2003.12.28ー30

茅野駅から渋の湯までバス 快晴の青空に映える雪山、、名も分からないが感嘆する 昨年は雪だった

渋の湯到着、トイレを済ませてアイゼン装着 アイゼン装着の山は両手で数える位の私は、アイゼン&スパッツ装着にさえ息があがる

ザックが持ち上げられないほど重い 約17キロ どこかに乗せてからでないと、自分だけで背負うことが出来なかった

歩き初めるとたちまち苦しくなった 私は山に行くと、いつでも初めの10分はこれで今日登れるのだろうか、と心配になる でも、今日は特別だった 昨年この道を歩いた時は特に苦しかった記憶はない、昨年は雪だったのに・・ こんなに坂道だったろうかと考える

のろのろと歩く私の後ろから、アイゼンを付けずに軽々と追い越す人たちがいた バランスの悪い私には、怖くて到底出来ないことだ リーダーに、あの人たちはココから2時間かからないで黒百合平まで行くだろう、私の歩きでは4時間だと言われる この苦しさが4時間!とがっくり来た


青空の下、光の射し込む雪道はキレイだった 雪の上に、木々が長い黒い影を落としている 枝の上の白い雪と緑とのコントラストが美しい 雪が幹の片側だけに付いている、10センチほどあろうか・・ よく落ちないものだ 

見上げれば木々の間から青空が透ける 枝を透かして見る空は、ますます青く見えた


目を喜ばせていた美しさも、私の重いザックと衰えた体力を補いきれなくなって来た

いったい、この道はいつ終わるのだろう 荷物が重いというのは、これほど辛いものか・・ と、思って歩いていたら、
昨年この道を歩いた私と、今日の私は別人だと言われる

私は荷物の重さ故に苦しいと思っていたのだが、どうやら体力が極端に落ちていたようだ
 
最後は、200m歩いては一息、また歩いては一息と休まねば歩けなくなった それでも、リーダーは何も言わずに私のペースに合わせ黙って先を歩き、待っている 追いつくとまた歩き始めてしまう 

テントがあるのだからここで張ってくれたら、と何回思ったことか・・・

後でリーダーに言われた あの時、自分ではもう歩けないと思ったのだろうが、あれはまだ歩ける人の歩き方 あと2時間だってああやって歩けたよ、と
遅く着いた私たちに、平らな場所は残されていなかった 一番奥の方の「中山峠」に行く道の傍をテント場とした テント張りの前に、しっかりオーバー手袋を重ねる この寒さに手袋一枚では足りないが、2重の手袋はロボットの手のようで使い難かった 

疲れた身体にムチ打って、雪をならし水平にする これはかなり辛い作業だった 自宅のように雪掻き道具があるわけでなし、小さなスコップでならしてゆく 私はこれほどしなくても良いのではないかと思うほどだった 最後にまた、たっぷり雪をテントのスカートに乗せる 道具のないことは体力がいる 

隣のテントでは大人数のグループが賑やかに宴会を始めていた そこで、私たちは隣と逆方向に入り口を設けたのだが これが後で出入りの苦労の種になった 

坂を平らにしたのだから、峠よりの入り口の方が高くなってしまった これも、テントの外に出てのんびり靴を履ける天候ならどうってことはないのだが、外は強風の氷点下、這って出なくてはならない入り口は2重のジッパーだ これは疲れていた身には腰が持ち上がらず辛かった この晩、生理的欲求がなんと疎ましかったことか・・

やっとのことでテント設営がが終わった しかし、まだテントの中に転がって休むことは出来ない 雪山でのキャンプは、食事の為に水を作る その為のキレイな雪をスーパーの袋に入れ運びこんだ 一人は、小屋にビールと水買いに行く 早く雪を溶かすには呼び水が必要だった こういうことも、ああ氷を溶かすのと一緒だと知る 明日の朝のための水も作っておかなくてはならない ガスを2つ点けて作った ガスの火をつけるとテントの中は急速に温かくなった

しばらくしたら、仲間が息苦しいと言出だした 締め切った狭いテントは火で酸素不足か・・ 入り口から顔を出したり、換気口に口を近づけたりしている 私にはまったく分からなかった 「私みたいに鈍いのは、酸素不足に気づかずに死ぬタイプかな」と笑う 

私は鍋を食べたら、もうシェラフに潜り込みたくなった いつも宴会の為のような登山なので、早く着いてシッカリ飲むのが好きな仲間だが、この時はとにかく身体を横にしたかった

トイレに行った帰り、頼まれたビールを買いに小屋に寄ったら、リーダーが日本酒買いに来ていた 私は小屋の温かそうなコタツが羨ましくて、何か頼んで頼んでコタツで食べようと誘った リーダーは頑として聞き入れてくれない テントに帰る途中、あそこでコタツに入らせたら、「私はここに泊まる」と言い出して絶対テントに帰らなかっただろうと言う ありそうなことだった テントの中はガスで暖かいとは言え変な暖かさ、コタツの温もりはいかにも心地良さそうだった

周りが笑さざめくのも耳に入らず早々と沈没 

昨年の黒百合ヒュッテは、センベイ布団が寒かった記憶があるので、寒がりの私は防寒は呆れるほどにして寝た 今年は、軽くて小さくなるダウンジャケットもあるし、ホカロンも両足、腰、背中とシッカリ張って寝たら、 暑くて夜中に目が覚めた
  


2002.12.29 中山峠展望台より


天狗岳
そして今年、私は6月から微熱に悩まされずっと山に行けなかった

秋になって少しづつ元気になり、また少しずつ歩き始めた
11月にどうにか川苔山が歩け、念願の雪山に行くことになった

私に歩けるのは天狗岳くらいと言うことで、
昨年と同じになった
違うのは、今回はキャンプだということだ

これは、かなり心配だった 
まだ、不安でいっぱいの私に冬のキャンプ用の荷物が背負えるだろうか

そして、心配どおり荷物が重いことは泣き出したほどきつかった

前年の暮れ
北八ケ岳・雪の天狗岳に登る予定で
黒百合平で
黒百合ヒュッテに泊まった 
私には初めての雪山の為の泊まりだった

夜明け前の
凍えきった中山峠展望台から見た
天狗岳は美しかった

しかし、一緒に行った少年が体調不良で
天狗岳は諦め下った
快晴・無風の最高の日だったので辛かった

オーバーテントのスカートに雪を乗せる
風が吹き込まないようにとの事 
言われれば、なるほどと関心する

黒百合ヒュッテが見えた、キャンプ場だ・・・
私は、そこにザックを投げ出して、
もう一歩も動きたくなかった


ソーラーシステムは、
うるさい発電機の音もなく気持ちよい設備だ

広々としたキレイで暖かいトイレは、ここでキャンプしたいようだった
 

暮れで、もうお飾りが掛けてあった
昨年と比べるとウソのように雪が少なかった

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カメラをお腹に入れて暖め、やっとシャッターが切れた

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