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バリュー投資入門

1.バリュー投資とは

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バリュー投資とは「企業の本質価値より安い市場価格で株を買う」ことです。

「バリュー投資の父」として名高いベンジャミン・グレアムは「理想的には本質価値の半分、少なくとも2/3以下で買うべき」としています。

バリュー投資の実践者をバリュー投資家といいます。中長期的にはリターンの高い投資手法にもかかわらず、バリュー投資家は少数派とされています。


2.バリュー投資の優位性

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下のグラフは「Russell/Nomura 日本株インデックス」から作成したものです。

このインデックスの特徴は、バリュー株(割安株)とグロース株(優良株)の指数があることです。バリュー株とグロース株の区別には修正PBRが用いられています。平たくいえば、資産価値に対して株価の低い銘柄がバリュー株、高い銘柄がグロース株です。 

そして、バリュー株のリターンがグロース株を大きく上回っていることに注目してください。

仮に、100万円を元手に1979年末から投資をはじめた場合、2007年4月末の時点では次のような大差がついています。

●全銘柄・・・503万円
●バリュー株・・・1,436万円
●グロース株・・・219万円

バリュー株に投資しておれば10倍に増えているのに、グロース株ではたった2倍にしかなりません。運悪く、1989年の高値(日経平均が3万9千円をつけたとき)で買ったとしても、バリュー株であれば元本を上回っていますが、グロース株は未だ半値の状態です。

このように、イメージと実体はまったく逆で、さえないバリュー株の方が魅力的なグロース株よりもリターンは高いのです。そして、長期間に渡れば、その差は無視できないものとなります。

★バリュー指数とグロース指数

バリュー指数とグロース指数


3.バリュー株のリターンが高いのはなぜか

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低PBR銘柄のみならず、低PER銘柄、高配当利回り銘柄といったバリュー株全般のリターンは高くなっています。

バリュー株とは、業績がさえなかったり、業種や社名が地味であったりして、割安に放置されている「不人気銘柄」でもあるわけですが、なぜリターンが高いのか、不思議に思われるかもしれません。

理由の一つとして、そもそもバリュー株は期待されていないために、好材料で株価が大きくあがり、悪材料でもそれほど下がらないことがあげられます。グロース株は、その逆です。常に期待されているために、よい決算が出て「当たり前」であり、少しでも悪ければ、失望売りで株価は大きく下がります。

株式投資のリターンには「企業の業績そのものでなく、実際の業績が投資家の期待に対してどうだったか」で決まるというゲーム的な要素があります。そういう意味で、常に好業績を期待されるグロース株は、ハンディを背負っているといえるでしょう。裏を返せば、その分、バリュー株が有利になります。

★好材料・悪材料に対する反応

好材料・悪材料に対する反応

出典:証券アナリストジャーナル


4.PER(株価収益率)

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PER(Price Earnings Ratio:株価収益率)は有名な指標です。

●PER=株価÷EPS(1株当たり利益)

問題はEPSにどの数字を使うかです。当期予想値を使うにしても、会社予想、四季報予想、証券会社予想など、さまざまな数字が出ています。

景気循環株であれば、好況期はEPSを割引き、不況期は本来の収益力を反映させるという調整を行います。それ以外に、特別損失の発生など一時的な要因が含まれる場合も、EPSの再計算が必要です。

PERに関しては「どれぐらいが割安なの?」と思われるかもしれません。その場合、益回りに置き換えてください。

●益回り=1÷PER

後は事業内容と益回りを天秤にかけて判断します。不動産投資でも「築浅・駅近のマンション」と「築20年、バス便のボロアパート」では利回りが全然違いますね。それと同じ理屈です。

★PERと益回りの関係

PER 益回り
40倍
2.5%
30倍
3.3%
20倍
5%
15倍
6.7%
10倍
10%
5倍
20%

5.PBR(株価純資産倍率)

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PBR(Price Book-value Ratio:株価純資産倍率)もメジャーな指標です。一般的には、PBRの1倍割れは割安と判断されます。

●PBR=株価÷BPS(1株当たり純資産)

ここでは、BPSに注目します。純資産は、資産から負債を引いたものですから、バランスシート(貸借対照表)にて資産に質を確認します。実体価値の怪しい資産(のれんなどの無形固定資産)や将来的に評価損を計上しそうな資産はないかチェックするのです。

この作業が面倒な(あるいはバランスシートを見たけどよく分からなかった)場合は、会社四季報CD-ROMなどで過去10年分のBPS推移をチェックしてください。

資産の質に問題がなければ、BPSは毎年のように増えているはずです。そうでなければ、何かがおかしいと考えられます。

★BPSの増加こそ、企業の成長

利益は純資産(利益剰余金)として積み立てられます。よって、BPSも毎年のように増えていなければ、辻褄が合いません


6.PBR=ROE×PER

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PBRに関して、私の一番好きな式をあげておきます。

●PBR=ROE×PER

この式は、次のように置き換えることもできます。

●投資家の期待=企業の業績×市場の評価

したがって、バリュー投資では「何らかの理由で投資家の期待が低いものの、将来的に好業績(あるいは業績回復)の見込めそうな企業に投資を行うことがポイントとなります。業績が良ければ、市場でも見直されるというダブルプレイによりPBRは上昇します。

さらに、通常はBPSも増えていますから「BPS×PBR」というトリプルプレーにより株価も大幅に値上がりするはずです。これがバリュー投資家の狙いです。

一方、単にPBRが低いだけは、バリュートラップ(割安株の罠)に引っ掛かる恐れがあります。つまり、万年割安株をつかんでしまうということです。


7.配当利回り

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配当利回りは、次の式で表されます。

●配当利回り=1株当たり配当金÷株価

●1株当たり配当金=EPS×配当性向

配当利回りに注目する以上、減配リスクを避けたいものです。

少なくとも、現状のEPSを維持できそうか、確認が必要です。理想的な投資対象は、不況期でもEPSの伸びる企業です。また、配当性向に無理がないかもチェックしておきたいものです。

米フォックス・アセット・マネジメント社は、配当利回りを重視した投資戦略を取っています。同社を率いているピーター・スカーカニッチの言葉を紹介しておきましょう。

配当の伸びが10%に増加すれば、ちょうど12年後には(フォックス社の目標である)3倍になる。配当利回りが4%という質の高い株式を選べば、12年後には配当利回りが12%のポートフォリオをもつことになる

下のグラフは、受取配当金が毎年10%増加するケースです。スカーカニッチの述べているとおり、12年で3倍になります。

★受取配当金のシミュレーション(100からスタート)

受取配当金のシミュレーション



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