源泉へのこだわり本
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風呂嫌いのわたしと異なり源泉へのこだわりを並べるのが石川理夫さんの『温泉♨法則』(集英社新書0215H、2003年)である。療養効果が欠け、温度を満たすだけの温泉で満足している利用者への皮肉もある。そういうこだわりにひき付けられるのもへそ曲がりだからかもしれない。
カチンときたもののそうだなとうなずいたのが次の箇所だ。「大浴槽を満たす湯が「温泉」と銘打ってあれば十分で、湯の中身には頓着しない。多彩な付帯設備には関心があっても、温泉そのものにはさほどこだわらない。こういう楽しみ方を私は「お風呂遊び」と呼ぶ。
お風呂遊びは、それはそれで構わない。ただし、本来の温泉の楽しみとは違うことを知ってほしい。お風呂遊びをして、温泉を十分楽しんだと勘違いしては、温泉がかわいそうだ。」p72
でも、次のような主張をされると煙たくなる。「源泉とは、地上に湧出した温泉水そのものをいう。源泉にこだわり、温泉が育んできた歴史や文化とともに温泉の本質を再確認することで、だれもが納得できる「いい温泉」=「本物の温泉」にたどりつける」p10
気になるには「いい温泉=本物の温泉」という論法である。かいつめれば本物がいいというだけだろう。温泉の本質は湯の中身にあるといい、本来の楽しみが療養にあり、古くからの温泉を美化するのもひっかかる。それは入浴によって得られる効果に偏り、入浴を伴わない気分転換である転地効果を上げるのと矛盾している。
ともあれ、温泉に対する思い入れや温泉体験が豊富な方の意見である。日本全国の名だたる名湯を知り、最近の温泉ブームを冷静にとらえるのに有益な意見もある。そのために温泉が自ら情報公開(ディスクローズ)をしようといういう意見も「お風呂遊び」で満足しているわたしもうなずける。コンパクトであるが中身の濃い内容だから参考になることが多い。【2007/06/08】
追記
この本に刺激されてこのホームページのタイトルを「お風呂遊びの温泉めぐり」に変更します。
あわせて、風呂の定義比較表や療養泉の区分表まで作りました。
とんでもない本を読んでしまった・・・