１　旅の途中で

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　旅と旅行を区別して意気がった(粋を装った)こともある。それは「クルマのことあれこれ」第2部で触れたので繰り返さない。わたしの場合は思いつきで出かけたドライブが多い。電車やバスを乗り継いだバックパッキングや重い荷を背負った縦走もしたがクルマを使った旅行が特に多い。

　物見遊山と変化の確認がわたしの旅行につきまとう。だから温泉めぐりは付け足しである。汗を流す、疲れを癒すという理由で立ち寄ったにすぎない。食道楽でもないから入浴ができて静かに眠れる宿で足りた。翌日の運転に支障が出やすい騒がしい民宿を除けば、極論になるが独り者のころはモーテルでも連れ込み旅館でも気にしなかった。

　というわけで、旅の途中で入浴した温泉は必ずしも有名とか効能があると限らない。それでも想い出の残る温泉や銭湯は多い。それは旅行と切り放せないことだ。入浴をこえた想い出が伴うのもわたしの旅行にはつきまとう。