Still Life
とっておきの一冊


沢山のものを抱え過ぎ身動きが取れなくなる事がある。
それは物だったり、人間関係だったり仕事やしがらみだったり。
物は兎も角、他の事は自分次第という分けにはいかない。

大切と思ってる事が幻想だとしても、何かを失わなければ分か
らないほど複雑化した世界の中で、少しでも心を軽やかにして
自分の本当に必要なもの、大切なものが透けて見えないかと、
ふと立ち止まる時、必ず手にする本「スティル・ライフ」

科学的ロマンに満ちたチェレンコフ光の話や、海辺に降りしきる
雪の情景・・何年たっても、そのイメージが記憶の淵で光を放っ
ていて色褪せない。

身の回りにあるものを整理して、心の中の贅肉を落とし、なるべ
く多くのものを持たずにシンプルに生きる清々しい主人公の姿・・
佐々井という一人の青年の生き方に惹かれます。
浄化作用で体が透き通っていく様な不思議な感覚。

抱えるものが少なければ失う淋しさもない。
実際、こんな風に生きる事の出来る人は、あまり、存在しな
いと思うし出来ないからこそ、憧れるのだと思うけれども・・

 いくつかの道の中の、たった一つを選択をしなくてはいけな
 い時、私がわたしである事を考える・・いわば自分と向き合う
 必然に迫られた時、決断をすると言う行為はおそらく物凄く
 エネルギーを消耗するわけだけれども、そんな時に主人公
 の生き方を思い出す事で、自分をがんじがらめにしているも
 のは何か、自分にとって不要なもの、必要なのものは何なの
 かを考えるだけで、ほんの少しだけ贅肉を落とし心も体も軽く
 なった気分になれます。

 どんなに進んだ医学や優れたセラピストよりも治癒力を内包
 したこの本は、自分が見えなくなった時に開く、とっておきの
 一冊。

 ほの暗いBARの片隅で、青年達がウイスキーを飲みながら交
 わす、 何万光年も旅をしてきた青い微粒子の話しが素敵です



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