バンテアイスレイからアンコールトムへ直行。裏門に相当する方向から入って、まずはライ王のテラスと象のテラスを軽く見物。
ライ王のテラスは全面レリーフの壁と壁の間が通路になっており、そこを通ってぐるぐると歩く。象のテラスは王の閲兵台だったそうで、壁面の象のレリーフと上部の象の鼻型柱(左写真)がポイント。
テラスの上に立つとアンコールトム内のいろいろな遺跡が見渡せるが、ガイド氏は「あっちの遺跡は何もレリーフが残っていないので見てもしょうがないです」と一刀両断していた。
どうも彼の考える「良い遺跡」の判断基準はレリーフの有無らしい。

さらに先に進んで、フランス政府がただ今修復中のバプーオンという寺院の遺跡をちょっと見学してから、アンコールトムの中心に位置するバイヨンへ。
中央本殿を真ん中に、それをぐるっと囲む仏塔の各側面には慈悲のホホエミを浮かべる観世音菩薩が彫られている(右写真)。
アンコール遺跡のレリーフは、ここの観世音菩薩もアンコールワットのアプサラやバンテアイスレイのデヴァターも、やはりカンボジア人顔(特に小鼻の広がり方とか)。
ところが、9号が観世音菩薩像の1つを見て意外な発見を。
「京唄子に似ている…」(左写真)
これには全員納得。厚ぼったい唇が原因か?とも思うが、すべての観世音菩薩が京唄子に似ているわけでもない。
「中央本殿の柱と柱の間から覗くと観世音菩薩像が3面並んで見えるポイント」というのがあって、その1番右奥の1体が京唄子。
要チェック! そういえば、女王様たちはバイヨンの入口で昨日一蓮托生だったA氏と偶然再会したのだが、これも京唄子、じゃなくて観音サマのお導き?(しかし向こうは見学を終えて出てきたところだったので、写真を撮っただけであっさり別れたけど。)

その後は、バイヨンの第一回廊を見学。アンコールトムを建造したジャヤヴァルマン7世の行列や、その時代の風俗が彫られている。
チェスをする人とか闘鶏とかいろいろあるのだが、川で船から落ちた人間をワニがバックリくわえているシーン(右写真)には思わず笑ってしまう。

行軍のレリーフには、オールバックで耳たぶの大きなカンボジア人兵士の他に、結髪糸目の中国人傭兵部隊が描かれており、現代まで続くカンボジアへの中国人の進出ぶりの起源を窺わせる。
2号は行軍の中にいる象の目元のアヤシサ(左写真)がツボだったようだ。
最後はアンコールトムの入口である南大門を逆走して外へ。門から続く道の両側は、神々と悪魔が蛇の胴体を綱代わりに綱引きをしたという「乳海撹拌」をモチーフにした欄干が残っている。
片側に神々、片側に悪魔が整列し、先頭から最後尾までつながっている蛇の胴体がちょうど手すりになっているという構造で面白いのだが、いつものことながら全然写真に入る大きさではなかった。
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