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参議院会議録情報 第171回国会 総務委員会 第23号

平成二十一年六月三十日(火曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十九日
    辞任         補欠選任
     林 久美子君     相原久美子君
     仁比 聡平君     山下 芳生君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         内藤 正光君
    理事
                加藤 敏幸君
                高嶋 良充君
                長谷川憲正君
                河合 常則君
                二之湯 智君
    委員
                相原久美子君
                大島九州男君
                加賀谷 健君
                行田 邦子君
                武内 則男君
                外山  斎君
                平田 健二君
                吉川 沙織君
                礒崎 陽輔君
                世耕 弘成君
                谷川 秀善君
                中村 博彦君
                吉村剛太郎君
                魚住裕一郎君
                弘友 和夫君
                山下 芳生君
                又市 征治君
   衆議院議員
       修正案提出者   森山  裕君
       修正案提出者   黄川田 徹君
       修正案提出者   原口 一博君
   国務大臣
       総務大臣     佐藤  勉君
   副大臣
       厚生労働副大臣  大村 秀章君
   事務局側
       常任委員会専門員
                高山 達郎君
   政府参考人
       総務大臣官房総括審議官
                岡崎 浩巳君
       総務大臣官房審議官
                田部 秀樹君
       総務省自治行政局長
                久元 喜造君
       総務省情報通信国際戦略局長
                小笠原倫明君
       総務省情報流通行政局郵政行政部長
                吉良 裕臣君
       法務大臣官房審議官
                高宅  茂君
       財務大臣官房審議官
                古谷 一之君
       文部科学大臣官房審議官
                前川 喜平君
       文部科学大臣官房審議官
                戸谷 一夫君
       厚生労働大臣官房審議官
                伊岐 典子君
       厚生労働大臣官房審議官
                榮畑  潤君
       厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長
                岡崎 淳一君
       厚生労働省政策統括官
                間杉  純君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○住民基本台帳法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────

○委員長(内藤正光君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、仁比聡平君及び林久美子君が委員を辞任され、その補欠として山下芳生君及び相原久美子君が選任をされました。
    ─────────────

○委員長(内藤正光君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 住民基本台帳法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、総務省自治行政局長久元喜造君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(内藤正光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────

○委員長(内藤正光君) 住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○加賀谷健君 御苦労さまです。
 民主党・新緑風会・国民新・日本の加賀谷健でございます。
 初めに、佐藤新大臣に対しまして、まさに御就任おめでとうございます。というよりも、本当に御苦労さまと申し上げたいと思います。
 これまでも国家公安委員長、内閣府特命大臣として全身全霊を傾けられてこられたと思いますが、それに加えて総務大臣ということで所管が八つ、担当委員会が五つとなるそうで、すべての所管に遺漏がないよう目配りするとなると聖徳太子以上の能力が求められるのではないかと心配をしております。しかし、佐藤大臣は総務分野のエキスパートとも伺っておりますので、自民党最後の総務大臣に対し遠慮なく質問させていただきたいと思っております。
 本題の住基法の改正案に入る前に、まず一つお尋ねを申したいと思います。
 今回の総務大臣の交代は、日本郵政の社長人事をめぐり異例な形で行われました。この件につきましては二十五日の当委員会でも議論がありましたので直接は触れませんが、鳩山前大臣は麻生総理から日本郵政社長の後継リストを受け取ったことを明らかにしており、総理もそれを認めた上で不快感を表明したと報道されています。
 さて、つい先日、公文書等の管理に関する法律案が成立をいたしました。この法律案は、海上自衛隊補給艦「とわだ」など三隻で航海日誌が破棄されたり、薬害C型肝炎の資料が厚生省の地下室に放置されていた問題をきっかけに、行政文書を中心とする公文書の管理と保存の規定を定めたものと伺っております。
 そのベースとなるのは情報公開法です。情報公開法の目的は、政府の国民に対する説明責務を明らかにし、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進をすることにあると承知しております。しかし、情報公開法がどんなに高邁な理念を掲げても、その公開すべき行政文書や公文書がきちんと保存、管理されていなければ意味はありません。
 アメリカでは、大統領記録法により、大統領の記録は大統領個人のものではなく、所有権や管理権は合衆国にあることが明記され、保存のルールも細かく定められております。これらの記録は政権終了後五年後から、プライバシーに関するもので最長十二年後には情報公開法に基づく公開の対象となります。このため、携帯メール中毒と言われたオバマ大統領は、就任後、携帯の使用を大幅に制限されたことは報道でも御承知と思います。
 そこで、大臣にお尋ねいたします。我が国において、総理や閣僚、一般公務員を含む行政文書の所有権、管理権はそれぞれの個人にあるのでしょうか、あるいは国にあるのでしょうか、お伺いをいたします。

○国務大臣(佐藤勉君 行政文書の要件につきましては、情報公開法第二条第二項で、行政機関の職員が職務上作成、取得したものであって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものと定義をされております。このように、行政文書につきましては行政機関が保有していることが要件とされておりまして、管理権は当該行政文書を保有する行政機関にあるものと思われます。

○加賀谷健君 分かりました。
 それで、公文書法の前提となる情報公開法では、行政文書の定義について、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいうという。
 これ実は、私の質問主意書に対して行政機関の職員には総理大臣や国務大臣も含まれると答弁をいただいております。また、本年六月十七日の私の事務所からの電話での問い合わせに対して、内閣官房公文書管理検討室は、くだんの総理大臣から鳩山大臣への書簡も組織的に用いられた行政文書となり得ると回答をしています。
 そこで、現在、総務省として、麻生総理からの後継リストの文書についてはどのように保管管理されているのか、管理規則等を踏まえながらお答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(佐藤勉君 御指摘の文書につきましては、麻生総理から前総務大臣あてで個人的に出された手紙と伺っておりまして、そのような私信といいますか、私の私信については、総務省の文書管理規則上、行政文書には該当しないものと理解をさせていただいております。
 いずれにいたしましても、当該文書を実際に見たことがございませんので、ちょっとこれ以上、私からお答えをすることは差し控えたいと思います。

○加賀谷健君 前段で申し上げましたように、メールも公文書という位置付けがされているということからすれば、まさにこの文書は公文書として私は総務省が保管をしていなければならないのではないかなというふうに思います。
 過日の二十八日のテレビ朝日系サンデープロジェクトの中で、鳩山さん自身は自分の机の中にあるというふうなことを述べているようでございますけれども、確かに文書は存在しているわけですけれども、これはそういうことでいえば総務省が管理をしていなければならないのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(佐藤勉君 何回も答弁で恐縮でございますけれども、実際に私、目にしたことがないものですから、これ以上のちょっとお答えはできないということでございますので、御勘弁をいただきたいというふうに思います。

○加賀谷健君 まだまだ日本ではこういう部分ではなじみがないといいますか、制度化がはっきりされていないわけでありますけれども、やはりせっかくこういう法律もできたわけでありますので、是非そういう部分でのこれからの検討といいますか、管理ということをやっていただきたいなと、こんなふうにも思っております。
 それでは、住基カードの方へ入らせていただきたいと思います。
 今回の住基法の改正は、外国人を住民基本台帳に載せることで、転居の際の手続や住民サービスなどの面で外国人居住者の利便性が向上するとともに、自治体としても地域に居住する外国人を適切に把握できるなど、基本的には評価できる改正になっていると考えております。
 また、衆議院における審議で、入管法改正に伴う登録カードの携行義務や不法滞在者に対する経過措置等かなりの部分が前向きに修正されました。しかしながら、先日の参考人質疑でもいろいろな御意見や懸念が出されましたので、本院においてもしっかりと議論をし、より良い改正につなげたいと思っております。
 それでは、これは住基カードの部分では当たり前のような質問になるわけでありますけれども、佐藤大臣自身は住基カードをお持ちでございましょうか。

○国務大臣(佐藤勉君 大変恐縮でございますけれども、最近取らせていただきました。

○加賀谷健君 後で私も質問の中で言おうと思ったんですけれども、私もつい先日取ってきました。
 それでは、このカードの点について少しお伺いをいたします。大臣は住基カードをお持ちだということでございますけれども、これは残念ながら、多くの自治体で住基カードはそれほど便利なものじゃないというふうに評価されているようでございます。結果としていまだに普及率が二・五%と低いわけでございまして、住民が欲しいと思わないというのがそういう理由であるわけでありますけれども、必要と思わない、あるいは、実は総務省で補助金を出していながら、ただにもしない、あるいはただでも広がっていかない。これは、需要がないものは普及をしていかないというのはまさに経済のイロハのイでございます。
 しかし、本年五月十二日の衆議院の総務委員会で我が党の寺田委員が住基カードの普及の低さについてただしたのに対して、当時の鳩山総務大臣は、率直に言ってPR不足だと思うと、こういうふうに答弁をされております。本当にそれだけなのか。大臣、普及するにはどうしたらいいかと考えているか、お伺いいたします。

○国務大臣(佐藤勉君 今先生がおっしゃられましたように、もちろん鳩山前大臣がPR不足というところも十分にあると思います。それと、なかなかこのカードにインセンティブが余り感じられないというところもございまして、これをやはり持たせないとなかなか普及をしないのではないかなというふうに思います。
 とはいえ、電子申告、e―Tax等々、いろいろ活用することによってこの活用が少しずつ理解をされてきているというところもございまして、今申し上げましたインセンティブをどうこれから付けていくかということが普及の大きな課題ではないかなというふうに思いますし、一方、免許証を例えばお年寄りの方が、なくなって証明書等々で使えなくなったなんというときにはこの住基カードが非常に便利なものになるということもございまして、そういうPRということも含めてしっかりと対応していかなければいけないというふうに思っております。

○加賀谷健君 やはりせっかくの制度ですから、私はもっともっと普及をしていかなければならないんだろうと思うんですけれども、実は、先ほども申し上げましたけれども、この住基カードの無料化というのは、総務省が地方交付税で財政を支援しますよという制度があるわけですけれども、実際には五百円程度の有料で配付をしているというところもあるわけでございます。
 大臣のお住まいの、栃木県の壬生町ということでございますけれども、ここへ電話で聞きましたら、ここの壬生町も無料化ではないというようなことがございました。壬生町の場合はやはり五百円払わなければならない、大臣お取りになったんですから五百円お払いになったんだろうと思いますけれども。
 このように、なかなか浸透していかない。そしてまた、総務省からいただいた資料によりますと、東京二十三区を含む千八百自治体の中で無料化に取り組んでいるのは四百四十二自治体だけというふうに聞いておりますけれども、なぜ自治体が無料化、せっかく国から特別交付金がもらえるというのに取り組んでいかないのは何に理由があるのかと大臣はお思いでしょうか。

○国務大臣(佐藤勉君 無料化の取組については各市町村の判断ということでございまして、私も今おっしゃられましたように五百円を支払って取得をしました。
 そこで、総務省としては、住民基本台帳カードの交付手数料の無料化に取り組むという先生の御指摘にございましたようなことを支援するために、平成二十年度から三年度間に限りまして、一枚当たりの特別交付税額を千円から千五百円に増額をしております。平成二十年度の一年間で無料化をしている数は先ほどおっしゃったところでございますが、総務省としては、住基カードの便利さを幅広く広報していくとともに、この交付措置がなかなか市町村に理解されていないのではないかなというところもございますので、この辺は役所としてはしっかりと理解をさせていただいて、なるべく、ただでというのは大変恐縮ですけれども、負担の掛からないようなことでできるように指導してまいりたいというふうに思っております。

○加賀谷健君 今の制度は、前年度実績に対して一枚当たり千五百円を交付をしているというふうに伺っておりますけれども、実績がなければ交付はされてこないということ。なぜこの交付が進まないのかという、あるいは無料になっていかないのかというのは、どうも自治体にとってそれほど利点がないというか、自治体にとってみると面倒なだけというような意識があって、あえて無料化にしない、有料にして浸透しないようにしているようにしか私にはちょっと思えないんですね。
 実は私も、自分は千葉市の稲毛区というところでございますけれども、ここで住基カードをもらいがてらいろいろ市の職員にお話を伺ってまいりました。千葉市の例でございますけれども、千葉市には市民カードというのがもう存在をしているんですね。実際にはそのカードで自動機から印鑑証明あるいは住民票というのを取ることができまして、これは昭和六十三年からスタートをしているということでございまして、このカードが実は人口九十五万の千葉市民で七十三万枚ほどもう出ているということでございまして、ほとんどの市民が今住民カードを持っているということになるわけでございます。住基カードは千葉市の場合は二万四千ちょっとということで、二・六%程度、これは全国平均とほぼ同じぐらいにしか発行されていないということなんです。
 つまり、鳩山前大臣がおっしゃったように、単なるPR不足ではなくて、住民も行政側にもメリットがない、利用価値が低い、そういうカードだから普及をしない。先ほど大臣が申されましたように、免許証で身分証明書代わりに使っていたのが、七十数歳になって免許証を返上して身分証明書代わりに使おうというようなことでしか意味ないというのは、本当に大きな無駄ではないのかなと、こんなふうに思うわけでございます。
 実は二十六日のこの委員会で参考人質疑の中で、豊田市の鈴木公平さんという市長さんといろいろやり取りをさせていただきましたけれども、その市長さんも、住基カードが普及しないのはニーズがないからだと、こういうふうにはっきり述べられております。そうしたしっかりとした現状認識と将来に向けてのきちんとした計画がなければ住基カードは普及をしない、システムそのものが大変な無駄になるのではないか。
 千葉市で伺いましたら、このメンテだけでも約七千万を超える費用が年間掛かっているということでございますから、大変な費用が今この住基カードの維持管理に、住基カードというか住民基本台帳の維持管理に掛かっている、こういうふうに思うんでございますけれども、大臣にもう一度その辺に対する所感をお伺いいたします。

○国務大臣(佐藤勉君 先ほども申し上げましたように、インセンティブが余り与えられていないというところもあるのと、住基カードの住民にとってのメリットというのが先生おっしゃられるとおりなのかなというふうに思います。
 行政機関への申請そして届出の際に住民票の写しの提出が不要となるとか、年金の現況届が不要となるとか、先ほど申し上げましたようにe―Taxの確定申告等のものが可能になるとか、いろいろ与えてはいますけれども、ICチップがありますので、可能性としてはまだまだ利便性を高めるというのは十分に考えられるのではないかなというふうに思います。
 したがって、そういう可能性を高めていくことによってこれは便利なんだなというカードになれば皆さんも持っていただけるんではないかなというふうに思いますので、そういう先生の御指摘等々も含めてこれからしっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

○加賀谷健君 ちょっと私のところにある手元の資料なんですけれども、これはどういう行政がどんなサービスをしているかという、これは多分総務省さんからいただいた資料だと思うんですけれども、実際には百十三自治体ぐらいしかうまく使っていない、それも一つか二つぐらいしか使われていないということで、本当にこの使い勝手がやっぱり良くないというのが一つの理由だと思います。
 それともう一つは、あるところで聞きましたら、いやあ、国からそんな補助が出ているというのは知らなかったという行政もあるやに聞いておりますので、実はこれ、先ほど大臣がお答えになりましたけれども、二十年度から三年間ということでございますけれども、やはりこの無料化というのも大変いい面ではないかと思うんですけれども、今後この部分、今度二十二年度で、来年度で終わってしまうのか、あるいはまた続けていこうとしているのか、この辺をちょっとお伺いしたいと思います。

○国務大臣(佐藤勉君 当然、その利用の促進がままならないということならばもちろん考えていかなくてはいけませんが、これからちょっとそういうことも含めて検討させていただきたいというふうに思っております。

○加賀谷健君 これからいろんな面で、そういう電子政府、何か僕もよく分からないんですけれども、クラウドシステムとかなんとかいろんなことを今、総務省さんも機械化といいますか、電子化ということで考えられているようでございますので、これは、住民基本台帳は最初の立ち上がりといいますかスタートだと思いますので、もっともっとより良い、使い勝手のいい、そういう市町村が持っているものとの整合というのも非常に大事なんではないかなと、こんなふうに思いますので、御努力をしていただければと、こう思います。
 次に移らせていただきます。
 外国人住民の人権とプライバシーについて少しお伺いをしていきたいと思います。
 二十六日の参考人質疑でも様々な御意見がございましたが、今回の改正は入管法と関連することもあり、外国人住民の人権とプライバシーが最大の課題だと思っております。衆議院の附帯決議でも、基本的人権に十分配慮することを政府に求めております。加えて、衆議院において、法案修正で附則第二十三条に、仮放免やオーバーステイの外国人に対しても行政上の便益を受けられるよう、政府に検討と必要な措置を講ずるよう求めております。
 まず、修正提案者の方にお伺いをいたしたいと思いますけれども、政府に対して具体的にどのようなことを求めているのか、またその対応策についてお尋ねをしたいと思います。

○衆議院議員(原口一博君) 修正案提出者を代表して加賀谷先生にお答えいたします。
 この修正に当たっても加賀谷先生に大変お力添えをいただきまして、まず御礼を申し上げたいと思います。
 在留外国人に対する行政サービスの中には、義務教育や母子手帳の交付、結核予防のための健康診断など、在留資格がない者でもその対象とされているものがあります。今回の住民基本台帳法改正によってこれまで提供されてきた行政サービスの対象範囲は変わるものではないということは、衆議院の質疑において政府が答弁をしたところでございます。
 一体住民とはだれか、何なのかということでございます。つまり、その住民の中に仮に伝染病が広がってくる、そうすると社会全体がその影響を受けます。あるいは教育を受けられない人たちが出てはならない。そういう意味から、これまでこうした行政サービスは外国人登録を利用するなどして提供されてきてございますが、入管法等の改正法の施行の日以降もなおこれまでと同様の行政サービスが具体的に提供されるためには、それぞれの地方公共団体において、外国人に関する情報を把握する等、行政サービスを提供するための対応が必要となってきます。
 そのため、在留資格がない、今、加賀谷先生がお話しになったそういう方であっても、これまで受けられていた行政サービスが入管法等改正法の施行の日以降もなお受け取ることができるようにするため検討条項を設けたものでございまして、政府において必要に応じて記録の適正な管理の在り方について検討を加え、その結果に基づいて、例えば地方公共団体に対する周知徹底や運用の見直しといった必要な措置を講ずる、こういうことを期待したものでございます。

○加賀谷健君 私もいろいろ話をお伺いをして、いい修正ができたのではないかなと。
 ところで、実は現在、外国人住民で我が国の生活保護を受けている方は約三万三千七百世帯程度あるというふうに伺っております。これは私の質問主意書に対する答弁でございますけれども、その中で私は、実は不法滞在者の世帯数、この中で何世帯ぐらいあるのかということを把握しているのか、あるいはまた調べる必要があるのではないかということをお尋ねいたしましたら、そういうことについては必要はないといいますか、やる考えはないというふうな答えが返ってきているんですけれども、この辺はそういう答弁でいいのか。私はもう少し実情を調査していく必要があるのではないかと思いますけれども、厚生副大臣お見えでございますので、お聞かせいただきたいと思います。

○副大臣(大村秀章君 加賀谷委員の御質問にお答え申し上げます。
 生活保護法は日本国民を直接の対象としております。また、適法に日本に滞在し活動に制限を受けない永住、定住等の在留資格を有する外国人につきましては、予算措置として生活保護法を準用して保護を実施をしているところでございます。
 このように、不法滞在の外国人につきましては生活保護を実施しない仕組みとなっておりまして、生活保護の申請者や受給者が不法滞在の外国人である場合には申請を却下又は保護を廃止すべきというふうに指導しているところでございまして、その世帯数等の実情を把握するということにはなっておらないと。これは、加賀谷委員の質問主意書にお答えした答弁のとおりでございます。

○加賀谷健君 確かに、不法滞在者に対して生活保護はしないということでございますけれども、現実には、単位自治体といいますか、市町村の中では市単位の事業としてそういうことが実際には行われている。あるいは、それをされないことによって医療費の不払とかかなり市町村に負担も掛かっているという話も聞いておりますけれども、私はやはり、確かに不法滞在をそういうことによって洗い出さなければならないことは法の理念として分かるわけですけれども、この辺に対する取扱いというのをもう少し変えていってもよいのではないかなというふうに思うんですけれども。
 副大臣、もう一度お伺いしますけれども、私は、調査をしたり、あるいはそういう部分に対しての手だてということも考える必要があるのではないかなと、こんな気がしてならないんですけれども、しつこいようですけれども、いかがでしょうか。

○副大臣(大村秀章君 加賀谷委員の御指摘でございますが、不法滞在の外国人には生活保護を実施しないというのがこの法の規定ということでございまして、そういう意味では、質問主意書に対する答弁にも書かせていただきましたこの方針は、今回の、不法滞在の外国人には生活保護を実施しないという考え方に変更はないということで御答弁申し上げたところでございまして、引き続き地方自治体に対しまして、不法滞在の外国人には生活保護を実施しないということで、法務省と連携しつつ引き続き指導をしていきたいと思っております。
 なお、この点につきましては、やはり不法滞在を助長をするということではいけないということでございますので、そういった観点からもなかなかこの点難しいということを御理解をいただければというふうに存じます。

○加賀谷健君 おっしゃるとおり、その部分については私も理解をしているんですけれども、現実にその町にいる。私もよくこの辺は分からないんですけれども、アメリカなんかでは、昔、一定期間滞在している者に対してはそういう許可を与えたというような話、最近はやっていないようでありますけれども、何年かに一度そういうことで整理をしていかないと不法滞在がたまっていくばかりということになっていくわけでございまして、そういう人たちが生活が困窮しているということを本当に国として見捨てていいのかというのは、大変私は法の部分ではなくて人道的な問題として疑義があるような気がしますので、これからの一つの課題として御議論をしていきたいし、また国としても考えていただければと、こんなふうに思っているところでございます。
 次に、住基のシステムについてお伺いをいたします。
 今回の改正法案ができる前の審議会段階では外国人台帳制度という名称になっていたのではないかというふうに思っておりますけれども、これは日本人の住民基本台帳とは別に外国人台帳をつくろうというお考えになっていたのではないでしょうか。なぜ日本人の台帳と一緒にすることになったのか。また、これは法の趣旨にも書いてありましたけれども、別々の台帳ではどういう不便があったのか、簡単にお聞かせ願えればと思うんですけれども。

○政府参考人(久元喜造君 今回の改正は、外国人登録制度が廃止されることに伴いまして、市町村がどういうふうにして、どういう方法で外国人の住所を把握するのかといったような観点から検討を始めたところでございます。
 その際、確かに日本人とは別に外国人の台帳制度をつくるという選択肢もございました。しかし、そういうふうにいたしますと、例えば、日本人と外国人とで一つの世帯を構成している場合がありますけれども、これを把握するということが大変できにくくなるということ、それから、市町村の行政の実務の現場におきましては二つの種類の台帳が存在することになりまして、事務が複雑化するというような問題がありました。
 そもそも、地方自治法における住民の概念には外国人も含んでおりますし、また、外国人の有識者の方々などから成る懇談会におきましても、外国人の有識者の方からは、基本的には日本人と区別なく同じ取扱いにしてほしいという御意見も多数いただいたところでありますので、今回お願いしておりますような法案とさせていただいたわけでございます。

○加賀谷健君 それでは、自治体の電子化について、今回の住民基本台帳の関係を含めて少しお伺いをしたいと思います。
 自治体の電子化には、住民サービスの向上でありますとか行政の効率化、地域ICT産業の振興という三つの目的があるというふうに理解をしておりますけれども、住基システムの導入に当たって、平成十一年四月二十七日の衆議院地方行政委員会で当時の野田自治大臣も、行政サイドのメリットとして、窓口業務の簡素化により窓口人員の福祉などの分野への活用が可能になるとか、あるいは、国の行政機関十六省庁の所管の九十二の事務においてシステムから本人確認情報の提供を得られるので、事務の簡素化、効率化が図られると答えられておりますけれども、住基システムが導入されてどのように効率化が図られたのか、もし検証されておりましたら、数値があったら併せてお知らせをいただきたいと思うんですけれども。

○政府参考人(久元喜造君 住基ネットの利用の効果といたしましては、例えば、住基ネットから本人確認情報を国の行政機関に年間約一億一千万件提供しております。その結果、平成十九年度では、各種年金事務におきまして年間約三千万件の現況届が省略されております。また、年間四百五十万件の住民票の写しの添付が省略されたところでございます。
 また、近年の例で申しますと、いわゆる未統合の年金記録、五千万件を超える未統合の年金記録につきまして、社会保険庁の作業で解明されなかった約千八百三十七万件につきまして、住基ネットを用いて住所情報が新たに判明しておりまして、こういう形で行政の効率化が進められてきているというふうに考えております。

○加賀谷健君 大変に効果を上げているという報告でございますけれども、もっともっと私は利用方法によっては効果も上げられるし、有効活用ができるのではないかなと、こんなふうに思っておりますので、各地方が本当にこれを活用していきたいということになっていかなければ所期の目的は到底達成でき得ないのではないかと、こんなふうにも思っておりますので、更なるまた御努力をひとつお願いをしたいと思っております。
 それから、カードのセキュリティー、システムのセキュリティーについてお伺いをいたします。衆議院の附帯決議等でも盛り込まれておりますが、この住基システムやカードのセキュリティーについてお尋ねをしていきます。
 これまで住基カードの偽造、不正取得、不正利用について多くの事件が報道されてきました。今年の四月からはカードのセキュリティーが高まったとは聞いております。しかし、今年三月二十五日、全国三十五の自治体で一時、住基カードの発行ができなくなるトラブルが発生をしております。三月には羽曳野市で、五月には函館市でコンピューターがウイルスに感染し、住民票の発行がストップしています。また、どんなにシステム上のセキュリティーを整えても、それを人間が扱う以上、いろんな事態を想定しなければなりません。職員によるデータの意図的な改ざん事件も実際に頻繁に起きています。
 ところで、住基法は原本を紙ベースではなく電子記録で保存することを認めています。しかし、私の地元千葉市を含め多くの自治体が、バックアップを取っていても同じ市役所などのその自治体の区域内で保存をしている、これでは自然災害や人為的なミスや不正に対応できないのではないかと思います。全国の自治体のバックアップ体制はどのようになっているのか、また国はどのように把握しているのか、そして各自治体にどのような指導をしているのか、その辺の対策をお伺いをしたいと思います。
 また、現在の暗号システム、アルゴリズムというんだそうでありますけれども、平成二十四年には大幅に更新する予定とお伺いをしておりますけれども、このセキュリティー、災害を含めた対策について質問をしたいと思います。

○政府参考人(久元喜造君 今御指摘がありましたように、住基カードにつきましては、住基カードの偽造といったことも起こりましたし、また住基カードの発行に伴うトラブルなども生じたことは事実でございます。ただ、住基ネット本体からの情報漏えいはこれまでは一件も生じておりません。
 この対応といたしましては、専用回線の利用、またファイアウオールによる通信制御、IDSによる侵入検知などを行っておりまして、やはりこういう万全の措置を今後ともきちっととっていくということ。そして、何よりも実際にこの住基ネットの運用に携わる職員に対して万全の対応が取れるような研修を行うことが必要でありまして、毎年全都道府県においてセキュリティー研修を開催している。こういうことで、今後このシステムの更新も予定しているところでありますが、それまでも従来同様一件の情報漏えいも起こさないというつもりで対応してまいりたいと考えております。

○加賀谷健君 最後ですけれども、佐藤大臣が沖縄及び北方領土特命担当大臣をしておられますので、ちょっと意地悪いんですけれども、北方領土問題に絡めて少しお伺いをしたいと思います。
 実は私、北海道の出身で、根室の歯舞というところに親戚もおりますので、北方領土は大変興味のある地域でございますけれども、政府はこれまでも一貫して我が国固有の領土だと、こういう主張をされておりますけれども、本法案が成立をいたしますと、我が国に三か月以上居住する外国人はすべて住民基本台帳に登録することになっております。日本の領土である北方領土には多くのロシア人が住んでおりますけれども、この辺の取扱いをどうするのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

○国務大臣(佐藤勉君 北方領土につきましては、先生おっしゃられますように我が国の主権があると考えております。法律の効力は領土に及ぶとされていることから、住民基本台帳についてもこの北方領土に効力が及ぶと考えております。
 しかしながら、現在、この北方領土は事実上我が国の行政権が行使できないため、北方領土について住民基本台帳法の規定は現実には働いていない状態にあると認識をしておりまして、この点は外国人登録の現行の取扱いと同様であるところであるというふうに認識をしております。

○加賀谷健君 私もずっと昔から北方領土返還運動取り組んできた一人として、是非とも四島一括返還に向けて大臣の更なる御努力を期待をしているところでございます。
 あと、何か持ち時間二分ほどあるので。
 大臣、住基カード、持っているようですけれども、これは、見ていただきますと有効期限が西暦なんですね。それで、生年月日は元号で表記をされているんです。一つのカードの中でこういう統一性がないというのは、ちょっとお伺いしましたら、いや、元号が替われば期限が難しくなるので西暦で書いてあるんだというようなことでありますけれども、何かこれ、私はどっちか統一された方がいいのではないかと思うんですけれども、大臣のお考えを伺います。

○国務大臣(佐藤勉君 おっしゃられるように、外国人の方等々、日本の年号に合うのかというと、これはちょっと疑問になります。これは、今後検討課題として考えてまいりたいというふうに思いますので、御理解を賜りたいと思います。

○加賀谷健君 終わります。

○行田邦子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の行田邦子です。
 今回は、外国人登録制度の見直し、そして新しい出入国管理制度への一本化という制度改正の一連の流れの中で、住民基本台帳改正法が政府から提出をされました。この政府原案に対して、この原案ではどうしても法の網から漏れてしまうような外国人の方がいらっしゃるんではないかという懸念の下、与野党の法案の修正協議者の方が一か月以上も掛けて丹念に、そして根気強く法案修正の協議に当たられたこと、まずは敬意を表したいと思っております。
 今回、三十分持ち時間いただいておりますけれども、政府参考人への質問が多いかと思いますが、一番最後に総務大臣に御意見伺いたいと思いますので、お耳をお貸しいただければと思います。
 まず、法案提出者に伺いたいと思います。
 今回、衆議院での修正の中で、附則第二十三条が追加となりました。これは、政府原案のどのような点を懸念して附則第二十三条を追加されたんでしょうか。

○衆議院議員(黄川田徹君) ただいま行田先生から御質問でありますけれども、御案内のとおり、現行外国人登録法でありますけれども、こちらは九十日以上在留すれば外国人対象、在留資格の有無、これは問うておりません。ところが、改正住基法の関係は、これは一定の在留資格を前提としておるわけであります。
 御指摘のとおり、オーバーステイなどの非正規滞在者や、あるいはまた難民申請中で仮放免許可者などですか、この方々が除外されるんではないのかということで、従来から公共サービス受けていたんだけれども、これが低下する、あるいはまた縮小するんではないか、それからまた現場レベルでお話ししますと、市区町村ですか、一部の外国人の方々の把握ができなくなる、あるいはまた顔が見えなくなるということで、各自治体とも多文化共生社会ということでみんな頑張っておりますので、その部分で大きな課題があるなと、こう思っておりました。
 御質問のところでございますが、附則第二十三条の対象となる者についてでありますけれども、この附則第二十三条では、現に本邦に在留する外国人であって入管法又は入管特例法の規定により本邦に在留することができる者以外のものとありますが、これは現に本邦に在留する在留資格のない者一般を対象にする、こういうことであります。
 なお、この条文で、仮放免をされ当該仮放免の日から一定期間を経過したものとあって、仮放免された者について書かれておりますけれども、これは在留資格のない者の例示として出したものであります。
 以上であります。

○行田邦子君 今回、住民基本台帳法改正によりまして、対象となるのは外国人の中でも在留資格が認められている方のみと。逆に、在留資格のない外国人に対しては住基台帳の対象とならないということになっております。その点を法案修正担当者の議員は懸念をされて、今回附則第二十三条を追加されたというふうに理解をいたしました。この懸念について、私も全く政府原案を見たときに同じ懸念を抱きました。
 今回の法改正によって、確かに在留資格を認められている外国人というのは利便性が高まると思います。そしてまた、外国人をある種把握し管理しなければいけない自治体の事務も軽減されると思います。その点については評価をしたいと思うんですけれども、ただ、今回の法改正によって、逆に一部の外国人住民は生活が不便になるケースもある、こういった方が出てくるのではないかというふうに私も懸念を抱いております。
 そこで、個別に伺っていきたいと思いますけれども、まず法務省に伺いたいんですが、法務省の方で今把握をしている不法残留者の数、そして現行の市町村が法定受託事務として行っている外国人登録原票で確認できる不法残留者の数、それぞれお教えいただけますでしょうか。

○政府参考人(高宅茂君 まず、不法残留者の数でございますが、本年一月一日現在で我が国に不法残留している数でございますが、これは電算統計上、約十一万三千人でございます。それから、不法滞在者の外国人登録者数でございますが、平成二十年末の外国人登録者数のうち在留資格がない者が約一万八千人となってございます。

○行田邦子君 この外国人登録原票、現行の制度ですけれども、ここでは在留資格のある正規の外国人住民に加えて、それだけではなくて、現実としては約二万人弱の不法残留者、適法でない在留者が登録をされていて、そして現実としては、市町村では外国人登録原票を基に、そこにある情報を基に外国人住民に対して様々な行政サービスを行っているという実態があるわけです。地方自治体からすれば、外国人登録票に記載されていようとなかろうと、あるいは適法だろうと適法でなかろうと、そこに現に区域内に住んでいる住民であれば、それはもう行政サービスを行わなければいけないというような実態があるかと思います。
 総務省に伺いたいんですけれども、今回の法改正によって、外国人登録票で把握されていた約二万人弱の適法でない在留者が今回住基台帳では管理されなくなります。市町村としては把握のすべがなくなってしまうわけですけれども、適法でない在留者に対してこれまでどおり法施行後も行政サービスが適用されるんでしょうか。

○政府参考人(久元喜造君 不法滞在者を含む外国人住民に対する行政サービスの対象範囲は、これまでもそれぞれの制度によって定められております。例えば、義務教育や助産施設における助産、結核予防のための健康診断は不法滞在者もその対象とされているところでございます。この行政サービスの対象範囲につきましては、今回の改正法によって変更するものではないというふうに考えております。

○行田邦子君 それでは、もう少し個別に確認をしていきたいと思います。
 今日は厚生労働省さんにもお見えになっていただいております。厚生労働省さんが所管されている業務について幾つか、時間も限られていますので、ちょっとまとめてお伺いしたいと思います。例えばこういったケースはどうなるかという質問です。
 正規に在留していない、適法でない在留者の方が病気になられましたと。病院に行かれたときに診療がきちんと受けられるかどうかと。又は妊娠をしている女性が妊婦健診、それから助産といったことを受けられるかどうか。母子手帳の交付がきちんとなされるかどうかと。
 それから、こういったケースも増えていますけれども、日本人の男性と結婚された外国人の女性がDV被害に遭っている、行政機関に駆け込まれたと。ただ、この方はオーバーステイということで不法滞在者とみなされると。こういった場合にきちんと保護はされるのかどうか。
 それから、三つ目は労働関係ですけれども、不法滞在と言われている方が業務執行中にけがに遭って労災の認定を申請している場合、これはきちんと手続が取れるのかどうか。又は労働環境が大変劣悪だとか、賃金の不払があるといったようなことで、労働局に例えば駆け込まれているオーバーステイなどの不法滞在者、こういった方に対して対応を行政はするのかどうか。三つの点、確認をしたいと思います。

○政府参考人(伊岐典子君 お答え申し上げます。
 在留資格のない非正規滞在の外国人の方につきましての各種私どものサービスの適用についてのお尋ねかと存じます。
 まず一点目、健康上の様々なサービスについてのお尋ねがあったかと思いますが、まず出産の方から先に申し上げますと、助産施設、これは経済的な理由により御自分の力では入院、助産が受けられない方に対するサービスでございますが、そういう助産施設への入所、あるいは母子健康手帳の交付といったこと、これにつきましては在留資格の有無を問わず行政サービスの対象にいたしております。
 また、人道的な見地から、病院の方で診療しなければいけないという事態に立ち至ったケースにおいての対応もしかるべく行われていると認識しております。
 また、定期の予防接種等につきましても、地方公共団体の責務として実施する部分につきまして、特に在留資格を問わずさせていただいているのであろうかと思っております。
 また、DV被害者の保護といった分野の行政サービスでございますが、このことにつきましても、当然今まで申し上げました人道的な見地から実施されるべきものでございますので、非正規滞在の外国人の方にも実施しておりますし、同じく労災保険でありますとか労働環境等についての労働局への御相談に対する対応につきましても在留資格は問わないということになってございます。
 今般の住民基本台帳法の一部を改正する法律案が成立されました場合におきましても、今申し上げたようなことでございますので、行政サービスの適用についての方針に変更が生じるものではないというふうに考えてございます。

○行田邦子君 法改正後、施行後もこれまでどおり、正規でない、在留資格のない外国人住民に対しても行政サービスを行うという確認をさせていただきました。是非、現行法上在留資格がない、適法でないと言われている外国人住民に対しても人道的な配慮というのを今後もお願いしたいというふうに思います。
 今お伺いした行政サービス、広い意味での行政サービスというのは、言ってみれば住民側から申し出てくる場合、自治体からすれば受動的なサービスだと思うんですね。今度は自治体が能動的に行う行政サービスについてどうなるのか、お伺いしたいと思います。
 市町村から各種の様々な御案内や通知というのが住民に対して送られるかと思います。そこで、やはり厚生労働省さんにお伺いしたいと思いますけれども、予防接種の定期接種がございます、任意ではないものですね、定期接種がございますけれども、接種の時期になりますと市町村から対象の個人に対して通知が行きます。この通知というのはこれまでも恐らくほとんどの自治体で在留外国人に通知をなされていたかと思うんですけれども、今後、外国人登録票がなくなった後、法施行後も在留外国人に対して通知をするのか。そして、適法でない在留者、すなわち住基台帳から漏れてしまう方に対してはどのように通知をするのか、教えていただけますか。

○政府参考人(伊岐典子君 今般の改正後のサービスの適用につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、先生が今御指摘されましたようなお知らせの到達についていかに確実にやるかについては、少しく関係省庁さんとも確認をし合いまして、適切な方法を取るよう検討してまいりたいと存じます。

○行田邦子君 同様の質問なんですけれども、文部科学省さんにお伺いします。
 就学案内というのがあるかと思います。入学の時期になりますと対象のお子さんに対して、御家庭に対して市町村から通知が行くことになるかと思いますけれども、同じ質問なんですけれども、これまで恐らくほとんどの自治体では可能な限り把握できる外国住民に対しても通知をしていたかとは思うんですけれども、法施行後これをどのように行っていくのか、住基台帳から漏れてしまっている方、お子さんに対してどのようにしていくのか、お教えいただけますでしょうか。

○政府参考人(前川喜平君 外国人の子供たちの不就学をいかになくすかということは私どもにとって非常に大きな課題だというふうに認識しております。
 これまでも外国人の受入れにつきましては、就学促進員を教育委員会に配置するなどいたしまして外国人の子供たちの公立学校への就学の支援に努めてきているわけでございますけれども、就学の案内に関しましては、現在、市町村教育委員会におきまして、一般には外国人登録原票に基づきまして入学に関する事項を記載した就学案内を発出しているわけであります。
 住民基本台帳法の改正によりまして、従来の外国人登録に代わりまして外国人の住民基本台帳への記載が行われるわけでございますけれども、その後の就学案内につきましては、基本的にはこの住民基本台帳に基づいて行われることになると考えます。しかし、新制度移行後も、住民基本台帳に記載がなくても、市町村教育委員会が就学年齢に該当する子供の情報を把握しているのであれば就学案内を出すべきものであるというふうに考えております。
 また、外国人の子供たちが公立学校に就学しやすい環境の整備のために、市町村教育委員会におきまして、日本の学校制度や無償で就学できることの情報の提供など様々な支援を行っているところでございまして、私どもとしてもそれを支援してまいりたいと考えているところでございます。

○行田邦子君 就学案内については、今現在は外国人登録原票に載っている情報を基に通知をしていると。法施行後はこれがなくなるわけですから、住基台帳の情報を基に通知をすると。そこから漏れてしまう全国で約二万人弱と言われている、大人も子供も含めてですけれども、については、これは適宜可能な限り情報を把握して何らかのアプローチをしていく、御努力をなさるという御答弁だったと思います。
 総務省さんにも伺いたいんですが、ちょっと通告をしていないので可能であればお答えいただきたいんですけれども、成人式のお知らせというのもあるかと思うんですが、これについてはどのようになるんでしょうか。

○政府参考人(久元喜造君 成人式などの通知を不法滞在者にどうしているのかということは、私ども全体的な状況は把握しておりません。ただ、私どもが承知しているところでは、外国人登録原票に基づいて行っているところもありますし、外国人登録原票を使わないで、いろんな広報媒体、自治体独自の広報媒体で行っているところもあると。それぞれの方法でやっているというふうに聞いております。

○行田邦子君 今三人の方からお答えいただきましたけれども、自治体が能動的に行う通知や案内というのは、やはり現状では外国人登録原票というのが一番その基礎となる情報源だと思うんですね。これを基に各市町村で行政サービス、通知や案内を行っているという現状だと思います。
 これが、今後の法改正後、施行後、外国人登録法が廃止されます。それに伴いまして外国人登録原票というのがなくなってしまう、理屈としてはそうだと思うんですけれども、廃棄しなければいけないということになるのかなと思うんですが、そこら辺、法務省さん、いかがでしょうか。

○政府参考人(高宅茂君 法務委員会で御審議をいただいております入管法等の改正法案の附則三十三条におきましては、「市町村の長は、施行日の前日において市町村の事務所に備えている登録原票を、施行日以後、速やかに、法務大臣に送付しなければならない。」と規定しております。
 改正法施行後に住民基本台帳に記録されるか否かにかかわらず、すべての登録原票は取りあえず法務省に送付され、法務省にて保管するということになります。

○行田邦子君 原票については法務省に返却して保管をするという、根拠法がなくなるわけですからそういうことだと思うんですけれども。
 それでは、原票のコピー、あるいは電子的なデータにコピーしたものについては、今後も市町村が望むのであれば市町村において保管をして、そして様々な行政サービスに転用しても問題はないんでしょうか。

○政府参考人(高宅茂君 御質問の趣旨は、在留外国人の公正な管理ということを目的として市区町村に保管されていた外国人登録原票、ここに記載されている個人情報、これを法改正後に市区町村が行う他の行政サービスに利用できるかということだろうと思いますが、このような市区町村の保有する個人情報の市区町村内部での利用につきましては、個人情報保護法の規定というものにのっとりまして各市区町村で整備されている個人情報保護条例があるかと思いますが、その規定にのっとり行うことが可能ではないかと考えております。

○行田邦子君 総務省さんにお伺いすればいいんでしょうかね。もう少し実情どうなっているのか教えていただきたいんですけれども、そうすると、各市町村の条例の中に個人情報保護に関することが盛り込まれていると思いますけれども、実態として、今まで外国人登録原票として、外国人登録票として保管していたデータのコピーを行政サービスに転用するということは、実際どうなんでしょうか、問題ないんでしょうか。

○政府参考人(久元喜造君 これまでも、外国人登録制度は外国人の在留管理を目的とした制度でございます。そこには外国人の住所情報があるわけですから、それをこれまでは自らの自治体サービスにこれを転用していたというのが実態でございまして、今後どういうふうにこれを活用していくのかということについては、外国人登録原票の制度がなくなるものですから、これは情報の精度という意味から見れば問題があると思いますし、そこは個人情報保護条例の定めるところにも配意しながら、それぞれの自治体において勘案していくべきものかと思います。
 要するに、今回の制度改正によって住民基本台帳に登録されない方の住所の記録をどういうふうにするのかということ、これはまさに今回の附則の追加で要請されている事項でありますので、それはそれぞれの自治体が基本的には考えるべき事柄ではありますが、これはそれぞれ関係省庁とも連携を取りながら総務省としても必要な対応をしてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。

○行田邦子君 せっかく、約二万人弱の住基台帳から今後漏れてしまう方の情報というのが今現在外国人登録票という形で保管されているわけですので、これを様々な法令との整合性を整えながら、考慮しながら是非前向きに使っていけるようなことを御検討いただけたらと思っております。
 今回、衆議院での修正で盛り込まれた附則にも、住基台帳から漏れてしまう正規でない在留外国人に対して引き続き行政サービスを行うように検討を加えて措置をとることというふうにあえて修正によって附則が付け加えられましたので、その立法府としての意思というのをしっかりと受け止めていただきたいというふうに思っております。
 それでは、今回の法改正に伴う費用について伺います。
 今回、市町村においては住基台帳のシステムの改修が必要になるかと思います。また、都道府県においては、住基ネットの改修費用、システムの改修費用というものが掛かるかと思います。こういった初期費用に加えて、制度改正の告知というのも外国人に対してしっかりと行っていかなければいけない。これは国だけではなくて、やはり何らかの形で市町村の窓口でも告知をしていく必要がある、そのためにお金が掛かるというふうに思っております。また、市町村の窓口の整備ということも必要になってくる。何かと費用が掛かってくるかと思います。
 こういった今回の法改正に伴う、システムだけではなくて、もろもろの告知、それから窓口整備、大体どのぐらい掛かるというふうに総務省さんは試算をされていますか。それと、この費用負担、どなたが見るのか、お答えいただけますでしょうか。

○政府参考人(久元喜造君 今回の制度改正、外国人を新たに住民基本台帳の適用対象に加えるという大変大きな制度改正でありまして、従来の外国人登録制度からの移行を含め、準備作業、システムの改修が必要になるわけでございます。
 こういうシステムの改修につきましては、現在の試算では、市町村について見ますと、およそ二百億円程度と見込んでいるところでございます。それ以外の今委員から御指摘がありましたPRの経費等につきましては、現時点では特段の試算は行ってはおりません。

○行田邦子君 それと、どなたが負担するのかです。

○政府参考人(久元喜造君 これは地方公共団体が負担するわけでありますが、総務省として必要な地方財政措置を講じてまいりたいと考えております。

○行田邦子君 レクでは交付税措置するというようなこともお聞きしましたけれども、交付税措置より、より確かな、市町村の負担がいたずらに増えることがないような、市町村が自己負担をしなければいけなくなるような財政措置というのは避けていただいた方がいいかというふうに思っております。
 それと、制度改正の告知ということについてはまだ費用の試算していないということですけれども、日本語ができない外国人という方も中には少なからずいらっしゃいます。そういった方に対してきちんと今回の制度改正はどのようなものなのかということを告知するというのはかなり根気の要ることだと思っておりますので、国を中心に、それから市町村の協力も得ながらしっかりと行っていただき、また、費用負担については国でしっかりと面倒を見ていただくべきではないかと思っております。
 最後の質問になります。総務大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、今回、この法改正の質疑をさせていただくに当たりまして、私自身、多文化共生、外国人住民とどのように共に生きていくのかということについて考える大変良いきっかけになったと思っております。そんな視点でいろいろインターネット等でいろんな情報を見ていますと、総務省でも多文化共生の推進に関する研究会というのを設けていて、二〇〇六年には地域における多文化共生推進プランを策定して、そして都道府県に対して交付をしています。その文書を読ませていただいたんですけれども、かなり具体的に詳しく、プランとして外国人住民をどのように受け入れるのか、そして外国人住民とどのように共生していくのか、具体的に書かれています。
 ここで、是非大臣にお聞きしたいんですけれども、ここで言う外国人住民というのはだれを指すんでしょうか。

○国務大臣(佐藤勉君 今先生がおっしゃられましたように、総務省では従来から外国人の住民と日本人と、共に地域社会を支える主体と考えまして、地方自治体に対しまして多文化共生の地域づくりに関して助言や支援を行ってきたところでございます。一方、定住外国人施策や移民の受入れにつきましては、各府省庁にまたがる課題でもございまして、内閣府を始め政府全体として考えていかなければいけないということであります。
 したがいまして、今後とも、各府省庁として、国籍や民族などの異なる人々が地域社会の構成員として共に生きていけるようにすることを目指して、地方自治体の支援を行ってまいりたいというふうに思っております。
 最後、どういう御質問でしたっけ。済みません。申し訳ございません。

○行田邦子君 総務省さんで出されている多文化共生推進プランに外国人住民という言葉がたくさん出ているんですけど、総務省さんが示している外国人住民というのは具体的にだれを指すのかということです。もう少し具体的に言いますと、不法滞在者も含まれているのかということです。

○国務大臣(佐藤勉君 地域社会に一緒に皆さん共生しているわけでありますから、そういう方々というふうに御理解をいただきたいと思います。

○行田邦子君 今の御答弁の私の理解では、住民としてそこに居を構えて日々生活を営んでいる方であれば、それは住民基本台帳に記載されていようといなかろうと、それから外国人登録原票に今現在記載されていようといなかろうと、不法であろうと、現行法上の中で不法と言われている滞在者であろうと、それはもう住民であるという理解でよろしいでしょうか。

○国務大臣(佐藤勉君 基本的にはそういうことでございます。

○行田邦子君 私も同感なんですけれども、法務省の視点からすると正規滞在者のみがやっぱり外国人住民ということになるんだと思いますけれども、実際の自治体それから各地域からすれば、そこに住んでいる方、日々生活を営んでいる方というのはそれはもう住民であると、外国人住民であると、共生をしていかなければいけないということだと思います。
 今回、法改正によって、現行法の中であるいは今の日本の外国人受入れの基本的な考え方にのっとった法制度の中で適法とされている在留外国人に対しては、これは確実に利便性が高まると思っております。そして、適法である在留外国人を市町村が、自治体が情報を把握し、そして管理するということにおいても業務の削減が図られる、この点は私は評価したいと、一歩前進というふうに思っているんですけれども、ただ一方で、今後、今後といいますか近い将来私たちが真剣に向き合っていかなければいけないテーマとして、これだけやっぱり世界的潮流の中でグローバリゼーションが進んでいて、それから人口移動というのが国内だけではなくて世界中で起こっていると、日本もどんどんどんどん外国人の入国が増えていくというのは自然の流れだというふうに思っております。また、人口減少化社会の中で外国人という労働力を求めるという、経済社会の中でもそういった考え方も出てきているかと思います。
 今回の法改正というのは現在の我々の国日本の外国人政策にのっとった制度改正ということでありますけれども、今後、近い将来、私たちは外国人の受入れをどうしていくのかということをしっかりと議論していかなければいけないという問題提起をさせていただきまして、私の質問を終わります。

○礒崎陽輔君 自由民主党の礒崎陽輔でございます。
 いろいろと政局も動いておりますので、郵政問題とかNHK問題とか個人献金問題とか道路財源問題とか、いろいろお聞きしたいところではございますが、この住民基本台帳法の一部改正も極めて重要でございますので、今日もこれに集中して議論をさせていただきたいと思います。
 私が三十年近く前に役所に入ったのが自治省行政局振興課というところでございまして、その振興課がこの住民基本台帳法の担当課でございまして、役人になって最初に私も仕事をしたのがこの住民基本台帳の仕事でございまして、非常に懐かしく思っておるわけであります。
 今回のこの改正について、最初は総務省の与党に持ってきた案は、外国人住民台帳法を別法で作るという案だったわけであります。ただし、私はこれに対してはもう大反対をしておりまして、やっぱり世界に開かれた日本行政をつくる上で、日本人と外国人を別々に扱うようじゃ駄目だと、これは絶対一緒にしてもらわなきゃ困ると強く言ったんですが、なかなか総務省は首を縦に振らなかったんでありますが、いろいろ検討をしていただいた結果、最終的に、国籍の記入とか、内在的な日本人と外国人と違う部分以外はすべて日本人と同じように扱う、そうなってくれば外国人住民台帳法というのを別に作るんではなくて、住民基本台帳法の一部改正で行うという結論に最終的になりまして、これは私は非常にうれしく思っておりまして、その点につきましてまた御提案したところ、野党の方からも御指導をいただきまして非常にいい修正ができたと私は思います。そういうことで、いい方向に行ったと本当に有り難く思っておるところでございます。
 そういうことで、外国人も住民であるというのは従来から我が国の行政ではそう扱っておったわけでありますが、それでも、この同じ住民基本台帳法の中に日本人と外国人が同じように扱われるというのは、私は非常に世界に開かれた日本の行政を確固とするもので意義は大きいと思うわけでありますが、今言ったような点も含めまして、大臣は今回の法律案の成立につきましてどのようにお感じでしょうか。

○国務大臣(佐藤勉君 先生に申し上げるのは釈迦に説法みたいな話で大変恐縮でございますけれども、我が国に入国、在留する外国人は増加傾向にございまして、市町村が外国人住民について正確な情報を把握し、行政サービスを適切に提供するための基盤を整備していく必要性が高まっているというふうに思います。そこで、本改正は、三か月を超えて適法に滞在する外国人住民について、日本人と同様に住民基本台帳法の適用対象に加えることといたしました。
 日本の文化は地域のコミュニティーが重要な役割を担っていることも踏まえますと、本改正によりまして、外国人住民を日本人と同様に扱い、地域社会の構成員として共生できるようにする基盤を整備することは、先生おっしゃられておりますように、世界に開かれた日本を築いていく上で大変有意義なものと考えております。

○礒崎陽輔君 ありがとうございます。
 この前の参考人質疑のところで議論させていただいたわけでありますけれども、外国人といっても、一般の外国人の方と、やはり様々歴史的な理由があって我が国に在留する在日中国人の皆さんあるいは在日韓国・朝鮮人の皆さんでは多少の違いがあります。というのは、外国人としての人権をそのまま認めてほしいと考える人もおれば、日本人と同化した形で我が国で生きていきたいと考える方と両方あるからであります。
 この辺がやはりこうした外国人問題を考えるとき、我が国の歴史を考えるときに非常に難しい問題であると私も考えておるわけでございますが、この法案の作成に当たって、そのような議論あるいはそういうまた意見聴取、どのようなことをやってきたのか、行政局長にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(久元喜造君 この制度の立案に当たりましては、昨年の四月から総務省と法務省が共同で懇談会を開催をして検討を進めてまいりました。この懇談会には、外国人住民の方が大変多い自治体の担当者の方、外国人住民の御意見と非常に接することの多い担当者の方にたくさん入っていただきましたし、また、この検討会の中で、段躍中氏を始め、中国及び韓国、朝鮮関係の外国人有識者の方々からも御意見をいただいているところであります。
 そういう中では、開示の在り方については日本人と同様にする、ただ、国籍、在留資格、在留期間等は閲覧させないこととすればよいのではないかといった御意見、また外国人と日本人との間で差別のない制度を望みたいといったような意見が出されました。こういう御意見を踏まえながら必要な検討を行って、今回の改正法案を準備させていただいたところでございます。

○礒崎陽輔君 そこで、具体的なことをお伺いしたいわけでありますが、先ほど言いましたように、基本的には日本人の住民票と外国人の住民票は同じであるわけでありますが、当然、国籍等が加わる、それから在留資格等が記載されるというところが違うわけであります。一番大事なのがやはり氏名の記載についてであります。今言ったように、漢字文化圏である在日中国人あるいは在日韓国・朝鮮人の皆さんの住民票のまず記載の文字でありますけれども、これはアルファベットでやるんでしょうか、それとも漢字で書くことが可能なんでしょうか。
 あるいは、もう一つの問題は、こうした方々が通称名を使っているということがあります。それを非常に大事になされている方もいるわけでありますが、その通称名の併記ということができるのでありましょうか。最初に行政局の方にお伺いします。

○政府参考人(久元喜造君 御指摘の住民票における氏名等の表記方法は、基本的に在留カード等の記載に倣うところでありまして、これまで法務省当局と事務的に調整をしている状況では、原則としてアルファベットで表記されることになるというふうに現時点では調整しておりますけれども、今後そこは法務省とよく相談をさせていただきたいと思います。
 通称につきましては、これは、長期間にわたって本邦で生活している外国人が本名とは別に日常生活において使用している日本式の名前だというふうに一応承知をしておりますけれども、これまでも市町村から外国人本人にいろんな通知を郵送する場合に利用されているところでございます。
 こういう実態を踏まえますと、法改正後におきましても、本人の希望がある場合には運用上住民票の備考欄に通称名を記載することができる必要があると考えておりまして、そういう方向で対応していきたいと思います。

○礒崎陽輔君 在留カードと同じように取り扱うということでありますけれども、今言ったように漢字表記ということもあり得るんではないかと、あった方がいいんではないかと私は思うんですが、法務省の方はいかがお考えですか。

○政府参考人(高宅茂君 まず現状でございますが、現状は外国人登録関係と出入国管理が分かれておりまして、外国人登録事務におきましては、中国人、韓国・朝鮮人などいわゆる漢字圏の方々、この氏名につきましては登録原票に漢字で記載しております。他方、出入国管理の場面におきましては、これらの方々が新規入国をした場合空港等で旅券の機械読み取りをするわけですが、そこではアルファベットの氏名を記録するということにしております。
 それから、通称名につきましても、現行の外国人登録事務におきましては、外国人御本人の日常生活上の必要性などの観点から、運用上市区町村において登録原票に記載することとしております。ただ一方、外国人の在留管理をつかさどる入管局の電算システムでは通称名を記録の対象としてはおりません。
 今後の新たな在留管理制度の下、これは入管の方でやるわけでございますが、これら漢字圏の方々の氏名をどのように記録するか、あるいは在留カードにどのように記載していくかにつきましては、今申し上げましたアルファベットの記載が原則であるとは考えておりますが、委員御指摘の点も踏まえつつ、総務省と協力して検討したいと考えております。

○礒崎陽輔君 その辺は私はできるだけ、さっき言ったように両方のお考えの方がいらっしゃいます、外国人としての人権をちゃんと主張したいという人と、やはり日本人と同化して暮らしたいという両方の人がいると思いますので、できるだけ柔軟に御検討いただいた方がいいというのが私の意見であります。
 そこで、一番の問題が、住民票の写しの交付のときに、人によっては通称名で住民票の写しを欲しいという人が多分いらっしゃるんだと思うんですね。難しい問題かもしれませんが、その辺、総務省、可能でしょうか。

○政府参考人(久元喜造君 通称名は住民基本台帳法上法定の記載事項ではありません。ただ、先ほど申し上げましたように、改正後におきましては、本人の希望がある場合には運用上住民票の備考欄に通称名を記載することができるという必要性があるというふうに考えております。
 この外国人住民についての住民票の写しの交付でありますけれども、日本人と同じく、本人や国、地方公共団体の機関等の請求に基づき居住関係の公証のため、氏名、生年月日、性別、住所等を記載した住民票の写しを交付することになるわけでありますが、本人から請求があった場合などにつきましては通称名の記載のある住民票の写しを交付することを検討していきたいと考えております。

○礒崎陽輔君 今の御答弁であれば併記はできるというわけですね。併記はできるけれども、通称名だけというのは難しいという趣旨の御答弁ではないかと思います。法律の趣旨からすればそういうことになるのかもしれませんけれども、いろんな事情がありますので今後幅広くまた御検討をいただきたいと、これはお願いをいたしておきます。
 続いて、先ほど財政の問題、民主党の委員からも質問がありましたけれども、特に私、一番心配していますのは、この外国人住民台帳が始まっても、いわゆる入国管理の方は法務省がやっており、法務省から在留管理に必要な情報を市町村に通知するという事務が新たに出てくるわけでございます。
 これについては、また通信機器を整備して、私はこれは住基ネットに載れば一番いいんだと思っているんですけれども、なかなかそれも、住基ネットもまたかなり当たらなきゃならぬというので難しいのかもしれません。そうするとまた新たなネットをつくらなきゃならない、そうすると新たな、市町村パソコン買わなきゃならないというようなことで、結構これも負担が掛かるんですが、外国人の在留管理はこれは完全に国の事務でありますから、市町村に全く負担を与えることがないようにしてもらわなければならないわけでありますが、その点について法務省はどのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(高宅茂君 今回の入管法等の改正によりまして、市区町村から外国人の住居地の情報、これを法務大臣へ通知していただくなど専ら国の利害に直接関連する市区町村が行う法定受託事務、これにつきましては、現行の外国人登録事務、これも法定受託事務でございますが、これと同様に、市区町村の財政負担が生じないようにその財政措置について関係省庁と協議を進めてまいる所存でございます。
 また、法務大臣が市区町村に通知する事務のために必要な機器等の整備につきましても、システム全体の構成等も踏まえながら関係省庁と協議を進めてまいりたいと考えております。

○礒崎陽輔君 負担を与えないように協議というようですけれども、それはちゃんとやるという意味ですね。もう一度。

○政府参考人(高宅茂君 今申し上げましたように、法定受託事務、あるいはそれ以外のいわゆる必要な機器の整備につきましては関係省庁と進めながら、ということでございます。

○礒崎陽輔君 何か語尾がはっきりしませんけど、ちゃんとやらなきゃ駄目ですよ、これは。さっき言ったように国の事務なんだから。もう余り言いませんけど、ちゃんとやってください。
 ここでちょっと話が変わりますが、今回の定額給付金の問題のときにドメスティック・バイオレンスの人の問題があって、この前、少子化調査会でも少し議論をしたんですけれども、やはり住所が漏れるのを怖がって、被害者が、多くは女性の方ですが、女性の方が住所を移転できないという問題があって、これはちゃんとやっていますねと総務省に聞きましたら、それはきちんと、住民基本台帳からそういうものが漏れるようなことがないように、あるいは移転先が漏れることがないようにしっかりやるんだと、だから基本的には住民票を移転してくださいという御説明を伺ったんですけど。
 野党の先生辺りからもまた聞きますと、住民票は確かにそうなんだけれども、要は、住民票というのはこれは総合的な管理手段ですから、これを例えば教育委員会へ持っていく、あるいは福祉部局に持っていく、そうしたらそこの場で情報の管理がやっぱり徹底していなくて、漏れるのはそういうところから漏れるらしいんですね。要は、住基台帳のところはちゃんとやっているんだけれども、福祉部局や教育部局から漏れることが多いと。それを怖がって、そういう事例があるのを聞いて、被害者の方が怖がってなかなか住民票を移すことができないんだと、そういう話をよく聞くわけであります。この前の少子化の調査会で質問したら、総務省が来ておったんですけど、行政評価局しか来ていなくて、総務省何考えているんだというような話も言ったんですけどね。
 このDV問題は内閣府の男女共同参画局で所管はしておるわけでありますけど、総務省も、これは少なくとも住所については総務省が所管しており、かつ市町村行政を一般的に担当しておるわけですから、もうちょっと総務省がリーダーシップを取ってこのドメスティック・バイオレンスの、全部やれとは言いませんけれども、今言った住所が漏れるという問題についてはもう少し総務省が主体的なリーダーシップを発揮すべきではないかと思うわけであります。
 DVの問題ですから中村博彦政務官に聞くのがよかったと思うんですが、ちょっとお忙しいそうでございますので、これは大臣にちょっとお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(佐藤勉君 個人情報保護法によりまして、その保有する個人情報の適正な取扱いの確保のための条例の制定等、必要な措置を講ずることとされております。
 総務省としては、これまで地方公共団体の職員への研修、そして助言に努めておりまして、既に個人情報保護条例はすべての都道府県及び市町村において制定をされていると、先生御承知のとおりだと思いますが。ドメスティック・バイオレンスなどの所管省庁ごとに取り組むべき課題もございますけれども、総務省としては地方行政全体を所管する立場から、引き続き地方公共団体の個人情報保護に関する取組に対して積極的に支援をしてまいりたいというふうに思っております。

○礒崎陽輔君 ありがとうございます。
 総務省の中の所掌がどうなっているか分かりませんけど、是非大臣、DV担当審議官ぐらいはちゃんと指名をしてこの問題は総合的に取り組んでいただかないと、住基だけの問題じゃないんですね。やはり市町村に起きている問題でありますから、もちろん男女共同参画局にも頑張ってもらわなきゃなりませんけど、総務省がそれを支援していただくと随分この問題の解決が私は大きく貢献できると思うんですね。是非そういう対策も取って頑張っていただきたいと思います。
 ここから住基カードについてお伺いをいたしたいと思います。
 住基カードが先ほど利用価値が、利便性がいま一つない、インセンティブがないというような話が大臣からも出ましたし、委員の方からの御質問もありましたけど、今これを一番活用できるようにする方法として社会保障カードというのを考えております。年金のああいう大問題も起こしました。何とかこの問題を解決するために、年金の問題、それから、次に健康保険の問題、保険証の問題、これも含めて、私は社会保障カードというもので社会保障についても一元的に管理ができる方法を考える。しかも、既存の住民基本台帳カードとあるいは住基ネットという既存の資源を使える、住基台帳を使うということを早く政府として方針決定して進めるべきだと思います。
 これをやることによって日本の行政体制が大きく変わるんじゃないかと私は期待をしておりますし、今からの電子政府の振興にも大きく役立つと思うんですが、厚生労働省にまずお伺いをいたしますが、この社会保障カードの導入の検討はどの程度進んでいるのか、その住基カードの活用の観点も含めて御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(間杉純君 お答え申し上げます。
 社会保障カードにつきましては、平成二十三年度中をめどに導入をするということを目指しまして、平成十九年の九月から、私ども厚生労働省におきまして有識者の検討会を開催し、総務省にもその都度オブザーバーとして御参加を賜りながら議論を重ねてきたところでございます。
 本年四月末に検討会で取りまとめていただいたわけでございますけれども、この報告書におきましては、年金記録や医療保険の情報など、現在それぞれの保険者が保有している個人の情報は、今までどおり各保険者が管理しながら各保険者へのアクセスを中継する機能を持った中継データベースを設けるということ、それから、利用者はセキュリティーに優れましたICカードの演算機能を使ってこの中継データベースにアクセスすることにより、御指摘のありました年金記録等を閲覧することができると、こういったアウトラインが示されたわけでございます。
 御指摘の住民基本台帳カードの活用でございますけれども、私どもといたしましても、発行済みのカードでございますとか、あるいは市町村が有するカードの発行基盤、こうしたものを利用することが可能となれば、費用対効果の観点から優れた仕組みとすることが可能だというふうに考えてございます。
 現在の住基カードの仕組みを前提といたしますと、幾つか留意すべき点もあったわけでございますけれども、例えば市町村をまたがる住所変更の際には住基カードの再発行が必要だった点、それから外国人住民が住基カードの交付対象者になっていなかった点、こうした点につきましては、現在まさに御審議いただいている本法案が成立した場合にはクリアされることとなるというふうに考えてございまして、今後とも住基カードの利用というふうなことも十分視野に入れながら、総務省とも連携してまいりたいと考えてございます。

○礒崎陽輔君 方向性はよく分かりましたけれども、最後のところで、まだ住基カードの活用も十分視野に入れていきたいということで、決定したわけではないんですよね。それはいろいろな事情があるので分かるわけでありますけれども、これはやっぱり急いでほしいんですね。
 二十三年ということで、それは恐らく年金までだと思うんですね。医療は、これは多分医師会、歯科医師会等との調整が随分手間が掛かるんだと思います。それはいろんな事情があって、それはそれで仕方がないと思うんですが、手間が掛かるからこそもっとやっぱり早く方針を決めて、これは大きな我が国のシステム改正になりますから、技術的な面でも相当時間が掛かると思うんですね。方針を決めるだけでも相当掛かる。それで、それをまた技術的な面に落とすのにも相当時間が掛かる。私は時間が掛かるからこそ、もうぼちぼちどんと打ち出して、住基を使うんであれば住基を使うということを早期に決めて関係省庁との調整を急ぐべきだと思うんですが、もう一度いかがでしょうか。

○政府参考人(間杉純君 先生御指摘のとおりでございまして、技術的な問題も確かにございます。したがいまして、私どもとしましてもできるだけ早く方向性を打ち出したいと、かように考えている、そこは全く同感でございますし、それから今回の骨太の二〇〇九におきましても、社会保障の機能強化、効率化の観点から着実に実行に移すべき重要事項の一つと、かように位置付けられてございまして、私どもとしても着実に実現を図ることとしたいと考えてございます。
 今年度より実証事業を行うこととしておりまして、その状況、結果、さらにはサービスの体験者の声、こういったものも踏まえまして、より良い仕組みとなるように、総務省あるいは内閣官房、こういった関係省庁とも連携を取りながら早急に方向性を固めたいと、かように考えてございます。

○礒崎陽輔君 ありがとうございます。
 IT社会という中で、やっぱり技術革新がどんどん進んでおります。確かにコンピュータライゼーションに対して生理的な抵抗のある人もいるのも事実でありますけど、新しい日本をつくっていくには、このこと本当に大きな私は起爆剤になるんだと思います。したがって、単に社会保障をどうする、住民管理をどうする、そんなだけの問題ではなくて、我が国の行政の在り方、市民に対するサービスの在り方を変える私は大きな観点になるんではないかと思っております。
 そういう意味で、総務省も、地方自治全体にとってこれも大きなメリットのある話でありますから、今厚生省の御答弁の中ではまだオブザーバーと言われておりますけれども、これもオブザーバーというんじゃなくて共管省庁に早くしてもらって、もっともっと総務省がリーダーシップをこれも取って、むしろ厚生労働省をお助けするぐらいの働きをしてもいいんではないかと私は考えますが、局長、いかがですか。

○政府参考人(久元喜造君 この検討が始まりましてから私どもも参画させていただいたわけでありますけれども、先ほど厚生労働省からお答えがありましたように、この住基カードに対する理解が大変深まったと。また、今回の改正法案の内容につきましても検討会の報告書の中で言及されているところであります。
 これまでは、社会保障の分野におけるシステム基本構想等が中心でありましたのでオブザーバーとして参画したわけでありますが、こういうふうに議論が深められてきておりますので、更に積極的に検討作業に参画してまいりたいと存じます。

○礒崎陽輔君 先ほど野党委員からもちょっとあったんですけど、例えば、印鑑証明とかもう既にやっているとか、あるいは図書館の貸出しに使えるというような機能もあると。そういうカードが既に出ているところがあるんですね。特に印鑑証明なんかでも、かなり住基カード以外で使われている例が多いんですが、こういう機能というのは住基カードの上に載せることは今できるんでしょうか。

○政府参考人(久元喜造君 これは既に独自領域といたしまして、この住基カードの中にそういうような領域を設定いたしまして、独自のサービスに使われているところでございます。

○礒崎陽輔君 そうなんですよね。そういった独自カードの方が先行しているものだから、なかなか住基の方に乗換えができないということですから、これはやはり総務省としても少し工夫をして、そういった既存のカードもだんだん乗り換えられるような工夫を是非ともしてもらいたいと思います。
 そこで、財務省にも来ていただいておるわけでありますけど、やっぱり納税環境を図る上で、従来から納税者カードの導入というのがこれ一つの課題だと思うんです。この話をするといろんな意見が出るんですけれども、別に悪いことしていない人は全然怖がる必要はないわけでありまして、きちんと税金を払ってもらうのは当たり前のことでありまして、そのために納税者番号あるいは納税者カードというのを私はしっかりと考えていく必要があると思うんです。
 その中で、今言ったように、将来、社会保障カードと住基カードが何となく一体化するような方向で政府も動いておるわけです。これは非常に大きな契機となるわけであります。このことも私も再三党税調では発言をしておるわけでありますけど、なかなかまだいい返事をいただいてはいないわけでありますけど、財務省としても、ここまで社会保障カード、住基カードの話が煮詰まってきておるわけでありますから、少しこのカードなりを使うということを前向きに御検討いただいたらいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(古谷一之君 お答え申し上げます。
 御指摘のございました納税者カードの問題、これまで納税者番号制度の導入の在り方ということで議論をしていただいておるわけでございますけれども、御指摘ございましたように、与党での御議論も踏まえまして、さきに可決をいただいた平成二十一年度税制改正法の附則では、「納税者番号制度の導入の準備を含め、納税者の利便の向上及び課税の適正化を図ること。」ということが決められております。
 この納税者番号制度でございますけれども、具体的には、その納税者の経済取引の相手方が納税者本人から告知を受けた番号を税務当局に提出をします支払調書などの情報申告書に記載をしまして、税務当局がその番号をキーとして納税者の情報を言わば名寄せ、突合する仕組みでございますので、納税者番号として採用すべき番号の基本的な条件といたしましては二つほどあろうかと思います。一つは、一人の納税者に固有の番号が付されて、住所や氏名が変わってもそれが維持管理されるということが一つございます。それからもう一つは、納税者の取引の相手方が認識ができて、民間の取引活動の中で示し得る番号であるということがポイントになろうかと思います。
 したがいまして、納税者番号として利用する番号の在り方につきまして、こうした点も踏まえまして今後の税制や社会保障の在り方の議論の中で私どもとしても検討を具体的にしてまいりたいと考えておりますが、御指摘がございました住民票コードの活用ですとか、現在議論が行われております社会保障番号、社会保障カードの議論の帰趨を念頭に置きながら検討をさせていただければと考えております。
 ただ、その際、これも御指摘ございましたけれども、課税分野での番号でございますので、プライバシー保護ですとか官民の行政コスト、あるいは経済取引への影響などの問題も含めまして、やはり国民の理解を得ながら検討を進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。

○礒崎陽輔君 ありがとうございました。
 大変よく分かりましたが、ただ、一つだけ申し上げますと、既存の番号を納税者番号に使うというのはもちろんそれは御検討していただいていいんですけれども、その納税者番号は納税者番号として私はつくってもいいと思うんですね。その上で納税を管理するシステムを住基カードの上に載せるということも可能なわけですから、そこは多分御理解いただいていると思いますけど、そこも是非とも御検討をいただきたいと思います。
 私も党内での振り込め詐欺の撲滅チームの役員をやっておりますけど、銀行なんかに行くときに、やはり変な口座を作られないようにするためには、きちんと写真の張ったカードで、そういった納税番号がきちっと入っていて、それでないと口座が作れないようにすると、本当に振り込め詐欺を防止するのに物すごくいい方法なんですよね。だから、是非とも今の御方針を踏まえて積極的に御検討をいただきたいと思います。
 ただ、今プライバシーの話がありまして、こういう話をするとすぐに国民総背番号制反対という御意見が出てくるわけであります。もちろんその御懸念は分からないわけではありませんが、住基カードの中にそういった今言った住民の情報、それから社会保障の情報、それから、例えば仮に納税者情報が入ったとしても、決してそれが一元的に管理されるものではないと私は思うんですが、この辺をちょっと技術的に分かりやすく、行政局長、御説明いただけませんでしょうか。

○政府参考人(久元喜造君 国民総背番号制との懸念でありますけれども、この懸念は恐らくは、国民全員に一つの共通番号を付番をいたしまして、その共通番号を基に国が幅広い個人情報を収集、管理する、そういうような状況に対する懸念ではないかと考えられます。
 今回まとめられました社会保障カードの報告書ですけれども、その中では、このカードのICチップには保険資格情報や年金記録は収録しない、それから、必要な情報の取得にはICチップの中の本人識別情報を用いて外部のデータベースにアクセスする、三番目に、年金、医療、介護に関する様々な情報を一括して保有する大規模なデータベースは設けないと、こういうようなことが指摘をされております。こういうふうに、それぞれの行政サービスごとに異なる番号体系によって情報データベースを個別に保有しながら、国民が一枚のICカードを用いてそれぞれの情報にアクセスする仕組みを設けることは、制度的にも技術的にも可能であるというふうに考えられます。
 こういう仕組みを想定した場合には、国民に付した一つの番号によって住民票に係る本人確認情報、社会保障に係る年金、医療、介護のそれぞれの情報、それから、さらには納税者の情報を国が集約して一元管理することにはならないというふうに考えられるわけでありまして、そういう方向で検討がなされればいわゆる国民総背番号制に対する懸念は払拭されていくものと考えられますし、そういう方向で検討を進めていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

○礒崎陽輔君 よく分かりました。
 そこを是非とも国民の皆さんにきちんとやはり分かるように、この話が進んでいくときにお伝えしなきゃいかぬと思いますね。
 我々も、ポケットの財布の中にたくさんカードが入っていますが、これをとにかくたくさん持たないで一枚でよくするだけになりまして、一枚になったからといって、その中には実質的にはたくさんカードがあるだけであって、そのカードを横ぐしで刺して一気に見れるとか、一気に使えるんではない。例えば国民健康保険がカードになったとしても、それを見るのはやはり、もちろん本人が見るとしても、病院とかお医者さんとかが見れるだけであって、それが全く違う役所の人が見れるとか、そんなことにはならないわけですよね。
 そういうことだと思いますので、住基カードにいろんな機能が集約されるカードだからといって、それを特定の役所がすべて見れるとか、すべて使えるとか、そんなことには決してならないわけでありますので、その辺をうまく今後とも国民広報に努めていただきたいと思います。
 しかし、そこまでになりますと、もう少し普及策を考えなければならないと思います。無償化の問題も先ほど質問出ましたけど、もうここまで来たら、いつまでもけちけちしたこと言わないで、全国的に無償で交付しなさいということをもう決めていいと思うんですね。無償化したところは交付税で見ますよというんじゃなくて、もう最初から交付税できちんと見るんで、無償化することによって後年度の社会保障カードへの移行を円滑にやるべきだと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(久元喜造君 この発行主体を市町村にしておる以上、やはりそれぞれの市町村で無償で発行していただく、そういう取組を地道に広げていくということが私どもの役割であろうかと思いますので、先ほど大臣からお答えがありましたように、この無償化の財政措置を市町村にきちんと広報、普及させまして、一つでも多くこの無償交付団体が広がるように努力させていただきたいというふうに思います。

○礒崎陽輔君 ちょっとよく分かりませんけれどもね、私は、今言ったことが。
 それは五百円分余分に交付税が付くわけですから、その分、御本人から五百円もらわなくて交付税から五百円もらえばいいわけですから、それはちゃんと進めればいいんじゃないかと私は思いますよ。それはもちろん地方自治を尊重なさるのは非常に結構なことでありますけど、こんなことは市町村で私は違わない方がいいんじゃないかと思います。
 それで、もう一つは、これも難しい問題なんですけど、さっき言った振り込め詐欺なんかということを考えますと、写真がやっぱりあった方がいいんですね。これも写真を載せるか載せないか本人の自由。これもいろいろ肖像権の問題やらいろいろ考え方もあるんでありますけれども、運転免許証は写真は義務付けておるわけでありますから、これも個人情報の保護の仕方は考えなきゃいかぬと思います。カード以外のところに写真を保存しちゃいかぬとか、いろいろなこと考えなきゃいけませんけれども、写真の貼付の問題について義務付ける考えはないかどうか、いかがでしょうか。

○政府参考人(久元喜造君 現在は、委員御指摘のとおり、この住基カードには写真入りのものと写真なしのものと二種類がありまして、選択できるようになっております。
 写真なしのカードは、これは既に別に身分証明書を持っておられる方が印鑑登録証などの、言わば便利カードとして写真のない簡便な住基カードを取得したいと、そういうニーズに対応したものでありまして、平成十九年度に約七百団体を抽出して行った調査では約四割を占めております。こういうニーズがある以上、当面はこの選択制というものを私どもは維持をさせていただきたいと思いますけれども、先ほど大臣からお答えがありましたように、例えば高齢ドライバーの方が運転免許証を返納する代わりに身分証明書を取得したいという、そういうニーズを考えますと、写真入りのカードというのは大変有効であります。
 私どもといたしましては、例えば住基カードのPRのポスターは専ら写真入りのものを掲載しておりまして、写真カードの本人確認機能について重点的に広報を行ってまいりたいと考えております。

○礒崎陽輔君 しっかり御検討いただきたいと思います。
 最後に、大臣にお伺いをいたします。
 先ほど二〇〇六年の多文化共生推進プランについても御質問がありました。多文化共生を私も役所におるときに随分推進いたしましたので、それがいろんなところで引用されるのは大変うれしく思います。確かに、今回の住基、外国人の住民台帳ができたというだけではそれほど外国人住民の皆さんにとってメリットはないわけであります。さっきも言いましたように、一つの法律の中で外国人住民も日本人と同じように扱われるようになった、これは形式的には非常に良かったと思いますが、やはり実質的に世界に開かれた日本にし、そして外国人住民の皆さんに喜ばれる日本、そして外国人と日本人が平等に生活できる日本、そういうものをつくっていく必要があると思います。
 その中で、やはり総務省としてもこの多文化共生社会の推進に一層御尽力いただきたいと思うわけでありますが、今後、その辺について大臣のお考えをお伺いをいたしたいと思います。

○国務大臣(佐藤勉君 総務省としては、従来から、外国人の住民も日本人とともに地域社会を支える主体と考えておりまして、地方自治体に対して多文化共生の地域づくりに関して助言や支援を行ってきたところでございます。
 国の定住外国人施策につきましては、本年の一月に内閣府に定住外国人施策推進室が設置されまして、様々な施策の総合調整が行われているところでありますけれども、総務省としては、今後とも各府省と十分連携をしながら、国籍や民族などの異なる人々が地域社会の構成員として共に生きていけるようにすることを目指しておりまして、地方交付税措置などできる限りの支援を行ってまいりたいと思いますし、先生の御趣旨のように、リーダーシップを取りながら頑張ってまいりたいというふうに思っております。

○礒崎陽輔君 ありがとうございました。
 最後に、大臣が総務省としてもリーダーシップを取っていくと、大変いい御答弁いただきました。どうぞ御尽力賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。

○弘友和夫君 公明党の弘友和夫でございます。
 先ほど来の質問でふくそうするところもございますけれども、基本的な問題でございますのでお聞きしたいというふうに思います。
 まず、住民基本台帳制度の適用対象者でございますけれども、今までの総務省の外国人台帳制度に関する懇談会の報告書によりましたら、これは作成する対象者として、一、入管法に基づき本邦に在留することを許可されている在留カード交付対象者、二、出生してから六十日以内の者のうち戸籍法上の出生の届出のあった者、三、特別永住者に限定をしているわけでございますけれども、この懇談会報告書においては、国籍離脱者、一時庇護上陸許可者及び仮滞在許可者のいずれも対象外とされているのに対しまして、本法律案ではいずれの者も住民基本台帳制度の対象となされたわけですけれども、これはどのような判断がなされた結果なのか、その理由についてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(久元喜造君 この改正法案では、適法に三か月を超えて在留する外国人を住民基本台帳法の適用対象にするというのが基本的な考え方であります。
 懇談会の議論におきましては、この一時庇護許可者、それから難民認定申請中の仮滞在許可者につきましては、生活の場所が限定されているというような理由から対象としないという整理でありましたけれども、これらの方々も適法に三か月を超えて在留することができるという点については変わりがありませんことから、この改正法案におきましては適用対象とさせていただいております。
 それから、入管法の手続に基づく在留資格等が付与されるまで猶予期間として六十日間適法に在留することが認められる方のうち、国籍喪失者の方につきましては、日本人であったときから引き続き国民健康保険や年金などの対象となっていて、継続的にこれらの行政サービスの提供を受けられるということ、また出生者については児童手当などの対象となるということから、改めて検討いたしました結果、適用対象にさせていただくというふうにしたわけでございます。

○弘友和夫君 次に、非正規滞在者への対応でございます。
 先ほども出ておりましたけれども、現行の外国人登録法では非正規滞在者も登録の対象とされておると。だけれども、本改正案では住民基本台帳制度の対象外であると。今まで、そもそも非正規滞在者が外国人登録制度の対象とされ、外国人登録証が交付されてきたということに対してはいろいろな御批判もあったところであるわけですけれども。
 それで、非正規滞在者に外国人登録証が交付されてきた理由と併せて、現在までその状況が続いてきたことに対する評価について法務省にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(高宅茂君 現行の外国人登録制度は、いわゆるポツダム勅令として、外国人登録令というものによって創設されております。それが現在の外国人登録法に引き継がれて、現在に至っておるわけでございます。
 不法滞在者の登録の件でございますが、制度創設当時、この時代につきましては、我が国に在留する外国人は現在よりも非常に少なかった、大幅に少なかったと。それから、その構成も朝鮮半島の出身者らが大半を占めていたということでございまして、当時、朝鮮半島からの船舶による密航が後を絶たない状況にあったと。そこで、検挙を免れて国内に潜入した方、これを追及するために、外国人が本邦に在留するに至った原因等は問わず、登録の義務を一律に課すということにしたものだとされております。
 そのために、今委員御指摘のとおり、現行の外国人登録制度におきましては、外国人登録証明書が不法滞在者であっても登録を申請すれば交付されるということになるわけでございます。そのことがかえって不法滞在者の在留の継続を容易にしているとの批判もなされているところでございますが、これにつきまして、新たな在留管理制度におきましては、在留カードは我が国に中長期間、適法に在留することができる外国人にのみ交付することとして、不法滞在者には交付しないこととしております。

○弘友和夫君 それで、先ほども御質問がありましたけれども、非正規滞在者であっても、例えば継続的な医療提供が必要だという場合もありますし、また、今申請をやっている、在留資格を有しない者であっても申請をしているとか、そういうことで、やっぱり一律に在留資格を有しない者であっても排除するんじゃなくて、個別具体的に対応することが必要なんではないかと。これは先日の豊田の市長さんもお話がありましたけれども。
 そういうことで、外国人住民の人権に対する配慮がなされるべきだと思いますけれども、大臣の、また法務省の見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(佐藤勉君 地方は、住民基本台帳に記録をされていない者であっても、義務教育や助産施設における助産、結核予防のための健康診断など、従前より当該行政サービスの対象とされているものについては、今回の改正法の施行後においても引き続きその対象とされるものでございます。今回の改正が、その範囲を変更するものではございません。
 また、衆議院において修正によりまして、入管法等によりまして本邦に在留することができる者以外のものについて、施行後もなお行政サービスを受けられるようにするとの観点から、政府が必要に応じて記録の適正な管理の在り方について検討を加え、必要な措置を講ずることとされたところでございまして、総務省としては、こうした趣旨を尊重いたしまして、関係省庁とも連携して適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

○弘友和夫君 次に、先ほどこれもありましたけれども、通称名の使用等の件ですけれども、現行の外国人登録制度は、在留外国人の公正な管理を目的とした制度であって、外国人登録原票は原則として非開示だと、閲覧制度は設けられていないわけですね、現行は。ところが、今回は、外国人住民を住民基本台帳の対象に加えるということに対して、取扱いの違いを日本人と外国人住民、設けていないわけですから、一定の条件の下では閲覧の対象となるということですね。
 そうなってくると、やはり外国人住民のいろいろな事情というのもある。先ほどの通称名の使用ですけれども、我が国で長期間にわたって生活してきた外国人、日常生活においていわゆる通称名を用いていた。これが今回、先ほどの御答弁では備考欄に通称名が書けるという御答弁があったんですけれども、住民票は氏名、生年月日、性別、住所の四情報が閲覧の対象となっておると。ところが、要するに出自を隠して通称名でずっとやってきた人、備考欄に書いても閲覧した場合はその元々の氏名というのは見れるわけですから。
 こういう個人情報というか、御本人は通称名でずっとやっている。今まで閲覧制度がないわけで、今度、閲覧制度ができることによって、それがはっきりしてしまうという場合もあり得るわけですね。そういうことにどう対応していくのか、やはり配慮が必要じゃないかなというふうに考えておりますけれども、いかがでございましょうか。

○政府参考人(久元喜造君 この住民基本台帳制度の対象として住民票を作成するということは、その住民票の写し等を交付をいたしまして、その方の居住関係を公証するということであります。これまで外国人登録制度はそういう目的を有しておりませんので、閲覧や交付の仕組みがありませんでしたが、住民基本台帳制度はそういう居住関係の公証を目的とする制度ですから、閲覧と住民票の写し等の交付の対象になってくるということでございます。
 そういうことを考えますと、この居住関係の公証をする上で、氏名は居住関係の公証の最も基本的な部分でありますから、これを閲覧、交付の対象とするということは、居住関係の公証という制度の目的の根幹にかかわる問題ではないかというふうに存じます。
 その上で、この閲覧制度につきましては、平成十八年の住基法の改正によりまして、閲覧を相当の理由がある場合に限定し、また、偽りその他不正の手段による閲覧や目的外使用の禁止に関する違反等に関する制裁措置を強化するなど、個人情報保護に十分留意した制度として再構築したところでございます。
 こうした制度の厳格な運用によって、外国人住民に関する閲覧についても適正な個人情報保護が図られるように努力してまいりたいと考えております。

○弘友和夫君 今まで住民票閲覧は、自由にできたらいろいろ問題が出てきて、閲覧そのものをいろいろ制限するというか、そういうふうにはしたわけですけれども、だけれども、今のお話のように、氏名はこれを公表しないわけにいかないということで、だけれども、今まではある意味、通称名で生きてきた方に対して、これはやっぱり個人情報の大きな問題になるんじゃないかなというふうに考えますが、これは今後のちょっと問題点として指摘しておきたいと思います。
 それから、届出でございます。転入届、転出届等、各種届出を義務付けておりますものですから、外国人住民の方もそういう届出をしないといけない。その環境を整えないといけないわけですけれども、今回新たな制度について十分な周知徹底を図ることが必要だと。それには外国語の問題だとか、それから、そうした外国人住民に対する十分な配慮がなされるべきだと思いますけれども、どういうふうに考えられているか、お尋ねします。

○政府参考人(久元喜造君 今回の法改正によりまして、外国人住民は新たにこの住民基本台帳制度に基づく届出等を行う必要が出てまいります。外国人に関係する施策を実施している関係省庁や市町村長等と連携をいたしまして、新制度の案内、広報等を行うことを予定しております。市町村の準備作業につきましても円滑に進むように、政令、省令や事務処理要領を早期に改正するとともに、市町村に対する説明会を開催するなど、市町村とよく連携を図っていく予定でございます。御指摘の外国語によるいろんな資料の作成、説明等につきましても努力をしてまいりたいと考えております。

○弘友和夫君 これも先ほど出ましたけれども、市町村に対する財政支援、先ほど、二百億ですか、システム改修に掛かると。これはどういう形で、補助金なのか交付税措置なのか特別交付税なのか、どういうスキームでこれはやるというふうに考えられているか。

○国務大臣(佐藤勉君 本改正によって外国人住民を住民基本台帳の適用対象に加えることに伴いまして、現行の外国人登録制度からの移行のための市町村において住民票作成のための準備作業やシステムの改修等が必要となります。
 これらの移行作業に要する経費につきましては、各市町村の住民基本台帳システムにはメーカー、機種が異なる多くの仕様があることなどから十分な精査が必要でございますけれども、現在の試算では、先ほど先生おっしゃられましたように二百億円程度と見込んでおります。当該移行経費及び運用経費については、地方公共団体の事務事業に支障を生じないように十分な地方財政措置を講じてまいりたいというふうに思っております。

○弘友和夫君 これは何年掛かるんですかね、年数。

○政府参考人(久元喜造君 施行までは三年を予定しております。

○弘友和夫君 それで、不思議だと思うんですけれども、要するに、今までも住民基本台帳はあるわけですから、それに外国人を加えるわけですね。確かに名前の欄は、アルファベットなのか何なのか、長くなったり短くなったりするかもしれません。それから国籍欄を書かないといけないとか、そういうことは増えるかもしれませんけれども、そのことで三年掛かるというのが分からないんですよ、三年。
 今日、小笠原局長、おいでいただいておりますけれども、私はこの間説明を受けた「ICTビジョン懇談会報告書 スマート・ユビキタスネット社会実現戦略」、二〇一五年までにこうこうこういうことをやりますよと、すばらしいことを言われているわけです。そうしたら、たった住民票の欄が変わるだけで三年掛かると。後期高齢者のこの間のあれも三年掛かったわけですね、準備期間、そういうICTというか。何か変わるたびに三年も掛かっていたんじゃ、何がユビキタス社会なのかと。
 こういう対応がいつでもできるようなことをやっておかないと、そういうシステムにしておかないと、国籍欄が入りましたよ、アルファベットで書くようになりましたよだけで三年掛かるんじゃ、これはユビキタス社会だとかICT、総務省、というふうに言っておりますけれども、とんでもないんじゃないかなと思う。だから、局長と大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

○政府参考人(久元喜造君 今回の改正に伴いまして、確かに、外国人住民については一定の特例を設けまして、住民票の記載事項が変わるわけでありますが、現在は外国人登録制度によって外国人の在留管理が行われているわけであります。これを全く違う住民基本台帳制度に移行するわけでありますので、その移行に伴う新しいシステムを設計し、またシステムを開発をして、絶対にこれは間違いがあっては許されない仕組みでありますから試験運用もすると。そして、必要なシステムの標準的なモデルを総務省から地方公共団体に示すといった一連の手続が必要でありまして、何とかこの三年の移行ということで御理解を賜りたいというふうに存じます。
 外国人をたくさん抱えている自治体のトップからは、できるだけ早くこれを移行できるようにしてほしいという要望をいただいている一方、実際の市町村の実務担当者からは、これは間違いが許されない制度なので十分な準備期間が欲しいという、そういうような要望もいただきました。私ども、いろんな観点から検討いたしました結果、基本的にはこれは入管法の施行時期に合わせるということで三年間の施行時期をお願いしたいというふうに考えております。

○政府参考人(小笠原倫明 システムの移行につきましては、それぞれ個別のシステムによっては、いわゆる純然たるコンピューターシステムの整備以外にも、それにかかわります制度、あるいはその準備以外の期間がそれぞれのシステムによりまして異なる期間が生ずるものと考えております。
 ただ、私ども、いわゆる情報通信システムを所管する部局といたしましては、様々なそういったようなシステムの移行が円滑にできますよう、例えば新しい技術の活用、例えば霞が関クラウドと言われるもの、あるいは様々な府省によります共通企業コードの構築でありますとか、地方公共団体の情報プラットホーム、そういったものを、我々が整備したものを活用するとか、様々そういった電子行政の基盤整備を、取組を一生懸命することによりまして、先生御指摘のようなシステムの移行が円滑につながるよう積極的に取り組んでいるところでございます。
 先ほど先生がお取り上げになりました具体的なシステムというものにつきましては、先ほど、先般の大臣の懇談会でありますICTビジョン懇談会というところが、二〇一五年ごろまでを視野に入れた「スマート・ユビキタスネット社会実現戦略」と題する報告書をちょうだいしたところでございます。その中で、重点戦略の一つとして、利用者本位の電子政府の実現、その一環として国民電子私書箱、これはまだ仮称でございますが、の実現を目指すべきとされているところでございます。
 その国民電子私書箱につきましては、その後、この報告書をちょうだいいたしましてから、先週二十三日に閣議決定されました経済財政の基本方針二〇〇九というもので、平成二十五年度までの整備を目指す、そのために本年度中に基本構想を策定するという方針が示されたところでございますので、我々、その基本方針の策定を踏まえまして、積極的に政府全体の取組に貢献してまいりたいと考えておるところでございます。

○国務大臣(佐藤勉君 とはいえ、先生の御趣旨はよく理解をさせていただきますし、三年たてばもちろん機器も更新という話にもなるわけでございまして、積極的に早くやるような方法を考えてみたいというふうに思っております。

○弘友和夫君 だから、これだけの話じゃなくて、すべてにそういうことが言えるんじゃないかと思うんですよ。ですから、先にいろいろなことが後々入ってきても対応できるようなことを考えておかないと、これが変わったら三年掛かる、これが変わったら三年掛かると、もう二〇一五年まであっという間になりますからね、ということで指摘をしておきたい。
 次、もう時間がありませんので、住基カードについてはちょっと省略をさせていただきたい。是非、多目的利用ができるような、そういうことをやっていただきたいと思います。
 それから、今回、在留資格、留学と就学の一本化というのが図られている、これは非常に私はすばらしいというふうに思っているんです。ただ、言葉が、就学生、留学生が変わっただけで内容が変わらなければ何にもならないわけですよ。そういうことで、今まで留学、就学分かれていたわけですけれども、一本化になったらどうなるのかと。例えば、在留期間の年数が変わるとか、そういうのはどうなるのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。

○政府参考人(高宅茂君 今回、留学と就学が一本化されましたときに、併せまして今回の改正では在留期間の上限を、現在三年でございますが、これを五年にするというようなことも改正案に盛り込まれております。
 各在留者ごとの在留期間につきましては入管法施行規則に定められるということになるわけですが、留学、就学を一本化した後における留学の在留期間、これにつきましては、留学生が安定して勉学できるようにという趣旨から、例えば大学であれば教育期間を考慮して上限を四年にするとか、そういったことを考えていきたいと思っております。

○弘友和夫君 文科省にお伺いしたいんですけれども、留学生三十万人計画というのを立てておられて、文科省だけではありませんけれども、主に文科省。私は、その三十万人というのは、それは非常に積極的にやっていただきたいとは思うんです。だけど、内容が伴わないと、例えば今まで就学生についてはというか、日本語学校に行かれている方は、学校へ行って消費税が掛かるわけですね、授業を受けるのに。定期券だって学割が利かないというわけですよ、定期券。同じ外国から来て、日本語もよく分からない、最初に就学生として、今まではですよ、日本語学校へ行って勉強をしている。国の方から来て勉強しているのに、何であなたたちは学生というか、そういうのじゃないのかと、そういう日本で扱いを受けていないのかと。通学定期が利かないんだとか授業を受けるのに消費税が掛かるなんというのは、そんなのとんでもないという話ですけれども。
 これも今まで何回もやってきましたけれども、これを機に、就学生、留学生でなくて留学生一本化するわけですから、そういう対応についても一本化していただきたいというふうに思いますけれども、いかがですか。

○政府参考人(戸谷一夫君 今先生の方から、授業料の非課税措置の話とそれから通学定期の話、具体的に御質問いただいたわけでございます。
 現在、授業料の減免の関係につきましては、学校教育法上の位置付けのございます専修学校あるいは各種学校、そういったような位置付けのある日本語教育機関もあるものでございますから、これが大体全体の日本語教育学校の今三分の一ぐらいになっておりまして、そこのところにつきましては、授業料に対する消費税の非課税措置あるいは通学定期の適用といったものも既に行われているということでございます。
 それで、実はそこの、同じ日本語教育学校でありながら、片や授業料の非課税措置あるいは通学定期の適用も受けられないというところがちょっと実は分かれているわけでございまして、この課税の考え方につきましては、実は、確かに日本語教育学校というのは非常に重要だというふうに私どもも認識はいたしておりますけれども、学校教育法上の位置付けのないいわゆる学校的なものというのは非常にたくさんあるわけでございまして、そういった中でどういうふうに非課税措置の中で線を引くかということにつきましては、現行におきましては学校教育法上の位置付けがあるかどうかというところで線を引かせていただいておりますけれども、先生の御指摘の点につきましては今後の検討の課題だというふうに思っております。
 それから、あと通学定期の適用につきましては、これは基本的には各交通機関の経営の判断ということに最終的にはなるわけでございまして、私どもといたしましては、これまでも逐次適用の拡大というのをお願いをしてきておるところでございまして、今後ともこの点について各交通機関の会社の方々に御理解を賜れるように更に努めてまいりたいというふうに考えております。

○弘友和夫君 今の御答弁だったら、学校法人だとかそういうのはきちっとしているけれども、そうじゃないのはいいかげんなところもいっぱいあるというようなニュアンスでお聞きしたんですけれども。
 財団法人日本語教育振興協会というのが授業時間はどれだけだとか施設はどうだとか細かく決めているわけです。それは学校法人法よりももっと厳しい条件が付いている。だから、私はそれが審査、認定すればオーケーじゃないかと思うんです。厳しいんだから、学校法人法のそれよりも厳しい基準ですから。それを是非検討していただきたいなというふうに思いますけれども、言いたいのは、留学生三十万人計画、人数だけやっても駄目なんですよ。やはりきちっと対応して、日本で学んだ方が母国へ帰って日本というのを好きになる、すばらしい国だと宣伝してもらうとか。
 それから、これもそうなんです。じゃ、日本語勉強して、日本に滞在して就職したいと。今みたいな状況ですからなかなか就職できないわけですね。それを三か月、三か月、何回か延ばして、今度それ切れたら不法滞在者になると、こうなる。法務省、どうですか、これ。不法滞在者になるんですか、就職できなかった場合に。

○政府参考人(高宅茂君 就職につきましては、一応、卒業して直ちに在留を打ち切るということはしておりませんで、一定の就職希望者につきましてはその間の就職活動というのを認めております。ただ、それが切れて期間更新をしなければ確かに不法在留になりますが。

○弘友和夫君 これには留学生の雇用の促進だとか産学官が連携した就職支援や企業支援だとか、書いていることはいろいろ書いている。日本に来て一年以内は宿舎を提供することを可能にするとか、いいことはいっぱい書いているけれども、実際本当にそういうふうにやっているのかどうかというのが、ばらばらなんです、各省が。大体、文科省、外務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、この三十万人計画、六省が入っているわけですよ。
 ですから、きちっとやはりこれは連携してやっていかないといけないというふうに思いますけれども、総務大臣、最後に、時間が参りましたけれども、個人で結構でございますけど、お考えを伺いたい。

○国務大臣(佐藤勉君 今先生がおっしゃられたこと等々、一省庁でできる話ではございません。各省連携をして積極的に取り組ませていただきたいというふうに思っております。

○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 法務省の入管統計によりますと、外国人登録者数は二〇〇八年末までに二百二十二万人、十年間で約一・五倍に急増いたしました。この背景には、一九九〇年に入管法が改正され、いわゆる日系三世まで就職活動に制限のない定住資格を認めたことがあります。それを機に、日系人の外国人単純労働者が増えました。また、政府の研修生、技能実習生の受入れ政策によってアジアを中心にした国々からの入国も拡大をいたしました。これらいわゆるニューカマーと言われる人の中で長期滞在や定住化が進んでおります。
 政府が労働環境あるいは社会保障や教育など、生活環境を十分整えないまま外国人の受入れを拡大してきたために、低賃金や雇い止めなど劣悪な労働条件、あるいは必要な医療、教育が受けられないなどの問題が噴き出していると感じます。
 総務大臣に伺いますが、外国人をどのような形態で日本の社会に受け入れるのか、その基本的な考え方の決定は国に第一義的な責任があると思いますが、いかがですか。

○国務大臣(佐藤勉君 外国人の出入国に関する行政は国の専管事項でございまして、外国人を日本社会にどのように受け入れるかについては、御指摘のとおり一義的には国の責任であると考えております。
 ただし、国内の受入れ体制については、地方自治体がその実務を負うことになることなどを考えれば、地方の意見も十分に伺った上で国としての政策決定を行う必要があるというふうに考えております。

○山下芳生君 国に第一義的な責任があるとお認めになりました。
 先日、私、滋賀県で実際に日系ブラジル人の方々、日本に来て今働いておられた、もう「た」になった方々ですけれども、二、三十人お話を聞きました。もう既に十数年、皆さんたっておりますけれども、全員同じ仕事を続けている方はおられませんでした。大体もう五回、六回仕事を変わって今日に至ったという方であります。ほとんど正社員になった方はおりません。全部非正規あるいは派遣で十年間働いてこられたということであります。まさに日系人の単純労働者としての受入れを実施した国の責任は重いと私は感じました。
 同時に、外国人労働者を雇用している企業にも社会的な責任があると思います。外国人労働者の多くは、大企業の関連下請企業で働き、低賃金、不安定雇用の下で労働力の調整弁として働いてきました。必要なときにはウエルカム、不況になったら真っ先に派遣切りの犠牲になる。昨年来、派遣切り、雇い止めが急増したことによって真っ先に外国人労働者は失業し、住居を失い、子供の不就学が増加をしております。
 私は、こうした深刻な実態は、外国人労働者を受け入れてきた自動車関連ですとか大手電機メーカーなどの企業にも社会的責任を問うものとなっていると思いますけれども、総務大臣の感想を伺いたいと思います。

○国務大臣(佐藤勉君 外国人労働者の受入れの経緯や受入れ形態には様々な個別の事情があると思いますので、一概には言えないというふうに思います。一般論としてお話をさせていただきますが、企業には地域の構成員としての社会的責任だけではなくて、外国人労働者を雇用して利益を追求しているものとしての社会的責任があるのではないかなというふうに考えております。

○山下芳生君 今大臣がおっしゃったのは、総務省が二〇〇六年三月に発表した多文化共生の推進に関する研究会の報告書の中に今述べられた一文がありますが、その次に書いていることが大事なんですね。企業にはそうした社会的責任が存在する、しかし、外国人労働者を雇用する企業にはこのような社会的責任を十分に果たしていないという指摘がされている。十分責任果たしていないんですよね。それが総務省の報告書でも指摘されているということも紹介しておきたいと思います。
 需要がなくなったから帰国してください、定住者としての再入国は認めません、これでは納得できないという当事者の声も聞きました。この国の外国人の受け入れ方の無責任さを私は改めて生の声を聞きながら痛感した次第です。
 この総務省の研究会の報告では、外国人の受入れに関して基本的な責任を有する国の責務、そして外国人労働者を雇用する企業の責務についてそれぞれ明確にすることを求めております。ところが、国の政策で外国人を受け入れながら、受け入れたら後は居住している自治体任せになっているのが現状だと思います。
 私、先日、外国人登録者が人口の約六%、三千三百四十人に上る滋賀県の湖南市を訪問し、谷畑英吾市長から市の施策と国への要望を聞かせていただきました。湖南市で外国人が増えたのはやはり一九九〇年、入国管理法改正で日系三世に制限のない在留資格が認められるようになり、ブラジルあるいはペルーからやってくる人が急増したとのことでした。外国人派遣の専門会社が、この湖南市にある工業団地の住宅が今空き家になっておりまして、そこをもう一括して借り上げて、そこに外国人の方々に住んでもらって、そこから県内外の様々な企業にこういう方々を安価な労働力として供給したということも、この湖南市で外国人労働者が急増した背景にあります。
 谷畑市長は、自治体がこうした外国人に住民としての基本的なサービスを提供し、人権を守るためにどんな努力をしているか、非常にお忙しい中でしたけれども、一時間、熱っぽく私に語ってくれました。
 例えば、通訳の配置であります。現在、市役所の窓口に八名の通訳者を湖南市では配置しております。外国人からの相談は、雇用が今失われておりますから物すごく増えて、一か月に一千件を超えるそうであります。それから、市の広報も、日本語だけでは駄目で、ポルトガル語あるいはスペイン語、何か国語かに毎月の広報を翻訳してこういう方々に配られておりましたし、それから、湖南市の地図も、これはポルトガル語の地図で、こういうふうに作ってお渡ししていたり、それから、もちろんごみの収集の仕方もポルトガル語で案内したり、それから、湖南生活ガイド・ポルトガル語版、医療、教育、福祉の各制度の案内ですとか各種公共機関の電話番号が載っておりました。
 こういうことを、外国人も住民として基本的なサービスを受けていただけるように、市独自で努力しているわけです。
 それから、外国人の子供たちの教育も、これは特別の対応が必要だということでした。この一九九〇年以降、外国人が急増して、日本語が分からない子供が一クラスに一気に五、六人増えた学校もあったそうで、そのときは、日本語が分からない子供さんが教室にじっとしておることはできないわけですね。だって、言っていることが分からないわけですから、じっとしておれませんから、途中からぴゅうっと教室出ていって運動場で遊び始めると。そうしたら、日本人の子供さんも、僕もということで釣られて遊びに行くと。だから、もう授業が成り立たない状況が当初あったと。だから、これはやっぱり日本語をまず子供たちに分かってもらわなければということで、市独自に日本語の初期指導教室、さくら教室というそうですけれども、これを開設して、分かるようになってから学校の教室に入ってもらうとか、あるいは学校に通訳者を配置したりという努力もされておりました。
 総務大臣に伺いますけれども、外国人の受入れは、これは第一義的に国の責任であります。しかし、こうして関係自治体が努力している、こういう自治体の努力をどう受け止めるのか、これが一つ。それからもう一つは、こうした関係自治体の意見をよく聞いて、実態に合った私は財政措置を行うべきではないかと思いますが、この二点、いかがでしょうか。

○国務大臣(佐藤勉君 外国人の登録者数というのは十年間で一・五倍と急増しておりまして、十七組に一人という割合で国際結婚といった状況にもございます。したがいまして、先生おっしゃられたように、自治体の意見を真摯に受け止めて、必要な財政支援というのは適切に講じてまいらなければいけないというふうに思っておりますので、努力をしてまいりたいというふうに思います。

○山下芳生君 感想はまた後で聞きましょう。
 こうした努力を続けてきた湖南市なんですけれども、昨年秋以降の世界経済危機はこういう定住外国人の雇用と生活を直撃しております。先ほど言った一か月に一千件を超える相談を湖南市が整理したものを私は市長からいただきましたけれども、最近の外国人の状況、例えば生活面では、収入が減って税金が払えないといって分納などの手続をする人が増加した、あるいは帰国したいがお金がない、父だけを日本に残して帰国する人もいる、収入が減って生活費が足りない、再入国ができないことで帰国支援金を活用する人が少ないなどの声が紹介されました。
 それから、雇用、これが一番深刻でして、さっき言った住宅を借り上げた大手派遣会社でも大量に解雇が出て、一千七百人いた従業員が五百人以下になっているということでありました。日本語が話せない外国人には再就職の機会がほとんどないそうで、甲賀市、甲賀ハローワークというところがありますけれども、ここでは三、四時間待ちになっております、相談がですね。一月の就労説明会では二百数十人が参加しましたけれども、ブラジル人向けの求人は三社しかなかったということであります。解雇にはならなかったけれども、就業時間がかなり減って収入が減ったということも多いようです。
 厚生労働省に伺いますけれども、私は、緊急に再就職のための教育訓練の一環として集中的な日本語教育をやってほしいという要望が強いんですけれども、是非厚労省として対応すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(岡崎淳一君 この経済状況の下で、日本人、日系人を問わず、非常に厳しい状況にあるというのは事実であります。そういう中で、日系人の方々については、御指摘のように、日本語能力の問題等もありまして、ハローワークでも努力しておりますが、なかなか就職が難しいと、これまた事実であります。
 そういう中で、今滋賀県のお話がありましたけれども、湖南、甲賀におきましては、雇用保険の財源によります日本語研修、これを六月八日から始めておりまして、二百時間弱の時間数でありますが、こういったものを一方でやっております。
 ただ、これだけですと、人数が多いものですからなかなか対応し切れないということで、一方では、現在、都道府県に緊急雇用創出基金を創設しておりまして、この間の補正で積み増しまして現在四千五百億を各県分配してやっております。これの事業の一つとしましても、定住外国人等に対する日本語教育がいいのではないかということで、推奨事例の中にも入れながら、都道府県あるいは市町村での活用をお願いしていると、こういうような状況でございます。

○山下芳生君 やはり再就職に結び付くものでないと駄目だと思いますね。
 湖南市では、国際交流協会というボランティアの方々が中心になってやられている協会が丁寧に支援をすることによって、三十四人中十人再就職ができたということも当時聞きました。
 それから、そもそもですが、私感じたのは、二、三十人集まっていただいたブラジル人中心の方々、もう十年以上日本で働き、住んでいる方なんですけれども、片言の日本語しか話せない方がほとんどなんです。これ、どういうことかなと。やっぱりいかに安価な労働力としてだけしか見ていなかったんじゃないかと。本当に胸が痛みましたね。
   〔委員長退席、理事高嶋良充君着席〕
 私は、大量の外国人を雇用する企業には、単純労働といえども差別することなく日本語の教育を受けてもらうとか、あるいは技術研修を義務付けるなどの必要があると思いますけど、厚労省、これはいかがですか。

○政府参考人(岡崎淳一君 日系人等を雇っている企業に義務付けるかどうかということまでいくかどうかということにつきましては議論の余地があると思います。しかしながら、一方では、やはり雇っている労働者の方に適切ないろんな教育等をするということが望ましいということは言うまでもないことというふうに思っております。
 雇用対策法に基づきます外国人労働者の雇用管理の改善等に関する事業主が適切に対処するための指針、この指針も大臣告示で出しておりますが、この指針の中におきましても、外国人労働者につきまして日本語教育等もやるように努めることというようなことは書いてございます。一昨年作った指針でございますが、これの周知等を通じまして、そういったことにつきましても企業への自覚を促していきたいと、こういうふうに考えております。

○山下芳生君 是非、今の現状を、国、企業共に自ら招いたことだと胸を痛める必要があると思います。
 それから、湖南市のまとめでは、住宅も今深刻で、親戚や友人の家に集まって住んでいる外国人が非常に多いと。家一軒一世帯で借りることができないからですね、集合して住んでいる。これはもう限界に来ていると。それから、家賃の滞納などで家を追い出されるのではないかという不安を抱えている人が非常に多い、住宅ローンが払えないなどという状況があります。
   〔理事高嶋良充君退席、委員長着席〕
 それから教育です。さっきも紹介しましたけど、ブラジル人学校に子供さんを通わせている世帯が多かったんですが、これは月五万円ぐらい授業料掛かりますので、もう所得がなくなったらそれ払えませんから、学校をやめる、ブラジル人学校をやめる生徒が増加していると、その割に公立学校の転入数が大きく増えていないという傾向があります。要するに、不就学の児童生徒の増加が予想されるということでした。保護者の不安が直接子供にも影響していて、不安定、病気がちな子供さんが目立つということもありました。
 これは文科省に伺いますけれども、日本語ができない子供たちを受け入れるための制度を国が整備する必要があると思いますが、いかがですか。

○政府参考人(前川喜平君 外国人の子供たちの就学をいかに支援するか、また日本の学校に就学した子供たちをいかに支援するかということは非常に重要な課題だというふうに考えております。
 私ども文部科学省といたしましては、従来から、公立学校に就学又は在学する外国人児童生徒の支援のために、例えば、ジャパニーズ・アズ・ア・セカンド・ランゲージという学習言語としての日本語を指導するための指導方法を開発する、また、その指導方法に基づく教員の研修を行うというようなこともいたしまして、また、日本語指導を行う教員の加配ということで配置を進めていく。あるいは、日本の教育制度や就学の手続等をまとめた就学ガイドブックを七つの言語で作成して配付するとか、あるいは日本語指導の際の補助とか、あるいは学校と保護者との連絡調整を行うための外国語が使える支援員の配置、そういった施策を進めてきておりまして、外国人児童生徒の受入れのための促進事業ということで、湖南市も含めまして支援をさせていただいているところでございます。
 今後とも、こういった方向で支援をしてまいりたいと考えているところでございます。

○山下芳生君 加配される教員の数もかなり私は足らないというふうに聞いておりますので、実態に即して、より充実させていただきたいと思います。
 最後に総務大臣に伺いますけれども、私はこうした、国籍にかかわらず住民に基本的なサービスを提供し、人権を守るために頑張る湖南市の姿勢には非常に感銘を受けました。こうした自治体の努力をつかんで財政的にも応援するのが政府の責任だと思いました。先ほど財政的な支援はしたいということでしたけれども、まず、こういう努力を自治体がやっていることについての大臣の御感想と、それへの支援の強化の決意を伺いたいと思います。

○国務大臣(佐藤勉君 外国人集住都市会議という会議がありまして、いろんな要望をいただいております。
 したがいまして、ここに加盟しているだけではないという都市ももちろんございますし、そういうことを踏まえて、今先生がおっしゃられたように、外国人の方であろうともしっかりとした生活ができるような施策を考えていかなければいけないと思いますし、それに対する財政支援措置も総務省としてはしっかりとやっていかなければいけないという中でいろいろ検討してまいりたいというふうに思います。

○山下芳生君 自治体の努力についての大臣の評価はいかがですか。

○国務大臣(佐藤勉君 前々から、もう十数年にわたってこの外国人の方々の取組というのは県でもやっておられますし、もちろん市でもやっておられると思います。そこで帰国子女等々いろんな施策があって、真摯にやっていただいているということに対しては非常に敬意を表したいというふうに思います。
 一方、警察なんかでもポルトガル語のできる女性警官をそこに配置をしていろんな悩み等々を聞く中で非常に活用していただいているなんということもございまして、地方の何というんでしょうか、真摯な行動に心から敬意を表したいと思いますし、今後ともそういうものが生かせるように総務省としてはバックアップをしていきたいというふうに思っております。

○山下芳生君 終わります。

○又市征治君 社民党の又市です。
 この種の論点が絞られた法案、私のところまで回ってくると大体かなりの部分がダブってくるわけですが、再確認という格好になろうかと思うんですけれども、是非しっかりと御答弁いただくようにお願いをしておきたいと思います。
 まず、修正案提案者に、その努力に敬意を表しながら、それこそ再確認の意味でちょっと伺っておきたいと思いますが、修正案の附則第二十三条をお付けいただいて、その中で、本邦に在留することができる者以外のものについても行政上の便益が受けられることとなるように必要な措置を講ずる、こういうふうに入れていただいたわけですが、自治体は地方自治法の住民の規定を幅広く解釈をし、従来から、緊急の医療的な保護であるとか子供の義務教育であるとか、その他住民として最低限必要なサービスについて、外国人登録の有無にかかわらずある程度のサービスを行ってきているわけですが、この本邦に在留することができる者以外のものをうたう趣旨というのは、仮放免者はもちろんのことですが、一時庇護であるとか仮滞在などいろんな非正規滞在者も当然含むという意味だろうと思いますが、そこら辺のところをもう少し御説明いただきたいと思います。

○衆議院議員(黄川田徹君) 又市先生、お疲れさまです。御答弁させていただきます。
 先生も御案内のとおり、地方自治法あるいはまた住民基本台帳法、この中にある住民は外国人を排除しているわけではありませんし、それからその外国人そのものも在留許可のあるなし、これを問うてもおりません。
 そしてまた、昨年の六月十四日に、岩手・宮城内陸地震がありました。私の地元なんでありますけれども、そういう場合、自治体の首長は、住民の安否の確認といいますか、やっぱり住民の中には邦人だけではなくてこれは外国人も私は含まれておると思います。そういう中で、日々、自治体も一生懸命やっていかなきゃいけないということでありますし、また、たまたま梅雨に入りましたから新型インフルエンザ、ちょっと落ち着いておりますけれども、これがまた秋冬に大爆発になりますと、これまたタミフルの投与は邦人だけ、外国人は関係ない、そういうばかな話はないわけでありまして、様々、外国人とともに生きる社会をしっかりつくっていかなきゃいけないということであります。
 それらを踏まえて、御質問の仮放免者はもちろんのこと、それ以外の非正規滞在者も含まれるのかということでありますけれども、この附則第二十三条では、現に本邦に在留する外国人であって入管法又は入管特例法の規定により本邦に在留することができる者以外のものとこれはありますけれども、これは現に本邦に在留する在留資格のない者一般を対象にするものであります。そしてまた、仮放免をされ当該仮放免の日から一定期間を経過したものも例示としてこの条文に書き込んでおるわけであります。
 したがいまして、又市先生御指摘のとおり、附則第二十三条では、仮放免者のみならず、それ以外の非正規滞在者みんな含まれる、こういうことでございます。

○又市征治君 ありがとうございました。
 委員長、修正案提案者にはこの一問だけでございますので、お忙しいようですから、もし御都合があれば。

○委員長(内藤正光君) 御退席いただいて結構です。

○又市征治君 次に、文科省に伺いますが、六月十八日の衆議院総務委員会で、今回の住民基本台帳法の改正が行われた場合でも、台帳への記載の有無にかかわらず、希望があれば公立の小中学校等に受け入れるという取扱いに変わりはない、こういうふうに答弁をされておりますが、これに関連して、居住地などの確認を行う場合、これまでは、外国人登録証による確認に限らず、一定の信頼が得られると判断できる書類の確認など、柔軟な対応が行われておりますけれども、具体的には電気、ガスなどの領収証だとか生活の実態が推定できるものでよいということだと思いますが、これを踏襲されますね。

○政府参考人(前川喜平君 おっしゃるとおり、この取扱いに、変更するつもりはございません。

○又市征治君 もう一つ、同日の答弁で、平成十八年六月二十二日の初等中等教育局長通知につき、その方針について変更するつもりはない、こういう答弁もなさっておりますが、現場の混乱を避けるために、法改正後も変更がないということを、これは口頭ではなくて、きちっと書面でやはり通知をし、周知を図るべきじゃないかと思いますが、その点いかがですか。

○政府参考人(前川喜平君 今後の取扱いにつきまして、文部科学省から教育委員会等にどういう通知を出すか、その時期等につきましては、今後、適切な時期に必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

○又市征治君 しかるべき時期にやるということだというふうに確認したいと思います。
 そこで、厚生労働省、次にお聞きをいたしますが、厚労省も同じく、これはちょっと古くなるんですが、二〇〇〇年四月に我が党の大脇雅子当時の参議院議員の「外国人の医療と福祉に関する質問主意書」で求めた入院助産、養育医療、育成医療、更生医療、母子手帳、予防接種に関する外国人への適用についての質問に対する答弁について変更はないという、こういう答弁でした。
 これについても、書面などで関係機関にやっぱり通知しなけりゃ、こういう制度改正の後ですから、これはまた誤解が生じているということでこの問題の論点にもなっているわけですから、この点についてもそういう措置をいただきたいと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(伊岐典子君 お答え申し上げます。
 御指摘いただきました平成十二年の質問主意書に対します政府答弁書におきましては、非正規滞在の外国人の方につきましても、助産施設への入所、養育医療や育成医療の給付、母子健康手帳の交付、定期予防接種の対象となり得ることをお示ししたところでございます。今般の住民基本台帳法の一部を改正する法律案が成立した場合でもこれらの制度の適用についての方針に変更が生じるものではないということにつきましては、去る六月十八日に御答弁申し上げたとおりでございます。
 また、このことにつきましての自治体への周知でございますが、今御紹介を申し上げましたそれぞれのサービスにおきまして、それぞれ地方自治体の方々と御連絡を取る手段なりチャンネルがいろいろあろうかと思います。そういうチャンネルを十分活用いたしまして、必要に応じしっかり周知をしてまいりたいと存じております。

○又市征治君 是非、文部科学省同様、しっかりやっていただくことを要請をしておきたいと思います。
 以上、見てきたように、非正規滞在者といえども人道上の配慮から一定の行政サービスの提供は受けられる、この点で従来どおりにするということは、自治体が外国人をも住民として福祉を保障するという地方自治法の精神からして当然のことだ、こんなふうに思いますし、むしろ広げてしかるべきだろうと、このように思います。まだまだ、先ほどからも出ていますように、外国人労働者、その子弟、教育などの問題も含めてかなり多くの問題点が現実問題としては存在をするという状況ですから、是非広げていっていただく努力をしてもらいたいと、こう思っています。
 そこで、今回懸念されるのは、外国人がこうした行政サービスの提供を受けるために自治体窓口にアクセスしたくても、少しでも瑕疵があって入管に通報される、そういう不安があるとすれば、これは自治体へのコンタクトをためらってアンダーグラウンド化してしまうというそういうおそれが今日この法改正に伴って出てきている。これは大変この問題の一つ、この法改正の大きな問題点でもあります。
 ところが、自治体にとっては、こうして不法的な状態の外国人が潜在化するということはもっと深刻な不安を抱えることになるということでもあります。むしろ、最低限のサービスを提供することとともに、外国人も市民として扱うことが住民福祉なんだろうと思うんですね。こういう判断があるからこそ、今も自治体はやっておいでになっているということだと思います。こういう自治体の政策判断、むしろ地域から国際化への積極的な対応というものを今回の法改正が妨げることであってはならないということだろうと思います。
 この点、総務省は、通報義務及び入管法への一元化による弊害のおそれ、こういったものはどういうふうに受け止めておられるか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(久元喜造君 今回の法改正は、外国人住民がそれぞれの地方公共団体の住民であるという前提に立って外国人を住民基本台帳法の適用対象にしようというものであります。これによりまして、外国人の方の利便の増進にもつながるし、自治体の行政の効率化にもつながるというふうに考えられます。
 同時に、今回の入管法の改正につきましては、不法滞在者をできるだけ減らしていくという目的を有しておりまして、そういう目的につきましては、これはやはり同じ政府の一員である総務省も共有する必要があると考えております。
 通報義務について御指摘がありましたけれども、入管法に定められております通報義務については、国又は地方公共団体の職員は、その職務を遂行するに当たって、退去強制事由に該当する外国人を知ったときは、通報義務を課しております。ただし、この通報義務については、この義務を履行すると当該行政機関に課されている行政目的が達成できないような例外的な場合は、その行政機関において通報義務により守られるべき利益と各行政機関の職務の遂行という公益を比較考量して、通報するかどうかを個別に判断することが可能であるというのが法務省当局の考え方であると承知しておりまして、そういう考え方につきましては総務省も共有しているところでございます。

○又市征治君 今、通報義務があると、こういうことですが、実態はかなり乖離しているんだよね。入管への通報というのは現行法でも義務があると、こうおっしゃっているわけだけれども、法務省の統計を見ると、明らかに市町村からの通報というのは非常に少ない、そういう実態でしょう。
 ちょっと紹介すると、本人の出頭申告二万四千三百件、端数は省きますけれども、入管による探知が二万九千件、検察庁と警察による通報が一万六千件に対して、市町村による通報というのはわずか二百八十七件、けた違いに少ないわけですよね。つまり、はっきり言えば、自治体は少なくとも今まで外国人摘発よりも福祉のために柔軟に対応してきている、こういうのが実態だと思うんですね。いわゆる行政便益の比較考量論であり、もう少し言い方を変えれば、言わば大岡裁き的な対処を自治体は行っているということだと思うんです。
 そこで、総務省は、通報義務は今も改正後もあると、形式論理で法務省と認識は共有するということではなくて、こうした現場の市町村の実態というものを踏まえて自治体や自治事務、言い換えれば外国人住民への行政サービスというものをやっぱりしっかりサポートしていく、そういう努力が求められるのではないのか。この点について改めて認識をお聞きしたいと思います。

○政府参考人(久元喜造君 入管法に基づく通報義務が課され、そしてこの通報義務とそれぞれの行政機関に課されている行政目的を達成しようという、こういう両方の要請を自治体がそれぞれ比較考量しながら日々行政サービスを行っているということを先ほど御答弁申し上げたわけでございます。
 その前提の上に立って、今回住民基本台帳法の対象とならないいわゆる不法滞在者の方につきましても、従来どおり法令によって提供されるサービスはありますし、また自治体の判断によって提供されるサービスは引き続き従来同様提供される必要があるわけであります。
 今回この修正で加えられました附則の趣旨を踏まえまして、それぞれの自治体において適切な行政サービスが提供される上で前提となる記録の整備ということにつきましてどういうふうにしたらいいのか、私どもといたしまして真摯に関係省庁と検討し、対応させていただきたいというふうに存じます。

○又市征治君 是非しっかり実態を踏まえて取り組んでいただくことを要請しておきたいと思います。
 我が党は、住民基本台帳法に関する衆議院修正の部分は一定の改善だというふうに考え賛成をいたしますが、しかし、本体部分でこの住基法が入管法への従属的一元化となり、自治体の通報義務の強化などによって外国人を自治体、ひいては行政から遠ざけて、日本社会の健全な国際化に逆行する懸念というのはやっぱりぬぐえない、こう思います。
 そこで、改正を是として、改善点というのは限られてくるわけですが、二十六日に当委員会は参考人から意見を聞きましたけれども、その中でNPOの参考人は、在留カードがないと住民基本台帳に入りませんよというような誤解などが現場の方で広がらないように我々も説明してまいりたい、こう述べておられます。この部分、外国人支援の現場からの声として総務省はどうお考えになるのか。つまり、一つは、在留カードは住基登録の前提ではないということの確認、これはしておきたいと思います。もう一つは、これはNPOに言われるまでもなく、総務省、自治体がむしろこういう誤解を解く努力をしなきゃならぬ問題じゃないのか。この点、どうですか。

○政府参考人(久元喜造君 今回のこの住民基本台帳法の改正によって住民票の作成の対象となる範囲は法律によって明確に示されておりますので、その正しい理解につきまして私どもいろんな努力を講じまして、この法案の成立後、必要な調整を行いながら努力を行っていきたいと思います。
 先般行われました参考人の皆様方からの御指摘も十分踏まえた上で対応させていただきたいと存じます。

○又市征治君 最後に大臣にお伺いしておきますが、この二十六日の参考人の発言の中からもう一つ取り上げますけれども、段参考人から、今回の法改正準備段階で、当事者たる外国人の意見を聞くチャンスがなかったという大変厳しい指摘がありました。外国人といっても、大変金持ちで多額の納税者もおられますが、先ほどからありますように、体だけが資本であったり、あるいは差別や搾取されたり、イリーガルな、つまり不法な人まで現実にはある。今申し上げた後者の外国人の声というのは、そうなかなか政府の側が吸い取ることはできないでしょう、これはね。
 今回の参考人の指摘をどのように受け止めて、今後どのように外国人の多様な現実を把握し彼らと共生をしていくのか。これは私は地方自治体などに、さっきの山下さんの話じゃないけれども、言ってみれば地方自治体にそういう声がいろいろと集まっているわけですから、そういうことを含めてやっぱり政府が吸い上げる、総務省が吸い上げて対応していく。そうでなかったら、多文化共生なんということを言ったって、これは実態が伴わないということになるんじゃないのかというふうに思いますから、最後に大臣の見解をお伺いしておきたいと思います。

○国務大臣(佐藤勉君 先生おっしゃられますように、確かに御意見を聞く機会が少なかったのではないかなというふうに散見をされます。したがいまして、外国人の関係団体からの御意見もこれからもしっかりとお伺いをし、必要な検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

○又市征治君 終わります。

○委員長(内藤正光君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時散会


原典について


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初版:2009年08月30日
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