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香りの記憶
始めて香りに目覚めたのは、友人の家で焚いてもらったお香の
伽羅の香りだった。雑念が払われ、お寺の境内にいる様な心静
まる感覚に魅せられて、少しずつ色々な香りに馴染んでいった。
日本の香りの文化とは別に、今は洒落たインテリアフレグランス
が手軽に手に入り、香りを楽しむライフスタイルがすっかり定着
したような気がする。本を読んだり写真集を広げる時、1日の仕事
を終え夜の時間を楽しむ時、香りは音楽に似た癒し効果をもたら
してくれ、信頼する友のようであった。。
室内に香りを燻らす事は好きでも、香水は長い事苦手だった。
海外のお土産の香水は、デザインの美しい小瓶を飾って楽しむ
事に留まり、滅多に使用する事がなかったのだけれど、いつの
頃からか、香料の濃度の低いオードトワレやオーデコロンに、
少しだけ親しむようになった。勿論、時と場合を考えて・・
とはいえ自然の香りに勝るものはない。海や森、河・・
何故なら、自分がこの広い宇宙の中の1個の生命体である事を
喚起させてくれるから・・
香りは目には見えない。限られた時間、消えゆくもの、流れ行く
ものは、美しい。桜の花の短い生命も、残り香も・・
草木、お香、フレグランス・・身近にある、私の香りの記憶語り〜
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