平成二十一年五月十二日(火曜日)
午後二時三十三分開議
出席委員
委員長 赤松 正雄君
理事 秋葉 賢也君 理事 実川 幸夫君
理事 玉沢徳一郎君 理事 林田 彪君
理事 森山 裕君 理事 黄川田 徹君
理事 原口 一博君 理事 谷口 隆義君
今井 宏君 小川 友一君
亀岡 偉民君 坂本 哲志君
鈴木 淳司君 関 芳弘君
薗浦健太郎君 田中 良生君
谷 公一君 土屋 正忠君
土井 亨君 葉梨 康弘君
萩原 誠司君 橋本 岳君
平口 洋君 福井 照君
古屋 圭司君 松本 文明君
渡部 篤君 小川 淳也君
逢坂 誠二君 小平 忠正君
田嶋 要君 寺田 学君
福田 昭夫君 森本 哲生君
伊藤 渉君 塩川 鉄也君
重野 安正君 亀井 久興君
…………………………………
総務大臣 鳩山 邦夫君
総務大臣政務官 坂本 哲志君
総務大臣政務官 鈴木 淳司君
法務大臣政務官 早川 忠孝君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 岡崎 浩巳君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 久元 喜造君
政府参考人
(消防庁長官) 岡本 保君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 高宅 茂君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 石井 正文君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 榮畑 潤君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君
総務委員会専門員 伊藤 孝一君
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委員の異動
五月十二日
辞任 補欠選任
谷 公一君 亀岡 偉民君
同日
辞任 補欠選任
亀岡 偉民君 谷 公一君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
住民基本台帳法の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
――――◇―――――
○赤松委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官岡崎浩巳君、自治行政局長久元喜造君、消防庁長官岡本保君、法務省大臣官房審議官高宅茂君、外務省大臣官房参事官石井正文君、厚生労働省大臣官房審議官榮畑潤君及び職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○赤松委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤渉君。
○伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。
大臣、この法案には、公明党は、現場を大切に、また人権を大切にしてきた党として長年の思い入れがございまして、冒頭この点を御紹介申し上げてから質問に入らせていただきたい、こういうふうに思います。
今から七年前になりますけれども、我が党の方に一通のメールが送られてまいりました。こんな内容でございます。
普通に生活をして仕事をして、子供を産んで育てて、普通に老いた義理の両親の看病をして見送りました。しかし、一体自分は何なのか、宇宙人なのか。正式に結婚をしているが、夫の戸籍の妻の欄はない。一家の住民票を見ると、夫は独身、子供たちに母親はいない、私は一体透明人間なの。こういう内容だったというふうに先輩の議員から伺っております。本当に悲痛な現場の叫びだと思います。
住民票は、私たちの生活のありとあらゆる場面で使われております。しかし、一たび外国人配偶者のお子さんが学校に住民票を提出すると、学校の先生からお母さんはいないのかと思われたり、お子さんがいじめに遭ったり、ほかにもさまざまな問題が生じておりました。
それまで、外国人配偶者の住民票備考欄への記載については、行政執務上の必要性を勘案の上、個々の市町村長の判断により記載して差し支えありません、こうなっていました。しかし、それでも全国の市町村の多くの地域では、依然、外国人配偶者の住民票備考欄への記載が窓口で断られるケースが当時続発をしておりました。
こうした声を受けまして、平成十三年ごろから、公明党の代表代行の浜四津参議院議員が要望を受けまして、当時総務大臣政務官をさせていただいておりましたやはり公明党の山名衆議院議員、そして、その後副大臣を仰せつかったやはり我が党の若松衆議院議員、これらの取り組みで、総務省は、当該住民から要望のあった場合については原則記載することが望ましいと考えられる、こういう積極的な見解へと改めるに至ります。さらに、総務省は、全国の市町村に配布される「住民行政の窓」という小冊子にその事例を記載し、徹底を図るところまで努力をしていただきました。
しかし、そこまで徹底しても、市町村によっては、依然、外国人配偶者の住民票備考欄への記載を断るところがあるという声が我が党に全国からたくさん集まってまいりました。
これを受けまして、党として、日本人と結婚している在日外国人の住民票記載問題を、全国の自治体で実態調査をし、記載が行われるよう自治体当局に要請していくことを決めまして、平成十四年一月三十日付で、党から各都道府県の公明党の地方議員に通知、徹底をいたしました。
以後、全国の市町村議会で公明党の地方議員の皆さんが、外国人配偶者の住民票備考欄への記載、原則記載が望ましいとなっていることを各議会で取り上げまして、公明党としてもその徹底に総力を挙げ、これまで外国人配偶者の住民票備考欄への記載を断ってきた自治体も原則記載へと動いていったという、多々ある行政の取り組みの中では小さなことかもしれませんけれども、それ一つ動かすために本当に大変な努力があった。これが経過でございます。
そして、全国の外国人配偶者を持つ御家族や御友人の皆様からは、やっと夫婦として認められましたと、非常に大きな喜びの声が寄せられるに至ります。
それでも、住民基本台帳自体への記載ができなかったのは、住民基本台帳法第三十九条の国籍条項で、「この法律は、日本の国籍を有しない者その他政令で定める者については、適用しない。」となっている点が大きな壁だったからでございます。
当時からこの改正に向けて全力で取り組んできたのが我が公明党であると、改めて先輩議員に敬意を表しながら、御紹介を申し上げたいと思います。
今回の法改正は、外国人の配偶者だけでなく、日本の外国人住民を住民基本台帳法の適用対象とするもので、我々が長きにわたって取り組んできた多文化共生社会の芽がようやく出てきたという意味で、評価ができるというふうに考えております。この法改正を通じて、我が国が人道と人権の先進国となっていくために大切な一歩としなければならない、こう考えておりまして、そういう観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。
まず、外務省にお伺いをしますけれども、世界的に見た我が国の人権に関する取り組み。日本が一九九五年に批准をした人種差別撤廃条約ですけれども、日本政府の遵守状況について、二〇〇一年当時に審査がジュネーブで行われ、昨年八月には政府報告を国連へ提出された、こう承知をしておりますけれども、人種差別撤廃へ向け、我が国の取り組み、現在の状況についての認識をお伺いいたします。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国は、二〇〇〇年に人種差別撤廃条約に関する政府報告をジュネーブに提出いたしまして、二〇〇一年にこの報告に基づく政府審査を受けております。その後、我が国としては、その審査も踏まえまして数々の改善措置を講じてきたわけでございますが、その結果をまとめまして、二〇〇八年、昨年の八月、新たな政府報告をジュネーブの委員会に提出したところでございます。
その内容を幾つか申し上げますと、一つは、昨今いろいろ問題になっておりますが、インターネットにおける人種差別を含む権利侵害情報についての対応。これは、二〇〇四年から、相当重大な侵害を発生するものにつきましては法務省の方で削除を要請できるというふうなことになっております。このような手続につきまして、総務省の方で中心になりまして国内周知を図っておられます。この辺の日本の取り組み。
さらには、二〇〇七年度から開始された外国人の生活環境適応加速プログラムというのがございます。これは、外国人が我が国の生活環境に適応して、社会の一員として日本人と同様の住民サービスを享受することができるようにいろいろな手だてを講じる。具体的には、例えば、日本にいらっしゃる外国人の方で日本語ができる方を使って日本語教育を拡充するであるとか、外国人の児童の方々が学校にうまく溶け込めるようなプログラムを導入するであるとか、こういう努力を続けております。
このような努力につきましては、引き続き進めてまいる所存でございます。
○伊藤(渉)委員 今回の法改正は、我が国に居住する外国籍の方たちへ、人道、人権という点でどう前進をしたのか。これは大臣にお伺いしますけれども、ぜひ外国人居住者の皆様への朗報となるように、これまでの総括も含めて具体的に御説明をお願いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 一年前に私が法務大臣をいたしておりましたときには、外国人台帳という名前でいろいろな調査や議論をしておりました。それが、今回住民基本台帳に外国人も同じように記載をするということは、外国人台帳という概念に比べればまた大きく前進したものと私は思っておりますし、今伊藤先生が七年前に届いたメールからお話をされた点に関して申し上げるならば、外国人であっても適法に長期滞在する方が住民基本台帳に入ってくるというのが何といっても一番の人道、人権に対する配慮ではないか、そういうふうに考えております。
国際化社会の中で、我が国に入国、在留する外国人は増加をいたしておりますし、在留外国人のいわゆる転入、転出、つまり引っ越す場合、そういうケースも増加しておりますから、市町村が外国人についても住民として正確な情報を把握して、住民に関する各種行政サービスの適切な提供に利用される基盤を整備していく必要性というのは高まってきているわけでございます。
そうした中で、外国人住民についても住民基本台帳法の適用対象に加えるということで、日本人と全く同様に、市町村が、外国人住民に関する各種行政事務の処理の基礎とすることによりまして、サービスの適切な提供ができるというふうになるわけでございます。そのことは当然人道、人権に対する大きな前進でございます。これによって、外国人も日本人と同様に、各種行政サービスを受ける場合に届け出等の簡素化が図られる、ワンストップ化もできるということでございましょう。
とりわけ、外国人と日本人の両方で構成される世帯、今まさに伊藤先生がおっしゃったケースだと思います、複数国籍世帯というんだそうですけれども、そうした世帯について、世帯構成員の正確な把握が可能となります。今のお話にあったように、お母さんがいないとかお父さんがいないということは、もうこれでなくなるわけでございます。世帯構成員全員に係る住民票記載事項証明書を交付することが可能になる、つまり、日本人と外国人がまじっている世帯でも、その全員の名前が書かれた住民票の写しというか証明書が交付できるということだろうと思っております。
結婚をする前、私の妻はオーストラリアと日本のハーフでございまして、オーストラリア国籍でございました。外国人登録証というものを持ち歩いておりまして、これは常時携行義務があるというので、見せてもらって、はあ、こういう扱いになっているんだなと思いました。その後速やかに帰化はいたしましたけれども、外国人は入管にはしょっちゅう行かなくちゃならないし大変だなと随分思っておりましたが、今回のことで相当な配慮が加わるものと思います。
○伊藤(渉)委員 大臣、今奥様のお話も出していただきまして、次の質問はまさにそれにかかわることで、住民基本台帳法第三十九条の国籍条項の撤廃、すなわち、外国人住民が住民票に記載されるという点について、当時、国会の質疑の中で、片山総務大臣だったわけですけれども、「本当は帰化して国籍を持ってもらうのが一番いい」、こんな答弁をされております。
しかし、私は、その人がどういった国籍を持つかはその人自身のまさにアイデンティティーの問題で、国、あるいは自治体、また他人がこれをどうこう言うべき問題ではないんじゃないか、これが本来の姿じゃないか、こう思うわけですけれども、これもやはり大臣に、今回の改正に関して、この点についての大臣のお考えをお伺いできればと思います。
○鳩山国務大臣 大学時代に、憲法のコンメンタールか何か勉強したときに、国籍選択の自由というのがある、ただし二重国籍になる自由や無国籍になる自由は含まれないというような解説を読んだ記憶がございます。ということは、そうしたければ帰化しろというような議論というのは余り望ましくないということになるわけでありましょう。
したがいまして、外国の方が適法に日本に滞在をされて、外国籍のままできるだけ人権や人道について配慮されるというのが一番正しい姿である、そういうふうに考えておりまして、国籍云々というのは他人がとやかく言う問題ではない、御本人が日本国籍を取得したいと思えば、それは取得されればいいわけでございます。
中華料理の超達人と言われた陳建民先生が、あの方は四川省のお生まれですが、台湾とか香港とかを放浪されて、日本に見えてマーボー豆腐とかタンタンめんとかを伝えたわけですが、日本国籍を取得されるに至るわけです。
陳建民先生は、日本人には本当はなりたくなかったそうです。ですが、ふるさとの四川省に帰るためには、台湾籍ですと当時は帰れない状況であったので、やむなく日本国籍を取得して日本人になってふるさと四川省に帰って、四川省のトウガラシの種を持って帰ってこられて、その種をもらって私も庭でトウガラシを育てているわけですけれども。そういうふうに不本意に国籍を変えなければならないということは本来あるべきでない、こう考えております。
○伊藤(渉)委員 全く同感でありますし、ありがたい答弁だと思います。
そういう意味で、我が国は、地方自治法で言うところの日本の住民であるにもかかわらず同様なサービスが十分提供されていない部分がまだたくさんあるわけですから、これからもこの問題には取り組んでいかなければならない、こういうふうに思います。
次は、少し実務的なことを総務省にお伺いします。
今回の改正を受けて、市町村の窓口での外国人住民の住民票登録がスムーズに行われることが重要であります。先ほど申し上げたとおり、備考欄の記載ですら大変な努力を重ねてきたわけでございます。これまでの経緯から、窓口が各地域ごとにばらついた対応となると、せっかくの機会が前回の繰り返し、こうなりかねません。また、ともすると不法滞在といったものの温床ともなりかねない、こういう懸念もございます。
そういう意味で、総務省にはきめ細かな対応をお願いしたいと考えるところですが、今後、どのように自治体と連携をしていくのか、その取り組み、方針、これについて具体的にお伺いをいたします。
○久元政府参考人 今後この改正案を施行するに当たっての市町村との連携につきまして御指摘をいただきました。
この法案の立案に当たりましては、私どもは、学識経験者また自治体の実務者から成る懇談会を設けまして、この懇談会のメンバーには、例えば岐阜県の美濃加茂市、また大阪市、これは生野区の方、東京都の港区の担当者など、実務担当者に入っていただきまして、いろいろと御意見をいただきながら改正案の作成を行ったところでございます。
今回の改正案の内容につきましては、この懇談会で出されました意見、すなわちできるだけ規定を明確にしてほしいというような要望を踏まえまして、新しい制度の対象となる外国人住民の範囲や住民票の記載事項などにつきましては、極力明確な規定を置いております。
今後、この法案の成立の暁には、そういう改正内容、また、今後政省令の制定も予定されるわけでありますけれども、そういう内容も含めまして、市町村に対する説明会を開催いたしまして、しっかりと市町村と連携を図って、円滑な実施を行っていきたいと考えております。
○伊藤(渉)委員 少し強い言葉で言いますと、虐げられてきた経験のある方というのは、こちらが何げなく発した言葉でもやはり傷つかれると思いますので、重ね重ねきめ細かい対応をよろしくお願いしたいと思います。
重ねて、外国人住民に係る住民票を作成する対象者について、三カ月を超える中長期在留者に限定されておりますけれども、この理由は何か。この点をまず総務省にお伺いします。
重ねて、在留期間が三カ月以下の外国人は、住民基本台帳の対象とならない上、在留カードも交付されない、こういうふうに承知をしておりますけれども、これは逆に在留管理上の問題はないのか。こちらは法務省にお伺いをいたしますので、それぞれ御答弁をお願いいたします。
○久元政府参考人 住民基本台帳制度の目的でありますが、これは、市町村長が、住民の居住関係の公証など住民に関する事務の処理の基礎として、住民に関する記録を正確かつ統一的に行うということを目的としております。
こうした制度趣旨や、外国人登録制度を見直して適法な在留外国人の台帳制度へと改編することを定めた規制改革推進のための三カ年計画、これは平成二十年三月二十五日に閣議決定されたものでありますが、こういう閣議決定を踏まえまして、観光目的で入国した短期滞在者等を除く、適法に三カ月を超えて在留する外国人を住民基本台帳の適用対象としているところでございます。
○高宅政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、現在法務委員会で御審議をいただいております入管法の改正案がございますが、これにおきましては、三カ月以下の在留期間が決定された外国人につきましては在留カードの交付の対象とはしておりません。
これは、短期間で我が国から出国することが予定されているという者であることから、このような人を法務大臣が継続的に情報を把握する制度の対象として在留カードを交付したり住居地の届け出などの義務を課すことは、行政効率あるいは外国人の負担の観点から相当ではないという判断のもとに対象としなかったものでございます。
これらの者につきましても、もちろん、仮にその在留期間内に我が国から出国せず在留を継続する場合があり得るわけですが、その場合でも、その短い期間のうちに在留期間の更新などの手続を経る必要がございますので、三カ月を超えて中長期間在留する外国人のように継続して情報を把握する新たな制度の対象とする必要性には乏しいということで、これまでと同様、入国時の許可あるいは在留期間の更新許可などにより適切に在留管理を行っていくということで十分であると考えております。
○伊藤(渉)委員 続いて、総務省にまた実務的なことをお伺いしますけれども、特別永住者等への配慮でございますが、例えば通称の名前等の取り扱いについては、今回の法改正ではどのようなことになっておりますでしょうか。これは総務省の方にお伺いします。
○久元政府参考人 結論から申しますと、今回の法改正後におきましては、本人の希望がある場合には、運用上、住民票の備考欄に通称名を記載することができる、こういう運用にする予定でございます。
○伊藤(渉)委員 続いて、消防庁にお伺いしますけれども、これも非常にピンポイントですが、地域住民としてコミュニティーに参画をする外国人の方の消防団への参加については、公権力の行使だとして認められてきておりませんけれども、今回の法改正でこの点はどのようになりますでしょうか。
○岡本政府参考人 お答えいたします。
今御指摘ございましたように、公権力の行使などに携わります公務員となるためには日本国籍を必要とするという公務員に関します基本原則は、地方公務員にも適用があるというふうに従来から解されております。
現行法では、消防団員は、一般の消防吏員と同様に、現場において一定の者を排除したり、また消防活動に伴って土地や建物を処分するという一定の公権力を行使する権限を一人一人の団員が与えられております。こういうことを踏まえていく必要があるということは、従来からお話しさせていただいております。
今回の法改正に伴ってこの法形式を直ちに変えているわけではございませんが、今御指摘ございましたように、例えば定住外国人の方が多数居住されているような地域などにおきましては、外国籍の方々にも参加をいただいて、まさに地域の防災力を高めていく、またこれを維持していくということが必要でございますし、どのような形で活動に参加をしていただくかということをいろいろ考えるというのは非常に重要なことであると思っております。
そういう観点から、どのような対応が可能なのか否か、よく具体的に研究してまいりたいというふうに考えております。
○伊藤(渉)委員 では、最後にまた大臣にお伺いしたいと思います。
冒頭申し上げたとおり、今回の法改正は、人権という角度からも一歩前進、非常にいいことだと思いますが、今幾つか実務的なことをお伺いしましたけれども、まだまだその方々の立場になってみなければわからない、差別というふうに申し上げていいのか、これはお一人お一人の委員の先生方のさまざまなお考えもあると思いますけれども、私は、同じように地域で暮らしながら、また税も支払いながら、受けられるサービスに差がある、制度上の位置づけに差がある、こういったことは果たしてこのままでいいんだろうかと疑問を持ち、変えていかなければならないと思っている一人でございます。
ただ、繰り返しになりますが、今回の法改正はその中でも一歩前進でございますので、子供や家庭の生活、これはきょうもあしたも毎日続いてまいります。季節の節目ということで引っ越しをする方もいらっしゃるでしょうし、春になれば子供たちは入学をする。市町村の事務的準備もあるとは思いますけれども、施行期日について三年程度というふうに記載がされておりますが、できるだけ早急に取り組むこと、これも人道、人権的配慮と考えますけれども、最後に総務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 外国人住民を住民基本台帳法の適用対象にするわけでございますから、現行の外国人登録制度からの移行をする。したがって、基本的にすべての市町村において、住民票作成のための準備作業や新しいシステムが必要になるのでありましょう。地方公共団体からも、多数の外国人住民にかかわるこうした事務作業の円滑な執行のためには十分な準備期間が必要だという意見が寄せられておるわけでございます。
したがいまして、入管法等改正法の施行時期も踏まえて、施行を約三年後と予定しているわけでございまして、できるだけ円滑に移行できるように準備を進めてまいりたいと思っております。
ただ、住基ネットのシステム整備、これは大変だったと思います。約三年かかってやっております。住基カードの交付はさらに一年後ということで、住基ネットのシステムに三年、住基カードは四年ということなんですね、準備にかかった期間が。それに比べれば準備の量は少ないと思いますので、三年ということで、入管法との整合性は必要ですが、できるだけ早くできればいいなと。正直言って、レクチャーを受けて三年と聞いたときには、あれ、そんなにかかるの、二年ぐらいで何とかならぬものかと私は質問しました。自治体の準備もなかなか大変だと思いますが、早ければ早いほどいいというふうには思っております。
○伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
人が子供から青年へ、そして大人へと成長していくように、国や社会も子供の社会から大人の社会へと成長していかなくてはならない。きょうはプーチン首相がいらっしゃっている。これはロシアの文豪トルストイの言葉です。
私、きょう少しそういう人権という角度で質問させていただいたのには私自身の思い入れもございまして、選挙に初めて出たときに、子供のころから大変お世話になっていた地域のお兄さんがいまして、ごあいさつに行ったところ、すごく喜んでいただいたわけですけれども、おれは残念ながら投票する権利がないんだ、だから、それ以外のことでおれにできることは何でもやらせてもらうからなと。実は、そのあいさつに行って初めてその方が日本の国籍を持たない方だというふうに知りました。
それほど今の国の中では何の分け隔てもなく生活をしているにもかかわらず、いまだに制度上そういう問題を我が国は抱えている。ありとあらゆる機会を通してクリアをしていかなければ、これは問題だと思います。
物質的には先進国の仲間入りはしておりますけれども、まだまだ人権、精神的な分野では我が国はおくれをとっていると言わざるを得ないと私は認識しておりますので、これからも機会あるごとにこうした問題に取り組んでいきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○赤松委員長 次に、寺田学君。
○寺田(学)委員 民主党の寺田です。
前の質問者がトルストイまで出されると、非常に自分の質問の幼稚さに悩ましくなってくるんですが。
大臣に一言お伝えしたいんですが、地デジカ君、私はいいと思います。地デジカ君のあのデザインには非常に好意を持っておりまして、ああいうことを考えられた総務省及び総務省周辺の方々には非常に敬意を示したいなと思いますが、ああいうようなキャラクターをつくるのにお金もかけられているでしょうから、十分活用されながらやっていただきたいというふうに思っております。
それで、本法律案のことについて議論をしたいと思うんですが、お決まりの質問で大変恐縮なんですけれども、大臣、住基カードをお持ちでしょうか。
○鳩山国務大臣 持っております。五百円払って久留米市から入手いたしました。
○寺田(学)委員 大臣、使われていますか。もちろん、お忙しいでしょうから御自身でというのは難しいかもしれませんが、いかがですか。
○鳩山国務大臣 e―Taxとかそういうことではまだ使っておりませんで、何かの身分証明で使ったことがあるかどうかという程度で、また、引っ越してもおりませんので、特に使ったということではありません。
○寺田(学)委員 ちなみに、大臣になられてからおとりになられたんでしょうか。それとも、以前からお持ちになっていたんですか。
○鳩山国務大臣 総務大臣になってからでございます。
○寺田(学)委員 たしか、菅大臣もそのようなことを言われていました。
普及率を聞いてみますと、二・五%ということでした。大臣自身も、大臣になられて、恐らく周辺の方からそういうささいなことを突っ込まれたらまずいからということでお持ちになられたんだと思いますけれども、毎度毎度お伺いしていることですが、何でこんなに普及が進まないものなんですかね。役所の方でも結構ですけれども、どのように分析されているかを含めて、大臣、どうぞ。
○鳩山国務大臣 今事務方からお答えいたしますが、私は、率直に言ってPR不足だと思います。
というのは、私自身も、住基ネットの意味というのは、当然政治家をやっておりますから意味合いは知っておりましたが、住基カードを持つとこんなに便利だという話は、総務大臣になってから聞かされて初めて知ったことが多いぐらいですから、やはりこの周知、宣伝の問題が一番大きいなと私は思います。
○久元政府参考人 住基カードの普及状況につきましては、徐々にではありますけれどもふえております。累積枚数でいいますと、十七年度が九十一万枚、十八年度が百四十一万枚、十九年度が二百三十四万枚、そして二十年度が三百四十万枚というふうに、かなりのペースでふえておりますが、人口規模からいいますと普及率は低いという状況で、私ども、大臣からPR不足だという御指摘をいただいたわけですけれども、まだまだ努力が必要であろうかというふうに考えております。
住基カードにつきましては、これは転出、転入時の手続を簡便にするとか、公的な身分証明書として使われるとか、e―Taxなどの電子申請、電子届け出といったものに使われるとか、市町村によっては独自のサービスにも使われているとか、こういったようなことをしっかりと今まで以上に私どもとしてはPRをしていかなければならないというふうに思っております。
○寺田(学)委員 そういう意味でいえば、今回、移転時に関してはカードの継続利用ができるようになる法律なんですが、PR不足が一番の原因であるという分析に立って言えば、今回のことが大きな普及につながるとはなかなか論理的には考えにくい部分があるんですが、こういうものがどれぐらい広がっていくのかどうかということは、どのようにお考えになられていますか。
○久元政府参考人 今の普及状況にあるということは、私どものPRの努力がまだまだ不足している、さらなるPRが求められるということもありますけれども、同時に、これは住民基本台帳ネットワークのこの制度の本質から来る問題でありますけれども、発行主体が市町村でありまして、今までは引っ越しをしますと従来のカードが継続使用できなかった、これも普及を妨げる一つの要因になっていたのではないかというふうに考えておりまして、今回、転入届のときに一定の手続を行って情報を書きかえた上で、引き続き継続使用することができるという改正をお願いしておりますが、これも今後普及していく一助になるのではないかというふうに考えております。
○寺田(学)委員 その普及という視点からいろいろ質問させていただいています。
普及率が全国で一番高いのが、富山県にある南砺市ですかね、群を抜いて普及率が高いという話を聞いております。そこの住基カードによるサービスを見てみますと、かなり多目的な利用ということがその普及のきっかけになっているということは、だれが見てもわかりやすいような状態になっていると聞いています。
そういう意味で、内閣府に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部というものがあって、昨年の八月に重点計画として四つほど挙げられている中の一つとして、今回挙げられている移転時の継続利用というのがありますけれども、この四つの中の筆頭に挙げられている多目的利用の経費に対する財政措置というものが、この南砺市のケースを見てみても、一番普及には有効なのではないかな。一番住基カードを持っている住民の方が多いところでは、聞くところによると、病院の予約から何から住基カードを使ってやれるという話でしたので、まさしく戦略本部で言われている多目的利用の経費に対する財政措置というものが普及にとっては一番近道ではないかなと思うんですが、ここに力を入れていく御予定はないのか。大臣でも結構です、いかがですか。
○鳩山国務大臣 寺田先生御指摘のとおりだと思いまして、いろいろな多角的に利用できるものでありますから、それに対して財政的な支援をするということがやはり必要になるだろうと思っております。
もう言わずもがなのことでございますけれども、例えばe―Taxのように電子政府、電子自治体の推進に向けた関係機関との連携の促進とか、みずからの創意工夫で住基カードの多目的利用に取り組む市区町村へ支援をするということもやっております。例えばコンビニで住民票等の交付について技術的な支援をするようなことも考えております。
こういうふうに、住民基本台帳カードの多角化利用の促進のための技術的支援に合わせて、住基カードの無料化に取り組んでいる市町村に対して地方交付税で財政支援をするということをやっているんです、平成二十年から。
ということは、これは住基カード一枚について多分千五百円かかるんだと思うんです。今は住基カード一枚について千円地方交付税で財政支援しているんです。ところが、千五百円かかるので、無料化したところには千五百円財政措置するわけです。だから、つまり、無料化したって地方自治体は一円も腹が痛まない仕組みになっているのに、私は何で五百円払ったのかなと思って、制度を知ってちょっと腹が立ったわけです。
私は五百円払って久留米市からもらいました。しかし、これは、久留米市がもし無料にすれば千五百円国から来るわけですからね。久留米市がその対策をとっておれば、私はただでもらえたわけですから。その辺が周知徹底していなかったんじゃないですか。局長、違うかな。
そういった意味で、住基カードもただだ。ただならば、千五百円かかっても、全部国が財政措置するんですから。その辺も徹底していきたいと思います。
○寺田(学)委員 局長、いかがですか。
○久元政府参考人 特別交付税による支援ということにつきましては、私どもは市町村には相当普及をしているというふうに思っておりますけれども、なおこういう措置につきまして徹底するように、また、それを活用した自治体がふえることによって住基カードの普及につながるように、私どもも今の大臣のお答えを踏まえまして努力していきたいと思っております。
○寺田(学)委員 本部の四本柱の一つに交付手数料の無料化というのがありますので、それを進められることは大臣の言われるとおり重要なんだと思いますが、大臣が先ほど言われたPR不足という点と、普及率が高い南砺市のように多目的利用ができるという点、そういう二つがない限り、たとえ無料であっても役に立たないカードは持っていてもしゃあないという話になると思うんですよね。
もう一回質問を繰り返します。
多目的利用に係る経費の財政的な支援をする、交付の手数料の財政支援ではなくて、多目的利用のための経費の財政支援というのが必要だと思いますが、今後一層強めるおつもりはないですか。
○鳩山国務大臣 その地方自治体において、住基カードがあればいろいろなことができる、多目的に使える、そういう仕組みをつくった自治体に対して、よくやったといって財政支援をするということは拡充していくべきことと思います。
○寺田(学)委員 局長、今何かお話しされたくてうずうずされているようですけれども、御褒美的な意味ではなくて、何かやるということに対しての財政的なサポートをするということになると思います。制度的な意味で、今答弁の補足をされますか。局長、いかがですか。
○久元政府参考人 住基カードの多角的利用を広げていくということは、委員御指摘のとおり、大変重要なことであろうかと思います。
同時に、多角的利用の対象といいますか、どういうような多角的利用をしていくのかということにつきましては、これはそれぞれ団体によっていろいろなやり方があろうかと思います。
そういう意味からいいますと、地方財政措置による支援の方法ということから見ますと、これは普通交付税による方法がいいのか、あるいは特別交付税によるような方法をさらに拡充するのがいいのかといったようなことも含めまして、財政局とよく相談しながら検討させていただきたいというふうに思います。
○寺田(学)委員 特交でやるのか普通交付税でやるのか、お金の出し方もあるでしょうけれども、まさしく局長が冒頭お話しされたとおり、そこの利用に関しては国である程度ガイドラインをつくるのか、自治体の方に任せるのかというところが一つの大きな肝になると思いますけれども、そこら辺は、本部の方針の一つでもありますけれども、大体そこら辺のアイデアというのはもうお考えになられているものなんですか。基本的には、自由なメニューの中でお渡ししていくということを考えられているんですか。いかがですか。
○久元政府参考人 住基カードの普及の方策といたしましての多角的利用を広げていくということは、住基カードが導入されましてからの、かなり以前からの課題でございました。私どもは、学識経験者に入っていただいたような研究会をつくりまして、いろいろなやり方を自治体に対して提示させていただいたようなこともございます。
現時点におきましては、こういうような方法もありますよといったようなアイデアを提供させていただいて、それぞれの自治体で考えていただくということが現実的な方策なのではないだろうかということで、今総務省として何かガイドラインをつくるということは考えておりませんけれども、今後の研究課題とさせていただきたいというふうに思います。
○寺田(学)委員 大臣の強い御発言もありましたので、ぜひとも早急に取り組んでいただきたいというふうに思います。
外国人住民への適用拡大についての質問をさせていただきたいんですが、先ほどの質疑の中で、十九年末ぐらいで二百万超とされているような外国人住民の住民基本台帳への登録の移行が二、三年ぐらいかかるというお話でしたけれども、これは財政的な支援というものもしっかり自治体の方にはされるんでしょうか。いかがですか。
○久元政府参考人 今回の住民基本台帳法の一部改正によりまして、外国人住民を住民票の適用対象に加えることによりますシステムの改修というものがまず必要になります。
この部分の財政負担がどれぐらいであるのかということにつきましては、現在精査中でありますけれども、標準的な経費といたしましては、市町村については、平成二十二年度と二十三年度の二年間で約二百億円程度の負担が必要になるのではないかというふうに考えておりまして、これらの財政負担に対しましては、必要な地方財政措置を講じていくつもりでおりまして、財政局と調整しながら必要な対応を行っていきたいと考えております。
○寺田(学)委員 それで、この莫大な、多くの人数の外国人住民の方を住基台帳の方に移されるんだと思いますが、現在外国人登録法で登録されている外国人の方と、この改正案によって住民登録される外国人の範囲というものに、私が調べた範囲の中においては差異があると思いますけれども、これは差異、違いは出るものなんでしょうか。そっくりそのまま移るものなのかどうかということを御答弁いただけたらと思います。
○久元政府参考人 現在の外国人登録法の対象となっている外国人につきましては、これはいわゆる不法滞在の方も対象になっておりまして、今度の、現在お願いしております住民基本台帳法の改正案におきましては、これは三カ月を超えて適法に我が国に在留する資格のある外国人住民の方を対象としておりますので、そういう意味から申しますと差異がございます。
○寺田(学)委員 今回、制度変更をする際に何かしらその差異を設けられたんだと思いますが、その差異を設けられた理由というのはどのようなことでしょうか。
○久元政府参考人 今回の住民基本台帳法の改正案は、法務省におきます入管法等の改正に伴うものでありまして、在留管理のより一層の適正化を図るという観点から、外国人登録制度を廃止するということがその端緒となっております。
現在、外国人登録制度は、在留管理といういわば国の役割に関して市町村の法定受託事務として行われているものでありますが、同時に、市町村はみずからの行政サービスを提供するために、その外国人登録制度で管理している住所情報等をみずからの自治体サービスに使っている、こういう状況でございます。
そこで、今回この外国人登録制度が廃止をされますと、市町村がみずから住民サービスを提供する上で必要となる住所地情報等が得られなくなるということで、どうしようかということをいろいろと検討してまいりましたが、結論といたしましては、住民基本台帳法の対象とする、外国人を住民票の対象にするということが一番適当な結論なのではないだろうかということで、今回の改正案をお願いしているということでございます。
そして、その対象といたしましては、現在の外国人登録法は不法滞在者も含んでおりますけれども、住民基本台帳法の目的ということに照らしますと、適法に我が国に在留している外国人住民の方を対象とするということが適当であるというふうに考えて、今回の改正案をお願いしているということでございます。
○寺田(学)委員 在留管理をされるということなんですが、今回の制度においては、法務省側が在留資格を取り消した場合においては法務大臣が自治体に通知をする、その通知を受けた自治体は外国人住民登録を抹消することがたしかできるという書き方だったと思います。
私の法文の読み方が間違っていたらあれですけれども、できる規定になっているということは、これは義務づけられているものなんですか、抹消しなきゃいけないものなんでしょうか、それとも抹消しない余地は残されているものなのか、いかがですか。
○久元政府参考人 今回の住民基本台帳法の改正案では第三十条の五十という規定を設けることにしておりまして、この規定では、法務大臣は、入管法及び入管特例法に定める事務により外国人住民の住民票記載事項に変更があったこと、そういうことを知ったときは、遅滞なくその旨を住所地の市町村長に通知しなければならないというふうにされております。この規定の対象といたしましては在留資格が取り消されたときも含まれておりまして、在留資格が取り消されたときには、市町村長に対して通知がされるということであります。
今回お願いしております、私どもの改正案の適用対象としておりますのは適法に在留する外国人でありますので、その通知がなされましたときは、市町村長は当該外国人住民の住民票を職権で消除するということになりまして、これは市町村長に義務づけられているというふうに私どもは考えております。
○寺田(学)委員 義務づけられているということなんですけれども、そういう形で住民基本台帳から外国人住民登録が抹消された場合、その抹消された方はもうどこにも登録されていない状態になっているわけですよね。在留管理のためにこれをやられているわけでしょうけれども、余りうがった見方はしたくないと思いますけれども、ある意味、正規に滞在する資格を持っていない方が住民台帳から抹消されてどこにどうなっているのかわからない状態になってしまうと思うんですが、そこら辺は在留管理としてしっかりとした対応ができる制度設計になっているんでしょうか。いかがですか。
○久元政府参考人 不法滞在者の在留管理をどういうふうに行うのかということは、基本的には入国管理制度の問題でありまして、これは法務省において考えられるべき事柄であろうかというふうに思います。
その上で申しますと、登録を抹消された外国人の方も地方自治法上の住民にはなり得るわけでありまして、この住民基本台帳法の対象にはならない。つまり、住民票は既に消除されているわけでありますけれども、それぞれの法律の適用関係におきましては行政サービスの対象になり得る場合もあるというふうに考えております。
○寺田(学)委員 いや、素朴な疑問として、もちろんそれは法務省の仕事だという話はわかりますけれども、現在の外国人登録対象者は、現行法でいけば非正規滞在者であっても管理がされているというか登録はされているんですが、今回法改正になって、入管部分においては当然それは把握されなくなりますし、住基ベースでも滞在がいわゆる非正規だとわかった場合には抹消されるということで、どこにも登録されない状態になると思うんです。
大臣、どうでしょう、これは何かおかしくないですか。国全体として、しっかりとこの非正規の滞在者を管理するような仕組みになるんでしょうか。いかがですか。
○鳩山国務大臣 なかなか鋭い質問だと思います。
昨年法務大臣をやっておりましたときの記憶から申し上げますと、不法滞在が多過ぎる、二十何万人もいるというので、この半減計画をやってきて、今十一万三千人ぐらいということですが、これも正確な数字であるかというのは自信がないわけですね。不法滞在の方というのは、いわば糸の切れたたこみたいな状態にある。そういう方でも、どこかの市町村で外国人登録をしているケースというのは当然あるんだろう、こう思います。
今、私は入管行政に責任を持つ立場ではないけれども、日本に入ってきた外国人が、適法に滞在であるか不法滞在になってしまうか、例えば観光で入ってきて長くどこかへ消えてしまったようなケース、これは法務省の方でできるだけ頑張っていくという方針なんだろうというふうに思います。
ですから、今度の在留カードというものは、在留カードと住基カードを同じ書式にしたらどうだという意見もありますが、それはやはり無理なので、在留カードはいろいろ記載される中身が多くて、これを法務省、入管が一元的に把握することによって、要するに中身が変われば不法滞在になる可能性もあるわけですけれども、一元的に法務省で管理しよう、住民サービスの方はこの住民基本台帳の方に外国人も全部一緒に記載をしてもらって行政サービスをやってもらおう、そういう分け方をしたんだろうと。
したがって、これはちょっと間違いかもしれませんけれども、在留カードを法務省が一元的に管理している場合は、当時議論に出ておったのは、例えば学生だった人が大学に残って講師か何かになったと、その人がまた今度は民間会社に勤めたというようなことも、全部その大学とか企業から報告をもらって、それを法務省で管理しようという話があったんですよ、私がいたときは。
実際にそこまで厳しく、これはプライバシーの問題にも絡んでくるから、やるようになるかどうかというのは、私は今法務大臣ではありませんからよくわかっておりません。わかっておりませんが、要は、入ってきた外国人の基本的な適法、違法はすべて法務省の入管に任せる、住民サービスの方は徹底して地方自治体の自治事務として住民基本台帳の方でやる、そういう分け方をしたんだと思うんです。
今確かに、寺田委員はさすが頭がいいので、そこのすき間に当たる部分がどうなっているかは法務省から答弁させます。(発言する者あり)
○寺田(学)委員 私も素人ながらのあれですけれども、入管は入ってきたタイミングでの管理であって、それ以降どのように滞在されているかどうかまで把握はされていないと思いますし、まさしく総務省の言われることもわかるんですね。住民として存在している人を管理するんだというのは地方自治でしょうから、住民の管理のためにそういう形にするんでしょう。
まさしく非正規の滞在者に関して、抹消されてしまった場合に、入管自体も入ってきた瞬間しか見ていないでしょうから、それ以降もずっと見られるような仕組みになっているんですか。もちろん、後で逢坂さんがやられると思いますけれども、局長として、他省庁のことにもなりますけれども、御答弁があるとしたらどうぞ。
○久元政府参考人 入管法の目的というものは、今委員がおっしゃいましたように、外国人が日本に入ってきた水際だけで把握するのではなくて、入国して出国するまで、つまり、日本に滞在している期間を通じて在留管理をするということが入国管理制度の目的ではないかというふうに考えておりまして、そこが今までは必ずしも十分ではなかった。今回はそこを、先ほど大臣からお答えがありましたように、在留カードでもって一元的に入管当局が把握をする。
その場合の住所地情報につきましては、住民基本台帳制度と入管制度との間で通知をすることによって情報を共有する仕組みを導入する。そして、入管制度においては在留管理という観点から外国人の住所地を管理する、市町村におきましては住民サービスの提供と居住関係の公証という目的から外国人住民の住所地を把握している、基本的にはこういう関係になるものというふうに考えております。
○寺田(学)委員 これ以上の話は逢坂委員の方にお任せをするとして、そういう意味で、いわゆる非正規の滞在者の方の管理というものが今回の法改正によっておろそかにならないような仕組みというものを設けていただきたいですし、今、仕組み的に非常に不十分なことがあるのであれば、何とか、後的にでもいいですけれども、しっかりとした体制を築いていただきたいと思います。
もう五分ですので、住民基本台帳も含めた質疑なんですが、DVの被害者に関しての定額給付金のことも通告をさせていただいておりました。
全国各地でDV加害者に対する給付の差しとめ訴訟というものが起きていて、自治体としても非常に困っている部分があると思います。各市町村によって、いわゆる住民票をお持ちじゃない、住民登録がされていない方にもそういうさまざまなことを考慮して給付したり、または給付しなかったりということで、各自治体によって対応がばらばらになっていると思います。
もちろん、それ自身地方自治だと言われてしまえばそれまでなんですが、はっきり言ってこれは国の景気浮揚の施策としてやっていることですから、ある一定のガイドライン等も必要ではないかなと思っています。
総務省として、このDV加害者に係る給付金の給付に関して、いろいろ訴訟が行われていますけれども、この一連の問題に対するとらえ方と、今後ガイドライン等を出すような御予定もないかどうかを含めて御答弁をいただけたらと思います。
○鳩山国務大臣 DV被害者の件は、これはできるだけ温かく対処しなければいけないわけですが、定額給付金は、何といっても五千万件以上、つまり五千万世帯というところに緊急支援としてできるだけ早く給付を開始するということで、仕組みを簡素化して、二重給付の防止をしようということで、この段階では住民基本台帳、外国人登録原票に登録されている人たちに一律に給付するという形にしたわけでございまして、市町村からもできるだけシンプルな形でやってほしいと。
ドメスティック・バイオレンスの世帯分だけ分けて給付するというようなこと、つまり、例えば配偶者がどこか別に行かれてしまった場合に、それを削って、その分、一万二千円か何かを減らして給付するとかということは、正直言って非常に困難だということで、市町村からも、そういうやり方、DV被害者のお宅で改めて計算し直して減らすようなやり方は正直言って難しいというふうに言われているわけでございます。
いわゆる市町村の支援措置、つまり、ドメスティック・バイオレンスで家を出られた方がどこか別のところに住民登録しても暴力を振るった人に閲覧させない、選挙人名簿の方も閲覧制限をきちんとやっておかなくちゃいかんよというようなことも言われているようでございますけれども、これを利用している方が大体一万三千人近くいるんだそうです。もちろん、そういう方は定額給付金を受け取れるわけです。
今回、定額給付金をやりますよ、ドメスティック・バイオレンスの被害者の方も新しく住民登録してくださいよという話をしたことによって、千人以上の方がそういう手はずは整えていただいたようでございます。つまり、二月一日が基準日になりますから、二月十六日までの間にそういう住民登録をしていただいたんだろうと思います。
ところが、実際には、一番気の毒な方は、要するに新しいところに住民登録できない、そういう方のケースは地方自治体に任せてやっていただきたいということで、現在、そうした形で現金給付をしているあるいはしようとしている市町村が二百八十七団体なんです。
したがって、できる限りそういう自治体がふえるようにこれから指導や要請はしていきたいと思っておるんですが、ガイドラインを示せと言われましても、これは地方自治体独自にお考えいただきたいというのが今の総務省のスタンスでございます。
○寺田(学)委員 質疑時間が終了しましたのでやめますけれども、とはいえ、自治体も訴訟リスク及び訴訟の場合の費用等も含めていろいろあると思いますので、そこら辺はいろいろなサポートをしていただきたいと思います。
大臣が御答弁をされたら、それで終わります。
○鳩山国務大臣 先ほど答弁し忘れました。
もちろん、仮処分等の訴訟の結果については、法治国家でございますから、我々は従ってまいります。
○寺田(学)委員 以上で終わります。
○赤松委員長 次に、逢坂誠二君。
○逢坂委員 逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。
まず最初に、住民の定義について、先ほど寺田委員の質問の中にもございましたけれども、若干確認をさせていただきたいと思います。
地方自治法では「市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。」というふうにあるわけですね。加えて、民法には「各人の生活の本拠をその者の住所とする。」という規定がございます。
こういう観点からすると、仮に外国人であれ日本人であれ、あるいは現行法でいえば外国人登録をしているかしていないかにかかわらず、あるいは改正住民基本台帳法によって住民基本台帳に載っているか載っていないか、あるいは適法に国内にいるかいないかは別にして、その自治体の中に住所を有していれば住民というふうに解してよいかどうか、この点についてまず総務省の見解をお伺いします。
○久元政府参考人 地方自治法の第十条で住民の規定がありまして、この地方自治法の十条は、その市町村の区域内に住所を有する者というふうにされておりまして、その住所とは各人の生活の本拠をいうというふうにされております。そういう解釈でありますので、この住民の方が日本国籍を有しているか有していないかということは特段問題にはなっておりません。
また、外国人の方につきましては、外国人登録がなされているかいないかということにつきましても、特段の違いはないというふうに考えております。(逢坂委員「改正住民基本台帳法はどうですか」と呼ぶ)
改正住民基本台帳法につきましても、別にこの地方自治法第十条の住民の規定を改正したものではありませんので、そこについては変更はありませんが、改正住民基本台帳法上の対象としている住民の範囲につきましては、先ほどから御答弁を申し上げているとおりでございます。
○逢坂委員 では、重ねての確認でございますけれども、今の答弁からすれば、地方自治法第十条第二項の「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。」ということで、その地域内に住所を有する住民はすべてこの十条第二項の規定を適用されると考えてよろしいんでしょうか。
○久元政府参考人 繰り返しの御答弁になりますけれども、地方自治法の十条に言う住民というのは、その区域内に住所を有する者ということでありまして、もっと申しますと、これは自然人も法人も含まれる概念であります。
自然人について申しますと、日本国籍を有しているか有していないかにかかわらない。そして、この住所とは各人の生活の本拠をいうということでありまして、各人の生活の本拠をいうというこの住所の考え方は、住民基本台帳法上の住所の概念も同じであるというふうに考えております。
○逢坂委員 私は、今回の住民基本台帳法の改正は、ある一定程度前進だろうというふうに思います。外国人登録制度も、確かに、外国人を適正にある種把握をして管理をするという意味では一定の役割を果たしてきましたけれども、随分問題点も多かったわけであります。そういう意味では、今回の改正はある一定程度前進だろうというふうに思うのです。
ただし、残念ながら若干抜け落ちもあるように思っておりまして、そういう観点からすると、要するに、その自治体の区域内に住所を有する住民すべてに対して何らかのサービスがこの十条二項によって、まあサービスもありますし義務もありますけれども、これを負うためには若干の配慮がこの法の中で必要になってくるのかなというふうに思っているんですね。そのあたりをもう少しきょうの議論の中で深めてまいりたいというふうに思います。
そこで、法務省にお伺いしたいんですけれども、現在外国人登録をしている方で、この改正法、要するに入管法と今回の住民基本台帳法の改正法施行後に住民票の記載にならない方というのはどの程度存在するのか、まずこれをお教えください。
○高宅政府参考人 お答えいたします。
改正入管法は今法務委員会で御審議いただいている案でございますが、そこの十九条の三というところでございまして、今回の在留カードの、当法では在留カードの対象とする外国人でございますが、これは中長期在留者ということに限定しております。具体的に言いますと、三カ月以下の在留期間が決定された人間、短期滞在の在留資格の人間、あるいはちょっと特殊ですが外交、公用の人間等はこれから除外するということになっております。
○逢坂委員 ということは、今現時点では外国人登録証を持っている、だけれども、改正法が施行された段階では住民票にも記載されないし、外国人登録証も持たないという方が出現するというふうに理解をされるわけでございますけれども、そうなると、例えば自治体が行政サービスを提供するという観点から見ても、その点においては後退ではないかと。あるいは、行政サービスを提供する点だけではなく、いわゆる外国人を適正にある種把握をし管理をするという意味からも後退ではないかなというふうに思うわけです。
だから、今回の法改正においては、最低限現在の外国人登録者の実情を低下させないような取り組みというものを考えておく必要があるのではないかというふうに思うんですけれども、きょうは早川政務官に来ていただいておりますけれども、いかがですか、政務官。
○早川大臣政務官 恐らく、問題となるのは仮放免者とか難民認定申請中の方などだろうと思います。これは現行の外国人登録法で把握されていたわけでありますけれども、今後は対象とはならない。こういったことで適正な在留管理が後退するのではないかという御質問であります。
まず、難民認定申請中の者のうち、第一に、正規在留中に申請し、特定活動などの適法な在留資格を有している者、あるいは、不法滞在者等の在留資格未取得外国人であっても仮滞在の許可を受けている者については、これはいずれも外国人に係る住民基本台帳制度の対象となるというふうに理解をしているところであります。
それから、仮放免されている者につきましては、これによりまして我が国に適法に滞在が認められているものではありません。法務大臣は、住居及び行動範囲の制限その他必要な条件を付することが可能でありまして、これらの条件に違反した場合には仮放免を取り消すなどといったことによって身柄の拘束をすることになります。仮放免の許可を受けた者については、このような退去強制手続の中で適切に把握がなされておりまして、新たな制度による在留管理を行う必要はないというふうに考えているところであります。
なお、不法滞在中の難民認定申請中の者のうちの仮滞在許可の対象となった外国人につきましては、収容される者を除きまして仮放免をされることになっております。先ほど申し上げたとおり、こういった仮放免される方については、新たな制度による在留管理の必要性はないというふうに考えているところであります。
○逢坂委員 法務省の目線で見れば、今私が指摘をする、外国人登録証を持っていて、今度の新しい制度では住民基本台帳に登録されない方については、適法じゃないんだから管理をする必要はないんだという観点をお持ちなのかもしれないんですけれども、これは自治体の目線で見れば、先ほどの地方自治法の規定に見られるように、そこに住所を有していれば住民であり、地方自治法十条二項のサービスの提供を受けたり、あるいは義務を分担しなければならないという、いわゆるそういう扱いを自治体ではしなきゃならないわけですよね。
そういう意味において、そこは出入国管理では管理は必要ないんだというふうに言い切るのかもしれないんですけれども、現実にはそうはいかないんですね。だから、今回の法はそこが一つ抜け落ちだというふうに思いますので、私はこれは何らかの対応が必要だというふうに思うんです。
例えば、いろいろなやり方があろうかとは思うんですけれども、仮放免の人は住民基本台帳に登録できるようにするなどというのも一つの方法でしょうし、少なくとも現在外国人登録証を持っている方については、その登録制度は原則的には廃止なんだけれども、当分の間この外国人登録証を有効にすることによって、その方のある種の日本における身分関係をはっきりさせるなんということは必要なんじゃないかと。そうしなければ、せっかくいい思いを持ってやろうとしている今回の法改正が一部逆行するところが出てくるのではないかというふうに思うんですけれども、早川政務官、いかがですか。
○早川大臣政務官 先ほど答弁申し上げましたけれども、退去強制手続中の仮放免者あるいは難民認定申請中の者であっても在留資格未取得外国人の仮滞在の許可の対象とならなかった方について、これは収容される者を除きまして仮放免されることになります。まあ、退去強制手続の中で把握することは可能である。
その一方で、こういった方々に対していわゆる現在の外国人登録制度を残す必要性があるかないかということについてでありますけれども、一つは制度が非常に煩雑化するであろう、それから、市町村に対して過度の事務負担をお願いすることに結果的になるのではないだろうか、こういったことがあります。それから、例えば新たな在留管理制度や外国人に係る住民基本台帳制度の対象とならない者で住所等を証明する手段が必要となるといったケースの場合でありますと、仮放免許可証の記載などにより証明することができる。
いろいろな実際上のことを考えますと、今回の外国人登録法の改正あるいは住民基本台帳法の改正というのは、一応妥当な範囲ではないだろうかというふうに考えているところであります。
○逢坂委員 そこで、法務省にまたお伺いするんですけれども、難民認定申請中の者についてお伺いをしたいんです。
現在、難民認定申請というのは大体どれぐらいの年限がかかっているのか、あるいは難民認定申請を最初にしてから結論が出るまで最長の方というのはどれぐらいの年限がかかるのか、これについてお知らせいただけますか。
○高宅政府参考人 お答えいたします。
現在、難民認定は、第一次審査と異議審とございますけれども、平成十九年の第一次審査期間の平均で見ますと、大体四百十八日、ということは一年半近くということでございます。二十年も若干伸びていまして、四百七十二日、それに異議申し立てを加えますと七百六十六日というような日数になってございます。(逢坂委員「最長はどうですか」と呼ぶ)
最長のあれは持ってきておりませんので、申しわけございません。平均しか手元にはありません。
○逢坂委員 すなわち、難民認定申請をされている方は、平均で、例えば今の例だと異議申し立ても含めると二年以上、異議申し立てのない場合であっても二年近くかかっているのが現実なんですね。
それから、私がいろいろな方からヒアリングを受けた結果、難民認定申請には最大で九年かかっているという方もいらっしゃいました。すなわち、仮放免の状態でどこかに住所を構えて、九年間そういう状態が続いているわけですね。それで、今回の法改正によっては、その方たちは住民票に登録されないということになるわけでございます。今までだったら外国人登録証があったんですね。
だから、そういう意味では、法的な裏づけといいましょうか、日本における地位というのは今よりも後退してしまう可能性が私はやはりあると思うんですね。私は、そういうところを今回の法ではもう少し丁寧にトレースする、バックアップしてあげる必要があるのではないかというふうに思うんですけれども、政務官、いかがですか。
○早川大臣政務官 制度改正についてさまざまな配慮が必要なところはあろうかと思いますけれども、ただ、今般提案させていただいているものは、現時点においては一番整合性がとれた制度だというふうに思っているところであります。
○逢坂委員 一番整合性がとれているとおっしゃっているので、これ以上議論しても仕方がないとは思うんですけれども、私は自治の現場にいた者として、これはちょっと問題だなというふうに思うんですね。せっかく新たな制度をつくってよくしようと思っているのに、現状よりも後退する部分が出るというのはいかにも残念だなというふうに思うわけです。
だから、何らかの形で住民基本台帳に登載する人の範囲を拡大する、もしくは外国人登録制度を暫定的に延長適用するというようなことが実態に即したやり方ではないかなというふうに思っております。
そのことはこれ以上議論してもどうもだめなようでございます。一番詳しいというふうに言って、おいで願ったんですが、何か余りそういう感じも受けなかったのは大変申しわけなく思っているんですが。
それでは、総務大臣、どうぞ。
○鳩山国務大臣 私は余り詳しくないんですが、先生は難民のことを話されましたね。難民の場合は、難民の可能性があって一時的に上陸を許可されている人、つまり、この人は難民ではないかという可能性を認めて上陸許可された方、これは住民基本台帳に入る。それから、難民認定申請をしてすごく時間がかかることがありますね、これはもちろん不法滞在者の扱いですが、難民認定手続がずっと長くかかっているような場合は、滞在は許可されているわけですから、これも住民基本台帳制度の対象者になる。
問題は、在留特別許可を希望する人や仮放免許可された人の問題がどうなのかということでございますが、仮放免の場合は不法滞在者で退去強制手続に入っているわけでございますから、これは一時的に身体の拘束を仮に解かれていたとしても住民基本台帳にはなじまないというふうに考えているわけでございます。ですから、そうした中で特別に時間がかかっているような方をどうするかということだけは、個別に判断する必要があるかなというふうには思います。
○逢坂委員 まさにそうなんですね。今、大臣が説明くださった前半部分、要するに、ある種適法に難民認定申請の状態にある方はいいんですけれども、仮放免の状態で難民認定申請している方もいらっしゃいまして、その方たちは今回の住民基本台帳登録からの対象外になってしまうわけですね。しかも、それが長期にわたるわけでございますので、その方たちについては、自治体の目線で見ればそこに生活の実態があるわけですから、これはやはり何らかの手だてがないと今よりも後退をすることになるのかなというふうに思っているわけでございますので、この点は強く指摘をしておきたいというふうに思います。
多分、総務大臣も十分おわかりのことだというふうに思います、私の質問以前にお答えいただいていますので。
○鳩山国務大臣 こちらの方にいる人たちと見解は違うかもしれませんが、入管の分野に立ち入っちゃいけないんですが、仮放免で自由にしていていいよという方が難民認定申請をしていれば、これは仮滞在許可者の方でできるだけ読み取れるようにしてあげたらいいのではないかな、私はそう思います。
○逢坂委員 今、何か総務大臣から法務省に質問があったような感じもするんですけれども、その点も含めてもう一点お伺いしたいのは、やはり問題なのは、難民認定申請に時間が相当かかっているというところも問題だと思うんですね。平均で二年近くかかっている、最長で九年だ。しかも、昨今の状況を見れば、難民認定申請の期間というのは長期化する傾向があるというふうにも法務省から伺っているんですけれども、これは短縮する努力というのはどうしてもやらなきゃいけないんだと思うんですけれども、このあたり、法務省はいかがですか。
○高宅政府参考人 お答えいたします。
最初に難民認定申請中の方の立場ということでございますが、まず一つは正規在留者、要するに何らかの在留資格を持っている間に申請した方、この方は通常そのまま在留資格を維持いたしますし、仮に在留資格がない場合でも特定活動という別の在留資格ができますので、約半数の方はそれで在留資格を持っている。残りの方につきましては在留資格未取得外国人ということで、この人たちについては最初の段階で仮滞在の許可の判断をする、そこでいろいろ要件はございますけれども、安全な第三国を経由してきたとか、あるいは逃亡のおそれがないとか、そういった要件がございますが、そういった形で滞在許可を受けられるというシステムになってございます。それ以外の方、要するに仮滞在許可を受けられなかった不法滞在者の方が問題になるというところでございます。
難民認定手続の時間の関係でございますが、これにつきましては、申請者の出身国における迫害のおそれ、あるいは生命身体の安全にかかわる問題を調査する、しかも主にインタビューによって調査しておりますので、結論を下すまでに非常に時間がかかっているのが実情でございます。もう一つは、申請者が近年急増しておりまして、平成二十年は過去最高の千六百件、前年の約二倍に及ぶ申請があるというような状況がございまして、非常に時間を要してございます。
こういう状況に対応するのに、入国管理局といたしましても、研修による職員のスキルアップや難民関係業務に従事する職員の増員など、難民認定事務処理体制の強化を図るなど申請案件の早期処理に努めてきたところでございますけれども、今後とも、さらに処理時間を短縮することができるよう努力してまいりたいと考えてございます。
○逢坂委員 いろいろなところに問題はあるとは思うんですけれども、今の話を聞いてみると、法務省としても、仮放免の状態でその他の在留資格を得ずに難民認定申請している方の存在を認めていて、そこが問題だという発言をやはり事務方もされるわけですよね。
ですから、ぜひ政務官にお願いしたいのは、まず、難民認定申請の期間を少しでも早期にやれるようにするということと、今の仮放免中で難民認定申請が長期間にわたっている方たちへの対応、対策を何らか講ずるというようなことをしなければ、そのしわはまさにその方たちが住んでいる自治体に行くわけですよ。それはすべて自治体でやれというのもなかなか……。それは、国、総務省も法務省も、場合によっては外務省も自治体も含めてやれるようなことを、政務官、検討いただけませんか。
○早川大臣政務官 難民問題については大変大きな課題だというふうに認識をしておりますので、御指摘の点も含めて今後検討させていただきたいというふうに思っております。
○逢坂委員 次に、行政サービスと住民登録あるいは外国人登録との関係についてちょっとお伺いしたいんです。
まず、総務省にお伺いしますけれども、行政サービスを受けるときに、住民登録があるかないかとか、あるいは現行法でいうと外国人登録があるかないかとか、そのことと行政サービス提供の関係というのは、住民登録がないから行政サービスは提供しないとか、外国人登録証があるから何かをやるとか、そういうことというのは一般論としてどうなっているのか、お答えください。
○久元政府参考人 先ほど逢坂委員が引用されました地方自治法上の条文、十条ですけれども、法律の定めるところによりその権利を有し義務を負うというのが基本的な考え方でありますので、個別にそういうサービスを受ける権利があるのかどうかというのは、まさに個別法の定めるところによるというふうに考えられておりまして、現行法上の各種の規定、これは法律で直接定められているというよりは省令あるいは通知に落とされているものが多いわけでありますけれども、これは外国人登録を必要としているものが多いというふうに承知をしております。
まさに、これは個別法令の定めるところによるというふうに思います。
○逢坂委員 加えて総務省に質問させていただきますが、現行法体系と新しい改正住民基本台帳法が施行された後で、行政サービスを受ける対象範囲というのは法改正によって変わる部分というのはあるんでしょうか。
○久元政府参考人 個々の行政サービスの種類と対象を定める個別法令につきましては、変更点はないというふうに考えております。
○逢坂委員 その意味では、今回の法改正があったからといって、行政サービスの提供関係に変更が出ないと考えてよいのだというふうには思います。
そこで、厚生労働省にお越しいただいておりますが、厚生労働省が所管する法のいわゆる行政サービス、例えば健康保険だとか年金だとか生活保護だとかございますけれども、このサービスについて、現行法体系の中と改正住民基本台帳法、改正入管法が施行された後で、サービス提供者の範囲というのは変わるのでありましょうか。
○榮畑政府参考人 今回の入管法及び住基法の制度改正の前後で、基本的に、国民健康保険、国民年金、生活保護の各制度におきまして、外国人の対象範囲が狭くなるというふうなことはないと考えております。
以上でございます。
○逢坂委員 外国人の対象範囲が狭くなることはないということでありますので、今回の法が施行されてもその点では安心だというふうになろうかと思います。
ところで、これも引き続き厚生労働省にお伺いしたいんですけれども、例えば、厚生労働省の見解としては、医療保険については、現在、不法滞在者、要するに適正な入国の資格のない方については国民健康保険に加入をしてはならないというふうになっていると承知しているんですけれども、これでよろしいでしょうか。
○榮畑政府参考人 適法に滞在していない方は国民健康保険に入れないというようなことになってございます。
○逢坂委員 ところが、確かにそれは厚生労働省がそういうふうにおっしゃるわけですけれども、現実を見ると、そうではない実態があるということもぜひ御認識をいただきたいと思います。
それは、例えばこんなケースであります。
適法な在留資格を持っている方が国民健康保険に入る、ところが、現行法の中でいくと、在留資格の期限が切れるわけですね、期限が切れていわゆるオーバーステイという状態になるわけです、でも、それは御本人から自治体に対して申告がない限りはオーバーステイになっていることは自治体は基本的にはわからないわけですね。そうなりますと、当然適法に国民健康保険に加入をして、でも、途中で状態が変わって適法ではなくなったけれども引き続き国民健康保険に加入をするというケースが現実問題としてあるのだということなんですね。
こういうことを厚生労働省は認識しているかどうか、お伺いしたいと思います。
○榮畑政府参考人 国民健康保険上の加入者資格につきましては、まず、その外国人が外国人登録を受けていること、もしくは入管法に定める在留資格があり、かつその在留期間が一年以上あることということが大前提だろうと考えておりますが、その事実把握を迅速正確に行って、国民健康保険の資格の適切な運用が進められるように世帯主には資格の取得とか変更とか喪失の際には市町村に届け出ていただくことになっておりまして、これに沿いまして資格が変わる変わらないというふうな決定を進めておるところでございます。
このため、加入していただく方に対しましては、資格の取得時とか被保険者証を更新する際などにその手続の必要性について周知を図っておるところでございますけれども、確かに、今御指摘のように、適切な手続が進められずに、本来は既に被保険者でないような方に対して被保険者証がそのままになっておるというようなこともあり得るというふうには考えております。ただし、その後で被保険者資格が喪失しているような事実が判明した場合には、さかのぼって資格を喪失しているというような取り扱いをしているところでございます。
以上でございます。
○逢坂委員 ということは、今、厚生労働省も認識をしているという答弁だと思うんですけれども、それはそれで、現実としてそうなんだということなんです。
今度は、実はこういうケースが生まれるわけです。
今までは、自治体の側ではオーバーステイになったということは必ずしも現行制度ではわからなかった。今度は、改正住民基本台帳法では、オーバーステイになれば法務省から市町村に通知が来るわけですね。通知が来れば、先ほどの話にありました、職権で住民票を削除するということになるわけですね。
でも、そうなったときに、例えば国民健康保険に入っていて、入院をされていた、医療給付を受けていたその方を、果たして人道的に、そこですぐ、はい、さようならというふうに切ることができるのかどうかということなんですね。
もちろん、ルール上はそうだというのですけれども、そこでまさに住民として暮らしている、そして国民健康保険料も場合によってはちゃんと払っている、別に犯罪的なことも、不法ということ以外にはない、オーバーステイ以外にないという場合に、本当にそういうことで機械的に、今度は市町村長に通知が来るから、じゃ、あなた、国民健康保険から抜けてくださいということがやれるのかどうか、あるいは、さかのぼって給付したものを返せということは現実問題として可能なのかどうか。
厚生労働省、このあたり、人道的観点からどう思いますか。
○榮畑政府参考人 国民健康保険に関しまして、加入できるかどうかは先ほど御説明いたしました法令上の要件に関して決定されるところではございますが、資格をクリアしないということが判明した場合には、資格喪失の決定というのを進めることになるところでございます。
具体的には、先ほども御説明いたしましたけれども、世帯主には資格の取得とか変更、喪失の際には市町村に届け出ていただくことになっておりまして、これに関して資格の異動というのを決定しているところでございます。このために、適切な手続が行われずに、本来、既に被保険者でないような方に対して被保険者証が交付されたままになっておるというようなことも確かにあり得ると思っておりますが、これに関しましては、その後、被保険者資格を喪失しているような事実が判明した場合には、遡及して喪失というような扱いになっておるところでございます。
これはもう既にそういうような扱いをしておるところでございまして、今般の法律改正によって、このような資格を遡及して喪失するというようなこと自体が生じなくなるというふうに考えておるところでございまして、今回のこの外国人というケースに関して言えば、いわば遡及喪失というケースが今後は発生しなくなるというふうに考えておるところでございます。
○逢坂委員 法改正によって今私が指摘をしたような事項というのは減っていくことであろうというふうには思うわけですが、だがしかし、現実に自治体で保険料もちゃんと納めています、まさに適切に住民としてそこで暮らしていますという方に対して、オーバーステイになった、だから遡及して保険料は戻しますけれども給付したものをこっちへバックしてくださいというのは、私はなかなか簡単にはやれないんじゃないかなというふうに思うんです。
この点は、やはり何らかの配慮が必要ではないかというふうに思うわけです。特に、制度の切りかわりのときにこの問題が発生すると思うんですね。今度は明らかにオーバーステイであるとかなんとかという方はわかってくるわけでありますので、それを放置しておくと、多分、自治体の現場は相当に混乱をするのではないかというふうに思いますので、この点は厚生労働省の方で何とかしていただきたいということを指摘しておきたいと思います。
そこで、法務省に、通告はしていなかったんですけれども、もしお答えになれればお答え願いたいんですが、今厚生労働省は、今後は、法改正後は今のような事例がなくなる、すなわち、在留資格に変更があった場合には法務省から市町村へ通知が来るわけですから、なくなるというふうに言いましたけれども、その事由が生じてから、例えばオーバーステイになったというような事由が生じてから、いろいろな事由があるでしょうけれども、在留資格が変更になってから市町村に通知があるまでの期間、いわゆるタイムラグ、事由が生じてから通知が来るまでの期間というのはどれぐらいだというふうに見込んでおりますか。これは通告していなかったので、もし今答えられればお願いしたいと思います。
○高宅政府参考人 お答えいたします。
何日というのはちょっと決まっていないんですが、現行の外国人登録法で申し上げれば、在留期間の更新や在留資格の変更等があった場合には十四日以内に届け出るということになっているわけでございます。これを本人は入管に出るのと市町村に出るのと両方するのを、入管だけで済ますようにするということから入管が通知するんですが、これについては可能な限り速やかにということで、日数がどのぐらいかかるかというのはちょっとできておりません。
○逢坂委員 今、答弁が、私が言ったことと若干違う分野の話をされたんじゃないかなと思うんですが、いずれにしても、新制度になっても市町村に通知されるまでタイムラグがあるわけですね。
そうなりますと、改めて厚生労働省に言っておきたいと思うんですけれども、新制度になっても遡及をせざるを得ないような状況というのは生まれる可能性があるんだということなんですね。だから、それを全部救わないで、それはやはり市町村でございますよというのはトラブルのもとかなというふうに思いますので、ぜひその点は御留意いただきたいなというふうに思います。
それと、これも法務省に通知していなかったんですけれども、今回の、これは住基法ではないのかな、入管法の規定になるのかな、市町村長が、外国人住民に関して情報に変更があった、住所が異動になったときに法務省に通知をする規定になっていますね。これは入管法の六十一条の八の二ですか。この規定ですけれども、これは自治事務になるんでしょうか、それとも法定受託事務になるんでしょうか。もしおわかりになれば。
○高宅政府参考人 お答えいたします。
自治事務と考えております。
○逢坂委員 そこで、総務省にお伺いするんですけれども、今回の住民基本台帳法の制度変更は、基本的には住民基本台帳は自治事務だということですけれども、先ほども寺田委員の質問にも多少ありましたけれども、今回、自治体は相当な負担を強いられるのかなというふうに思います。
一つは住基台帳システムのシステム変更、これは相当にエネルギーを要するのだろうというふうに思います。それからもう一つは、法が施行になってからの実際の事務の上で、これもこれまでにないパターンの住民票を幾つか用意しなければならないわけですし、それから、法務省から通知を受ける、法務省に通知をするというようなこともやらなきゃならないわけですね。
だから、イニシャルコストとランニングコストについて、私は、幾ら自治事務だとはいえ、自治体に負わせるのはいかがなものかというふうに思うわけですが、この点について、総務省、いかがですか。
○久元政府参考人 まず、今回の制度改正に伴いまして市町村に生ずる負担についてどう考えているかということでありますけれども、当然のことながら、外国人登録原票が住民票に移行するということになりますので、この移行に関する事務負担というものはかなりのものに上るというふうに思っております。
その点につきましては、私どもも、例えば、必要な仕様を開発いたしまして、これを市町村に標準仕様として提供することができないかといったようなことを考えたいと思っております。移行については、必要になる費用の地方財政措置を含めましてきちんと手当てをしていきたいと思っております。
ただ、この制度が、施行後、軌道に乗りましたら、現在、外国人登録制度と住民基本台帳制度の両方を市町村は所管しておりますけれども、これは制度の事務処理の内容とか手続がかなり違います。住基台帳制度につきましては住基ネットを含めオンライン化が進んでおりますけれども、外国人登録制度につきましては基本的には紙のやりとりになっております。そういうことからいいますと、施行後は市町村の実際の事務というものにつきましては相当程度簡素効率化が図られるのではないかというふうに考えておりまして、いずれにいたしましても、この移行に伴う費用と事務負担につきましては、私どもは万全の対応をさせていただきたいというふうに思っております。
○逢坂委員 移行に伴う費用については万全の対応をということでございますけれども、実際の運用に当たっても、予期しないことが生まれることもあるかと思いますので、その場合にはぜひ何らかの対応を考えていただきたいということを一つお願いしておきます。
それともう一つ、住基カードでございますけれども、住基カードというものがある一方で、現在、国においては社会保障カードというようなものも検討されているというふうに聞いておりますが、この住基カードと社会保障カードの関係について総務省では現在どのように考えているのか。これは二重投資になったり、私の財布の中にクレジットカードやいろいろな電器店のポイントカードが何枚も何枚も入っているんですが、そういうことにならないように、社会保障カードと住基カードの関係について今どのようなことを考えているか、お伺いいたします。
○久元政府参考人 社会保障カードにつきましては、これはまだ仮称でありますけれども、厚生労働省に検討会が設置をされまして、去る四月三十日に報告書がまとめられております。
これはまだいろいろな課題がある、その課題に対しまして幾つかの方向性も示されておりますけれども、その中で住基カードについても一定の記述がなされておりまして、「住民基本台帳カードの利用については、既存のICカードや市町村が有するカードの発行基盤を利用することで費用対効果に優れた仕組みとすることが可能」だというふうにされております。
私どもはこの検討会にオブザーバーとして参加させていただいたわけでありますけれども、まだまだこれは社会保障カードサイド、つまり厚生労働省サイドで検討すべき課題があると思いますけれども、これが実現される暁には、社会保障カードと別個に住基カードが存在する意義というのは必ずしもないのではないか。つまり、将来的にはカードとして一本化するということが十分あり得るのではないかと思っておりますし、そういう方向でこの検討に参画させていただきたいと思っております。
○逢坂委員 将来的には一本化するということでありますけれども、それが多分原則なんだろうというふうに思います。
片やその一方で、情報がすべて集約されるということに対するある種の懸念もあるということも考え合わせながらやらなきゃいけないということで、これは結構難しい問題だなというふうに思いますので、慎重に、十分な検討をされることを望んでおきたいと思います。
最後に、総務大臣、きょう私が幾つか話をさせていただきましたが、今回の法改正は、私は、ある一定程度の前進だというふうには思っておりますけれども、でも、抜け落ちの部分がやはり幾つかあるという指摘をさせていただきました。しかも、その抜け落ちが、困るのはだれかというと、それは総務省でもないんです、法務省でもないんです、困るのは実は自治体の現場であり、まさにその御当人が困るという案件が幾つかあるわけです。しかも、それは人道上の観点から見ても、これはちょっと幾ら何でも厳しいんじゃないのというようなところもあるようにも思うんです。
だから、私は、この原案について基本的には了としながらも、もうちょっと配慮が必要なのではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○鳩山国務大臣 国際化がさらに進めば新しい法制も考えられるかもしれませんが、今、質疑応答を聞いておりまして、つくづく思ったことがあります。
それは、私も法務大臣経験者でございますから、まだ十一万以上いると言われる不法滞在者には厳しく対処して退去強制処分にしていかなければならない、特別な配慮すべき事情があれば別ですが、不法滞在者は減らしていかなければならない。我が国は移民という政策はとっておりませんから、そこはきちんとやらなければいけないだろうと思っております。また、適法に滞在する方々にはできる限り行政サービスを充実していかなければならない、そのための住基法の改正であると考えております。
ですが、逢坂先生御指摘のように、境目に当たる部分がある。例えば、健康保険の保険料を払っておった、雇用保険の保険料も払っておった、何らかの事情で病気になった、あるいは失業して雇用保険のお金を受け取って、しばらくたったら、あなた、オーバーステイだよ、在留期限が切れたから不法滞在になったというようなときにどうするかというのは、やはりこれは友愛の政治で、できるだけ市町村が温かく対応できるようにすべきだと私は思います。
○逢坂委員 ぜひ友愛の政治でお願いしたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございます。
○赤松委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
住基台帳法についての質問をさせていただきます。
今回の住基法の改正案では、これまで日本国民だけを対象にしていました住民基本台帳法の中に、中長期の在留者や特別永住者など、一定の範囲の外国籍住民を加えることになります。これは、外国籍住民の方にとっても地方自治体にとっても必要な措置であります。
しかしながら、今回の改正案では、入管法の改正案とリンクをして、外国人管理の面が押し出されているわけです。その点について質問をしたいと思っております。
法改正では、外国人住民の利便の増進及び市町村等の行政の合理化を目的として、外国人住民を住民基本台帳法の適用対象に加えるとしております。これまで、自治体は外国人住民の情報を法定受託事務であります外国人登録に基づき取得してまいりましたが、入管法等の改正によりまして外国人登録制度が廃止となり、今後は自治体のみずからの業務の自治事務として外国人住民を住民基本台帳に記載することになります。
しかしながら、外国人住民基本台帳は、新たな在留管理制度に関する提言におきましても、把握した正確な情報を不法滞在者、不法就労者対策を含め出入国管理行政に有効に活用する手段として新たな在留管理制度の中に組み込むものとなっております。
そこで、質問いたしますが、住民基本台帳法の三十条の五十、外国人住民に係る住民票の記載の修正等のための法務大臣からの通知に基づいて、市町村の長は外国人住民基本台帳からの削除、消除を行うということになるのか、この点を確認させてください。
○久元政府参考人 今回の改正案の第三十条の五十の規定によりますと、法務大臣は、入管法及び入管特例法に定める事務により外国人住民の住民票記載事項に変更があったこと等を知ったときは、遅滞なくその旨を住所地の市町村長に通知しなければならないこととされております。
在留資格の取り消しがあった場合にはこの通知がなされることになります。この通知を受けた市町村長は、当該外国人住民の住民票を職権で消除するということになるわけでございます。
○塩川委員 在留資格取り消しの通知があり、長の職権で消除するということになるわけです。
この法務大臣からの通知は、総務省の外国人台帳に関する懇談会の資料などでも、在留期間を超えて滞在する外国籍住民の方の住民票を一律に消除することを予定していることが示されています。現に居住しているにもかかわらず、各種の行政サービスから一律に排除されてしまうことになる。
大臣に伺いますけれども、このような行政サービスからの排除というのは、自治体の範囲内に住所を有する住民として外国籍の方がいらっしゃったとしても、そういった方をも含めて排除することにもなる。そういう点でも、地方自治法や、あるいは住民の利便の増進を目的にした住民基本台帳法、また国際人権規約等の規定に反する行いになるんじゃないのか。その点について、大臣のお考えをお聞かせください。
○鳩山国務大臣 先ほど逢坂先生の質問の最後にお答え申し上げましたように、これは、法務省としては、不法残留者がまだ大変数多いということがございまして、不法滞在には厳しく退去強制をしなければならない、しかし、適法に滞在している方にはできるだけ多くの行政サービス等人権、人道上も充実したサービスをしなければならない、そういう思想に基づいているものだと思っております。
法務省では入管法に基づいて一元管理をするわけでございますから、したがって、オーバーステイというか、在留資格がなくなったとかということがわかれば、それを住所地の市町村長に通知しなければならないという規定になっているわけでありましょうから、それは市町村長が外国人住民の住民票を職権で消除することになるんだと思っております。
ですが、先ほど申し上げたようなケースがあるのではないか。そういう場合には、市町村長も、全く機械的に処理するのではなくて、そこに友愛というか愛情を加えて処理するということもあるのではないか。こういうふうに申し上げているわけです。
○塩川委員 現行の入管法の枠組みでは機械的にという対応になるわけで、結果として自治事務が法定受託事務としての国の在留管理の事務に従属するような仕組みになっているんじゃないのかということが問われているわけです。
本来、外国人の住民基本台帳制度というのは、当然のことながら、行政サービスの提供の基礎となり、外国人住民の方への行政サービスの目的のために利用されるべきもので、この制度を新たな在留管理強化のために利用するべきではないと率直に申し上げるものです。
その上で、対象範囲の問題についてお伺いします。
外国人登録はすべての外国人を対象としていましたけれども、住民基本台帳の適用の場合には四つの類型になるわけです。在留カードの交付対象者、特別永住者、一時庇護許可者または仮滞在許可者、出生による経過滞在者または国籍喪失による経過滞在者に限定をしているわけですけれども、ここに限定をする理由は何かについて総務省からお答えいただけますか。
○久元政府参考人 今回の、外国人住民を住民基本台帳の対象とする場合に一定の外国人住民を対象としているということの理由は、住民基本台帳制度の目的からくるものと考えております。
すなわち、住民基本台帳制度は、市町村長が住民の居住関係を公証するということが大きな目的になっておりますし、また、事務処理の基礎として住民に関する記録を正確かつ統一的に行う、こういう目的を持っているわけであります。そういう目的からいたしますと、その対象はやはり適法に我が国に在留する外国人にすることが適当であると考えたわけであります。
また、この考え方は、規制改革推進のための三カ年計画、これは平成二十年三月二十五日の閣議決定でありますけれども、この閣議決定では、外国人登録制度を見直して適法な在留外国人の台帳制度に改編するという方針が政府全体の方針として示されておりまして、そういう閣議決定を踏まえまして、観光目的で入国した短期滞在者等を除く、適法に三カ月を超えて在留する外国人を適用対象としているということでございます。
○塩川委員 国際人権規約などでの医療、社会保障を受ける権利等を踏まえて、やはり在留資格を有しない外国籍住民であっても基本的人権は原則として尊重されるべきで、この住民基本台帳の対象からの排除というのがこういう権利を侵害するものになり得る。そういう点でも、在留資格を有しない外国籍住民であっても、住民としての生活実態がある以上、自治体が住民基本台帳に記載することを可能とするような制度設計であるべきではないかと考えますが、この点についてはどうでしょうか。
○久元政府参考人 住民基本台帳制度の目的は先ほど御答弁を申し上げたとおりでありまして、その対象は法律において明確に定められるべきであるというふうに考えられます。
また、このことは、実際に実務を担当する立場からも、先ほど御答弁を申し上げましたけれども、懇談会に参加された自治体関係者からの意見としても多数出されたところでありまして、私どもは、この制度の趣旨、考え方、また実際に実務を行っていく市町村の立場ということも考えまして、このような対象範囲を明確に定めているというところでございます。
○塩川委員 住民としての生活実態がある外国籍住民の立場に立った制度がそもそも求められているということを強く求めておくものであります。
また、この点で、不法滞在の関係でも、現時点で不法滞在をされていても、後に難民認定や特別在留許可となって適法となる場合も少なくありません。
難民認定申請者のうち、不法が八百六十六人、適法な仮滞在許可者はわずか五十七人ですけれども、後に難民認定される外国人も少なくありません。難民とは認められなかった七百九十一人のうち、特別在留許可などで在留を認められる人も三百六十人もいると承知をしています。
退去強制手続にある仮放免の許可者の方はその後在留特別許可を受ける場合も多いわけですから、その点でも、この仮放免許可者が住民基本台帳の記載の対象とならないという仕組みはやはり改めるべきじゃないのか。仮放免について、住基台帳上も加える、そういう制度設計というのが必要なのではないかと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○鳩山国務大臣 一般的に仮放免とは、不法滞在者が退去強制手続に入っておって、入国管理局の施設に収容されていて、ただ、出国準備のため一時的に身体の拘束を仮に解く制度というふうになっているわけです。そういう場合には、仮放免となっても不法滞在者であることには変わらないので、退去強制されるべき地位にあることは確かですから、住民基本台帳の対象とすることは適当ではないというふうに思います。
しかしながら、仮放免となった者が難民認定申請手続を希望していく、そして短期滞在を認められるというようなことになれば、これは住民基本台帳法の対象になると思いますし、特別在留許可を求めていく場合は、これは許可が出なければたしか対象にはできないかと思いますが、その辺は、法務省の方で把握した情報を適宜市町村に小まめに連絡して、どういう状況であるかということを市町村に知らせる必要があるのではないかというふうに思います。
○塩川委員 難民認定の申請中の方ですとか在留特別許可の申請中の方で結論が出ていない方がたくさんいらっしゃる。そういう人たちを行政サービスから排除するようなやり方というのは人道上問題があると思います。
法務省に一点伺いますけれども、そもそも、こうした日本の難民認定について自由権規約委員会から意見がつけられているわけです。難民認定率が低いままである、認定手続にしばしば相当な遅延があり、その期間に申請者は働くことができず、社会的な支援が限定されていることを懸念すると指摘をされているわけですけれども、こういった現状を放置したままで、管理強化だけを強めるようなやり方でいいのかがまさに問われていると思うんですが、法務省としてはどのようにお考えですか。
○高宅政府参考人 お答えいたします。
まず、難民認定を申請されている方につきまして、その立場は、先ほども申し上げましたとおり、半数の方は在留資格がある間に申請されておりまして、この場合には、一定の期間がたちますと大体就労を認められております。
問題は、多分御指摘の点は、完全な不法滞在の状態で申請されて、かつ、その後仮滞在許可の対象にならなかった、要するに、逃亡のおそれがあるとか、あるいは安全な第三国を通っていることから難民としての保護の可能性が低いとか、そういう方であろうと思います。
そういう意味では、本当は、不法滞在ということからいけばやはり退去強制の対象でございますので、そういう人たちについては退去強制手続の中で収容していくというのが原則でございます。先ほど大臣がおっしゃられましたように、その収容の中で、特に出国の準備のためであるとか、あるいは荷物の整理であるとか、いろいろな事情がございますが、仮放免がなされているということでございます。
ただ、いずれにしましても、難民認定手続に時間がかかっているというのは先ほど申し上げたとおりでございますので、この点については、先ほども申し上げましたとおり、最大限の努力を払って早めていきたいとは考えております。
○塩川委員 平均で二年という話が逢坂委員の方からありましたけれども、そういった中での生活をどうしていくのか、そこに対しての権利保障などについてまさに問われていることだと思っています。
委員長に要望ですけれども、この住基法の審議に当たりまして、この委員会で当事者であります外国籍住民の方の参考人質疑をぜひ具体化をしていただきたい、この点をお諮りいただきたいんですけれども。
○赤松委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○塩川委員 最後に、日系人離職者に対する帰国支援事業について厚生労働省に伺います。
現下の厳しい再就職環境のもとで再就職を断念し帰国を決意した人に対して、一定額の帰国支援金を支給するという制度ですけれども、その際に、なお書きがありまして、「入管制度上の措置として、支援を受けた者は、当分の間、同様の身分に基づく在留資格による再入国を認めないこととする。」とあります。
当分の間再入国を認めないというやり方に、もう帰ってくるなと言っているのかという批判の声も上がっているわけで、なぜ再入国を認めないのか、当分の間というのはどのくらいの期間なのかについて、厚労省からお答えをお願いします。
○岡崎(淳)政府参考人 帰国支援事業でございますが、これは単なる一時帰国を支援するということではなくて、先生からも御指摘ありましたように、現下の厳しい雇用情勢のもとで日本で再就職することを当面断念して帰国される、これを支援するというものでございます。
そういう状況のもとで、国の施策として支援するわけでありますので、やはり現下の雇用情勢が続く限りにおきましては、戻ってこないということを条件にさせていただいている。その際、当分の間としましたのは、経済雇用情勢の状況を見ながら判断する必要があるからということでございます。
ただ、そういっても、どのくらいのめどかというような御批判もございましたので、この点につきましては、本事業開始から原則として三年をめどとしつつ、今後の経済雇用情勢の動向等を考慮して見直しを行う、こういう考え方も明らかにしておりますし、これはハローワーク等でもきちんと説明して、どうも当初は、将来全く帰ってこられないというような誤解を生じさせた面もあったし、それを前提とした報道もされましたけれども、そういう誤解がないようにきちっと説明しながら運用していきたい、こういうふうに考えております。
○塩川委員 まずは原則三年で、雇用情勢の変化を踏まえて対応ということですから、場合によると二年の場合もあるし、四年の場合もあるということでしょうか。
○岡崎(淳)政府参考人 御指摘のとおり、経済雇用情勢を見ながら判断したいというふうに思いますが、一応、現段階におきましては、三年をめどとして見直しを行うということを考えているということでございます。
○塩川委員 日系外国人の方は、一九八九年の入管法改正を機に、国内において制限のない在留資格になる。そういう中で、当時の人手不足の中、製造業などで、まさに今の日本の経済を支えているような自動車や電機などのそういう製造業の現場で就労を担ってこられた、日本の経済あるいは地域社会を支えてきた方々であります。
そういった方々に対して、今回の場合について、仕事が減ったから帰っていいですよ、仕事が減っている間は帰ってこなくていいですよという枠組み自身は余りにも冷たい仕打ちじゃないのか。こういうやり方というのは抜本的に見直すべきだということを改めて要求します。その点についてお答えいただきたい。
○岡崎(淳)政府参考人 日系人の離職者の方への対応につきましては、私ども、ハローワークにおきまして、再就職の支援、あるいは、日本語がしゃべれないがために再就職が困難な方も相当おられますので、その方々のための日本語研修等も今般始めております。そういったような形で、今後も日本で働く希望をお持ちの方につきましては、これは十分に支援していくという考え方。
一方で、本人の選択で帰国をしたい、ただその場合に帰国費用その他の面で難しいことがあるという方を支援するということでありまして、政府の方針として、その方々に帰国を強制するとか促すとか、そういう趣旨のものではございませんので、その点誤解がないように今後とも対応していきたい、こういうふうに考えております。
○塩川委員 再入国制限についてはぜひ見直していただきたいということを申し上げて、質問は終わります。
○赤松委員長 次に、重野安正君。
○重野委員 社会民主党の重野安正です。
きょうも最後の質問になります。質問の内容について重複する部分があるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。
まず、今回の改正、特に外国籍住民を住民基本台帳法の適用対象に加える、このことについて、事前にいろいろな意見の聴取が行われたと思います。
その中で、特に直接の当事者になる外国籍住民、さまざまな背景があると思うんですが、そういう方々から広く意見聴取を行うべきだったと私は思うし、この外国籍住民にいろいろな意味でかかわり、あるいは関心、あるいは援助をしておるNGO、いろいろな団体がありますけれども、そういう方々の意見がどのように反映されてきたのかという点について、まずお伺いいたします。
○鳩山国務大臣 幅広くとまで言えるかどうかはわかりませんが、昨年の四月に総務省と法務省が共同で、このときは外国人台帳制度という名前でしたが、外国人台帳制度に関する懇談会を開催して、その中で、中国、韓国・朝鮮及びブラジル関係の外国人有識者の方から意見を伺っております。中国は段躍中さんで、日中交流研究所所長でございます。それから、金両基さん、これは元静岡県立大学の教授で、評論家でございます。李洙任さん、龍谷大学経営学部の教授でございます。田中アルシデス・ヒデオさん、豊橋ブラジル協会の会長でございます。そういう有識者の方々からは御意見をいただいておりまして、日本人と同様の扱いとなって新たな差別を生まないように配慮してほしい、ワンストップ化など利便性の向上につながることは大いに結構であると。これは住基カード等が想定されているかと思います。
物すごく幅広く意見を聞いたかと言われると、それほどの自信はありませんが、外国人や関係団体からの御意見もかなり聞いてきたようでございます。
○重野委員 今の大臣の説明の中で、意見を開陳された方々というのは、言うならば有識者という階層の方だと思うんです。問題は、この制度のもとで暮らす外国人ですね。
この国の少子化傾向というのは、反転上昇ということに出生率はなかなかなっていない。高齢化がどんどん進んでいくとなってくると、勢いこの国の現場におけるマンパワーというのはやはり相対的に縮まってくるんだろう。そういうことがこの間のこの国における外国人労働者の増大のバックグラウンドにあるんだろう。労働政策も規制緩和の中で非正規雇用がふえる。こういう方々というのは、大部分はそういう層の方なんですね。だから、この国の今置かれている状況の中で、外国人労働力というのはある意味では当てにしなければならない部分なんです。それを通してこの国に貢献をしている。何をもって日本に来るのかという個々人の事情の違いはありますけれども、結果論を申しますと。
そういうふうな位置づけをするときに、私は、この法制上における外国人の扱いというものを、もっと考えていかなければならない要素があるのではないかと思うんです。そこから出発をして仕組みが組み立てられていくという、その出発点、この間のこの国における外国人労働者に対する対応という点についてはちょっと足らざる部分があるという印象を持つわけですね。その点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
○鳩山国務大臣 国際化が進展をしておりますので、日本に見える外国人も多種多様で、職業も違えば、日本に来る理由も違えば、日本で働く職場もまた多様なんだろう、こう思います。先ほど私が申し上げた四人のお名前というのは、いわば有識者でありエリートなのかもしれない。
そういう意味では、今後この法律を運用していく中では、さまざまな外国籍の方から意見を聞いて、例えば、この住民基本台帳法を改正してよくなったか、あるいは逆に不便になったことがあるか、そうした点を取材して、意見を取り入れて今後に生かすという必要はあるのではないか、そういうふうに思います。
○重野委員 ぜひ、とらえ方をちょっと切りかえるべきだろうと思うし、そこら辺はさまざまな切り口を通して検討してもらいたいということを要請しておきます。
今回の法改正では、これまで法定受託事務でありました外国人登録法にかわって、自治事務としての住民基本台帳事務になります。
地方自治法第十条一項の「市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。」という定義。さらに第二項に、「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。」そういうふうに書かれております。
したがって、この制度の変更を通して、今申しました地方自治法の精神でいえば、住民であるかどうかは自治体が実態をもとに判断すべきことだと考える、そういう方々に対する人間としての配慮、サービスというものの出発点はそこにあるんだろうというふうに私は理解するんですが、その点について、大臣、いかがでしょうか。
○鳩山国務大臣 確かに地方自治法第十条は住民について規定をしているわけでございます。したがって、外国籍の方を住民としてどのように認め、扱うかという問題であろう、こう思っております。
住民基本台帳制度は、住民の居住関係の公証その他住民に関する事務の処理の基礎となるものでございまして、住民に関する記録を正確かつ統一的に行うための制度でございます。したがいまして、こうした制度の趣旨から、住民基本台帳制度の対象に加える外国人住民については、観光目的などいわゆる短期滞在者を除いて、適法に三カ月を超えて在留する外国人住民にしたわけでございまして、これが比較的合理的な判断というふうに考えております。
○重野委員 わかりました。
そこで、今回のこの法案を見ますと、第三十条の五十で法務大臣の市町村長への通知を義務づけている。一方、入管法の改正案では、市町村長から法務大臣への通知が義務づけられている。
問題は、今大臣に十条の一項とか二項という問題を申し上げたんですが、そことかかわってくるわけです。つまり、それを超えた形で法務大臣の指示というか処分がなされる、こういうことになる可能性が大きい。結果的に、自治事務たる住民基本台帳事務が在留管理という国の事務に従属するかのようになっていくのではないか、こういうふうに私は危惧をするのでありますが、そういう点についてどのようにお考えでしょうか。
○鳩山国務大臣 今回の法改正は、いわゆる在留管理という法務省がやっておりますことの制度変更をして、一元的に法務省が日本に滞在する外国人を管理する、それで、在留カードというものを発行する、それから、従来の外国人登録にかえて、適法に三カ月以上滞在する外国人を住民基本台帳に記載するということでございます。
したがいまして、法務大臣が一元的に持っておりますいわゆる入管の情報、在留管理の情報というものと、市町村の住民基本台帳というもののお互いの情報のやりとりを最小限きちんとやっていこうということでございます。
ですから、自治事務である住民基本台帳の事務が在留管理という国の事務に従属するというふうには私は考えません。
○重野委員 質問がまたもとに返るんですけれども、そういうことがあっても、実際各自治体はそういう方々に対して、そこに住んでいるがゆえのサービスは今までずっとやっておったんです。それが、今後は、法務省から、そういう手続が遅れている、いわゆるオーバーステイなんかになった場合には即刻消されるわけです。そうなると、そういう方々は、今までは地方自治体のサービスを受けられていたのに、今後はそれが不可能になる。言うならば、そこに住んでいるというあかしが消されるわけですね。そういうふうなことにいく。
中には、全く悪意はない、ところが、日常の生活に追われて、それがついつい忘れるというかやられていなかった。あるいは、私は地方の入管局というのが全国に幾つあるのか、例えば、私は九州、大分ですが、もしそれが起こったときにその方はどこに行ってどういう手続をするのかということを知らないんですけれども、入管局に行くということだけははっきりしておるんですね。
このあたりはどのように配慮をされているのか。期限が切れていると即処分というふうになるわけですが、そこのところはどういうふうに理解したらいいんですか。
○高宅政府参考人 お答えします。
九州地区でいいますと、大体県庁所在地には入国管理局の出張所を設けております。福岡県はほかに空港とか港とかにございます。
入管局の手続につきましては、各出張所で、在留期間の更新であるとか在留資格の変更とか、そういう手続を在留上行っていただいている、それは在留期間内にやっていただくということにしております。
○重野委員 そこで、いわゆるオーバーステイの問題について聞きたいと思うんです。
そもそも、住民基本台帳は、住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とするものであります。それが事実上入管法のもとに組み込まれていくことになるわけですね。そのことに私は疑義を感ずるわけです。
現在の外国人登録制度では、いわゆるオーバーステイなどの非正規滞在者、つまりもう期限が来ているのに手続をとっていなくてまだそこに住んでいるという方々も対象にして、教育であるとか母子保護などの行政サービスが今までは行われてきた。しかし、今回のこの法改正、先ほどの第三十条の五十で、この人たちは住民基本台帳から削除されることになるのではないかと思うんですが、まずその点を確認いたします。
そうなった場合、行政サービスから削除される人たちを大量に生み出すことになる、これはゆゆしき事態だと思う。ちなみに、調べてみますと、オーバーステイと言われる方々が十万とも二十万とも言われるという現実が一方にあります。そこら辺についての答弁を求めます。
○久元政府参考人 今回の改正案の第三十条の五十の規定に基づきまして法務大臣から在留資格の取り消しの通知があったときには、市町村長はその外国人住民に係る住民票を消除するということになるというふうに考えております。
そこで、この消除された外国人住民の方の行政サービスに対する考え方でありますけれども、各種の行政サービスの対象範囲はそれぞれの法律、法令によりまして定められております。例えば義務教育、助産施設における助産や結核予防のための健康診断などは、不法滞在者もその対象とされているものであります。
住民基本台帳に記録されない方でありましても、従前よりそういう行政サービスの対象とされているものにつきましては、引き続きその対象になると承知しておりまして、今回の法改正はこれらの対象範囲を変更するものではないと考えております。
○重野委員 あと二点通告しておったんですが、質疑時間が終了したということでありますのでやめますけれども、国際化という言葉、私たちは軽く使っている嫌いがあります。
国際化とは何か。この国が、いろいろな事情でこの国に滞留する外国人に対して、本当に日本人と同じような目線でとらえて、そしてそういう人たちが働いて、今言うように、逐年この数はふえているわけですから、しかもそういう方々がこの国の産業の相当な部分を支えているという現実があるわけですから、そういうものを受け入れて、今時代が変わりつつあるんだ、まさしく国際化という言葉にふさわしいそういう国のありよう、あるいは対応を私は強く求めたいと思います。
今後、そういう方向で十分検討されますことを期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時七分散会