれども、今回のこの改正案、外国人住民に係る改正部分というのは、外国人住民の利便の増進及び市町村等の利便の合理化に資するため整備されると、こういうふうになっておりまして、非常に市町村だとか、また外国人住民にとってもワンストップ化が図られているとか、いろんなことで、メリット、デメリット、いろいろあると思うんですけれども、外国人の在留管理が強化されることになるんじゃないかとか、そういういろいろな不安もある中で、端的に言って、意見表明の中にもございましたし、質問の中にも出たかもしれませんけれども、外国人住民にとってどのような今回の改正はメリットがあるか、そしてまたデメリットがあるとすればどのような点があるのか、考えられるかということを順次お聞かせいただければと思います。
○参考人(鈴木公平君) メリット、外国人の方にとってのメリットという御指摘だと思うんですけれど、私は、日本人にとってのメリットもあるということで、併せて申し上げたいと思うんですけど。
最大のメリットは、コミュニティーにおけるメリットだと思います。外国の方々がそれぞれの地域で、コミュニティーの中で共同して日本人と一緒に暮らされます。そのときに、何といいますか、賃貸にお住みになるケースが多いんですけれど、賃貸住宅に、その賃貸住宅の借受人が法人であるケースが多いんです、派遣業者であったり、請負業者であったり。したがって、そこにだれが住んでいるのか、その人たちがいつまでいるのかというのがそのコミュニティーの中で確認できないんですよ。
今回は、住民として登録していただきますので、ここのところが非常にかかわりやすくなるということもあって、コミュニティーにおける対応がかなりうまくいくようになるのではないかというふうに私は期待しております。その分野でいうと、お住みになる外国の方々も非常に住みやすい部分が出てくる、必要なサービスが地域からも受けられるということがあると思っております。
デメリットは特にないと思いますが。
○参考人(石川えり君) 御質問ありがとうございます。
外国人住民の方にとってのメリット、デメリットということでございますけれども、メリットとしては、今回、法案で初めて外国人住民という言葉が出てきたかと思うんですけれども、やはりこれまでも地域社会で一緒に暮らしていた住民だったわけなんですけれども、改めて住民だということが法的にも確認されたという、このコンセプトに関しては非常に前向きに私どももとらえております。
また、公的に、外国人登録制度がなくなって代わりにというわけではないかと思うんですが、自治体で登録する手段があるというところは、外国人、私どもの支援対象者の方々は難民として認定された方若しくは結果を待っている方なんですけれども、そういった方が自治体に対してきっちり登録する道があるということが非常に大きなメリットになるかと思います。
デメリットとしましては、やはりもしそこから漏れてしまう方がいらっしゃったら、自治体としてその方が実際に居住しているということがなかなか把握されにくい。それによって自治体に対する住民としての権利が受けられない、若しくは義務を果たせないというところになってまいると思いますので、是非このデメリットが少しでも小さくなるように御検討いただければと考えております。
以上です。
○参考人(段躍中君) メリットについては先ほど私の意見陳述の中でもうすべて述べておりますけれども、やはり区役所、市役所、そういった官庁に行く回数は減らせるんではないかと思いますし、デメリットから申し上げますと、やはり前は外国人登録をするため区役所あるいは市役所に行って、距離的に、地理的に近い市町村のところですから、今度は法制改正によって入管へ行かなければならない。入管はやっぱり全国限られたところで、その手続するとき、例えば入管の、東京あるいは埼玉といった地方にもその県に一つしかないということですよ。それは、やはり手続する上で時間的に外国人の人にとっては負担になるんではないかと思います。そのため、私は意見陳述の中に提案しました。そういった転出届、それから何かしようと変更されたとき、インターネットを通して自分の番号を入れて自分で変更できるようなシステムを構築したらよろしいんではないかなと私は思います。
もう一つデメリットを申し上げますと、いわゆる不法滞在者の皆さんにとっては厳しくなったんではないかと思います。昔は外国人だれでも、不法滞在者でもいわゆる外国人登録はできる。そういった地域のコミュニティーのサービス、いろいろまた受けられるんです。今度はやはり厳しくなって、これはもちろんメリットの面もあるんですけれども、これから不法滞在の方はますます少なくなっていく。今は十一万人くらいになったですね。恐らくは、あと一、二年は十万人以下。少しずつそういうような方が減っていくのは確かにいい方法ですが、この法の改正によってそういった方々に生活の面、不便とかいろいろ制限も出てくると思います。
ただ、これは、やはり将来日本の外国人政策の中で、例えば何年以上まじめに頑張っている、そういった恩赦システム、できることになったらとてもすばらしいですね。例えば、家族も子供もここで生まれて、育てて、まじめに頑張って違法の行為もない、十年ないし十五年、二十年以上の人でしたら、これは合法的に滞在させる。そういった資格を、特別滞在資格を与えるということはもっと緩和すべきではないかと思います。
以上です。
○弘友和夫君 ありがとうございました。
それで、鈴木参考人にお伺いしますけれども、昨日の日経でしたか、保見団地のことが大きく載っておりましたけれども、私、豊田が取り組まれている、現在の人口三・九%が外国人であるということで、多文化共生社会の実現というのは非常に私は、実態的にそうなってきたんだと思うんですけれども、今からの日本というのは、そういう方向で受け入れて本当にそういう社会をつくっていかないといけないというように考えているわけですけれども、なかなか景気の、四百二十六億円の法人市民税、九六・三%の大幅減だとかいうようなことも、財政的な面もあるわけですけれども、こういう状態のときに国としてやはり財政支援というのが不可欠じゃないかなと。
どのような財政支援が望ましいというふうに考えられているか、現在、緊急的なものですけれども、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(鈴木公平君) いろいろあるんですけれども、保見団地の例で一つケース申し上げたいと思うんですが、生活習慣の違いというのはもちろんありますが、決まり、法令を守るという習慣の違いが大きいんです。つまりは、例えて言いますと、路上駐車も平気でしてしまって、車が通れなくなっても、通れなくなるほど置いても一向に悪いと思わないというような。
したがって、このケースでいいますと、私どもは四千万円掛けて駐車場を、これ、日本人の市民より優遇しているんですよ、そういう駐車場を造りまして無料で使ってもらって、路上駐車をやめてくださいというようなことをやったりしているという、そういう、自治体が固有で使わないと地域がうまく維持していけない、秩序が維持していけないというケースがありますので、こういう分野について自治体が一方的に負担しているケースをもう少し何かうまく支援していただくような仕組みとかないのかなということを思います。
二つ目。学校における対応です。特に義務教育。幼稚園、保育園もそうですが、対応です。
外国人の子供たちと交じってやっているんですけれども、当然ながら、物すごく手間が掛かります。言葉が分からない、パニックを起こしてすぐ争いが起きる、様々なケースがございまして、私どもは、だから市で、補助教員ですけれども、採用して、何人か、かなりの人数採用していますが、採用して配置しているんですけれども、これは決まりとしてないんです。学校の先生なんかは、市は常勤の先生は雇えないんです、今のシステムでは。したがって、非常に身分的にも不安定な人を採用して対応していただくということがありますので、現場における充実した対応がしづらいなどなどが個別にはございます。
○弘友和夫君 ありがとうございます。
余り時間がありませんので、ちょっとあとお二人にも少しずつお伺いしたいんですが、石川参考人に、難民支援、先ほど審査期間が非常に長くなった、四百七十二日が平均七百六十六日掛かっていると。長い方は先ほど、九年ですか、ぐらい掛かっているという。
人道的な観点から、これは、日本の場合は非常に難民に対するそういう審査等も厳しいんじゃないかなと私は思っておりますけれども、難民申請の状況、また申請中の生活者の実態、時間がありませんので、少し教えていただければと思います。
○参考人(石川えり君) 御質問ありがとうございます。
期間は長期化しているというのは非常に感じております。ただ、すごく、日々現場で審査をされている方ともやり取りをさせていただきますが、本当に皆さんハードに仕事をこなしてくださっていますので、いつもこの議論になりますと何でもう少し短くならないのかという話になって、短くなる分には我々も歓迎なんですけれども、本当に今の現場の必死にやっていらっしゃる方に更にプレッシャーが行ってしまうような形で、早く早くと言うことだけがいいのではないのかなというふうに考えております。
やはり、私どもだけでも十年間で二千人以上の方を支援させていただいたんですけれども、三十四か国から皆さんいらしています。言葉も多様ですし、様々なバックグラウンドを持つ方がいらっしゃるということで、日本語、英語だけでは対応できない方が半数以上というふうになっております。
その中で、やはり地域の中で暮らしていく、待っていくというのは容易なことではないんですけれども、非常に課題として感じていますのは、やはり待っている間、働くことも許可されず、しかも生活保護、国民健康保険に加入できないというのは非常に困窮してしまうということが一点ございます。
手続に関しましても、先生方に御尽力いただいて二〇〇四年に法改正、二〇〇五年に施行されまして、その後非常に難民申請をされる方が増えているというのは非常に日本への期待の表れというのが大きいと思います。非常に改善してきた部分もありますけれども、もっと審査過程を透明にしていくですとか、一次のときから代理人の立会いを認めるですとか、まだまだもっと良くしていかれる点というのは大いにあるというふうに考えております。
ありがとうございます。
○弘友和夫君 ありがとうございました。
じゃ、段参考人に、先ほどちょっと意外に思ったのは、「日本の留学生政策は国際社会に誇るべき偉業です。」と、こう書かれて、私、日本の留学生政策というのは余り、世界的にもそんなに、ちょっと遅れているんじゃないかなという感覚があるんで、偉業ですと、こう言われたところはどういうところなのか。
それから、今、留学生三十万人計画、今回の改正では、留学と就学というのを分かれているのを一本化しようとしている。留学生の方のお世話も大変されているとお聞きしておりますけれども、これによって、就学生が特に今、何というか、定期券が学生としてのあれがないとか、それから学校で消費税を取られるとか、いろいろあって私は一本化すべきじゃないかと、こういうふうに言っているわけですけれども。
それともう一つは、ワンストップ、何かそういう一つの、留学生に対応、いろいろな相談をすべて受けられるようなもの、センターをつくるべきじゃないかと、こう思いますけれども、もうあと一分ぐらいしかありませんが、ちょっとお答えしていただければと思います。
○参考人(段躍中君) 私、言っているのは、確かに日本の留学政策あるいは実績はアメリカやヨーロッパと比べれば立ち遅れている面あるんですけれども、今までやはり我々日本で生活している人から見れば、こんなに政府、民間がたくさんお金出して、特に国費留学生というのは毎月十八万出しているんですよ。こういった人々に対してすばらしい学習の環境を提供してくれた日本に感謝すべきだし、そういった面はやはり世界においても誇るべきではないかと思います。
もちろん、たくさんの人材育てております。さっき申し上げた中国人の博士号取った人だけでも六千人以上ですから。それから、日本でこんなに外国人が活躍する場あって、日本社会に貢献する、それは留学政策の延長ではないかと思います。
もちろん、足りない面もあると思いますが、おっしゃった留学生、就学生という言葉自身、私は就学生という言葉自身も差別用語と思います。福祉面もいろいろな面で足りないと思いますが、これからこの法改正によって留学生と就学生を一本にしているのはとてもすばらしいではないかと思います。
これからも、もっとヨーロッパ、アメリカのように多くの外国人に来てもらうために、そういった環境づくりは、もちろん改善すべきところは多いと思います。
時間の関係でこのぐらいです。
○弘友和夫君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
三人の参考人の皆さん、今日は本当にありがとうございました。
まず、鈴木豊田市長にお尋ねをしたいんですけれども、正規の在留資格を失っていく外国人が大変数が多いということは大変残念なことだと思っておりまして、その中で、先ほど来どこに行ったか分からなくなってしまうというお話があるわけですね。これが、中にはルーズな方あるいは悪質な人もいるのかもしれないんだけれども、すべてが自己責任とは私は言えないんじゃないかという問題意識を強く持っているんです。
外国住民の権利や義務の保障と社会参加がなされずに、低賃金、劣悪な労働条件で働く単純労働力として扱われて、ブローカーが暗躍しています。そして、この間の経済危機の下で外国人労働者が物のように使い捨てにされるという実態があると私は思うんですけれども、管理を強化さえすれば済むことにはならないのではないか、外国人住民の権利義務の保障ということをやっぱり考えなきゃいけないのではないかと思うんですが、まずいかがでしょうか。
○参考人(鈴木公平君) 自己責任とは言えないのではないか、不法滞在者に対して、ということについての見解を述べよということなんでしょうか。
不法滞在に関する原因となる状況というのは、私どもは地方行政の中で、少なくとも自治体として把握するというすべは実はありません。ないと思っています。全くないとは言えないと思いますが、正確に把握することはできないと思いますので、そのケースに応じて判断をするということは大事だと思いますけれど、包括的にどうかというのにつきましては、私はある種の自己責任はお持ちであるんではないかという認識の立場です。
ただ、よく分からない中での意見を申し上げましたので、個別の具体の状況が把握できた中でこれはやむを得ないのではないかというケースがあるかもしれないという思いもないわけではございません。
管理強化をすることによって解決できるできないということがありましたけれども、私どもは、不法滞在の方に対しましても自治体としてはサービスをしなきゃいけない領域があるんです。そのことについてどのように具体に現場で取り組めばいいのかという不安があるということを先ほど申し上げました。この辺につきまして何か国としてお示しいただくことがあると全国的に市町村のレベルで取り組みやすいのではないかという見解です。
○仁比聡平君 自己責任云々の問題は今はおくといたしまして、そうした状況の中で自治体が、居住の実態がある、住民としての実態がある外国人住民に対していろんな歴史的な努力も重ねて共生という努力をしてこられたということを私は大変大事なことだと思っています。
ただ、その中で最近残念なことが、市長もおいでになります愛知県下で起こっているというお話がちょっとあるものですから具体的にちょっとお尋ねしたいと思うんですけれども、西三河のある自治体で、複数の日系ブラジル人の御家族に、受けている生活保護を打ち切ってハローワークの帰国支援金を使って帰国をしなさいという指示がなされているのではないかということがメディアでも問題になりました。その中には、仕事中に負傷して手術を必要とするし、労働災害を争わざるを得ないという方もあったのだが、その帰国支援金の手続をしなければ保護を打ち切るというふうに指示されたと、これは後に撤回されたそうですけれども、そうした状況があるという報道なんですね。
こうしたつまり指示ないし指導なり、西三河の地域でも愛知県下でも生活保護が激増しているというお話もありますし、豊田でも同じ状況かと思いますけれども、そういうことがあるのか。
もう一つ、これに併せて、外国人登録がなされているからこそ生活保護を受けていらっしゃるんだと思うんですが、この法改正によって在留資格がないという方がもし生まれてきたときに、住民台帳には載らないという方に対してこうした扱いというのは一体どうなっていくんだろうか、今よりもひどくなるんじゃないかという懸念を私は抱くんですけれども、市長はいかがでしょうか。
○参考人(鈴木公平君) 西三河で具体に起きた、報道されたケースについての見解。
○仁比聡平君 もしお分かりになれば。
○参考人(鈴木公平君) 私ちょっと具体に把握しておりませんのでコメントしづらいんですけれども、少なくとも私の見解として、失業されてお困りの方に対してどういう理由で生活保護を打ち切ったのか、打ち切れたのか分かりませんけれども、ちょっと理解に苦しむなという感じがします。
それから、今回の法改正に伴って住基台帳に載らない人が出てきます。その場合にサービスが行えないケース、これも先生御案内だと思うんですけど、医療保険、介護保険、児童手当、年金それから生活保護、これらについては受給資格、加入資格が喪失するということが起きます。
私は、不安だと申し上げたのは、こういう方も現にお住みですので、子供は学校へ行かなきゃいけません。そういうことがありますので、このサービスが打ち切られたときに様々な生活上の課題、コミュニティーにおける課題は起きるであろうという不安がないとは言えないということを先ほど意見として述べさせていただいたわけです。
○仁比聡平君 今、鈴木市長も懸念としておっしゃられた問題というのを解決しないまま、私はこの法案の云々するということはこれできないと思っております。
石川参考人にお尋ねしたいと思います。日ごろからの御活動、心から敬意を申し上げたいと思います。
庇護を求めて我が国に来る外国人、難民という方々の実情をもう少しお話しいただければと思うんですけれども、仮放免許可を得た方あるいは仮放免の許可待ちの方なども、本国では働く意欲も能力もあって、高い技術だとか資格だとかそうしたものもお持ちの方がたくさんいらっしゃると思います。それが本国で生きていくこと自体がかなわなくなって、中には家族も本国に残したまま命懸けで逃れてこられるという状況にあろうかと思うんですね。
その方が長きにわたって就労できない、医療や社会保障、あるいは御家族がおありであれば教育などの問題でも困難を極めているというこの実態というのをどう私たちは受け止めればいいのか。その方々も居住の実態はあるわけです、先ほど御意見の中にあったように。居住の実態がある以上、住民なのであって、その住民としての権利や義務の保障というのは私はなされなければならないと思っているんですけれども、石川参考人、いかがでしょうか。
○参考人(石川えり君) 御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり、本当に居住の実態がある以上、住民として権利義務の保障をしていただきたいというのは、我々も非常に強く願っているところです。
どのような方がいらっしゃるかというと、本当におっしゃられるとおりで、非常に男性の方が多いと理解しています。家族を本国に残して、まずは危険になった父親一人が逃げてくるという方が多くいらっしゃいます。中には、やはり軍事政権下でどうしても民主化活動を続けていた、その結果刑務所に入って拷問を受けて命の危険があって逃げてきたという方が少なからずいらっしゃいます。故郷で拷問の傷を負っているという方も少なからずいらっしゃいますし、女性であれば、本当に女性をターゲットにした暴力の被害者、また紛争の被害者などの方々も多くいらっしゃいます。そういった方でも、故郷でも家族を養ってきた方も多いですし、日本で働いて生活のリズムを取り戻していかれるという方もいらっしゃいまして、働きたいという意欲を持っていらっしゃる方は非常に多いというふうに感じています。
現在、在留資格のある段階で難民申請をした方、これは法務省の方も先日の総務委員会で半数程度とおっしゃいましたが、そういった方は一定期間、実務上は半年経過した後に就労が認められるという実務になっています。ただ、そのほかの半数程度の方が、そういった就労が許可されない、生活保護が認められない、国民健康保険の加入がないといった状況に置かれていまして、外務省がそういった方のために支援金を用意してくださっているんですけれども、今のところ全員に行き渡っていないという現状がありまして、現場でも対応に苦慮しているというようなところです。
やはり、日本に入ってきてから認定を受けるまで、結果が出るまで、認定を受けた方はその後の定住までスムーズにいくような形で、総合的な法律、できましたら難民基本法というようなものを是非御検討いただければというふうにこちらは考えております。そこには、適正な手続と結果を待っている間の最低限の生活保障、できましたら是非就労も御検討いただきたいと思っておりまして、そういったものが包括的に認められていくようになると、より人道的な対応と言えるんではないかというふうに考えております。
以上です。
○仁比聡平君 我が国に庇護を求めてこられた庇護希望者の方々が我が国において非人道的な扱いを受けるという、こういう実態、現実は改めるのが私は政治の責任だと思っております。
先ほどの御意見の中で、すべての難民申請者が住民基本台帳に記載されるようにするべきであるという石川参考人の御意見がございまして、この点で衆議院でなされた修正部分に期待をされる言葉を述べられたと思うんです。私、いささかその修正部分だけで大丈夫かという思いを持っておりまして、といいますのは、在留資格がなければ住民基本台帳には記載されないという仕掛けに入管法とこの住民基本台帳法の改正案が一体としてなっているとするならば、そうした一元的管理を求めるものだとするならば、実態としては居住実態がある、住民の実態があるにもかかわらず基本台帳に記載されない。作られる基本台帳が言わば在留資格基本台帳になってしまうということになりはしないのかという懸念があるんですが、石川参考人、いかがでしょう。
○参考人(石川えり君) 貴重な御意見をありがとうございます。
私のつたない、法案を拝見させていただいた理解ですと、仮滞在という在留資格がない方若しくは一時上陸許可という在留資格を未取得の方も、今のところ法案の中で住民基本台帳の対象になっているようですので、これは非常に期待をして施行に関して見てまいりたいというふうに思っております。
ただ、本当に在留資格基本台帳が原則となってしまうというようなことがもし仮に起こってしまうとすると、じゃ、こういった在留資格未取得の方に関しては、では住民ではなく入管の収容施設の方にというようなことにももしかしたらなっていくかもしれませんので、そういったところも踏まえて、御懸念が実態となっていかないように私どもも先生に是非御議論いただきたいと思いますし、実施の方を注意して見てまいりたいというふうに思っております。
御指摘ありがとうございます。
○仁比聡平君 段参考人に、最後、端的に。
今回の改正で法務大臣が外国人住民の個人情報を一元的、継続的に管理するという、こういう仕組みがありまして、蓄積されていく個人情報には法的な制約がない、政省令で拡大できるという仕組みになっているやに思うんですね。この点についてどのように思われるでしょうか。
○参考人(段躍中君) 済みません、もう一度それを……
○仁比聡平君 少し難しい制度の仕組みの問題ですから、時間も参りましたので、終わりたいと思います。
○委員長(内藤正光君) よろしいですか。時間の関係でどうも済みません。この辺りで仁比さんの質問を終えたいと思います。
○又市征治君 御三方には住民基本台帳法審査のためにわざわざお越しいただいて感謝を申し上げたいと思います。これまでの質問と若干ダブる点があるかと思いますが、確認の意味でお願いをしたいと思います。
まず初めに、鈴木参考人にお伺いをいたしますけれども、二点お願いをします。
現行の外国人登録制度では、地方自治法に基づき在留が適法かどうかを問わずに行われておりまして、自治体の行う福祉、教育などの対象とされてまいりましたけれども、今回の法改正では、特にこの非正規滞在者と言うべきか、こうした方々に対してこの点はどのような影響を受けるというように見ておられるのか、これがまず第一点です。
二点目には、国の在留管理の下に自治事務である住民基本台帳制度が組み込まれてしまうとの懸念がありますけれども、この点についてのお考え、併せて二点をお伺いしたいと思います。
○参考人(鈴木公平君) 非正規滞在者というふうにおっしゃったですけれども、これ不法残留の人というふうに解釈してよろしいですか。
○又市征治君 そうですね、はい。
○参考人(鈴木公平君) これにつきましては、先ほどから様々にほかの先生方からも御意見が出ておりますのですけれど、衆議院の方での附帯決議として人権に十分配慮するようにというふうなことがされたということで、私はこの分野で期待をさせていただきつつ先ほど見解を述べさせていただいたところでございまして、したがって、又市先生の言われる非正規の方々に対する対応というのは一部自治体としての、何といいますか、認識を深めながら対応をきちんとさせていただくという領域の作業としてありますが、国において、私は、各市町が統一してやれるようなことでの御指示、御指導があるといいなという意味でございました。
それから、在留管理ということが、住基法の改正によって住民として管理することがそれにつながらないかという、こういうことについての御意見でしょうか。
私どもは、自治体の立場ですので、コミュニティーの中で暮らしておられる外国人の方々にいかに日本の方々とうまく交流しつつ、そのコミュニティーとしてうまくいくのか、そして、そこに住んでいらっしゃる外国人の方々の子弟がちゃんと学校教育を受けられて、必要な住民としてのサービスをきちんと受けていただける、その仕組みのことに関して今までずっと現場で様々な課題提起をさせてきていただいておりますので、在留資格にまで私どもとして及ぶ措置を希望してきたということはございませんので、今の先生の御指摘に関しましては特にコメントするところはないというふうに申し上げさせていただけると有り難いと思います。
○又市征治君 ありがとうございました。
それじゃ、石川参考人にお伺いをいたします。大変日ごろの御活躍に感謝を申し上げたいと思います。
この住民基本台帳の対象となります四つのカテゴリーの中には、今申し上げた一時庇護許可者、仮滞在許可者が含まれる、別名非正規滞在者というふうに言うんでしょうか。しかし、この実態を見ますと、仮滞在許可率はわずか九%足らず、一時庇護に至っては二〇〇六年までの三年間で〇・〇七%、四件というお寒い状況で、ほとんど形骸化をしているんではないかと、こう言わざるを得ぬと思っているんですね。こうした問題点、どのように見ておられるかというのがまず第一点。
それから、二つ目には、国連の拷問禁止委員会からも、二〇〇七年に、仮滞在制度の厳正性及び限定的な効果について懸念を有する、こういう内容の勧告を日本は受けていると思いますが、国際的に見てこの日本の制度はどういった点で問題を有している、こういうふうに見ておられるのか、この二点、お伺いしたいと思います。
○参考人(石川えり君) 御質問ありがとうございます。
一時庇護上陸許可並びに仮滞在の許可を得た人の数が少ないのではないかという御指摘が一点目だったかと思うんですけれども、確かに決して多くはない数だというふうに理解しております。
また、一時庇護上陸許可というのは、空港ですとか船でいらしたときに難民申請のために上陸を求める許可となっておりますので、二〇〇四年の法改正、二〇〇五年に施行された法改正後、仮滞在というものもできておりますので、この二つが非常に良い形でもっと動いていっていただきたいというふうに思います。
特に空港で難民申請をすることが他国でも奨励されておりまして、やはり難民として来て、できるだけ早い時点で難民として保護を求める、手を挙げる、そしてなるべく早く審査を進めて結果を出すということが、諸外国での私の知っている範囲での動向になっているかなというふうに考えております。それを考えますと、仮滞在ですとか一時庇護上陸許可が空港ですとか港においてもっと人道的に活用されていく余地というのがまだまだあるのではないかというふうに考えております。
ただ、実態としましては、私どもも空港に事務所を設けているわけではございませんし、なかなか支援体制ということを考えますと、一回事務所に来ていただいて説明して申請に行くというのが今実態でございますので、制度に合わせて支援体制というのも変えていかなくてはいけないなというふうに考えております。
国際社会から見た日本の難民保護というのがどのようになっているかというふうに申し上げますと、やはり御指摘のありました拷問等禁止条約ですとか、昨年は国連の自由権規約委員会からも、まだまだ改善の余地があるのではないかということで、非常に具体的な提案とともに改善案が示されているというふうに思います。
そういったものには、基本的には適正な手続、より手続は適正にできるのではないかということと、結果を待っている間、とりわけ生活の保障に関してもっと改善の余地があるのではないか、主にこの二点になっているかと思いますが、こういった具体的な提案を一つ一つこなしていけるのではないかというふうに思っておりますし、今回の入管法の改正にもこういった指摘のうち幾つかが取り上げられていると、もう既に法案の中に取り込まれているというふうに理解しております。
そういった意味で、国際社会から出されている具体的な提言というのを先生方のお力で実行していっていただくということが、本当に我々も期待させていただきたいところでございます。
○又市征治君 ありがとうございました。
それじゃ、段参考人にお伺いをしたいと思います。これはもう本当は石川さんにもお伺いした方がいいのかもしれませんが、時間の関係、あるかどうか、ちょっともし時間があれば石川さんにもお答えいただきたいと思いますが。
今回の法改正の出発点になったのは、実は四年前の第五回犯罪対策閣僚会議で法務大臣の発言だったというふうに言われているわけですね。つまり、犯罪対策の会議の場で出たということは、今回の法案、とりわけ入管法については、在留外国人の管理、監視という、こういう性格を如実に表している、こう言わざるを得ないわけで、なおかつ、言ってみれば、本来、住民基本台帳法の大きな改正ですから、だとすれば、現在おいでになる外国人の皆さん方の広範な意見も聞いてこの法案が作られる必要があったのに、ほとんどそれがやられていないという、こういう問題点があります。そういうだから懸念があるということでもあります。
この住民基本台帳制度の外国人への適用自体は、適切な住民サービスを提供する上で当然必要なことですし、またやっていかなきゃならぬ、基本的な人権は尊重されなきゃいかぬと、こう思っているわけですが、しかし、入管法とこの住民基本台帳との間で情報がやり取りされることでかえって行政サービスから排除されてしまう外国人が生まれるんではないかという危惧の声が現実に上がっているわけでありますけれども、段さんの場合は逆に在留の外国人の皆さん方からいろんな声をお聞きだろうと思いますし、そういう点のことをまずお伺いしたい。石川さんも、そのことについてもしちょっと時間がありましたらお答えいただきたいと思います。
○参考人(段躍中君) まず、先ほど公明の和夫先生の質問の中で、一言、私、付け加えますが、留学生のことについては、私の博士論文「現代中国人の日本留学」でとても詳しく書いておりますので、その本を是非御覧ください。
それから、又市先生の質問ですけれども、やはり確かに在留の管理、監視が強化されていても、それはその国の政策ですので、外国人は意見を求めるべきと思いますが、例えば今回の法改正について確かに外国人の意見を聞くチャンス余りなかったんではないかと思いますが、もっと広く外国人の意見を聞いて、例えば今回のこういったたくさんの厚い資料送られて、私も日本語一応十八年間頑張ってきたつもりですけど、全部読み切れるのはできないし、さっき共産の仁比先生の質問も十分に分からなかったため、それですぐ即答できなかった。そういうような問題もあるから、できればそういった法案に外国語にも訳して、例えば中国語でも英語でも韓国語でも、外国人の新聞にも載せて、そうすると外国人が本音で、自分は十分一〇〇%理解の上で、自分のどういうふうに意見を述べる、あるいはどういうふうに対処するか、私ははっきり申し上げますとその辺は足りないと思います。
今回、こういった皆さんと交流するチャンスに恵まれているけれども、多くの方々はやはり議員の先生の顔を見たこともないですよ。幾らテレビ映されても、多分政治に関するニュースは見ないと思いますね。そのため、町内会の回覧板、一度も回されたこともないところは大勢です。私自身もそういった経験を持っています。そのような時代ですから、やはり外国人の本音、外国人の意見を求めるためにどういった方法でどのように吸い上げるか、これはやはり行政側、地域、コミュニティー、政治家の皆さんがすべて重視しなければならないと思います。
もちろん、その法律、いったん成立されて、外国人でも日本人でもだれでも守らなければならないというのは私の考えですし、私は常に考えたのは、在日外国人二百万人以上、先生方に一票入れるそういった権力はないですけれども、ただ、国際社会においては選挙権あります。皆さん、是非これって忘れてはいけないと思います。というのは、国際社会における選挙権は国内の選挙権よりはるかに重いと私は思います。そのため、今回の法改正も含めて、すべての外国人政策についてはそういった意識を持って政策を作っていただくのは必要ではないかと思います。
○委員長(内藤正光君) じゃ、まだ二分残っていますので、石川参考人、どうぞ。
○参考人(石川えり君) ありがとうございます。
是非、行政サービスから難民も含めて外国人の方々が排除されることがないようとおっしゃってくださったことが、現場において施行の中で確保されていかれたらというふうに思っております。
例えば、在留カードがないと住民基本台帳に入れませんよというような誤解などが現場の方で広がらないように、我々も説明をしてまいりたいと思いますし、そういったような方針などがより現場の方に周知されていくとよりスムーズにサービスが受けられるようになっていくんではないかなというふうに考えております。
ありがとうございます。
○又市征治君 ありがとうございました。
終わります。
○参考人(段躍中君) 委員長、最後に一言。
○委員長(内藤正光君) じゃ、段参考人、どうぞ。
○参考人(段躍中君) 指紋の問題ですね、やはり中国人社会、大きな反響があって、一言申し上げますと、いわゆる特別永住者に対する今サービスは指紋押さなくてもいいですが、永住者に対して、今五十万人と言われる永住者ですので、その声を是非、議員の先生も、政府も考えてほしいです。入国するとき改めて毎回毎回指紋取られるのは本当に大きな問題に、反発になっていますので、是非御検討ください。
○委員長(内藤正光君) ありがとうございます。
それでは、参考人の皆様方に対する質疑はこの程度といたします。
参考人の皆様方には、大変お忙しいにもかかわらず、長時間にわたりまして当委員会において貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。今日いただきました大変貴重な、そして本当に有意義な御意見につきましては、今後の委員会審議にしっかりと反映していきたいと考えております。委員会を代表いたしまして改めて厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
次回は来る三十日火曜日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時二分散会