温泉や公衆浴場のデータを探す人に【統計編】


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　温泉や公衆浴場を歴史や感覚で語る記事は多いものの、湧出量とか営業施設を時系列の数量でとらえた分析は限られる。手ごろなところでは日本温泉科学会編『温泉学入門』(コロナ社、2005年)や高橋千枝子さんの『図解 健康業界ハンドブック』(東洋経済新報社、2004年)ぐらいだろう。それが気になってインターネットに掲載されているデータを探したので紹介します。

●長期統計は総務省統計局

　日本の長期統計系列は総務省統計局のホームページで把握できる。ここは各省庁の統計を基に時系列のデータが公開されている。英語表記が邪魔だけどエクセル形式なので不要な部分は削除できる。

(1)公衆浴場

　厚生労働省の「衛生行政報告例」を基に映画館・スポーツ施設・宿泊所・公衆浴場・理容・美容・クリーニングの施設数が昭和24年から平成14年まで掲載されている。16ー3「環境衛生営業施設数、理容師、美容師及びクリーニング師数」には、公衆浴場が公営と私営に区分し、昭和60年以後は普通浴場・個室付浴場・ヘルスセンター・サウナ風呂・その他に細目が掲載されている。普通浴場(私営)は昭和60年に13,256だったが平成14年は7,005と激減しており、その他は3,341から8,687と3倍近い増加で普通浴場を超えた。【下に表を掲載しました】

(2)温泉利用状況
　
　こちらは環境省自然環境局の「都道府県別温泉利用状況」を基に26ー19「温泉利用状況の推移」が昭和37年から平成14年まで掲載されている。温泉総数は昭和37年に13,079だったものが平成14年は27,403と倍増で、動力
利用の源泉数が昭和38年の4,638から平成14年が13,328と急増している。ちなみに自噴は5,000程度で大きな変動はない。【下に表を掲載しました】

●温泉数は環境省自然環境局

　温泉の数とか温度について推移は環境省のホームページの自然公園で「温泉利用状況経年変化表」で昭和37年度から平成17年度まで把握できる。「国民保養温泉地一覧」や「温泉法」などもここで得た。温泉利用上の注意も役に立つ。また、PDFファイルだが都道府県別のデータは年度別に得られる。17年度の「温度別源泉数」は、25度未満3,841、25度以上42度未満6,857、42度以上13,294となっている。これについては「温泉の雑学」の「温泉学の初歩」でふれたので繰り返さない。

●公衆浴場は厚生労働省

　許認可の役所だから営業数や従業員数が細かく掲載されている分、統計を探すのは面倒である。高橋さんの『図解』のp102ー103のほうがすっきり見えるだろう。
　とはいえ、「生活衛生関係営業施設数の年次推移」は昭和50年から平成16年度まで実数で把握できる。公衆浴場は総務省の統計よりすっきりしていて公営と私営の区別がない。
　また、細かくて見づらいが「都道府県(指定都市、中核都市)別生活衛生関係営業施設数」も参考になる。【一部ですが表を掲載しました】

●財団法人全国生活衛生業指導センター

　聞き慣れない団体だが厚生労働省健康局生活衛生課の傘下で「生衛業データベース」を作り、理容業、興行場、一般公衆浴場、そば・うどん店、食肉・食鳥肉販売業、すし店、喫茶店、社交業(スナック・バーなど)、日本料理店・料亭、美容業、クリーニング業、ホテル・旅館営業、氷雪販売業、飲食業/西洋料理店/居酒屋/大衆食堂、中華料理店のコーナーがある。経営指導とともに業界の広報も兼ねているから参考になるデータも豊富だ。業界の動向は見逃せない分析である。

●全国浴場組合

　上記の財団法人全国生活衛生業指導センターの傘下になる。「都道府県の入浴料金表」や「都道府県の組合一覧表」が出ている程度である。神奈川県の団体はホームページがない。先日からいくら探しても見つからないわけだ。

●東京都浴場組合

　銭湯の歴史や楽しみ方まで楽しくふれるホームページがあるのが嬉しい。風呂嫌いでもなるほどとうなずける内容で飽きない。

●愛好家の記録

　銭湯愛好家による入浴体験記や各種のデータベースも多い。ランク付けは好まないが、廃業までふれているのはこういう方々だけである。今はともかく今後はこういうデータが貴重になるので是非続けていただきたいものだ。どうでもいいことに惜しまぬ努力に脱帽します。【2007/06/02】


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　　　　　　　　　〔参考〕得た資料から必要事項だけを抽出した表です。


１６−３　環境衛生営業施設数，理容師，美容師及びクリーニング師数（昭和２４年〜平成８年，平成９年度〜１４年度）

(1) 平成8年までは各年末現在，平成9年以降は各年度末現在である。
(2) 昭和46年までは沖縄県を除く。

〔資料〕 厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課保健統計室「衛生行政報告例」

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都道府県（指定都市、中核市）別生活衛生関係営業施設数　　〔出典〕厚生労働省　　17年3月末

（注）平成８年までは各年１２月末現在、平成９年度以降は翌年３月末現在の数字である。
資料：厚生労働省大臣官房統計情報部「衛生行政報告例」


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２６−１９　温泉利用状況の推移（昭和３２年度〜平成１４年度）

　　(1) 温泉地数は宿泊施設のある場所を計上。
　 (2) 宿泊利用人員は参考数値。
　〔資料〕環境省自然環境局「都道府県別温泉利用状況」

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