裸は醜いか

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 ひまつぶしに衣服の歴史を眺めたら、身を装うことは現代に近づくごとに複雑になり下着でさえ窮屈な作りになっている。コルセトなどをみるとギブス同然でこんなものによく耐えたなと感心する始末だ。マリ・アントワネット王妃やビクトリア女王の衣装を眺めて歩くのも大変だったのではと同情する。その反動か最近の女性の衣服はやけにスケスケで視線のやりばに困惑する。痴漢はそこにスキを見つけるからだろう。思わず手が出るファッションは罪作りである。

 だからといって、裸体の美しさをもてはやす気はない。場違いになるがジェンダー(性による差別)とヌーデスト運動にふれたい。裸体が商品化されるのも人間の歴史にはつきまとう(関心のあるかたは文庫クセジュやその他の歴史書を読んでください)。それは性行為そのものの買春・売春だったり、姿態や動作の見せ物、あるいは人間そのものの売買と多様である。それをもとにジェンダー論が出てくるにせよ、性により差別だけでなく人が人を支配する関係があったことを忘れてはなるまい。

 もうひとつのヌーデスト運動は20世紀初頭のドイツの文化運動だった。それはルネッサンスの肉体美の讃歌を引き継ぐだったかもしれない。そのルネッサンスはギリシャやローマ時代への復古運動でもあった。それを行動で示したのがヌーデスト運動だったようだ。これが運動となったのは高緯度に住み日射量が不足する人々の生活スタイルの反映や裸体をさらすことが禁忌となっている社会ゆえの運動だったのかもしれない。

 裸を恥ずかしがるがるのをわたしは否定しない。街中を裸で駆け抜ける勇気は持ち合わせていないし、他人に自慢できるような姿態も持ち合わせていない。でも、裸を恥ずかしがるのがどこから発生したかを知っておくのも無駄ではないだろう。風呂を論じるのにとんでもない脱線をしたようだ。まともに考察されたい方は5ー3に掲載した『乳房論』や『裸体の森へ』を参考にしてください。

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