今週読んだ2冊の本ポール・ソンキンの「真のPER」ナンピンか損切りか

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ショートコラム(2005年2月)

■ナンピンか損切りか(2005年2月28日)
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石坂さんのサイトsupさんのブログで話題になっていたので、便乗します。

「ナンピン」については、私は禁じ手にしています。新しい銘柄を組み入れるときは、まずポジションを決めます。つまり、ポートフォリオの中で何%にするのか、金額ではどのぐらい買うのか決めます。最初に打診買いを入れ、ポジションが残っているときに、株価が下がったから追加するのは「ナンピン」ではなくて「買い増し」です。これは想定内でのことなので構いません。ポジションを使い切った後で、株価が下がったからとさらに買い込むのは「ナンピン」です。「ナンピン」がまずいのはポジションを無視してしまうからです。最悪のケースでは「ナンピン」を重ね、結局間違いだと気付いた時点で、過大なポジションを抱えていることになります。このあたりは大竹愼一氏の「ハイテクバブルとローテク投資」を読まれるといいでしょう。私は「ナンピン」をしないと決めていますから、ポジションを使い切った銘柄がさらに下がっても、ファンダメンタルに変化がないなら、見ているだけです。

次に「損切り」ですが、私にこの考え方はありません。投資の判断を間違ったと気付いた時点で、その銘柄は売りますが、買い値より上か下かは一切関係ないです。1,000円で買った株が900円でも1,100円でも売ります。株価が下がっても、投資判断を間違えていると思わなければ売りません。

ナンピンにしても損切りにしても、株価が下がったからといって行動を起こすのはいかがなものでしょうか。ファンダメンタルに変化がない限り、じっとしていればいいのです。まあ、ここ2年間はマーケットが順調ですので、こんな強気発言もできるわけですが。


■ポール・ソンキンの「真のPER」(2005年2月13日)
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www9945さんの「www9945の公開プロフィール」に 「謎のトレーダー「しん」の〈株〉バリュー投資法」で参考になった箇所があげられています。優れた個人投資家さんはポイントをすぐに見抜いてしまいますね。

その136頁から139頁で述べられている「コナミ東京の実質的な株価を知る」ですが、元になっているのは「バリュー投資入門」328頁に書かれているポール・ソンキンの「真のPER」だと思われます。これは、ネット・ネット株といかないまでも、十分にキャッシュリッチな会社を探すいい方法です。

ポール・ソンキンの「真のPER」= (時価総額 - 現金同等物 + 負債合計) / 当期純利益

もう1つの方法としては、キャップレート(資本還元率)があります。

キャップレート = (営業利益 * (1 - 税率)) / (時価総額 - 現金同等物 + 負債合計)

ポール・ソンキンの「真のPER」は、銘柄レポート:センチュリー21・ジャパンで私も使用していますので、参考に見てください。

著者のしんさんはこの考え方を使うとき「設備投資 + 研究開発費」の当期純利益に対する割合が高い会社を選ぶべきでないとしています。そのような会社は、現金を設備投資などに振り向けるので、株主に回る現金が少なくなるからですが、これってウォーレン・バフェットが一番嫌うタイプの会社ですね。「マネーマスターズ列伝」54頁にも、投資対象としてのエクセレント・カンパニーとして「利益はいつでも現金化できる状況にあること」と明記されています。


■今週読んだ2冊の本(2005年2月11日)
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今週は「謎のトレーダー「しん」の〈株〉バリュー投資法」と「20代・自己資金300万円サラリーマン大家さん成功の法則」を読みました。この2冊の本の共通点は、著者と知り合いであること、株式投資と不動産投資の違いはあるものの、著者が実際に投資を行っている個人投資家であることです。

謎のトレーダー「しん」の〈株〉バリュー投資法」は著者のしんさんが不出来を嘆いておられたのですが、読んでみると全然そんなことはありませんでした。グレアム流をベースにしたオーソドックスな内容で、バリュー投資の入門書としておすすめできます。解散価値や安全域の説明もありますし、「有形固定資産と在庫から事業素質を判断する」や「バリュー株は適性な値段がつくと流動性がよくなる」はなるほどと思いました。

標題が怪しいのはご愛敬ですが(笑)、これは出版社の編集会議で決まることで、著者にも編集者にも権限はないのです。特に株本は激戦区で、書店で一人でも多く手に取ってもらうため、怪しい標題が好まれます。私の本「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」も標題は気に入っていないのですが、ましな方なのかもしれません。

20代・自己資金300万円サラリーマン大家さん成功の法則」はクラビスの束田さん(束田(つかだ)光陽の『経済的自由みっつけ隊』というブログが人気です)が書かれています。 実は、今週お会いする用件があり、慌てて読んだのですが、予想以上に素晴らしい内容でした。例えば、ROIについては「自分が最初に払った自己資金のうち、1年間で何割戻ってくるか」と書かれていますが、こんなわかりやすい説明は初めてです。他にも「滞納保証」という「家賃保証」より有利な制度について知ることができましたし、投資家層が殺到している「一棟売りアパート」は見送るべきという指摘は目から鱗でした。

株式投資も不動産投資も成功している人は、基本的な考え方は一緒なんだなと、改めて感じました。その束田さんにお会いした印象はすごく紳士的な方でした。最近は株式投資もされているそうで、バリュー株の話題で盛り上がってしまい、帰りの飛行機はぎりぎりだったそうです。家賃収入を株式投資で運用されているお話を聞いて「ある程度、計算できる不動産投資で月々のキャッシュフローを稼ぎ、株式投資で運用してプラスアルファを目指す」方法は投資の王道だと思いました。私も不動産投資を始めたくなってきましたよ(笑)。

束田さんとお会いしたのは、他でもなくクラビスさん主催セミナーの打ち合わせです。詰めの段階までお話は進んでいますので、もうすぐ告知できると思います。お楽しみに。



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