ニカラグア からつづく

 ニカラグアから陸路、なんだかんだとありながらもコスタ・リカ側のイミグレーション事務所へ無事たどり着いた (ニカラグアオメテペ島《国境編》にて)。
たくさんの人で賑わう中、入国審査のため列に並ぶ。 パスポートにスタンプを押してもらうだけの簡単な入国審査を受け(このときの記憶が定かではないが、たぶん、ほんの気持ち程度の手数料を払ったような?ちなみに持ち合わせてた去年の残りのコロンで支払った?)、そのまま建物内にある銀行窓口へ行き、US$200をコスタ・リカ通貨のコロンに換えてもらう。このとき、US$1=C$434.9。細かいのを混ぜてもらったのですごい量のお札。小分けというより大分けって感じであちこちに仕舞う。

 朝9時過ぎということで、建物内にある売店兼食堂で朝食を取ることにした。 ハムとチーズの入ったボリュームのあるサンドイッチでC$700(200円弱)。
と、入国審査のために並ぶ列に、国境へ向かうバスの中で一緒だったアメリカ人親子が並んでいるのが見えた(ニカラグアオメテペ島《国境編》にて)。声を掛けると、 ニカラグア側のペニャス・ブランカスで朝食取ってから、コスタ・リカ入りしたみたい。
それはそうと、未だはっきりしないのが、国境の町ペニャス・ブランカス(Penas Blancas)ってニカラグア側の国境の町?コスタ・リカ側の国境の町?それとも、両国にまたがった町? 両国それぞれの地図に記載されているんでよくわからないんだもの・・・。

 イミグレーション事務所脇にバスチケット売り場があったので、そこのスタッフにサンタ・ロサへ行きたいと話したら、バスはないとのこと。あれ?リベリア行きのバスに乗れば、途中のサンタ・ロサ国立公園入口前で降ろしてもらえるんとちがうの? スタッフ曰く、サンタ・ロサには停まらないとのこと。ええーっ!じゃぁ、どうやって行けばいいの?
ガイドブックには、リベリア発のバスに乗って途中下車できるとは書いてあったけど、逆パターンは途中下車できないとか? そんなことはあるまいと、直接バスの運転手のところへ行って聞いてみると、やはり停まらないとのこと。これってリベリア直行便?そんなぁ・・・通り道沿いじゃん・・・。

 んー、そこで考えたのは、ここから近くの町ラ・クルス(La Cruz)まで行って、そこからリベリア行きのバスに乗ればいいんとちがう?ラ・クルス行きのバスも出てるみたいだし・・・。と、目が合ったタクシーの運転手らしきおじさん。「どこに行くんだ?」と聞かれ、「サンタ・ロサ」と言うとUS$25で国立公園内宿舎まで連れて行ってやるとのこと。
US$25か・・・うぅむ・・・実のところ、重いバックパックを抱えて、バスを乗り換え、サンタ・ロサ国立公園入口前で降りて、そこから宿舎までの約7kmの道のりを歩くのもつらいなぁと思っていた。まぁ、運よく公園スタッフが車で通ってくれれば、拾ってもらえるらしいんだけど・・・。”金節約”を取るか”楽ちん”を取るか考えて、結局”楽ちん”を取ってしまった。 なんせそう若くないもんで・・・なんて。

 タクシーに乗り、延々と両脇に草原や森が広がるパンアメリカンハイウェイを走る。 と・・・なんか・・・なんか雰囲気が違うぞ?国境を挟んでこっち、180度がらりと雰囲気が変わった感じ? ニカラグアのゴミにまみれ荒れた感じの道路から、ゴミもないきれいに整備された道路に、清々しい空気さえ感じる。 なんなんだ?この格差は?中米で一番豊かな国と言われるコスタ・リカ・・・ここひとつとっても納得行く気がする。 サンタ・ロサ国立公園インフォメーションセンター

 車で30分ぐらい走ったろうか?パンアメリカンハイウェイから右へと小道へ入って行った。 ハイウェイには別に何も看板らしきものもなく、バス待合所風の小さな小屋が建っていただけだったような? ここがサンタ・ロサ国立公園入口と言われても、通りすぎてしまいそう。
ちょっと行くと、インフォメーションと書かれた小さな家がポツンと建ってた。 そこでタクシーのおじさんと降り、中へと入る。(右写真;別の日に撮った写真。ちなみに写っている人はShinyaさん。)

 女性スタッフが一人いて、ここで公園入園料US$6を支払う。これは観光客用の一日料金。 実はあとでわかったのが、このとき私は支払わなくてよかったらしい。 研究者やボランティアとかは払わなくていいそう。 まぁ、それもそうだけど・・・お世話になるんだから一日分ぐらいは寄付と思えばいいかな?
気さくな感じの女性スタッフと話しをしていると、「チンヤ」と言う言葉が出てきた。 「チンヤ?」と聞き返すと、「そう、チンヤ」「知っているでしょ?」ってな感じ。 ん?チンヤ?知ってる?私が?・・・あ〜わかった。「シンヤ」だ。 今回、ここでお世話になるShinyaさんのことだ。「あ〜シンヤね?」「あーそうそう」と二人して笑う。
日本語のサ行って、外国人にとって発音しづらいとわかってはいたんだけど・・・。 そういえば、以前グアテマラでも「サケ(酒)」と言う言葉を聞き取るまで、時間かかったなぁ・・・。 公園内

 再びタクシーに乗り込み、公園内へと続く道を走る(左写真;別の日に撮った写真)。
うっそうと茂った森の中に建物がポツポツと見えてきた。 そして、一つの古びた小さな建物の前でタクシーは停まった。 どうやら、運転手のおじさんはさっきのインフォメーションの女性スタッフからShinyaさんの居場所を聞いていたらしい。
ちょうど、建物前のテーブルに座っていた一人の欧米人男性に「Shinyaはここにいる?」と聞くと、 「今ちょっと出てるけど、ここに来るよ」とのこと。タクシーのおじさんにお金を支払い、荷物を受け取る。

 Shinyaさんが来るまで、その欧米人男性が話し相手になってくれた。 彼はアメリカの大学から研究のため来ていたJeff。あとで聞いた話によると、その道では結構エライ人らしい。 って何が専門分野なのかは聞かなかったので知らないんだけど・・・年齢的にはたぶん30代半ばってとこ。 気さくでおしゃべり好きでアメリカンカントリーミュージックをこよなく愛するJeffとは、滞在中、一番お気楽に付き合えた研究員だったかな?

 しばらくして、やってきたのは色黒のアジア系男性・・・ん?もしかしてShinyaさん? 兄のKeiさんと顔つきが全然違ってたんで、ピンとこなかった。メールのやり取りはしてたものの、改めてご挨拶。
で、この建物、2人用の部屋が4〜5室ほどあり、すぐ横には共同のトイレとシャワーの建物が併設されてる。 この両建物間には洗い場があり、冷蔵庫や卓上コンロ、鍋、皿などが置いていて、外で自炊できるようになっていた(《グサネーロス編》最後に写真あり)。 しかし、今は研究者が多い時期ゆえ、満室らしい。

 で、Shinyaさんが、8人部屋の1室だけしか空いてなかったので自分と相部屋になってしまうけどいいか聞いてきた。そこしか空いてないなら相部屋も仕方ないでしょ。 本来ならドミトリーでの宿泊は避けるところだけど、ここは正体不明の旅人が集うわけでもなく、 研究目的の人たちの宿舎って感じなので、嫌な感じは全然ない。
また、彼とは初対面と言えども、正体不明というわけでもなく、すでに友達感覚だし、彼も気にならないのなら全然O.K。 私としては、熊本でもよく男女構わず友達の部屋に泊まったりしてるものだから、大して気にならない。

 荷物を持って、この建物から歩いて100mぐらい(距離感覚がないので当てにならないけど)のところに 建っていた建物の一番手前の部屋に入る。2段ベットが4つ並んだ結構広い部屋。両サイドに出入口のドアが付いている。 この建物、8人部屋が3〜4室あり、脇に建つ共同のトイレとシャワーの建物を挟んで向こう側にもまた同じような建物が並んでいる感じ。
Shinyaさんがすでに一つのベッドを使っていたので、他どこのベッドを使ってもいいとのこと。 タテ並びの下側のベッドにすることにした。

 と、ベッドに荷物を置く前に、Shinyaさんがちょっと待ってとベッドマットを持ち上げて一通り見る。 たまにサソリがいるから、チェックした方がいいとのこと。 ゲッ、サソリいるの??
それより何より気になるのが、部屋の地面をあちこち這い回る物体。 私が苦手とするムカデの小型版。「これってムカデ?」と聞くと、「これは刺したりしないから大丈夫」とのこと。 まぁ、害がないならマジマジと見ない限り我慢できるかな? 荷物置いて、再び最初の建物へと向かった。




MINAE  今回ACGにお世話になったと言うことで、ここでちょっと説明。
ACG(Area de Concervacion Guanacaste;グアナカステ保全エリア)とは、 グアナカステ地方にある主な3つの国立公園、サンタ・ロサ国立公園グアナカステ国立公園リンコン・デ・ラ・ビエハ国立公園を保全する組織。自然保護、調査研究、地域社会との結びつき、観光などを手掛けている。
ちなみにコスタ・リカでは、それぞれの地域に保全組織があり、例えばトルトゥゲーロ国立公園等はACTo、モンテベルデ自然保護区等はACA‐Tがそれぞれ携わっている。これらはみな、MINAE(環境エネルギー省)の管轄化となっている。

 そして、ACGで貢献されている最重要人物というのが、ジャンセン教授。 実は彼について私自身あまりわかってないんで、ちゃんとした説明はできないんだけど簡単に・・・。
貧しい地方などで自然保護を実施するためには、地域住民の理解や受入れがないとなかなかうまくいかない・・・というか、はっきり言って難しい。 ということで、彼は彼の現地調査研究のために現地住民を雇い(収入を得ることで地域に潤いを持たせ)、小学校相手にPEB(生物教育プログラム)を実施することで、子どもたちから自然への関心、保護への理解をさせ、また観光事業を行うことで地域が潤っていくということを教えるよう築きあげてきた。まだまだ観光に関しては他地域より遅れをとってるみたいだけど、それ以外は彼のお陰で他地域より着実に成果をあげているみたい。
彼が雇うグサネーロスの仕事とPEBの様子については、
《グサネーロス編》《PEB(生物教育プログラム)編》に詳しくリポートあり。

 軽い昼食後は、Shinyaさんが宿舎周辺の公園内を案内してくれることになった。
うっそうとした森の中の迷路のような道のあちこちには、研究者用、現地スタッフ用の宿舎棟が何棟かあって、図書室もある管理棟、そしてレストラン兼売店が1棟ある程度。このレストランは予約制と言っていたような?Shinyaさんとともに自炊だったため、このレストランで食事することはなかったけど、おいしいらしい。
他、掘っ立て小屋がところどころに点在していた。これは各研究者用で、天井からナイロン袋がたくさん下がってたりしてごちゃごちゃした中、裸電球のもと作業をしているのはちょっと異様な感じ。
今回ジャンセン教授はアメリカの大学へ帰っていたため留守だったけど、昔の家や今の家へも案内してもらった。
熱帯乾燥林研究(調査)センター ジャンセン教授の昔の家 ジャンセン教授の今の家兼研究室
『熱帯乾燥林研究(調査)センター』という看板が立てられている場所。 ジャンセン教授の昔住んでいた家。 今はロングノーズバッドの棲みかになっている。 ジャンセン教授の今の家(?)兼研究室。中は書類の山って感じだった。
カソーナ

 どこをどう歩いたかわからないけど、ちょっと開けた場所があり、そこではテントを張ったりしてキャンプができるらしい。 ただ、サソリやガラガラヘビなどが出没するゆえ、要注意だそう。
そのまま歩くと、小さな農場にポツンと古びた建物が出現。カソーナ(Casona;古びた屋敷)と呼ばれているこの建物は、コスタ・リカでは歴史的に重要な建造物で、今は博物館にもなっている(右写真)。 詳しくは後日の《カソーナ編》で。
ちなみにこの辺りで見たものは、でっかいイグアナ。体からして、全長1mは軽く超えてた。イグアナって尻尾が長いので全長2m以上あったかも?逃げてしまって近くで見れなかったのがザンネン。 熱帯乾燥林

 そこを通り過ぎ、小道を上って行くと、森が見渡せる展望所に出る。すごい眺め(左写真)。
そこには門のような簡単な建造物があり、その門の上から眺めるのがまたいいらしい。 ということで、その壁から突き出たはしごのような足掛けを使ってよじ登る。 途中壊れかけてたりしてちょっと怖いんだけど、なんとか門の上へ登ったら、幅が1mほどしかない。真下を見さえしなければ大丈夫な軽度の高所恐怖症ゆえ、座ってからしばし森を見下ろす。

 ここに広がるのは中米最大の熱帯乾燥林地帯。今は雨季なので緑の絨毯を敷き詰めているみたいだけど、雨が降らない乾季には、木々は葉枯れし、茶色い景色が広がっているそう。で、雨季が始まると、わずか1週間でこのような完全に緑に包まれた森へと一変するため、「緑の奇跡」として知られている場所。
しかし、約20年ほど前はほとんどの木が伐採され、牧草地と化していたそう。 ここに見える森は植林により再び復活した森。この森は生命力に溢れている。
ちなみに、写真中央にそびえる山がカカオ火山、その右奥にポコポコ見えるのはリンコン・デ・ラ・ビエハ火山方面・・・だったと思う。

 宿へ帰り、水シャワーということで、日が暮れる前に浴びないと夜はさすがに冷たく寒いはず。 超特急のシャワータイムを終え、夕食のため、自炊場所へ向かう。 そこには、早朝からフィールドへ出てた研究員たちが昼過ぎには宿舎に戻ってきてて、思い思いにくつろいでいた。
その中には、ホエザルの研究に来ていた日本人女性Chihiroさんもいて、3人で夕食準備。 といっても、シェフShinyaが料理上手のようで、おまかせするような感じ。こういうときって、あまり自分から手出ししないほうがいいんで、何らかの指示を持つ。その分お気楽かな。
ここでは卓上コンロが2つしかないのと、鍋にしても皿にしてもたくさんあるわけでもなく、それぞれの研究員は時間をずらしながら食事を作って食べていた。

 ちなみにここにいた研究員はイタリア(Eugenia,Silvia)、ベルギー(Julie)、カナダ(Amanda)からの女性陣と、アメリカ(Jeff,Salvator)からの男性陣などがいた。棟は違うけど、自炊しに来ていたアメリカ人女性たちもいた。 ここでの会話(共通語)は英語。スペイン語が話せるもの同士ではスペイン語だったかな。 もちろん、Shinyaさん、Chihiroさんと私では日本語。あまり、頭を使わなくていいのがちょっと嬉しい。

 翌朝は6時半にグアナカステ国立公園へ向かうとのこと。ジャングルの朝は早い。


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